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古今集 凡河内躬恒 けふのみと
けふのみと
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けふのみと春をおもはぬ時だにも立つことやすき花のかげかは

                               凡河内躬恒
                       
春はもう今日だけだと思わなくてさえ、花の咲いている所を立ち去るのは
むずかしいではないか。

古今集春歌下134番の歌で、春歌の最後に置かれています。


上野から本郷にかけての八重桜と新緑の景色です。

上野公園の奏楽堂前
ハ0086

東京国立博物館法隆寺宝物館前
ハ0178

ハ0182

東京国立博物館前の噴水
ハ0111

上野公園
ハ0118

不忍池
ハ0054

ハ0072

ハ0076

東京大学本郷キャンパスの新緑
ハ0043

赤門横
ハ0024

ハ0037


今年の春もこれで終わりかと思えば、花の下を立ち去りがたい思いがしました。


私の春の歌の記事では、今より少し季節が早いですが、「わがせこが」の記事
(こちら)の検索が一番多いようです。


【2013/04/26 00:04】 文学 | トラックバック(0) | コメント(0) |
古今集 僧正遍照 はちすはの
はちすはの
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はちすはのにごりにしまぬ心もてなにかはつゆを玉とあざむく

蓮の葉は泥の中から出ているのにその汚れに染まらない心を持っている。
それなのに、どうして葉の上の露を玉のように見せてあざむくのだろうか。

古今集夏歌212番の歌で、作者は僧正遍照(昭)です。

僧正遍昭は桓武天皇の孫で、六歌仙の一人に数えられています。
作風はこの歌のように機知に富んでいるのが特徴です。

出家前に詠んだ歌も百人一首に採られています。

 天つ風雲のかよひ路吹きとぢよをとめの姿しばしとどめむ


雨の後に不忍池の蓮の葉に溜まった露は本当に水晶の玉のようです。

はす0210

はす0212

はす0225

は0062

はす0215

は0072


【2012/08/07 02:08】 文学 | トラックバック(0) | コメント(0) |
古今集 花のごと
花のごと
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photo by taro

花のごと世のつねならばすぐしてし昔は又もかへりきなまし

花が毎年咲くように世の中が常に変わらないものならば、
過ごして来た昔の時代はまた帰ってくるだろうに。

古今集春歌下98番の歌で、よみ人しらずです。

花は毎年変わらずに咲くのに、なぜ人はただ老いて行くのだろうと
嘆いています。
未来に期待することも無く過去を振り返るような年になった人の感懐です。
若い時に華やかな人生を送った人ほど、この思いは深いことでしょう。
晴れの場の歌ではなく、ふと洩らした溜め息のような歌です。

古い注には、元良親王(890-943)の作とあるそうです。
元良親王は陽成天皇の皇子で、色好みで知られています。

さ0035


【2011/05/05 09:11】 文学 | トラックバック(0) | コメント(0) |
古今集 春たてば
春たてば
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春たてば花とや見らむ白雪のかかれる枝にうぐひすぞなく

春になったので花と見まちがえたのだろうか、白雪のかかる梅の枝で
うぐいすが鳴いている

古今集春歌上6番の歌で、作者は素性法師です。

白梅、白雪、うぐいすを取り交ぜた、春の初めらしい清澄な歌です。
雪を花と見るのは人ですが、それをうぐいすにもさせているのが
面白いところです。

一つ前の、よみ人しらずの歌です。

梅がえにきゐるうぐひすはるかけてなけどもいまだ雪はふりつつ

同じ情景を詠んでいますが、素性法師の歌の明るさと比べてこちらは
まだ寒そうです。

湯島天神の白梅と紅梅です。
今日8日から梅まつりも始まります。

梅0065


梅0009


うぐいすの代わりに、東京ミッドタウンのすずめです。

ミ0079


【2011/02/08 00:41】 文学 | トラックバック(0) | コメント(0) |
古今集 きのふこそ
きのふこそ
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photo by taro

きのふこそさなへとりしかいつのまにいなばそよぎて秋風の吹く

昨日は早苗を取って田に植えていたのに、いつの間に稲葉がそよいで
秋風が吹くようになったのだろう

古今集秋歌歌上172番の歌で、よみ人しらずです。

今の私たちも同じ思いのする、季節の実感のある歌です。
目の前の景色も流れるように緑色から黄金色に移ります。
「いつのまに」、「いなばそよぎて」と並んで、歌にリズムを持たせています。
読んでいて、自分も涼しい秋風を身に受けているような気持になります。


稲_0980

車窓から見た、米どころ富山の初秋の水田です。


【2010/09/26 11:24】 文学 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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