春雨
わがせこが衣はるさめふるごとにのべのみどりぞいろまさりける
古今集25番の歌で、作者は紀貫之です。
平仮名ばかりの歌ですが、漢字にするとこうなります。
我が背子が衣張る(春)雨降るごとに野辺の緑ぞ色勝りける
私の夫の衣を洗って張る、そのはるの雨が降るごとに野辺の緑の色が濃くなっていく。
「わがせこが衣はる」は春という言葉を出してくるための前奏です。
長い前奏ですが、この歌の場合はよく利いています。
まず、若い女性が愛する男の衣を洗って、しわを伸ばすため両手をぱっと広げて張るという、
生き生きとした場面が浮かびます。
そして、その周りで、暖かい春の雨に洗われて野の緑が日に日に濃くなっていくという、
鮮やかな情景が重なります。
もともと「春」という言葉は、冬が過ぎて木の芽が「張る」ことから来ているといいますから、
しっくり合うのでしょう。

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わがせこが衣はるさめふるごとにのべのみどりぞいろまさりける
古今集25番の歌で、作者は紀貫之です。
平仮名ばかりの歌ですが、漢字にするとこうなります。
我が背子が衣張る(春)雨降るごとに野辺の緑ぞ色勝りける
私の夫の衣を洗って張る、そのはるの雨が降るごとに野辺の緑の色が濃くなっていく。
「わがせこが衣はる」は春という言葉を出してくるための前奏です。
長い前奏ですが、この歌の場合はよく利いています。
まず、若い女性が愛する男の衣を洗って、しわを伸ばすため両手をぱっと広げて張るという、
生き生きとした場面が浮かびます。
そして、その周りで、暖かい春の雨に洗われて野の緑が日に日に濃くなっていくという、
鮮やかな情景が重なります。
もともと「春」という言葉は、冬が過ぎて木の芽が「張る」ことから来ているといいますから、
しっくり合うのでしょう。

御茶ノ水 山の上ホテル
御茶ノ水の明大通りから横に細い坂道を上がった所に「山の上ホテル」があります。
まさしく駿河台の丘の上にある「HILL TOP HOTEL」ですが、
日本語名は「山の上ホテル」です。


小さな本館のデザインはアール・デコ調で、外観やロビーには
昭和モダンの懐かしさが漂います。
「コーヒーパーラー・ヒルトップ」は本館にあり、白山通り側に下る坂道からも入れます。
中はそれほど広くはありませんが、坂道に面した部分はガラス張りで明るいです。

調度は仏蘭西風で、薔薇の飾りの付いた可愛いシャンデリアも下がっており、
コーヒーパーラーという、ちょっと古風で明るい響きの名前が似合います。
隅に一つ、葡萄の形をしたガラスの電気スタンドが置いてあります。
その緑色の淡い光を眺めながら、オルゴールのビートルズナンバーを聴いていると、
心も丸くなります。


カップや食器類も可愛い物が揃っています。
ケーキや軽食もあって、カレーは上品で穏やかな美味しさで、
どこにも尖ったところがありません。
野菜ホットサンド800円と水出しコーヒー・ストロング650円を注文しました。
ストロングというだけあって苦味が利いています。

大きなシティホテルの喫茶室と違って広くないこともあり、
従業員の目も行き届いていて、穏やかな親密さを感じます。
残念ながら分煙にはなっていません。
山の上ホテルから近い、御茶ノ水駅そばの順天堂も春の装いです。
順天堂医院(病院とは呼びません)には、同じ山の上ホテルの
レストランヒルトップが入っています。

由緒あるホテルについてもっと知りたい方におすすめ。
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御茶ノ水の明大通りから横に細い坂道を上がった所に「山の上ホテル」があります。
まさしく駿河台の丘の上にある「HILL TOP HOTEL」ですが、
日本語名は「山の上ホテル」です。


小さな本館のデザインはアール・デコ調で、外観やロビーには
昭和モダンの懐かしさが漂います。
「コーヒーパーラー・ヒルトップ」は本館にあり、白山通り側に下る坂道からも入れます。
中はそれほど広くはありませんが、坂道に面した部分はガラス張りで明るいです。

調度は仏蘭西風で、薔薇の飾りの付いた可愛いシャンデリアも下がっており、
コーヒーパーラーという、ちょっと古風で明るい響きの名前が似合います。
隅に一つ、葡萄の形をしたガラスの電気スタンドが置いてあります。
その緑色の淡い光を眺めながら、オルゴールのビートルズナンバーを聴いていると、
心も丸くなります。


カップや食器類も可愛い物が揃っています。
ケーキや軽食もあって、カレーは上品で穏やかな美味しさで、
どこにも尖ったところがありません。
野菜ホットサンド800円と水出しコーヒー・ストロング650円を注文しました。
ストロングというだけあって苦味が利いています。

大きなシティホテルの喫茶室と違って広くないこともあり、
従業員の目も行き届いていて、穏やかな親密さを感じます。
残念ながら分煙にはなっていません。
山の上ホテルから近い、御茶ノ水駅そばの順天堂も春の装いです。
順天堂医院(病院とは呼びません)には、同じ山の上ホテルの
レストランヒルトップが入っています。

由緒あるホテルについてもっと知りたい方におすすめ。
本郷 東京大学
本郷の東京大学キャンパスは元は加賀前田家の江戸上屋敷跡で、
広々として楠、銀杏、桜の並木もあって、四季の変化を楽しめます。
入試など特別な日以外は、学外の人にも開放されており、
私も散策に利用させてもらっています。
犬を散歩させている人や、観光コースの一つとして、
訪れるグループも多いようです。

総合図書館です。
本を並べた形をしています。
こちらは大学関係者しか利用できません。
以前の図書館が関東大震災で焼けてしまった後、
ロックフェラー財団の寄付を元に再建されました。
寄付を申し出る手紙の原本も残っていて、私も展示されているのを
見たことがあります。
大講堂は通称を安田講堂といいますが、これは寄付をした
安田財閥の安田善次郎にちなんだものです。
図書館もロックフェラー図書館と名付けたら、今後も何かあった時に
寄付をいただけるかも知れません。

広場の前には噴水があります。
火除けのおまじないの意味もあるのでしょうか。
また、和の心ということでしょうか。お寺の塔に立てる九輪の形をしています。

夜の図書館です。
平日の夜の10時過ぎ迄や、土日も開いています。

こちらは法文2号館です。
「東京大学本郷キャンパス案内」
本郷キャンパスの建築や植物を豊富な写真で紹介しています。
散歩がより楽しくなります。
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本郷の東京大学キャンパスは元は加賀前田家の江戸上屋敷跡で、
広々として楠、銀杏、桜の並木もあって、四季の変化を楽しめます。
入試など特別な日以外は、学外の人にも開放されており、
私も散策に利用させてもらっています。
犬を散歩させている人や、観光コースの一つとして、
訪れるグループも多いようです。

総合図書館です。
本を並べた形をしています。
こちらは大学関係者しか利用できません。
以前の図書館が関東大震災で焼けてしまった後、
ロックフェラー財団の寄付を元に再建されました。
寄付を申し出る手紙の原本も残っていて、私も展示されているのを
見たことがあります。
大講堂は通称を安田講堂といいますが、これは寄付をした
安田財閥の安田善次郎にちなんだものです。
図書館もロックフェラー図書館と名付けたら、今後も何かあった時に
寄付をいただけるかも知れません。

広場の前には噴水があります。
火除けのおまじないの意味もあるのでしょうか。
また、和の心ということでしょうか。お寺の塔に立てる九輪の形をしています。

夜の図書館です。
平日の夜の10時過ぎ迄や、土日も開いています。

こちらは法文2号館です。
「東京大学本郷キャンパス案内」
本郷キャンパスの建築や植物を豊富な写真で紹介しています。
散歩がより楽しくなります。
うぐいす
古庭に鶯啼きぬ日もすがら
与謝蕪村が「蕪村」の号を名乗っての最初の俳句ということです。
大先輩の芭蕉の句「古池や蛙とびこむ水の音」を意識していますが、
表しているものはかなり違います。
古池の句は、一瞬の水音と、それに続く静寂、耳を澄ます芭蕉、
といった緊張感のある句です。
古庭の句は、一日鳴いているうぐいすと聞いている蕪村の区別もなくなって、
とりとめもない時間が過ぎています。
のどかな春の気分と、かすかなやるせなさの漂う、蕪村らしい句です。
これも蕪村の句、
遅き日のつもりて遠きむかしかな
私も一句、
うぐいすの庭にいる間は部屋ごもり
私より蕪村の方が近代的です。

本郷のさるお大名のお庭の池。
古池もこれだけ大きいと、飛び込むのもガマガエルくらいでないと釣り合いません。
「江戸俳画紀行」
芭蕉や蕪村のほか、江戸の俳人たちの俳句や俳画を紹介しています。
知らない人たちも多く、勉強になります。
「蕪村」
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古庭に鶯啼きぬ日もすがら
与謝蕪村が「蕪村」の号を名乗っての最初の俳句ということです。
大先輩の芭蕉の句「古池や蛙とびこむ水の音」を意識していますが、
表しているものはかなり違います。
古池の句は、一瞬の水音と、それに続く静寂、耳を澄ます芭蕉、
といった緊張感のある句です。
古庭の句は、一日鳴いているうぐいすと聞いている蕪村の区別もなくなって、
とりとめもない時間が過ぎています。
のどかな春の気分と、かすかなやるせなさの漂う、蕪村らしい句です。
これも蕪村の句、
遅き日のつもりて遠きむかしかな
私も一句、
うぐいすの庭にいる間は部屋ごもり
私より蕪村の方が近代的です。

本郷のさるお大名のお庭の池。
古池もこれだけ大きいと、飛び込むのもガマガエルくらいでないと釣り合いません。
「江戸俳画紀行」
芭蕉や蕪村のほか、江戸の俳人たちの俳句や俳画を紹介しています。
知らない人たちも多く、勉強になります。
「蕪村」
東京駅 イノダコーヒ東京大丸支店
東京駅八重洲口の大丸東京店に行ってきました。
昨年11月に移転して、グランドノースタワーというビルに入っています。
お目当ては8階の京都のイノダコーヒです。
イノダコーヒ(コーヒーではなくコーヒです)は京都を代表する喫茶店で、
広々とした本店や、大きな丸いカウンターを囲む三条店は見ものです。
ブレンドコーヒーは「アラビアの真珠」というロマンチックな名前で、
深焙りの苦味の効いた味です。
面白いのは、最初から砂糖とミルクが入っているという、
いささか強引なポリシーを今でも崩さないお店です。
東京店の入口にも京都本店と同じく、巨大なコーヒーミルが置いてあります。
店内はさすがに京都店の広さはありませんが、椅子のシートもカーテンも真紅で、
クラシックな雰囲気です。
窓際の席からは広々と外の景色を眺めることができます。
もちろん、コーヒーは「アラビアの真珠」、630円です。
イノダのマークのカップに入ってきます。
砂糖やミルク抜きも注文できますが、深焙りの苦味の効いた味なので、
ミルク入りをおすすめします。
ミックスサンドは1050円とお高めですが、量もたっぷりあり、
特製ハムはいかにもハムらしい味がして美味しいです。
全席禁煙ですが、お昼時は並んで待つほどの盛況ぶりです。
全体に値段は高めですが、東京駅という場所と、京都まで行かなくても
イノダの味を楽しめることを思えば、安いものかもしれません。
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東京駅八重洲口の大丸東京店に行ってきました。
昨年11月に移転して、グランドノースタワーというビルに入っています。
お目当ては8階の京都のイノダコーヒです。
イノダコーヒ(コーヒーではなくコーヒです)は京都を代表する喫茶店で、
広々とした本店や、大きな丸いカウンターを囲む三条店は見ものです。
ブレンドコーヒーは「アラビアの真珠」というロマンチックな名前で、
深焙りの苦味の効いた味です。
面白いのは、最初から砂糖とミルクが入っているという、
いささか強引なポリシーを今でも崩さないお店です。
東京店の入口にも京都本店と同じく、巨大なコーヒーミルが置いてあります。
店内はさすがに京都店の広さはありませんが、椅子のシートもカーテンも真紅で、
クラシックな雰囲気です。
窓際の席からは広々と外の景色を眺めることができます。
もちろん、コーヒーは「アラビアの真珠」、630円です。
イノダのマークのカップに入ってきます。
砂糖やミルク抜きも注文できますが、深焙りの苦味の効いた味なので、
ミルク入りをおすすめします。
ミックスサンドは1050円とお高めですが、量もたっぷりあり、
特製ハムはいかにもハムらしい味がして美味しいです。
全席禁煙ですが、お昼時は並んで待つほどの盛況ぶりです。
全体に値段は高めですが、東京駅という場所と、京都まで行かなくても
イノダの味を楽しめることを思えば、安いものかもしれません。