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東銀座 スワンカフェ銀座店
東銀座
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「スワンカフェ銀座店」は地下鉄東銀座駅と宝町駅の間の昭和通り沿いにあります。

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隣は「スワンベーカリー銀座店」です。

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明るい店内は30席ほどで、入口は車椅子が入れるようにスロープになっています。

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店内の壁はギャラリースペースとして利用されているとのことです。

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ギャラリースペースの案内です。

モーニングセットのスクランブルエッグベーコンセット500円で、小さなコーンスープも
付いています。

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なかなか手間の掛かったセットで、寒い朝にはほっとする温かさです。
コーヒーはあっさりした味です。
他にサラダプレートやプチキッシュプレートなどのセットもあります。

朝の7時30分から開いているので便利です。
BGMはビートルズの演奏でした。

「スワン」は「障がいのある人もない人も、共に働き、共に生きていく社会の実現」
という理念により、ヤマト運輸の故小倉昌男氏が設立したもので、スワン(白鳥)の名は
アンデルセンの有名な童話に由来するとのことです。
店員さんも一生懸命働いているのが分かります。

私も何となく身の引き締まる思いのする朝でした。

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「スワン」のHPです。


【2009/01/31 20:25】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
八丁堀 珈琲屋 めいぷる
八丁堀
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珈琲屋めいぷるは地下鉄日比谷線八丁堀駅を出て、新大橋通りから
小路を入った所にあります。

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自家焙煎によるスペシャルティコーヒーというコーヒーを使っているお店
とのことで、抽出はフレンチプレスという方式です。

広い店内は禁煙で、木の床と腰板、天井に木の装飾用の梁を渡し、
壁は塗りムラを見せた白壁です。 

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コーヒー豆の瓶も並んで、気分が出ています。
カウンター横のパソコンのディスプレイでは、スペシャルティコーヒーの
栽培の様子をスライドショーで見せています。 

BGMはボサノバだったり、ロックだったりします。

モーニングセットは無いので、代わりにマグカップの「おはようめいぷる」320円、
トースト120円にしました。
トースト2枚だと170円です。

め3

籠の中にはコーヒーに添えるクッキーが入っています。
コーヒーはとてもすっきりした味で、ぐいぐい飲めます。
添えられたバターとアンズジャムを塗るトーストも美味しく、たっぷりのコーヒーと
一緒に楽しめます。

出勤前でしょうか、常連らしい女性のお客さんが入ってきて窓の横の席に座り、
カフェオレを注文していました。
冬の朝のカフェオレというのはおいしそうです。

コーヒーに対する姿勢のあるお店で飲む朝のコーヒーは、心地よい緊張感があって、
なかなか良いものです。

日記のページがあって面白い、お店のHPです。


【2009/01/29 21:00】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
和泉式部 あらざらん
山の端の月
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和泉式部は平安時代中期の女性歌人です。

藤原道長の娘、彰子のサロンに仕えたこともあるので、紫式部の同僚でもあります。


あらざらんこの世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな

百人一首に採られている有名な恋歌です。

高らかに「あ」音から詠い出し、その高い調子が来世の遠さを思わせ、
低く「お」音へと続けて、現世に引き戻すという、響きのすばらしい歌です。


くらきよりくらき道にぞ入りぬべき はるかに照らせ山の端の月

和泉式部の歌として記録されている最初の歌です。

お坊さんに贈った歌で、お経の中の言葉に由来し、苦しい恋の道に堕ちていく自分と、
仏の教えによる救済の願いを詠っています。

「くらきよりくらき」と言い重ねて、前へと進んでいき、そこで振り返って、
「はるかに照らせ」と、後ろの月を仰ぎます。

動きがあって、絵画的に構成された印象的な歌です。

暗い谷間の道と、遠くに光る山の端の月、それは穢土と浄土、地獄と極楽の
対比を思わせ、阿弥陀来迎図を見るようです。

紫式部は口の悪い人で、日記の中で清少納言のことを口を極めて罵っていますが、
和泉式部のことは、歌の上手さを認めるしかなかったようで、しぶしぶ誉めています。

和泉式部の歌の魅力は、思いの強さがそのまま、ほとばしるように高い調べの
歌になって出てくることだと思います。

ただ、あの世にまでこの世の思い出を持って行きたいだの、
自ら暗い道に嵌まり込んでいきながら、救いの光で照らして欲しいだの、
その気持ち分かりはすれど式部殿いささか欲が深いとぞ思う。

奈良国立博物館のHPの山越阿弥陀図です。


銀杏の木の向こうの月です。

月


【2009/01/28 21:12】 文学 | トラックバック(0) | コメント(0) |
上野 ギャラン
上野
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上野駅の南、JRの高架に沿った道を入ったところに喫茶店「ギャラン」はあります。
1階がコンビニのビルの2階です。

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「COFFEE SHOP ギャラン」が正式の名前のようです。
アルファベットと片仮名が混じっているところに雰囲気を感じます。

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大きな明るいお店で、透明な自動ドア、天井や壁にはきらきらとランプが輝き、
壁にブロンズ浮き彫りのプレート、シートは小豆色と、昭和の純喫茶そのままです。

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メニューもコーヒー600円の他に、ヨーグルト、あんみつ、パフェ、ケーキ、
サンドイッチ、カレー、アルコールと揃っています。

窓際の席に座ると、下の道を行きかう人や、向かい側の高架下のお店の様子を
眺めることができます。
常磐線の電車が通っているところです。
白い点々はお店の窓ガラスに映った天井のランプです。

ギ2


ウエイターは白と水色の縦じまの半袖シャツに赤と黒のタータンチェックのベスト、
黒ズボン、ウエイトレスはタータンチェックのベスト、スカートです。

モーニングセット750円です。

ギ7

厚切りトースト、ゆで卵、サラダが付きます。

常連風のお客さんが多く、朝からかなり賑わっていました。
BGMは賑やかなポップスでした。
スタイルは昭和のままですが、レトロというよりは現役真っ最中のお店です。


【2009/01/26 07:10】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
銀座 炭火焙煎珈琲 凛
銀座
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「炭火焙煎珈琲 凛」は銀座4丁目の交差点近く、山野楽器の裏のビルの2階にあります。
5年ほど前に開店したという、新しいお店です。

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店内は薄茶色ですっきりとまとめられ、花も活けられて、雰囲気を和らげています。

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カウンターには色々なカップや皿が飾られています。

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お店の奥の窓から和光のビルが見えます。

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隅に小さな個室も一つあって、ブラインドを降ろすことができます。
商談のお客によく使われているそうです。

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ブレンドコーヒーとココアロールのセット1100円です。

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ペーパードリップで淹れるコーヒーは適度な苦さで、すっきりとした美味しさです。
カップはウェッジウッドで、ユーランダーパウダーブルーという華やかな柄です。
ロールケーキは粉を使わず、ココアだけで作っているとのことです。

グラスも葡萄模様のカットが入っています。

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BGMは大きめの音量で、ショパンでした。
時間によって、ボサノヴァや、同じビルにシネスイッチ銀座があるという場所柄、
映画のサウンドトラックを掛けるそうです。

いつもお客の多いお店のようですが、午前中はまだ少なく、しばらくは私一人で
店内の眺めを楽しみました。
若くて気分の良いお店です。

最近、東銀座の歌舞伎座裏に「炭火焙煎珈琲 凛east+」を開店しています。

お店のHPです。


【2009/01/24 19:31】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
東銀座 Flor de Cafe' 樹の花
東銀座
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東銀座の歌舞伎座は和風で華やかなデザインで親しまれてきましたが、
2010年から建て替え工事が始まるということです。

き1


この歌舞伎座の裏の小路の四つ角の2階に「Flor de Cafe' 樹の花」はあります。

き3


ドアベルがカランカランと鳴るドアを開けると、中はカウンター席5、テーブル席
15くらい、木調で壁は白の、こじんまりしたお店で、小物があちこちに
飾られています。

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1979年に開店した4日目に、ジョン・レノンとオノ・ヨーコが訪れた店としても有名で、
壁にはその時の二人のサインが掛かっています。

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しっかりした作りのテーブル席に座ると、窓から銀座の裏通りを眺めることができます。

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私は開店時間のすぐ後にお店に入ったのですが、常連さんらしい先客が一人、
カウンターで待っていて、コーヒーを出されると丁寧に挨拶を返していました。
その後一人で入ってきたお客も、物慣れた物腰で静かにカウンターに座って、
コーヒーを注文していました。

樹の花ブレンド680円は浅煎、中煎、深煎の3種類です。

き10

カップはウエッジウッドでした。
コーヒーは注文を受ける都度、挽いてペーパードリップで淹れます。
中煎はすっきりした味ですが、コクもあって美味しかったです。

BGMは静かなピアノ曲でした。
他に聞こえてくるのはお湯の沸く音、豆を挽く音、小さく聞こえる街の音くらいです。

私は昔、春の季節にここに来たことがあり、その時は外の並木の鮮やかな新緑が
細い窓に映えていました。
今は葉を落としているのでお店の人に訊いたら、ハナミズキとのことでした。
ハナミズキなら、紅葉の頃も華やぐことでしょう。
テーブルに頬杖を突いて窓の外を眺めながら、そんなことをImagineしてみました。


【2009/01/22 06:35】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
神保町 珈琲舎 蔵
神保町
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珈琲舎「蔵」はお茶の水小学校(元の錦華小学校)近くの裏通りにあります。

明治大学とお茶の水小学校(左の白い建物)です。

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明治大学裏の錦華坂下です。
ここを上っていくと、山の上ホテルです。

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お店の前に大きな紺地の暖簾が出ています。
2階建の小さな建物の、狭くて急な階段を上がっていきます。

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朝の光の射し込む、明るく、すっきりした木調の店内の窓近くには、大きな分厚い
木のテーブルがあって、大きな花瓶が置いてあります。

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カウンター後ろの棚にはカップが並んでいます。

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朝日の射す2階、棚のカップ、窓際の大きなテーブル、花瓶といったところは、
同じ神田にある古瀬戸珈琲店駿河台店と似ています。

大きな花瓶には、百合と、お正月らしく松、南天が活けられていて、コーヒーを
待つ間、百合の香りを楽しめました。
椅子には、紺地に白く「蔵」と染め抜いた座布団が置いてあって、和みます。

マスターによれば、名前を「蔵」と付けた特別の理由は無いとのことでした。

ブレンドコーヒー700円と、チーズケーキ300円です。

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コーヒーはその都度挽いて、ペーパードリップでていねいに淹れます。

カップはウエッジウッドでした。
シュガーポットとお揃いです。

すっきりとした苦味で、とても美味しい味です。
好みによって、濃さも調節してくれるようです。

チーズケーキもしっとりとして、コーヒーとよく合います。
美味しい美味しいと、ケーキと一緒に味わっていたら、コーヒーが
すぐ無くなってしまいました。

2杯目以降は300円になります。
お店の名刺カードが100円の割引券になっています。

BGMは静かなジャズソングでした。

私は開店時間頃に入ったので、まだ他にお客はおらず、広いテーブルを
独り占めして、静かな冬の日にのんびり浸っていました。

しばらくするとカップルのお客が入ってきたので、マスターが注文を受けた
コーヒーを淹れるのを眺め、それから席を立ちました。
お店を出る時にはドアまで見送りしてくれるので、恐縮してしまいます。

お店のHPです。


【2009/01/20 08:50】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ニューオータニ美術館 新春展 2
赤坂見附・永田町
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前回書いた、ニューオータニ美術館の「新春展 1」の続きです。

西洋画はフランスの絵画を集めています。

ジャン=フランソワ・ミレー

「田園に沈む夕陽」 1865~69年
広々とした野原と、夕陽の空を描いたパステル画です。
淡い色彩の夕陽が空と大地を柔らかく包んでいます。
遠くに、羊飼いと羊の群れらしい点の連なりが描かれていて、ミレーの絵だから
これは羊飼いたちだろうと想像する面白さがあります。
空には鳥の群れが同じく点で描かれています。
近景に人物がいない分、ミレーの特徴の物語性が薄れ、純粋に風景として
味わうことが出来ます。

モーリス・ド・ヴラマンク

「花束」1905年
野獣派と言われた時代の作品で、赤や黄の絵具を一筆塗りつけたままの四角い形の
花が並び、揺れる花の残像を見るようです。
思うままに画面を色で埋めてしまえ、という気迫があります。

「雪景色」1937年
暗い藍色の空、葉の落ちた枝をくねらした木々、白い雲と雪が、チューブから
そのまま出したような絵具で荒々しく描かれています。
狼でも現れそうな寒々とした光景ですが、勢いのある筆遣いには、かえって
快さを感じます。

「トンネル」1950年頃
建物やトンネルが速い筆遣いで描かれています。
佐伯祐三に似たところがありますが、これは以前書いたように佐伯祐三がヴラマンクの
影響を受けている訳です。

アンドレ・コタボ

「赤いバラのブーケ」 1980年
展示室に入ると、正面から真っ赤なバラのかたまりが目に飛び込んできます。
大きな画面いっぱいに、極端な厚塗りの赤いバラがあふれるように咲いています。
青い花瓶は不釣合に小さく、バラの勢いを強調しています。

これは美術館手前にあるレストラン入り口に飾ってあるバラで、コタボの絵と
同じ活け方です。

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美術館の人はこの絵を先ず目に付く場所に展示したり、展覧会に合わせて
バラを飾ったりの工夫をしているのでしょう。

ポール・ギヤマン

「チューリップ」 1982年頃
赤・黄・白のチューリップが、青い葉の周りを丸く囲むようにして、咲いたり、
しおれて曲がったり、花瓶の外に落ちたりしています。
色彩も淡く、しおれた花や散らばった花があることで、叙情性を感じる作品に
なっています。

ベルナール・ビュフェ

「黄色と緑色の花瓶の花束」1998年
ビュフェの絵はどれも、黒くて太い直線が、冷たく、近寄りがたい雰囲気を
作っています。
この絵は黄色中心の暖色でまとめているので、まだ柔らかさがありますが、
活けられた葉の黒く強い縦線は緊張感を生んでいます。

「二羽の鳥(つる)」1982年
ニューオータニの依頼による作品とのことで、大画面に鶴が二羽、力強く
描かれています。
日本画の技法に従って、一羽は首を高く上げ、一羽は下げているのが面白いです。

モイズ・キスリング

「ハンモックの婦人」1918年
森の中のハンモックで若い女性が眠っています。
木々の緑の葉は具象的では無く、女性の青と赤の服もメルヘン調で、茶色の
ハンモックを吊る紐は何の重みも感じさせず、ただ真横に伸びているだけです。
この非現実的な幻想性が魅力です。
画面左上に、わずかに遠景の湖と、山と、空まで描き入れて絵に広がりを出して
あるのを観ると、キスリングという人は結構サービス精神のある人だなと思います。

シュザンヌ・ヴァラドン

「座る裸婦」1921年
女流画家で、ユトリロの母でもあります。
裸婦の量感ある肉体を正面からしっかり描いています。

キース・ヴァン・ドンゲン

「腰かける婦人」1925~30年
極端に首も手足も長い女性が薄いドレスを着て、顔をやや傾けています。
都会のセンスと退廃的な気分が混じりあった、妖しい魅力のある絵です。
隣に並んでいるヴァラドンの絵と時期も近く、同じパリで描いているのに、
画風が対照的なのは面白いところです。

アンドレ・ドラン

「座る少女」1937~38年
初期のフォーヴィズム時代と違って、穏やかな画風です。
椅子に座る若い女性を描いていますが、女性の左側から光を当て、
肌を描く筆遣いも目を中心に同心円にして、こちらを見ている女性の
左目に注意が向くように仕向けています。
達者な技のある画家だと思います。

藤田嗣治

「仰臥裸婦」1924年
藤田嗣治独特の乳白色の肌の裸婦像です。
他のパリの画家たちの作品の間にあるのを観ると、その東洋的な味わいは
際立っていて、当時から注目を浴びたことだろうと思います。


大谷コレクションは、ホテルという性格から、親しみやすい作品が多く、
十分楽しむことができます。


【2009/01/18 21:23】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ニューオータニ美術館 新春展 1
赤坂見附・永田町
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赤坂のニューオータニガーデンコート6階にあるニューオータニ美術館で1月25日まで、
大谷コレクションによる「新春展」が開かれています。

美術館に行く途中の溜池です。

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ボートハウスです。

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風も無く、天気の良い日だったので、ボートを漕ぐ人もいます。

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ニューオータニ美術館は小さな美術館なので、出展数は30数点ですが、
どれも見応えがあります。

先ず、日本の絵画について。

横山大観・下村観山・菱田春草
「寿老人・鶴・亀」の三幅対

36歳という若さで夭折した菱田春草を悼んで、菱田春草の描いた「亀」に合わせて、
横山大観が「寿老人」、下村観山が「鶴」を描き、三幅対としたとのことです。

菱田春草は東京美術学校で岡倉天心の日本画革新運動の影響を受け、
横山大観・下村観山らと共に新しい日本画を興した画家で、輪郭線を使わない
「朦朧体」の技法や、秋の林を静かに澄んだ空気の中に描いた、屏風絵の
「落葉」で有名です。

春草は大観たちを引っ張る形で、日本画の革新を進めたということで、私たちの
今観ている近代日本画も菱田春草の後に続いていると言えます。
後に日本画家の代表とされる横山大観は精神的傾向が強いのに比べると、
絵画そのものを追求しているように思えます。

現代日本画の何でもありの描き方を見慣れていると、「朦朧体」と言われても何とも
思いませんが、まだ伝統の力が強かった時代に日本画革新運動を興した菱田春草
たちの苦労は大変なものだったことでしょう。


小林古径
「上宮太子」

少年時代の聖徳太子の立姿です。
香炉を手に持っていることで、太子が仏教に帰依していることを示しています。
気品のある作品ですが、1920頃の作で、まだ色数も多く、みずらに結った髪を
束ねる紐の赤が印象的です。


岩佐又兵衛
「本間孫四郎遠矢図」

重要美術品に指定されています。
岩佐又兵衛は織田信長の部将、荒木村重の子で、村重の謀反で一族が
滅亡した中で生き残った、数奇な運命の画家です。
南北朝時代の弓の名手を描いた武者絵ですが、岩佐又兵衛の特徴の
生き生きとした人物表現が見られます。
この絵でもそうですが、岩佐又兵衛は何となく俗っぽいところが、浮世絵の祖と
言われる由縁でしょう。


葛飾北斎
肉筆「ほととぎす虹図」

初夏の雨上がり、縦長の画面の下側に樹木、上に虹、その間の空に、ほととぎすが
翼を広げて飛び込んできます。
90歳で亡くなる1年前の作ということですが、口をクワッと開いたほととぎすには、
北斎の衰えぬ気迫を感じます。


安藤広重
肉筆「利根川図」

横長の二幅の掛け軸に利根川の情景が描かれています。
穏やかな筆で帆掛舟、筏流し、水辺の村が描かれ、遠くには筑波山も見えます。
風も無く、舟の帆は垂れ、村や木々は点々と霞んでいます。
動の北斎と、静の広重の作風の違いがよく分かります。


西洋画については、次の回に書きます。

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【2009/01/18 06:59】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
山種美術館 「松岡映丘とその一門」展
半蔵門・九段下
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三番町の山種美術館では3月1日(日)まで「松岡映丘とその一門」展が開かれています。

九段を通って行きました。
九段坂に明治時代に建てられた灯台です。
その頃は東京湾が見渡せたということです。

ま5


千鳥ヶ淵の桜並木です。

ま7


あちこちに山茶花が咲いています。

ま3


ツワブキです。

ま4


展覧会のポスターです。
松岡映丘の「山科の里 おとずれ」の一場面です。

ま6


主な作家と作品について感じたことを書いてみます。

松岡映丘
東京美術学校の教授として、多くの後進を育てています。
大和絵の復興に尽くしたということですが、1918年の「山科の里 おとずれ」は、
繊細で優美な絵巻物で、大和絵を深く究めていたことが良く分かります。

1926年の「千種の丘」は、縦長の大きな画面に、野に立つ和服姿の
水谷八重子を描いています。
大正ロマンを感じる風俗画調の絵ですが、背景の山野がルネッサンスの
人物画の背景のように描かれているのが面白いところです。

高山辰雄
1972年の「坐す人」は、大きな画面で、修行僧のような人物が苦行している姿です。
前に置いている手を大きく描いて、人物の苦悩を表しています。
手を大きく描くのは高山辰雄の特徴です。
半ば抽象的な背景は、滝を表す縦の白と、道を思わせる横の赤で引き締まっています。

1979年の「春を聴く」は、高山辰雄の特徴である点描法で、二羽の鳩が薄い灰緑色の
野原にうずくまっています。
うっすらとした道が曲がりながら、イタリア絵画風に描かれた遠くの森に続いています。
題は「春を聴く」ですが、何かを見つめる鳩の鋭い眼が印象的です。

1986年の「中秋」は、金地に墨の点描で風景を、銀で満月を描いています。
月の光の中のしみじみとした風景です。
高山辰雄の風景画に特徴の、手前から画面奥に向かう道がここでも見られます。

遺作展でも感じましたが、高山辰雄の絵には深く静かな精神性が込められています。

山本丘人
1960年の「洋上の火山」は山本丘人独特の、荒々しいばかりの太く、
力強い筆使いで、白煙を噴き上げる洋上火山を描いています。

1963年の「入る日(異郷落日)」も、アラビアの海辺の山に沈む巨大な
赤い太陽を描いています。
従来の日本画と異なる世界を開拓しようとする意気込みを感じます。

晩年になると作風が大きく変わって、幻想味を帯びた心象風景を淡い色調で
表すようになります。
1976年の「壁夢」では、紫陽花の咲く中に二人の女性が立ち、その間に
ペルシャ猫が一匹、こちらを見て座っています。
私はこの晩年の、内面的な作品に親しみを感じます。

山口蓬春
1967年の「皇居新宮殿楓図下絵」は、紅葉した楓の葉と、まだ緑の残る葉を
輝く色彩で画面いっぱいに描いています。
日本画の到達した近代的な装飾性、様式美を尽くしています。

橋本明治
1959年の「月庭」は、二人の舞妓が月の光の中で腰掛けています。
橋本明治の特徴である、太い線描の重量感のある作品で、青みがかった色彩と
黒の描線により、ステンドグラスのような印象を受けます。

杉山寧
1970年の「曜」、1974年の「潤」は、文芸春秋の表紙でなじみの深い、重厚な
画面の作品です。

1940年頃の「紅蜀葵」、1942年頃の「朝顔」は、小品ですが、小林古径のような
すっきりした描線と淡い色彩で描かれています。
初期の杉山寧は高山辰雄の初期と同じような、線描による絵を描いていたのだと
思うと、近代日本画の歴史の面白さを感じます。

服部有恒
1954年の「淀殿」は、信長の妹であり、淀殿の母であるお市の方の有名な画像に
倣った作品です。
淀殿の気性はこうであったかと想像させる顔立ちです。
お市の方の画像より更に際立って撫で肩に描くことで、流れるような線による
半身像になっています。

野島青茲
1962年の「麗衣」は、インドの衣装を着けたインド大使夫人の肖像です。
大きな画面に三角形に裾の広がる安定した構図で、気品のある姿を重厚な
線描で描いています。
襟の模様には金を挿して、華やかな画面に仕上げています。
野島青茲は55才で亡くなっているとのことで、これからというのに惜しいことと
思います。

松岡映丘はこれだけの後進を育てた訳です。
作風は異なっても、絵巻物のように次々と多くの人たちによって日本画が
描き続けられていることは嬉しい限りでしょう。


【2009/01/17 12:11】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
後楽園 ムーミンベーカリー&カフェ
後楽園・春日・水道橋
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お正月のラクーアに行ってきました。

ム1


冬の青空に駆け上がります。

ム2


ムーミンカフェです。
正式には「ムーミンベーカリー&カフェ 東京ドームシティ・ラクーア店」といいます。
いつもは混んでいるのですが、この日は午前中で空いていたので、入ってみました。

ム3


ム4


こちらはムーミンパパと相席です。

ム5


店内はムーミンの世界でまとめてあり、グッズも色々売っているので、ファンには
楽しいお店です。
したがって、女性率が高いです。
何か飲物を頼めばベーカリーで買ったパンをカフェで食べることもできます。

ポットのハーブティー735円と、チーズとクランベリーのタルトレット210円、
チョコレートケーキ170円です。

ム6

ムーミンのポットカバーを被せてあります。


ム7

この紅茶は、矢車草、バラ、オレンジピールなどが入っている、香りが良くて
美味しい北欧のお茶で、以前、店内で買ったこともあります。

BGMはマンドリンでしょうか、ムーミンの曲のようです。
広場に面しているので、広場のイベントの賑わいも伝わってきます。
お正月で和太鼓の演奏をやっていて、一層賑やかでした。


【2009/01/15 06:00】 お店 | トラックバック(0) | コメント(2) |
日本橋三越 「ウエスト・レトロカフェ」
三越前
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日本橋三越新館3階にある「ウエスト・レトロカフェ」に行ってきました。

三越

写真の「MITSUKOSHI」の上の、窓に障子の入った丸い部分が「レトロカフェ」です。

「洋菓子舗ウエスト」の支店で、半円形の店内は白と薄茶色のおだやかな色調で、
障子窓から差し込む光の中で、やわらかな、ウエストらしい雰囲気をつくっています。
全席禁煙で、50席ほどですが、間隔も取ってあるので、ゆったりしています。

ウエスト

椅子は以前行った目黒店と同じ形です。
テーブルにはフリージアが飾ってありました。
テーブルに置いてある、週刊の投稿エッセイの「風の詩」は時節柄、
帰省をテーマにしたものでした。

BGMはもちろんクラシックで、ヴァイオリン曲でした。

紅茶とシュークリームのセット1155円です。
紅茶やコーヒーはお替りができます。

ウエスト2

写真と違って、実際にはカップは小さめで、カスタードのたっぷり入った
シュークリームは大きめです。
目黒店のときも書きましたが、ウエストのケーキは味がまろやかです。

こちらは「レトロカフェ」という名前ですが、「ウエスト」自身がレトロの王道を
行っている店なので、特別にレトロという言葉を付ける必要も無いと思います。

ナイフとフォークの重みを楽しみながら、ゆっくりシュークリームを切り分けていると、
ちょっと優雅な気分になりました。

三越のHPの中のレトロカフェのページです。

ウエストのHPです。


【2009/01/12 08:14】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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