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浜離宮恩賜庭園 2009/9
汐留
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photo by taro

初秋の浜離宮庭園を歩いた時の写真です。

浜離宮恩賜庭園は、元は将軍家の庭園で、明治時代に皇室の所有になり、
後に東京都に下賜されました。
潮の満ち引きで、東京湾の海水が出入りする、潮入庭園です。
周りをビルに囲まれた、緑と水の豊かな公園です。

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鳥の休めるところも沢山あります。

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キバナコスモスは満開の時期を過ぎていましたが、虫の好きな蜜は
まだありそうです。

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ピンクや白のコスモス畑です。

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こちらは甲虫の仲間のようです。

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子供たちが、はだしで駆け回っています。

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蔓穂(ツルボ)の花です。

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サルスベリです。

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サンゴジュが赤い実を付けています。

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ヤブミョウガの実です。

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池にはボラやハゼなど、海水魚が棲んでいるそうです。

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日の出桟橋と浅草を結ぶ水上バスも立ち寄ります。
隅田川を行く水上バスです。

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池の中の島とを結ぶ、お伝い橋です。
右側に御茶屋があります。

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可美真手命(ウマシマデノミコト)の銅像です。
明治時代の像で、可美真手命は物部氏の祖といわれているとのことです。

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彼岸花の季節になりました。

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【2009/09/29 05:43】 街歩き | トラックバック(0) | コメント(0) |
日本橋三越本店 「虹の会2009展」
三越前
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日本橋三越本店で9月15日まで、「虹の会2009展」が開かれていました。

13日に、出展者によるギャラリートークがあったので行って来ました。

出展作家は以下の通りです。

洋画-池口史子、小杉小二郎、酒井信義、佐藤泰生
日本画-石踊達哉、中島千波、野村義照

今回のトークは小杉小二郎さん一人でした。
他の方々は来られる予定だったのに、現われなかったようで、
小杉さん一人で奮闘されていました。
トークと、質問への答えは以下の通りです。

「虹の会」は、気の合った仲間の集まり。
個展ばかりだと、自分の力が分からなくなるが、グループ展は
良い勉強になり、製作の励みになる。
皆、今も画学生の頃の心のままでいる。
中島千波はクレバーな男だが、中身は純粋、佐藤泰生はいつも
スケッチブックを持って動き回っている。

私は1970年から40年、パリに居た。
独りで居たので、だんだん絵が暗くなってきて、これではいけないと、
日本に帰ってきた。
水に写った風景が好き。
いわゆる観光名所は描かない。
全体的に描いていくのではなく、描きたい所から始め、端から描いていって、
ジグソーパズルを解いていくようにする。
私の師だった岡鹿之助先生もこの手法だった。
先生のような点描だと、これで失敗すると大変だが、自分の場合は
塗り直せば済む。
良い絵が描けるためには、努力は1割だけ、9割は運と才能。

パリの石造りの街並み、乾燥した空気、そして日本からの余計な
情報の無さが油絵を描くのにふさわしい環境。
パリに長く居ると、だれもが日本で描くのに苦労する。
こんなに苦労するのなら、最初からパリに行くのじゃなかったと嘆く人もいる。
帰って来ると、長崎、小樽、尾道といった、ヨーロッパの雰囲気のある町を
描く人も多い。
フランスの下町に似た、上野や浅草の景色から入る人もいる。

洋画も日本画も精神は一緒ではある。
高山辰雄先生に、洋画も日本画も一緒ですよね、と言って怒られたことがある。
先生は深いところで考えておられたのだろう。
日本画の岩絵具は美しい。
洋画は縦方向に攻め込むが、日本画は水平方向に攻めて、上から下へと
下りていく。」

縦方向、水平方向の話を自分流に解釈すると、教会の壁画や祭壇画から
始まった洋画は、下から見上げるので、絵も縦方向を意識して構築的になるが、
日本画は、手元において眺める絵巻物のように、水平方向を意識する、
ということでしょうか。

パリと日本、洋画と日本画の違いなど、とても面白いギャラリートークを
聴くことが出来ました。

出展された作品について、簡単に書いてみます。

池口史子(1943~) 「リキュールショップ」 10号
北米のどこか田舎町でしょうか、街角の酒屋が、池口史子独特の
黄色っぽい色彩でくっきりと描かれています。
窓の中にも、通りにも人影は無く、立木がざわめいているだけです。
からりと乾いて、どこか寂しい世界です。

小杉小二郎(1944~) 「チュルリー公園暮色」 20号
夕暮れの公園の広場で、3組の男女がワルツか何かを踊っているのが
小さく描かれています。
周りには、それを見つめるように彫像が何体か立っていて、他には
誰もいません。
空には雲が2つ浮かんでいて、遠くにはエッフェル塔が見えます。
ルソーのような、キリコのような不思議な空間で、何とも言えない
懐かしさがあります。

酒井信義(1944~) 「野の花」 20号 
灰色の壷に活けた、赤い花です。
花の形もおぼろげで、爆発したかのように赤い色が広がり、オレンジ色の
背景と半ば溶け合っています。

佐藤泰生(1945~) 「ヴェニス旭日」 20号
マティスのような大づかみな筆遣いで、活き活きとした風景です。
海には薄緑、ピンク、白が混じりあい、ゴンドラは紺色の一筆描きのような
描き方です。
空も緑とピンクの横縞です。
現在、日本経済新聞に連載中の高樹のぶ子の小説の挿絵を描いています。
高樹さんのblogには、「マティス+デュフィ+シャガール=佐藤泰生」と
ありました。

石踊達哉(1945~) 「千羽鶴」 20号
黒地に金線が大きくうねる青海波模様の上を、7羽の鶴が一列になって、
横切って行きます。
色は、白、黒、赤、金の4色だけで、すっきりと洗練された画面です。
石踊達哉の作品は細密で、とても装飾的です。

中島千波(1945~) 「雛罌粟の花ざかり」 30号
群青色を背景に、クラシックな高杯からあふれるように、白、ピンク、黄、
オレンジの大きな雛罌粟(ポピー)が咲き乱れています。
テーブルには、犬や羊のような動物が置いてあり、右側には気球が
浮かび、おもちゃ箱のような賑やかさで、童話の味わいがあります。

野村義照(1945~) 「洛北」 20号
山を背にした寺院の建物です。
すべて緑色で、濃淡と色合いの違いで描き分けています。
落ち着いた静けさがあります。

展覧会とは関係ないですが、モミジの種の写真です。
葉の先端についていて、プロペラの形をして、色は紅色です。

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【2009/09/28 00:25】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
国立新美術館 「第73回 新制作展」 2
乃木坂
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「第73回 新制作展 1」の続きです。

石井礼子 「私の周囲(ちょっとだけ眠い時間)」

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5人の家族と、10数匹の猫が室内に平和に雑居しています。
石井礼子は、白地に黒の描線だけで、子供など身近なものを、
ごちゃごちゃと細かく描き込んで、元気な画面を作っています。

大山和子 「この街の、ぼく」

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四角い家々のつくるリズムが面白く、色彩も穏やかです。
右側の緑の公園がアクセントになっています。

金森宰司  「ライフ(バカンス)」

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テーブルでお茶を楽しむ人、海辺で寛ぐ人、ゴルフをする人などが、
大きな丸を中心にまとまっています。
色彩も薄塗りで、さわやかです。
金森宰司は、頭が小さく、丸々とした人物を、童話的な雰囲気で描きます。

佐藤泰生 「海と少女」

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江ノ島でしょうか、遠くに富士山が見えます。
カモメ、ウミガメ、タコもいます。
大づかみな描き方で、少ない色数を効果的に使い、伸び伸びとしています。
海の中の大きな渦は波でしょうか。

田澤茂 「魑魅魍魎」

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真っ赤な画面の百鬼夜行図です。
道具も野菜も化けて、都大路を練り歩きます。
画面の上の図形は、大きな怪物の顔のようにも見えます。
私は百鬼夜行図が好きなので、こういう絵は観ていて飽きません。

高堀正俊 「7月のアトリエ」

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壁に立てかけた鏡に写る像を見ている、という構図です。
鏡の錯覚を使って画面に奥行きを見せ、空間的にも面白い構成です。
テンペラ技法が使われているとのことで、対象の質感も上手く
表されています。

田村研一 「ぼくらの宇宙タクシー」

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子供の運転する、屋根にロケットを付けたタクシーが、裏町の路地で
交通事故を起こしてしまいました。
トランクからは宇宙人も這い出しています。
リアルに描き出すことで、実際にはありえない世界を、いかにも
ありそうに見せています。
現実を象徴する筈のお母さんが、非現実の世界の中で怒って
いることで、絵を面白くしています。

曲渕洋子 「二人」

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二人の女性と紫陽花の花です。
青を基調にした、装飾的な画面で、緑と赤を効果的に使っています。

矢吹幸子 「港・夕景」

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鈍い金色に光る海辺の広場です。
フェンスや子供たちの影の向きが違っている、不思議な空間です。
夕暮れ時に感じる、懐かしさがあります。

新制作協会のHPです。



【2009/09/27 14:06】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
国立新美術館 「第73回 新制作展」 1
乃木坂
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六本木の国立新美術館で9月28日まで開かれている、
「第73回 新制作展」に行って来ました。

新制作協会は1936年設立の美術団体で、現在は絵画部、彫刻部、
スペースデザイン部があります。

19日には絵画部のギャラリートークがあり、その日に行って来ました。
何人かの画家によるギャラリートークは通常のトークと違い、キャンバス材、
下地塗り、絵具、溶き油などの材料技法についての現地講義といった、
自分で描く人のための約2時間のトークでした。
私は絵を描きませんが、絵画の観方が深まる、興味深いトークでした。
作者のトークのあった作品を紹介します。
新制作展は撮影自由でした。

鍋島正一 「神秘の防壁」 

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ルネサンス画のような景色の中で、不思議な形のオルガンを前に
演奏している人たちがいます。
天使の奏でているのはリュートです。
夕暮れのような鈍い色彩が、非現実的な雰囲気を出しています。
トークによれば、題名は、フランスの古い曲の題で、気に入って
絵の題にしたもので、描く時はこの曲を聴いていたそうです。
「神秘の防壁」はクープランの作曲でした。

中村修二 「マティスからの伝言-窓」 

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オブジェと絵画の合体です。
トークは以下の通りです。
「アクリルによるオブジェは、1ミリでも狂ったらいけないので作るのが
大変だが、オブジェ自体は昔から手掛けているので、抵抗感は無い。
真中の上の方にあるのは本物の野ブドウで、蔓の曲がり具合は、
人間が作っても自然に出来たものにはかなわない。
ブドウから右下に伸びてぶら下がっているのは、機織に使う筬(おさ)で、
形が面白いので取り入れた。
オブジェが出来ると、それにあわせて、絵を仕上げて行く。
絵具や道具にはこだわらず、ある物を使っている」

福田徳樹 「村の光景」

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トークは以下の通りです。
「フランスのコンクという小さな村にあるロマネスクの教会の彫刻を描いた。
タンパン(教会入口の上の部分の壁)の彫刻で、13歳で殉教したという
少女の姿と神の手が彫ってある。
日本画のようにさらさらと描いた。
コンクは人口200人足らずの小さな村だが、日本の田舎がどんどん
寂れていく状況のことも思い合わせて、この題材を選んだ。
絵の左右と、下にある矢印は、左から来る少女の祈りの方向と、
右から来る神の手の方向を表し、下から上は、そのバランスを
取るため描いた。
これは最初から考えていたことで、何か新しいことをやってみないと
いけない。
偶然、近くに展示してある蛭田均さんの絵の中に、この教会が
描いてあって、驚いた」
ロマネスクの素朴さに合わせるかのように、太い線で大まかに、
力強く描いています。
コンクの教会の写真を見ると、確かに左側の入口の上のタンパンに、
この部分が彫ってあるのが分かります。

蛭田均 「長閑な刻」

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福田さんの紹介した作品です。
青と黄色を中心にした、磨りガラスのようなあわあわとした光景です。
人物の大きさを変えて、奥行きを見せ、左に向う人物によって広がりを
感じさせます。
背景に描いてあるのが、コンクの教会です。

眞野眞理子 「種をまく人々」

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ビザンティン教会のモザイク画の雰囲気で、地面や空はモザイクを
模して小さな四角形で埋められています。
聖職者たちの衣装は、それぞれ違ったデザインの十字をあしらって、
変化と統一を与えています。
トークによれば、以前は金箔を使ったこともあったが、派手で浮いて
しまうので、今は絵具で艶の無い金色を出すようにしているとのことです。
額縁もそれにあわせて、渋い金色に仕上げたとのことです。

矢澤健太郎 「スサノヲのムスメたち」

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調べてみると、スサノオノミコトの娘は3人います。
全国を回って木の種を撒いた後に紀伊に住んだオオヤツヒメ、ツマツヒメ。
オオクニヌシノミコトの妻となったスセリヒメの3人です。
オオクニヌシノミコトは元の名を、オオナムチノミコトと言い、那智の滝の
祭神です。
これらの神話を絵画化したのでしょう、滝や熊野の烏らしいものも見えて、
古代の生命力に溢れた世界が描かれています。
トークによれば、色数は少なくしているが、メーカーによって絵具の色合いが
微妙に違うので、絵具の数は多く、パレットを何枚も使うそうです。

続きは別の回に書きます。

新制作協会のHPです。


【2009/09/26 13:34】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ニューオータニ美術館 「大谷コレクション展」
赤坂見附・永田町
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赤坂のニューオータニガーデンコート6階にあるニューオータニ美術館で、
9月27日(日)まで、大谷家の収集した、フランス、日本の絵画を展示した、
「大谷コレクション展」が開かれています。
洋画は20点です。

モーリス・ド・ヴラマンク(1876~1958) 「花束」 1905年

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展覧会のポスターに使われています。
フォーヴィズム時代の、色彩を勢い良く並べた、力強い作品です。
交流のあった、アポリネールの旧蔵品とのことです。

アンドレ・ブラジリエ(1929~) 「ヴェニス」 1982年

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大きな画面で、向こうにサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会が見えます。
色数を抑え、簡素化された伸び伸びとした筆遣いで、空も水色、白、ピンクが
流れるように描かれています。
手前に並ぶ黒いゴンドラと杭がアクセントです。
ブラジリエは軽やかに駆ける馬をよく描いています。

アンドレ・コタボ(1922~) 「赤いバラのブーケ」 1980年

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大きな画面いっぱいの赤いバラです。
青い花瓶が小さすぎるのは、バラの勢いを強調するためでしょう。
コタボといえば厚塗りで有名で、絵具が盛り上がって、画家というより、
左官屋の仕事のようです。

「海辺のフルーツ」 1980年
手前のテーブルには、オレンジ、ブドウ、レモン、、バナナ、パイナップル
などが一面に並び、遠景は濃い青の海、多分地中海です。
デュフィの世界を盛大な厚塗りにした感じですが、しつこさや重さは無く、
軽やかです。

ベルナール・ビュフェ(1928~1999) 「風車小屋」 1951年

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コタボを観た後で、ビュフェの前に来ると、一瞬ひやりとします。
モノトーンで、人影の無い道、荒涼とした原っぱ、電信柱、葉のない木、
三角屋根の風車小屋です。
ビュフェはフランス生まれですが、何かアメリカのような乾いたものを感じます。

日本画も7点、展示されています。

速水御舟(1894~1935) 「伊勢物語」双幅 1917年

初期の作品で、遠景、近景を上手くあしらい、屋根の描き方などは琳派風です。

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絵は左右一対ですが、右の絵は伊勢物語二十三段、筒井筒の歌のある段で、
夜の情景です。

女が、 
風吹けば 沖つ白浪たつた山 夜はにや君が ひとりこゆらむ

と詠み、男が前栽の陰でそれを聴いている場面です。


大谷4

左は十四段で、朝です。

夜も明けば きつにはめなで くたかけの まだきに鳴きて せなをやりつる

夜が明けないうちから鶏が鳴くものだから、男が帰って行ってしまう。
この鶏のやつ、水桶に突っ込んでやるという歌です。

男女が語り合っている隣の屋根の下で、自分の運命も知らず、
鶏がのんきに鬨の声を上げています。

加藤栄三(1906~1972) 「秋」 昭和年代
赤く色付いた葉の柿の枝に、百舌鳥(モズ)が一羽留まっています。
柿の葉、百舌鳥といった、日本画ならではの秋の風情です。

ニューオータニ美術館は小規模な美術館ですが、所蔵している
大谷コレクションは親しみやすい絵が多く、気楽に観られるのが特徴です。


【2009/09/26 07:32】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
赤坂 「しろたえ」
赤坂見附
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ケーキと喫茶の「しろたえ」は赤坂一ツ木通りの北の端近くにあります。
場所は港区赤坂4-1-4です。

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売店にはお菓子が並んでいます。

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売店の奥の1階は禁煙席で、10席ほどの小さいスペースは、白壁と焦げ茶で
まとめてあります。

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喫煙可の2階席は、開店したばかりの時間なので、まだ開いていません。
10時30分の開店ですが、座ってコーヒーを待っている間にも、次々お客さんが
入ってきて、とても繁盛しているお店です。

掛時計は少し時間が進んでいましたが、きっちり11回鳴りました。
置時計は完全に寝ていました。

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壁の絵は社長の妹さんが描かれたそうです。
憂いの感じられる、味のある絵です。

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BGMはショパンのピアノ曲でした。

評判のレアチーズケーキ250円とコーヒー400円です。

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チーズケーキは小ぶりですが、とてもしっとりと滑らかで、甘さも程よく、
私には十分食べ応えがありました。
これで250円とは大変お得です。

店員さんと、お得意さんらしい女性が、「混んでいてすいませんね」、
「いえ、構いませんから」といった会話を交わしていました。


【2009/09/25 05:58】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
国立科学博物館 「黄金の都シカン展」
上野
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上野の国立科学博物館では、10月12日まで、「黄金の都 シカン展」が
開かれています。

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この展覧会では、「1日ブログ記者」を募集していると知り、早速応募して
承認されたので、取材に行って来ました。

巨大なシロナガスクジラが目印の国立科学博物館です。

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1日ブログ記者は開館時間内の入場で、写真撮影が許可されています。
ただし、会場風景の一部としての撮影です。
シャッター音のしないデジカメを使い、フラッシュは禁止です。
腕章とプレートを着けて取材します。
入場料は無料になります。

20日の日曜日の9時の開場と同時に入りました。
混雑しないうちにと、まず金製品の所に急ぎ、写真を撮っておき、
それからゆっくり観て回りました。

会場のあちこちにビデオ映像が流されていて、参考になります。
3Dシアターもあって、発掘の様子が良く分かるようになっています。

シカンは、ペルー北部海岸地域に9世紀に興り、14世紀に亡びた、
インカ帝国より古い文化です。
南イリノイ大学教授の島田泉博士を中心にして、1978年から調査、
発掘がされました。
シカンとは先住民の言葉で、「月の宮殿」という意味で、島田博士の
命名ということです。
同じペルーのナスカは、南部海岸地域で、シカンより古い文化です。

今回は島田博士らによる発掘品や、それ以前から発見された遺物が
展示されています。

多数展示されている土器には多様な形があって面白いです。
魚、エビ、カエル、リャマ、子犬を咥えた犬、野ガモ、フクロウ、トウモロコシ、
ヒョウタン、ウリなど、さまざまな生き物をかたどっています。
魚や、主食だったトウモロコシなど、造形的に実に上手いと思います。

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上の壇はトウモロコシです。
つぶつぶが表現されています。

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真中はヒキガエルです。

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野ガモです。
絵付けがしてあります。

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右は太鼓を叩く女性です。
ユーモラスな姿をしています。

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シカンは交易国家だったとのことです。
砒素銅の精錬に優れ、土器の質も高く、そのような生活必需品を輸出して、
遠方から貴重な品を輸入していたらしいのです。
また、異民族の外交官と思われる人物も居住していて、亡くなると、
丁重に埋葬されていたとのことです。
もしかして、外交官ではなく、人質だったかもしれません。

島田博士は当時の銅や土器の製造工程の復元も行なったそうです。

シカン神を象った、黄金製トゥミです。
儀式用のナイフで、これで生贄の首を斬ったといいます。
1930年代に盗掘された品であることが、島田博士の聞き取り調査で
分かったそうです。

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裏側から見たところです。
ガラスに映っているのは解説している島田博士のビデオ映像です。
博士の熱意が伝わってくる会場です。

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シカン神の顔を打ち出した、黄金製のケロという容器です。
写真を拡大すると分かりやすいですが、前後左右が顔になっていて、
隣り合う顔は一つの目を共有しているという、ピカソのような発想です。

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黄金の御輿の背もたれです。
これで、下にー、下にーと言って、かついで行ったのでしょう。
アンデス文明には車が無かったといいます。

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発掘の中心の一つ、ロロ神殿で島田博士により発掘された墓の様子には
驚きました。
ロロ神殿はシカン神を祀る神殿です。

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神殿東側で、殉葬者を従えて埋葬された被葬者は、あぐらをかいた形で、
上下さかさまになっていて、しかも首は切り離されて、あごを下に埋葬
されているというのです。
どういう死生観があったのでしょうか。

埋葬の状態の復元模型です。

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上から、豪華な副葬品、さかさになった被葬者と黄金の大仮面、
黄金の儀式用手袋と殉葬者の順です。

復元された黄金大仮面です。

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黄金の羽飾りをかぶり、目は吊り上がり、古代中国の青銅器に
見られるような顔をしています。
これを着けることにより死者はシカン神になると考えられていたようです。

同じく西側の被葬者は、普通にあぐらをかいていて、東側の被葬者とは、
おじと甥の関係にあるとのことです。

他にも殉葬の例が発掘されてますが、古代の中国でも殉葬は見られます。
ロロ神殿は日干しレンガを積んだピラミッド型をしていますが、ピラミッド
ではなく、基壇の上に神殿があったということです。
これは古代メソポタミアのジグラットと同じです。
実年代は、シカンと中国やメソポタミヤでは違いますが、古代文明とは
似たようなことをするものです。

アンデス文明はインカ帝国がスペインに滅ぼされて終わりますが、
古代と大航海時代では勝負になりません。
そもそも古代文明の始まりが遅かったのは、アンデス山脈の西側で、
文明を築くには領域が狭かったということでしょうか。
そうだとしたら、広い北米大陸のミシシッピ川流域に文明が興っていても
良さそうなものだし、文明発達のきっかけとは何なのだろうと思います。

シカンは農業国家でもあり、広い地域に灌漑用水を廻らして、農地を
確保していたといいます。
感慨事業は強力なリーダーが必要なので、シカンが支配者を中心に
した国家だったことが分かります。
支配者の権威を保証するのがシカン神だったのでしょう。
滅亡の原因も、旱魃と洪水が続いたため、シカン神への信仰心も薄れて、
まとまりを失い、国力が衰えたところを、チムーという国家に滅ぼされたため、
とのことらしいです。

それにしても島田博士の業績は素晴らしいと思います。
仮説を立て、長い期間かけて調査し、資金と人材を集め、スケジュールと
集まった資金の枠内で、しかも外国で現場作業を実施し、結果を分析し、
報告する訳です。
単なる書斎の学問では済まない難しさがあります。
しかも、成功するとは限りません。

会場の最後にはミュージアムショップがあって、シカンやペルー関連の
商品で盛り沢山で、ペルー物産展といった趣きです。
さすがにシカン饅頭はありませんでしたが、シカンクッキーは売っていました。

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INCA KOLAというコーラもあります。

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アルパカのセーターは温かそうで、これからの季節、魅力があります。

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今回、ブログ記者をやってみて、思ったこと。
普段なら自分のペースで観ていれば良いが、今回は他の人の迷惑に
ならない様に、暗い会場で手早く写真を撮らないといけない。
何がポイントか、見落としはないか、他の記者さんと比べて違った観方を
出来ないかなど、いろいろ考えないといけない。
結構疲れましたが、楽しい経験になりました。

お土産にいただいた、クリアファイル、メモ帳、シャープペンです。

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展覧会のHPです。

上野の山は彼岸花の盛りでした。

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【2009/09/23 10:07】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(4) |
京橋千疋屋東京駅一番街店
東京
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京橋千疋屋東京駅一番街店に行って来ました。

八重洲地下中央口を出て、左に行ってすぐです。
右に行くと、銀座木村屋本店東京駅店があります。

朝、8時30分きっかりにシャッターが開いて、開店します。

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果物をあしらった、美味しそうなケーキやパフェが並んでいます。

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約30席の店内は明るく、全席禁煙です。
売店の奥にあるので、地下街のざわめきから離れ、落ち着いた雰囲気です。
店員さんの応対は丁寧で、時節柄、全員マスクをしていました。

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壁には、千疋屋らしく、果物の絵が掛かっています。

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BGMはポップスのバラードでした。

トーストモーニングセットです。

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バターのしみこんだ厚切りトースト、殻をむいた大きなゆで卵、サラダ、
そして果物が付いて500円という、お得な値段です。
コーヒーはフレンチで美味しいです。

サンドイッチセット600円、ワッフルセット600円もあります。

売店には果物や、果物をあしらったケーキが並んでいます。

常連さんらしいお客さんが売店でバナナを1本買って、お店で食べ、
水をクイッと飲んで、店員さんに礼を言って、あたふたと出て行きました。
フルーツパーラーらしい、お店の使い方だと思いました。

お店のHPです。


【2009/09/22 09:32】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
丸の内 三菱一号館とブリックスクエア
東京
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photo by taro

丸の内で最初に建てられたオフィスビルだった三菱一号館が復元され、
三菱一号館美術館として開館しました。
これを記念して、「一丁倫敦と丸の内スタイル展」が開かれています。
会期は2010年1月11日までです。

三菱4SANY0106


こちらが正面です。

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屋根の形も凝っています。

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三菱一号館と後ろの丸の内パークビルディングのあるブロックは、
ブリックスクエアと呼ぶそうです。

ブリックスクエア入口の吹き抜けです。

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パークビルディングの丸の内仲通り側入口です。

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三菱一号館が開館したばかりなので、お客さんで中庭も賑わっています。

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三菱一号館は、鹿鳴館を設計したジョサイア・コンドルの設計で、
明治27年(1894年)の竣工です。
それ以来、英国風の建築が立ち並び、あたりは一丁倫敦と呼ばれる
ようになったとのことです。

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美術館は3階建てで、1階にはギャラリーショップとカフェがあります。
カフェは銀行だった時、カウンターだった場所なので、天井は高く、
吹き抜けになっています。
2・3階は元々はオフィスなので、小部屋に仕切られています。

美術館としては、各部屋があまり大きくない構造や雰囲気から、静物画、
室内画に向いていそうです。
2010年4月には開館記念展として、「マネとモダン・パリ展」が開かれる
とのことです。
英国調の建物ですから、ターナー展などというのも開いてくれると
嬉しいところです。

階段の石造りの手摺も復元されました。

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明治の創建当時の資料、復元作業の資料、明治大正の風俗資料が
展示されています。

丸の内一帯は名前の通り、江戸城の一角で、大名屋敷が並んでいましたが、
明治維新で取り壊され、一時練兵場として使われた後は岩崎家に
払い下げられたので、三菱ヶ原と呼ばれたということです。
展示パネルに、三菱ヶ原を描いた油絵がありましたが、一面の原っぱで、
大名屋敷の築山が残り、建てられたばかりの煉瓦建築が遠くにポツンと
立っています。

創建時の煉瓦は刻印から、小菅集治監(現在の東京拘置所)で焼かれた
ものであることが分かったそうです。
煉瓦の積み方にも色々あるそうですが、三菱一号館は当然英国式です。
復元には大量の煉瓦が必要ですが、今回は中国で作っています。

展示室に大きな箱があり、中に三菱一号館の大きな模型が置いてあって、
箱に開いた小窓から覗く仕掛けになっています。
表通りには紳士たちが立っていますが、中庭には明治の日本が見えます。
明治時代の内部の写真を見ると、事務員の半分はまだ和服の着流し姿で
机に向っています。

三菱一号館が解体されたのは1968年ですから、高度経済成長期のさ中です。
今になって思えば、どうして解体したのだろう、という気がしますが、
当時は前へ前への時代で、過去を振り返る気持ちは薄かったのでしょう。

展示品を見ていくと、大変な努力で復元作業を行なったことが分かります。
時代の気分も変わり、こうして復元された訳ですから、幸運な建物といえます。

美術館のHPです。


ブリックスクエアの広告を載せた自転車タクシーや人力車が営業していました。

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丸の内仲通りには、箱根彫刻の森美術館の所蔵する彫刻が並んでいます。
展示替えもあります。

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夜のブリックスクエアです。
ガス灯は本当にガスを使っているそうです。

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【2009/09/20 17:25】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
御殿山 ホテルラフォーレ東京
品川
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photo by taro

品川の御殿山ガーデンに行った時の写真です。

品川駅の西口で降ります。

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再開発された品川駅東口の高層ビル群が見えます。

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南へ下り、ゆるい坂を上がると、御殿山ガーデンです。

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御殿山ガーデンにはホテルラフォーレ東京や高層オフィス、マンションがあります。

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御殿山の名は、江戸時代に徳川将軍家の鷹狩りの休憩所があって、
品川御殿と呼ばれたことから、付いたそうです。
斜面を利用して、広い庭が造られています。

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モダンな滝もあって、涼しそうです。

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ホテルラフォーレ東京のホールです。
南国のリゾート風で、天井が高く、広々としています。
品川駅との間に、シャトルバスが出ています。

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ホールに隣接した、イタリアレストラン「シェーナ」でランチ2500円です。
喫煙可の席はホールを見渡せるので、開放感があります。
禁煙席は少し奥まった部屋になります。

かぼちゃの冷製スープです。
暑い日でしたが、これを飲んだら食欲が湧きました。

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魚のすり身とトマト味のパスタです。

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パスタはもう一つメニューがあって、こちらは鶏肉とクリームパスタです。

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デザートはマンゴーのアイスクリーム、ガトーショコラ、ムースです。

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コーヒーのカップはビレロイ&ボッホです。

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どれも、美味しく、のんびりしたランチを楽しめました。


【2009/09/19 06:47】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
浅草 「アンヂェラス」 2
浅草
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私は小さいころ、「キンダーブック」という絵本を読んでいました。
宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」や、小川未明の「赤い蝋燭と人魚」も
この「キンダーブック」で読みました。

ある号に、フルーツパーラーの絵が載っていました。
明るく淡い色で、お店やフルーツポンチが描いてありました。
詞書の一部も覚えています。

「フルーツパーラーでねえさんと フルーツポンチをたべました 
あまくって すっぱくって・・・」

何となくモダンで、明るい響きに心が惹かれたものです。

それから私はフルーツパーラーとフルーツポンチに特別の思いを
持つようになりました。
今では、喫茶店でもフルーツパフェはあっても、フルーツポンチは
あまり見かけません。

浅草の「アンヂェラス」には、今でもフルーツポンチがあります。

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そこで、本当に久しぶりに、注文してみました。

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緑、黄、白、茶、紫と、色とりどりの寒天の下に、缶詰のミカン、
黄桃、パイナップルが埋まっていて、サクランボも載っているという、
古典的なスタイルです。

かなりのボリュームで、700円です。

寒天の弾力のある食感を楽しみながら食べますが、なかなか減りません。
上から覗くと、色彩があふれて、展覧会で最近観た抽象画のようです。
蒸し暑い日でしたが、汗もすっかり引きました。

「アンヂェラス」は、むかしのモダンが今もそのまま残っている、
懐かしいお店です。

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ケーキも昔のままの形です。
上の棚には、「アンヂェラス」名物の、その名も「アンヂェラス」が並んでいます。

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お店の前のオレンジロードを観光人力車が通ります。

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【2009/09/16 00:35】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
古今集 わがせこが衣のすそを
わがせこが衣のすそを
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わがせこが衣のすそを吹き返しうらめづらしき秋のはつ風

私の夫の着物の裾を吹き返して、裏を見せながら、
ほんとうに珍しい秋の初風が吹いている。

古今集171番の歌で、よみ人しらずとあります。

季節の移り変わりへの細やかな感覚を表した歌です。
着物の裏と、うらめづらしきの「うら」を掛けています。

野に立つ夫と妻に、秋の初めを知らせる風が吹いてきた、
その一瞬の情景が鮮やかに目に浮かびます。

夫への気持ちと、秋の初風に驚き、喜ぶ気持ちがうまく重なっています。

以前に書いた、古今集25番の紀貫之の歌、

わがせこが衣はるさめふるごとにのべのみどりぞいろまさりける

と良い対照になる歌です。


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【2009/09/15 05:36】 文学 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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Author:chariot
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