fc2ブログ
次のページ
壹眞(かづま)珈琲店 神保町店
神保町
chariot

「壹眞(かづま)珈琲店 神保町店」は神保町交差点近くの
靖国通り沿いの北側にあります。
場所は千代田区神田神保町1-8です。

地下のお店で、靖国通りから横道に入った所に入口があります。

か0087

か0086


ブラウンを基調にした落着いた雰囲気で、20席とカウンター6席です。

か0070


BGMはクラシックで、私の行ったときはブラームスの交響曲第1番が
かかっていました。
神保町の喫茶店は、名曲喫茶の「ピアノフォルテ」を始めとして
クラシックをかけているお店が多いのですが、こちらもそうです。

コーヒーはその都度挽いて、ペーパードリップで淹れます。

ブレンド600円です。

か0074

すっきりした苦味で、美味しいです。
コクと苦味の強い壹眞ブレンド700円もあります。
カップもいろいろあって、この日はジノリでした。

上から見ると楕円形の特製のグラスも1個1100円で売っています。

か0078


昔ながらの雰囲気と、しっかりとしたコーヒー、そしてクラシックという、
神保町らしい喫茶店です。

第4楽章を最後まで聴き終ってからお店を出ました。

「壹眞珈琲店」のHPです。
「壹眞珈琲店」は銀座にも3軒のお店があります。
お店によって値段は異なるようです。


(お知らせ)

東京都美術館で今日(6月30日)から始まった「マウリッツハイス美術館展」に
午後4時に行ってきましたが、入場までに館内で約20分待ちでした。
その時点での展覧会の特設HPや入口での掲示では待ち時間は10分となって
いましたので、表示よりもう少し時間がかかるようです。

展示は地下1階の、美術館の歴史、風景画、歴史画から始まり、1階の肖像画
(フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」はこちら)、2階の静物画、風俗画、
ミュージアムショップとなっていて、上の階にはエスカレーターで上がるので、
後戻り出来ません。


なお、同じ上野公園の中の上野動物園のパンダのシンシンは妊娠の際に
認められる変化があらわれたため、今日から展示が中止になりました。

パンダの詳しい様子は、ぱんだうじさんの「毎日パンダ」というブログで紹介
されています。


【2012/06/30 00:36】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
[山本桂右展」 銀座 日動画廊
銀座
chariot

銀座の日動画廊では7月4日(水)まで、「昭和会展受賞記念 山本桂右展」が
開かれています。

山本桂右さん(1961~)は大阪市出身で、現在は白日会会友です。

元々は版画家ですが、この10年は油彩画を描いていて、2004年の第39回
昭和会展の優秀賞を受賞しています。
展覧会では、清水寺、大原三千院、浄瑠璃寺など、京都から奈良にかけての
風景や花を描いた作品、約30点が展示されています。

作品はすっきりと清潔な雰囲気の写実で、日本画のような趣きもあります。
静物画では花を活けたガラス器の透明感も描き出しています。
油彩画の個展は今度が初めてとのことですが、高い技量の持ち主で、
どの作品も見応えがあります。

「薫風」 50F
山本001

新緑の八坂五重の塔です。
飛んでいるのは鳶でしょうか。
エアコンの室外機や干してある洗濯物まで見えます。


【2012/06/29 04:48】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
「米本珈琲 神田店」
小川町
chariot

「米本珈琲 神田店」は神田警察署のすぐ近くにあります。
場所は千代田区神田錦町2-1-8です。

米0071


朝7:30から開いていて、土日はお休みです。
2010年に開店したセルフのお店で、入口から左右に分煙されていて、
禁煙席は15席ほどです。
無線LANがつながっていて、電源コンセントもあります。
BGMはジャズピアノでした。

米0060

米0072

米0073


モーニングセット380円です。

米0065

ゆで卵はプラス40円で、塩の瓶も付いています。
コーヒー単品は250円です。
スプレッドはバターとジャムを選べます。
コーヒーはずっしりとして美味しいです。

窓の外を近くの高校の生徒たちが通り過ぎて行きます。
私もコーヒーを飲み干し、出かけることにしました。

米0058



【2012/06/28 00:12】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「スイスの絵本画家 クライドルフの世界」展 Bunkamuraザ・ミュージアム
渋谷
chariot

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでは「スイスの絵本画家 クライドルフの世界」展が
開かれています。
会期は7月29日(日)までで、開催期間中は無休です。

ク001


エルンスト・クライドルフ(1863-1956)はスイスの絵本画家で、草花や虫を主人公に
した絵本で有名です。
展覧会では絵本の原画を中心に約220点が展示されています。

「自画像」 水彩、紙 1916年
ク002

クライドルフはベルン生まれで、小さい頃から絵が好きで画家を志しますが、
家が貧しいため、先ずリトグラフの職人となって技術を身に付け、それから
ドイツのミュンヘンの美術学校に入学し、美術アカデミーにも進みます。

その頃の油彩画も何点か展示されていますが、古典的な写実画です。

ところが、学費を稼ぐための無理な生活や弟や姉、母の死が重なった衝撃で神経を
病んでしまったため、バイエルンのバルテンキルヘンで療養生活を送ることになります。

このアルプス近くの村での11月のある日、季節外れのプリムラとリンドウが
咲いているのを見付けたクライドルフはその花を摘んで持ち帰りますが、後でそのことを
後悔し、花の命を少しでも長く留めようと絵に描きます。
このことがきっかけで、花を主人公にした最初の絵本、「花のメルヘン」が生まれます。
写実と空想の間で模索していたクライドルフは絵本という形式を得ることで、新しい方向を
見出していきます。


「花のメルヘン」より(輪舞) 墨、水彩など、紙 1898年
ク007

花が輪になって踊っています。
一番きれいな花が女王さまになるそうです。

「アルプスの花物語」より(アルペンローゼのところで) 水彩など、紙 1918-19年頃
ク013

赤いアルペンローゼはスイスの高山植物の代表で、王冠を差し出している白い花は
北極起源のジルバーヴルツです。
クライドルフはさまざまな植物をとてもよく観察して描いています。

「アルプスの花物語」より(アザミとエリンギウム)
ク009
 
左の棘のあるチャボアザミたちが右の棘の無いエリンギウムを馬鹿にしています。

「くさはらのこびと」より(こびとの村のけんかするふたりのお父さんこびと) 
墨、水彩、グワッシュ、紙 1902年以前

ク005

バッタと小人を主人公にした、ストーリーのあるお話で、クライドルフの絵本の中で
もっとも人気のある作品です。

相手の家のバッタが自分の家の屋根の草を食べたといって喧嘩しています。
二人はバッタにまたがり、騎バッタ戦を演じますが、お月さまにいさめられて仲直りします。

元々はバッタに乗ったこびとの絵をユーゲントという雑誌に投稿して不採用になったのを
きっかけに生まれた作品とのことです。
ユーゲントはドイツのアール・ヌーヴォーであるユーゲント・シュティールの名前の元に
なっています。

日本と違ってヨーロッパでは昆虫への関心は薄く、ファーブル昆虫記も日本の方が
人気があるとのことですが、クライドルフはよく虫たちも描いています。

「バッタさんのきせつ」より(ボーリング) 墨、水彩など、紙 1931年
ク011

バッタの奥さんたちはボーリングよりおしゃべりに夢中になっています。

「バッタさんのきせつ」より(秋のおまつり)
ク006
バッタたちがハープに合わせて行進しています。

「バッタさんのきせつ」より(しあわせの女神)
先日、三菱一号館美術館の「バーン=ジョーンズ展」で観た、運命の女神の
「フォルトゥナ」が描かれています。
不安定さを表す球体に乗ったフォルトゥナをバッタたちがつかまえようとしています。

「ふゆのはなし」より(雪おばけの下で) 墨、水彩など、紙 1924年以前
ク008

グリム童話の「白雪姫」を元に独自につくったお話です。
白雪姫と7人の小人に会いに、いとこの3人の小人が冬の森の中をやって来ます。
雪おばけを起こさないようにそっと通り抜けて行きます。

「花を棲みかに」より(音楽の散歩道) 墨、水彩など、紙 1926年以前
ク010

春になったアルプスに次々と春の仲間が登場します。
これぞ妖精たちの生きがい、とあります。

「花を棲みかに」より(まま母さん) 
ク004

スミレは蝶々の坊やには大喜びで蜜を勧め、トゲトゲ小僧にはけんもほろろです。
ドイツ語圏ではスミレの花の下弁を継母、側弁を実子、上弁を継子に見立てるそうです。

「花を棲みかに」より(わたりどり)
チラシに使われている作品です。
枯れた野づらの上をきらめく雲とまごうばかりに威風堂々と空を行く渡りの蝶とあります。

クライドルフはドイツのアール・ヌーヴォーであるユーゲント・シュティール(青春様式)の
画家とされていますが、そんな雰囲気に満ちた絵です。

「花を棲みかに」は自然の中の死と再生を描いた作品です。
クライドルフは死を生命の循環として捉えています。
自画像でも、手前を種、花、実、シャベルを持った虫が行進していますが、シャベルは
墓を表しているとのことです。
また、新しい種を植えることで再生がなされるという意味もあるように思えます。

「運命の夢と幻想」シリーズより(運命) 水彩、厚紙に貼られた紙 制作年不詳
ク014

ク015


クライドルフの心象風景と思われる作品です。
橋の架かった道は山の方へと続き、空には月が出ています。
道端のベンチの背もたれには花の精が座り、遠くには小さな人影が見えます。
人影はクライドルフ自身で、人生の道を象徴しているのでしょうか。

クライドルフは、自分の芸術で花の儚さを少しでも引き止めることができたらという願いが
さまざまな作品を生んでいる、と述べています。

正確な自然観察と優しさが合わさり、日本人の自然観とも共通したところがあって、
とても親しみやすい作家です。

会場にはクライドルフの絵本も置いてあって閲覧できます。

展覧会のHPです。


 


【2012/06/27 01:08】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「沖津信也 油絵展」 銀座 文藝春秋画廊
銀座
chariot


銀座の文藝春秋画廊では6月30日(土)まで、「~油絵で描く おくのほそ道~
沖津信也 油絵展」が開かれています。
場所は中央区銀座5-5-12です。

沖津信也さん(1947~)は一水会会友で、山形県米沢市在住です。
画廊に居られた沖津さんはとても元気で声のよく響く方で、中学校の校長先生時代には
卒業生の肖像画を描いて保護者の方に贈られていたとのことです。

この展覧会では芭蕉の「奥の細道」の跡を辿って描いた作品が展示されています。

沖津さんは点描を用い、屋外での制作を中心に行なっています。
ご自身のナレーションの入ったビデオを観ると、屋外にイーゼルを立てて、
100号の作品に向かっています。

「道」 F100
沖津001

日の光の射し込む森々とした杉木立です。

 あらたふと青葉若葉の日の光

「山寺蝉しぐれ」 F100 
沖津002

画面いっぱいの緑の中に点在する山寺のお堂です。

 閑さや岩にしみ入蝉の声

「夕照最上川」 N20
沖津003

海近くの黄金色に輝いてうねっています。
故郷の川ということで、思い入れも深いことでしょう。

 暑き日を海にいれたり最上川

沖津さんの点描は大振りで、勢いがあり、大きな画面にひと際映えます。
「奥の細道」を描いた作品は、与謝蕪村や小野竹喬などが知られていますが、
沖津さんの作品は力強く、また別の味わいがあります。


【2012/06/27 00:28】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「タリーズコーヒー 六本木店」
六本木
chariot

「タリーズコーヒー 六本木店」は六本木交差点を外苑東通りに行ってすぐの
右側にあります。
場所は港区六本木5-1-3 ゴトウビルディング1stです。

タ0042


お花屋のゴトウフローリストの一角に6月11日に開店したばかりのお店で、
入口には開店祝いの花もありました。

タ0041


立派なビルで、店内は吹き抜けになっており、天井も高く椅子もゆったりとして、
ホテルのロビーのような豪華なつくりです。

タ0027

タ0029

タ0033


窓際にはいろいろな飾りが置いてあって賑やかです。

タ0037

奥側の席は花と緑に囲まれています。

ベジピッツァタンドリーチキンカレーセット680円です。

タ0026

温めてあり、モチモチとして、辛味も効いて美味しいです。

チェーン店とは思えないような、ゆったりとした華やかさがあり、
六本木に行くときには覚えておくと良さそうです。


【2012/06/26 00:50】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「生誕100年記念 髙山辰雄特別展」 飯田橋 角川本社
飯田橋
chariot

飯田橋の角川本社ビルでは、「生誕100年記念 髙山辰雄特別展」が開かれています。
会期は6月30日(土)までです。
観覧料は500円で、日曜日は休館日です。

高001


彩色画14点とブロンズ像2点、文藝春秋表紙絵原画20点の展示です。

「裸婦」 紙本 1948年
高005

初期の作品で、まだ特徴のある点描のような細かい筆遣いは見られません。

「少女」 紙本 1979年
(部分)
高008

薄暗い背景の前に黄色い服の少女が横向きに立ち、こちらを向いています。
はだしの少女は棒のように立ち、肩の辺りに置いた左手は大きく、
髪は伸びたままに盛り上がっています。
真っ直ぐこちらを見て謎めいた微笑を浮かべている顔は、仏画のような
くっきりとした線描で描かれています。
命の不思議さと哀しみを感じさせ、印象深い作品です。

展覧会のHPに全体の画像があります。

「青衣の少女」 絹本 1984年
高002

画面全体が青系統の色でまとめられていて、夏の初めらしく牡丹か芍薬が
添えられています。
人物画はどの作品も手に表情を持たせています。

「白い椿」 絹本 1991年
高003

青銅器に活けられた白い椿と鳩の取り合わせです。
背景は無地で、かすかに陰翳を付け、対象を際立たせています。
髙山辰雄の描く鳩は鋭い目付きをしています。

「存在記憶 限りなき時の中に」 紙本 1998年
高006

横310.5cmの大作で、角川本社ビルの玄関を飾っています。
大きな影響を受けたというポール・ゴーギャンの「われわれはどこから来たのか
われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」に似た構想の作品です。
安定した構図で、背景の蛇行する川の流れは時の流れを象徴しているようです。

「花と金星」 紙本 1999年
高004

蕪村の「菜の花や 月は東に 日は西に」を思わせる作品です。
髙山辰雄はよく小さな草花を大きな画面に描いています。
その生命を描きつくそうとするかのようです。

「三人」 絹本 2001年
高007

髙山辰雄の描く人物は伏し目がちの静かな表情をしていて、初期ルネサンス絵画や
仏画に似た雰囲気があります。

「立原正秋全集」 新装版全25巻
装幀には髙山辰雄の作品が使われていて、とても豪華です。

文藝春秋表紙絵原画は小品ですが、変化に富んでいて見応えがあります。

展示作品数は少ないですが、髙山辰雄の世界をゆっくり味わえる展覧会です。

2008年に練馬区立美術館で開かれていた、「髙山辰雄遺作展」の記事はこちらです。

展覧会のHPです。


 


【2012/06/25 07:04】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ルネサンス 歴史と芸術の物語」(池上英洋著)の紹介です。
今日は美術館巡りの参考になる本を紹介しようと思います。

6月15日に発売された、「ルネサンス 歴史と芸術の物語」(光文社新書)で、
著者は國學院大学文学部准教授の池上英洋さんです。



弐代目・青い日記帳のTakさんご推奨の本でもあります。

テーマは、「ルネサンスとは何であり、なぜ始まり、なぜ終わったのか」の3点で、
芸術の分野のテーマとされるルネサンスを、社会構造の面から捉え、その本質、
成立と終焉の理由を分かりやすく解説してあります。

興味深い内容で、私も一気に読みました。

池上先生ご自身の撮影したカラー写真も沢山載っているので、それぞれの作品の特徴、
絵画史の中での意味を具体的に理解出来ます。
同じ「聖母子像」のチマブーエとジョットの違い、「受胎告知」のピエトロ・カヴァリーニと
フラ・アンジェリコの違いなど、写真で見比べると、なるほどと分かります。

最後の章には、ルネサンスの美術家三十選として、作品のカラー写真とともに、
フィリッポ・ブルネレッスキからピーテル・ブリューゲル(父)まで30人の芸術家の
簡単な紹介もあります。

ルネサンスの芸術家の展覧会に行く前に、もう一度読み返しておくと、さらに興味深く
鑑賞できることでしょう。

池上先生のブログもあります。


【2012/06/24 18:18】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「バーン=ジョーンズ展―装飾と象徴」 三菱一号館美術館
東京
chariot

丸の内の三菱一号館美術館では「バーン=ジョーンズ展―装飾と象徴」が開かれています。
会期は8月19日(日)までです。

B001

チラシもタブロイドの新聞風です。

イギリスのラファエル前派と関係の深い美術家、エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ
(1833-98)の展覧会です。
「物語の世界を描いた、英国絵画の巨匠。」という副題が付いていて、約80点が
展示されています。

バーン=ジョーンズはバーミンガム出身で、職人の子としては珍しくオックスフォード大学に
進み、神学を学びます。
そこで、後に詩人・デザイナーになるウィリアム・モリス(1834-96)と友人になり、
また美術評論家のジョン・ラスキン(1819-1900)やラファエル前派を結成した
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(1828-82)の影響を受けます。

1861年にはウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動にも参加しています。
アーツ・アンド・クラフツ運動は、産業革命により大量生産された粗悪な品を否定し、
手仕事による製品により芸術と生活の一致を主張する運動です。

ウィリアム・モリスは神話や伝説を基にした長編叙事詩、「地上の楽園」を書き、
バーン=ジョーンズの挿絵で世に出す予定でしたが実現せず、テキスト版だけが
出版されています。
解説によれば、バーン=ジョーンズの生涯は、モリスが活字で実現しようとした
「地上の楽園」を絵画により具現化したものとなっています。

「フローラ」 1868-84年 油彩、カンヴァス 郡山市立美術館
B010

ローマ神話の花の女神フローラが春風の中で花の種を撒き、その足元では
チューリップが花開いています。
体の線を風を受けた衣装が包んでいて、風は西風の神ゼピュロスを暗示しています。
フローラとゼピュロスはボッティチェッリの「プリマヴェーラ」や「ヴィーナスの誕生」など
にも描かれています。

「運命の車輪」 1871-85年 油彩、カンヴァス 
 ナショナル・ギャラリー・オヴ・ヴィクトリア(メルボルン)

B007

運命の女神フォルトゥナの回す車輪にくくりつけられた、上から鎖を付けた奴隷、
冠を被り笏を持った王、桂冠を被った詩人です。
どんな身分の者も運命の流転には逆らえないことを表しています。

連作 「ピグマリオンと彫像」 1878年 油彩、カンヴァス バーミンガム美術館
物語の世界を好んで描いたバーン=ジョーンズは連作もよく手掛けています。
ギリシャ神話のお話で、キプロスのピグマリオンは自分の彫った理想の女性
ガラテアの彫刻に恋してしまいます。
それを憐れんだ愛の女神アプロディーテーは彫刻に生命を与え、ピグマリオンは
ガラテアと結ばれます。
ミュージカルや映画の「マイ・フェア・レディ」はこのお話を元にしています。

1.「恋心」
B002

物思いに沈むピグマリオンです。
向こうに三美神の彫刻が見えます。
バーン=ジョーンズはよく三美神を描いていて、会場にも三美神の見事なデッサンが
展示されています。

2.「心抑えて」
B003

ノミと金槌を持ち、出来上がった像を前に、恋心を抑えているところです。
家の外には点景として風俗画のような人物が描かれています。

3.「女神のはからい」
B004

美と愛の女神、アプロディーテーが鳩や薔薇とともに現れ、ガラテアに生命を与えます。
灰色だったガラテアも人肌色に変わっています。
海で産まれた女神なので足元には水が描かれています。

4.「成就」
B005

喜んでひざまずくピグマリオンと、人になったばかりのガラテアです。
どの絵も背景に工夫があって、場面に奥行きと変化を見せています。

「メドゥーサの死 II」 -連作「ペルセウス」より 1882年 グワッシュ、紙 
 サウサンプトン市立美術館

B006

イギリスの政治家、アーサー・バルフォアの邸宅の装飾を依頼されて描いた、
縦約150cmの大きな下絵です。
バルフォアはパレスチナでのユダヤ人国家の設立を支持した、「バルフォア宣言」で
有名です。

作品は、ギリシャ神話の英雄のペルセウスが切り取った怪物メドゥーサの首を
袋に入れて飛び去ろうとしているところです。
ペルセウスはヘルメスから与えられた、翼のあるサンダルを履いています。
黒い翼の二人はメドゥーサの死を知って駆け付けた姉たちです。
放射状に広がる三人の動きには迫力があります。

「果たされた運命-大海蛇を退治するペルセウス」 -連作「ペルセウス」より 
 1882年頃 グワッシュ、紙 サウサンプトン市立美術館

チラシに使われている作品です。
同じく下絵で、大海蛇の生贄にされそうになっていたアンドロメダを救い、
海蛇と戦うペルセウスです。
ペルセウスは肩に掛けた袋に入っていたメドゥーサの首を海蛇に見せ、
海蛇を石に変えて退治します。
スサノオのミコトがヤマタノオロチを退治する話とよく似ています。
ペルセウスや海蛇の黒とアンドロメダの白の対比が強調され、海蛇も四角い
画面の中で窮屈そうに暴れています。

「ティブールの巫女」 1875年 鉛筆、黒チョーク、パステル、金のハイライト
B009

ローマの初代皇帝アウグストゥスにキリストの降誕を告げたとされる巫女です。
ライオンの毛皮を被り、棍棒のような物を持った、まるでヘラクレスのような装いで、
右上には聖母子が見えます。
衣のひだが波打ち、量感のある堂々とした姿です。
イエスの産まれたのはアウグストゥスの治世に当たる時です。

「東方三博士の礼拝」 タペストリー 1894年(原画1888年) 
 マンチェスター・メトロポリタン大学

B011

縦258cmの大きく豪華なタペストリーで、制作はモリスの設立したモリス商会です。
マタイによる福音書の一場面で、人物の姿は彫像彫刻のように威厳があり、
ゴシックのステンドグラスを観るようです。
天使の掲げているのは、イエスの誕生を知らせるベツレヘムの星です。
マリアを象徴する白百合などの草花はとても華やかです。
地面と花のデザインはジョン・ヘンリー・ダールです。

当時人気が高く、10枚織られた内の1枚とのことで、上部にはバーン=ジョーンズの
デザインであること、この品はマンチェスター市民による寄贈であることなどを
書いた文が織り出されていて、1品ずつの注文生産だったことが分かります。

「眠り姫」 -連作「いばら姫」より 1872-74年頃 油彩、カンヴァス 
 ダブリン市立ヒュー・レイン美術館

B008

シャルル・ペローやグリムの童話で有名な「眠れる森の美女」の一場面で、
茂る野いばらに囲まれて眠る王女と侍女たちです。
横237cmの大きな画面は眠りを表す暗い緑色でまとめられ、右から左に
流れるように描かれ、布のつくる装飾的なリズムが目を惹きます。

解説によれば、眠りこそバーン=ジョーンズの求めてやまなかった、聖なる永遠性の
象徴とのことです。
産業革命以来の、無機的で騒々しい社会への異議の申し立てと言ってもよいでしょう。


神話、聖書、物語とさまざまのテーマを描いているので、観ていると自分もその世界に
惹き込まれてしまいます。
本人も描いていて、さぞ楽しく、耽溺していたことだろうと思います。
「描かれざる傑作の群れ」と題した、白いままの何枚ものカンヴァスを前にした、
マンガのような自画像もあるので、まだまだ描き足りなかったのでしょう。

展覧会のHPです。

バーン=ジョーンズやラファエル前派の作品は2011年に目黒区美術館で開かれた、
「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」展にも展示されていました。

「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」展の記事はこちらです。





【2012/06/24 05:45】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(0) |
「カフェアンドミール ムジ 南青山」
表参道
chariot

「カフェアンドミール ムジ 南青山」は地下鉄表参道駅近く、
小原流会館の向かいにあります。
場所は港区南青山5-11-9です。

ムジ0001


こちらは昨年の6月にオープンした、「無印良品」のお店です。
全席禁煙の店内は吹き抜けからの光も入って、明るくウッディです。

ムジ0004


棚には瓶詰めが並んで、インテリアになっています。

ムジ0015


いろいろなパンが並んでいます。
ご飯やお惣菜もあり、それでランチにしているお客さんも多いようです。

ムジ0024


セルフ式なので、先ず自分でテーブルにプレートを置いて席を確保します。

ムジ0020


キッシュ350円は温めてあります。

ムジ0013


こちらは野菜とゴルゴンゾーラのカスクート340円です。

ムジ0010

コーヒーは280円です。

食事にもカフェにも使えて、ナチュラルでちょっとお洒落な雰囲気なお店です。

表参道駅近くに咲いていた柏葉紫陽花です。

ムジ0042


【2012/06/23 01:33】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「広田稔展 50冊のスケッチブック」 日本橋高島屋
日本橋
chariot


日本橋高島屋の美術画廊では6月26日(火)まで、「広田稔展 50冊のスケッチブック」が
開かれています。
この後、大阪、京都、名古屋、新宿、横浜の各高島屋で開かれます。

広田001


広田稔さん(1959~)は広島県出身で、白日会会員です。
活き活きとした描線による写実で、人物、静物、風景などを描いています。

この展覧会では50冊のスケッチブックそれぞれに12点、全部で600点が描かれています。
パステル、水彩、色鉛筆など、油彩以外のさまざまな画材を使い、同じスケッチブックの
中でもページごとに違うモチーフを選んでいます。

どれも対象を的確に掴んで描き出していて、特に人物描写には勢いがあります。
また、川端康成、中勘助、伊集院静の小説、マティス、ロダンの言葉、ボブ・ディラン、
友部正人の詩から一言ちぎって作品に貼ったりしてイメージを作っているものもあります。

広田さんはよくバレリーナを描いています。
広田004

広田007

海外を題材にした作品もあります。
広田003

広田008

言葉を書いた小さな紙が貼ってあります。
広田006

広田009


1冊のスケッチブックの中でも多彩な作品を楽しめる、とても面白い企画です。


【2012/06/22 00:55】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「室伸一 ガラス展」 日本橋高島屋
日本橋
chariot

日本橋高島屋美術画廊では6月26日(火)まで、「室伸一 ガラス展」が
開かれています。

室伸一さん(1949~)は色ガラスを使った工芸品を制作しています。
この展覧会では、置物、皿、ランプ、アクセサリーなどが展示されています。

室さんの作品はガラスの硬質さを感じさせない柔らか味があって、
色彩も明るく透明です。
童話のような、ちょっと地中海風の雰囲気があります。

今年の展覧会では、階段をモチーフにした作品が何点もありました。

「遠い日から遠い日へ続く 山と空の長い長い話」
室001


昨年の室伸一さんの展覧会の記事はこちらです。


【2012/06/21 18:28】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
プロフィール

chariot

Author:chariot
美術館・博物館めぐりとカフェの記事を書いています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


| ホーム | 次ページ>>