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「野見山暁治展 いつかは会える」 赤坂 ニューオータニ美術館
赤坂見附
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赤坂のニューオータニ美術館では、「野見山暁治展 いつかは会える」が
開かれています。
会期は3月23日(日)までです。

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野見山暁治さん(1920~)のステンドグラス壁画の原画を中心にして、
36点が展示されています。

2月22日には学芸員の方のギャラリートークがあったので行ってきました。

野見山暁治さんは現在の福岡県飯塚市出身です。

「自画像」 1937年 油彩、板 
小品で、旧制中学の美術部時代の作品です。
良い男に描きすぎていると言われたそうです。
また、その通りに描きすぎているとも評されています。
自画像は、再現では無く、表現であるという意味でしょうか。

1943年に東京美術学校を戦時のため繰上げ卒業し、そのまま応召して
陸軍兵士として満州の牡丹江に送られます。
そこで病を得て内地に送還され、終戦を迎えています。
美術学校在学中にフォービズムに惹かれ、戦後の時代はキュビズムに
近付いています。

「骸骨」 1947年 油彩、カンヴァス 
ドクロを描いた作品です。
セザンヌやキュビズムに影響されていた時代にドクロをよく描いていたら、
何人もがドクロを持ち込んできて、部屋の中にドクロが何個もたまって、
気味の悪いことになったそうです。

1952年にフランスに留学し、パリに12年間滞在します。

「パンテオン」 1954年 クレヨン、グワッシュ、インク、紙 
住んでいた屋根裏部屋から見た景色をキュビズムに則って描いています。
手前の家並みは赤、遠くは青が入り、灰青色の空にパンテオンがそびえています。
さらりと描かれた、心地良い雰囲気の作品です。

パリではアンフォルメル(非定型の芸術)の起きていた時代で、野見山さんも
その運動に参加します。

2011年に京橋のブリヂストン美術館で開かれた、「アンフォルメルとは何か?
-20世紀フランス絵画の挑戦」展の記事
です。

1964年に帰国しますが、きっかけはパリのギメ東洋美術館で北宋画を観て、
東洋画に惹かれる自分に気付いたことにあるそうです。
小林古径と前田青邨が欧州に留学した時に、大英博物館で東晋の画家、
顧愷之(こがいし)の「女史箴(じょししん)図」を模写して、東洋画の線描に
目覚めたという話と似ています。

帰国してもしばらくは浦島太郎状態で、ヨーロッパでの生活が身に染み付いていて、
日本になじめない自分に戸惑っています。

帰国後は東京藝術大学の助教授、教授を勤め、その間に作品の抽象化は
どんどん進んでいきます。

作品のタイトルは、思いついた言葉を付けているだけで、重要な意味は無く、
気にしなくて良いそうです。

「いつかは会える」 2007年 東京メトロ副都心線・明治神宮前駅 
 ステンドグラス原画 油彩、カンヴァス
 
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完成作は高さ2.6m、横10mあります。

最初のステンドグラス作品で、自分の描いたものがどうステンドグラスになるか、
原宿駅のイメージにどう合わせるか悩んでいます。
そこで、周囲に緑がある一方で若者のファッションの街であることを表す
ことにしています。
野見山さんのステンドグラスは、油彩画の筆触を表すために、墨でドローイングが
加えられています。

作品がステンドグラスになることについては、自分は小説の作家のような
ものであり、それが映画化されたものがステンドグラスだと考えるように
したそうです。

「海の向こうから」 2010年 JR博多駅 
 ステンドグラス原画 油彩、カンヴァス
 
完成作は高さ2.54m、横7.5mあります。
野見山さんは小さい頃、博多湾を一緒に観ていた父親から、文化はここから
入ってきたと教わったそうです。

「そらの港」 2012年 福岡空港国際線ターミナル 
 ステンドグラス原画 油彩、カンヴァス
 
完成作は高さ3.4m、横10mあります。
福岡空港はアジアへの玄関口なので、アジアの民族衣装や道具の色彩や形を
イメージして描いています。

2011年にはブリヂストン美術館で「野見山暁治展」が開かれていました。

「野見山暁治展」の記事です。


ニューオータニ美術館は展覧会終了日の3月23日(日)をもって休館するとのことです。

2013年の「ロマンティック・バレエの世界 妖精になったバレリーナ」展の記事です。

2012年の「浮世絵に見る江戸美人の化粧 白、紅、黒―三色の美」展の記事

2011年の「ベルナール・ビュフェのまなざし フランスと日本」展の記事

2010年の「造形作家 友永詔三の世界 木彫の乙女たち」展の記事

2009年の「アンドレ・ボーシャン展」の記事


【2014/03/11 22:41】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「バビーズ ヤエチカ」 東京駅 2014/2
東京
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東京駅八重洲地下街の「バビーズ ヤエチカ」に行ってきました。

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クラシックフレンチトースト650円とホットティー200円です。
フレンチトーストは他にブルーベリーコンポートがあります。

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こちらはソテーバナナとウォールナッツのパンケーキ、ハーフサイズ650円です。
パンケーキは他にココナッツクリームパンケーキとブルーベリーパンケーキが
あります。

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どちらもボリューム満点で、パンケーキはハーフサイズでも
お腹がいっぱいになります。
やはり「バビーズ」のメニューには迫力があります。

この前、「バビーズ ヤエチカ」に行ったときの記事です。


【2014/03/10 23:05】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ザ・ビューティフル―英国の唯美主義 1860-1900」展のブロガー・特別内覧会 三菱一号館美術館
東京
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丸の内の三菱一号館美術館で3月6日の夜に、「ザ・ビューティフル
―英国の唯美主義1860-1900」展のブロガー・特別内覧会が開かれましたので
行ってきました。
展覧会の会期は5月6日(火・祝)までです。

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「青い日記帳」主宰のTakさんをナビゲーターにしての内覧会で、
学芸員の加藤明子さんの解説を伺った後、作品を鑑賞しました。

「唯美主義」は19世紀後半の英国で興った新しい芸術運動で、
それまでの芸術のように物語的な要素を重視せず、視覚的な美しさを
追求するものです。
展覧会では油彩画、家具、工芸品など約140点が展示されています。

加藤さんの解説のあった作品を中心に書きます。
撮影は美術館の許可を得ています。


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右 ローレンス・アルマ=タデマ 「目に見えている結末」 
 1885年 油彩・板 テイト


左 ローレンス・アルマ=タデマ 「肘掛け椅子」 
 1884-86年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館

古代ギリシャ・ローマ風の意匠を取り入れたデザインです。
座ったらアレキサンダー大王かシーザーになった気分を味わえそうです。

唯美主義はよく古典古代をテーマにしていますが、これはラファエル前派が
ルネサンス以前に戻ろうという運動であったため、それへの反動として、
ルネサンスが理想としていた古典古代を見直す動きが現れたものだそうです。
ラファエル前派と唯美主義は一続きだと思っていましたが、そうでも
無かったことを知りました。

ローレンス・アルマ=タデマ(1836-1912)は古代の世界を写実的に描いた
画家として知られていますが、デザインも手掛けています。


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右 フレデリック・レイトン 「母と子(さくらんぼ)」 
 1864-65年 油彩・カンヴァス ブラックバーン美術館


白百合を活けた壺、鶴を描いた日本の金屏風を置き、ペルシャ絨緞の上で
くつろぐ母子はまさに唯美的な世界を表しています。
西洋人の習慣には無い、絨緞の上で寝ている姿にはちょっとデカダンな
雰囲気もあります。
当時の富裕層は唯美主義の示した様式に憧れ、自分たちの生活にも
取り入れるようになります。

フレデリック・レイトン(1830-1896)はロイヤル・アカデミーの会長職も
勤めた、アカデミズムの画家ですが、ラファエル前派と親交があり、
このような唯美主義的な作品も描いています。

左 ウィリアム・ブレイク・リッチモンド 「ルーク・アイオニディーズ夫人」 
 1882年 油彩・カンヴァス ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館


日本の着物柄の壁紙、古代ローマ風の椅子、ムーア文化のコーヒーテーブルを
取り合わせた豪華な室内でインドのビーズのネックレスを手にくつろぐのは
ギリシャの海運業で財を成した人の夫人です。
当時のヴィクトリア朝の女性の服はコルセットを使った窮屈なものでしたが、
唯美主義のデザインは自然でゆったりしたものになっているとのことです。


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右 アルバート・ムーア 「黄色いマーガレット」 
 1881年 油彩・カンヴァス 郡山市立美術館

深く腰掛けた姿勢は大英博物館に展示されている、パルテノン神殿の彫刻、
エルギン・マーブルに拠っているものだそうです。
たっぷりとしたドレープも古代ギリシャ風ですが、首の周りにリボンが付いて
ケープになっていて、古代のデザインとは少し違うそうです。
置かれた扇子も東洋の物ですし、古代ギリシャの時代に黄色いマーガレットは
無かった筈と批判もされていますが、美的であれば構わないところが
唯美主義的です。
作品には下描きの足の線が見えていて、体の線を描いた上に衣装を描いている
ことが分かります。

アルバート・ムーア(1841-1893)はギリシャ彫刻に学んで、
古代風の衣装の女性を装飾的に描いた画家で、作品から物語性を除き、
絵としての形式美を追求しています。

左 アルバート・ムーア 「花」 
 1881年 油彩・カンヴァス テイト

古代ギリシャのような衣装の女性が彫像のように立っていて、カリアティード
(女性の姿に彫った柱)を思わせます。
衣装の表現が見せ所で、ムーアは布を描くことが好きだったそうです。
とても細長い作品で、日本の掛軸に想を得ているのだろうとのことです。


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左 アルフレッド・ギルバート 「武装するペルセウス」 
 1882年 ブロンズ リーズ美術館


右 アルバート・ムーア 「真夏」 
 1887年 油彩・カンヴァス ラッセル=コート美術館

会場の最後に展示されています。
東ローマ帝国の象徴の双頭の鷲を彫った豪華な銀の椅子で眠る
女性の両脇に古代ギリシャ風の髪型と衣装のギリシャ鼻の女性が
仏教の僧のような衣装を着て、東洋風の金扇を持って立っています。
衣装とマリーゴールドの花輪のオレンジ色がとりわけ眼を惹き、
古代趣味と東方趣味が一緒になった、まさに唯美的な作品です。


会場の三菱一号館の建物はジョサイア・コンドルの設計ですが、
これも当時の英国の流行である、クイーン・アン様式に拠っています。

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私はこの展覧会をすでに観ていたのですが、加藤さんのていねいな
解説のおかげで、より理解を深めることが出来ました。

展覧会の始まった頃に書いた、「ザ・ビューティフル―英国の唯美主義
1860-1900」展の記事
です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「ヴァロットン-冷たい炎の画家」展です。
会期は6月14日(土)から9月23日(火・祝)までです。

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フェリックス・ヴァロットン(1865-1925)はスイス生まれで、
どこか冷やりとした独特の感性を持った画家です。


【2014/03/09 22:12】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「須藤和之 日本画展」 日本橋三越
三越前
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日本橋三越本店美術サロンでは「須藤和之 日本画展」が開かれています。
会期は3月11日(火)までです。

須藤和之さん(1981~)は群馬県出身で、現在、日本美術院院友です。

赤城おろしの吹く前橋に生まれた須藤さんは様々な風の様相を見て育ったので、
この展覧会では風をテーマにしたそうです。
どの作品も色彩は柔らかく、自然への温かな眼差しが感じられます。

「若葉風」 6号
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若芽を付けた柳の下を飛んでいるのはセキレイでしょうか。

「風待つ」 4号
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カエルが葦に吹く風を待っています。

「みなも」 6号
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暖かな光を反射する水面に桜が散り、アメンボが浮かんでいます。

「海風」 10号
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魚を目当てに漁船を追う海鳥たちです。

「わたげ」 10号
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タンポポの茎にテントウムシが止まっています。

「花風」 20号
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風に散る花の雲です。

2010年に大丸東京店アートギャラリーで開かれていた、
「須藤和之 日本画展」の記事です。

須藤和之さんのHPです。


【2014/03/08 22:00】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「サロン・ド・テ ロンド」 六本木 国立新美術館
乃木坂
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「サロン・ド・テ ロンド」は国立新美術館の2階にあるカフェです。

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ドーナツ型の出島という、とても面白いデザインで、曲面になった窓に
囲まれています。

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向こうは3階にある「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」で、
出島型の構造がよく分かります。

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メニューにはケーキ類とエクレアとサンドイッチがあります。

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エクレアセット800円です。

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エクレアは濃厚な甘さで、展覧会を観た後には丁度良いです。
斬新なデザインのカフェで一休みするのも中々良いものです。


【2014/03/07 23:04】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
日本美術院再興100年特別展、「世紀の日本画展」 後期 東京都美術館
上野
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上野の東京都美術館で開かれている、日本美術院再興100年特別展、
「世紀の日本画展」の後期・特別観覧会が3月1日の夜にありましたので
行ってきました。 

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後期の会期は3月1日(土)から4月1日(火)までです。
院展の出展作を中心にした展示のため、どの作品も大きく、そのため前期と後期で
すべての作品が入れ替わります。

河合晴生学芸員の解説を伺ってから作品を鑑賞しました。

狩野芳崖 「悲母観音」 明治21年(1888) 
東京藝術大学 重要文化財

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狩野派の技法による仏画の形式で描かれていて、観音菩薩は中空で
水瓶を傾け、その下でこの世に生を享ける童子が観音を見上げています。
狩野芳崖(1828-1888)の絶筆で、未完の部分は盟友の橋本雅邦が
仕上げています。
仏画を超えた物語を持っていて、西洋の聖母子像の影響があるのかも
知れないとのことです。
背景に淡い色彩を加えて西洋の空間表現を取り入れた、近代日本画の
始まりとされる作品です。

橋本雅邦 「龍虎図屏風」 明治28年(1895) 
 東京・静嘉堂文庫美術館 重要文化財

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左隻
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右隻
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二匹の龍が雲を起こし、波は勢い良く逆立ち、岸では虎が竹を揺する
風の中で待ち構えています。
伝統的な龍虎図に拠っていますが、西洋画を意識して空間に立体感があります。
蒔絵のような艶のある色彩で、龍が相手ですから虎の姿形は写実的では
ありませんが、毛皮は写実的に描かれています。

橋本雅邦(1835-1908)は東京美術学校の絵画科主任を勤め、菱田春草、
横山大観、下村観山、河合玉堂らを育てています。
その後、日本美術院の創立にも参加しています。

今村紫紅 「熱国之巻(熱国之夕)」(部分) 大正3年(1914) 
 東京国立博物館 重要文化財

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前期には 「熱国之巻(熱国之朝)」が展示されていました。
タヒチに行ったゴーギャンに倣って、貨物船に乗りインドに向かい、バンコク、
シンガポール、ラングーンなどを経由してカルカッタに着いています。
作品はこの時見た光景を元にして描いた絵巻物で、今村紫紅の代表作です。
黄土を塗った明るい画面に金砂子を散らして明るい南国の光を表し、点描を用いて
童話のような異国の風物を描いています。

前田青邨 「芥子図屏風」 昭和5年(1930) 岐阜・光ミュージアム
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左隻
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右隻
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歴史画を得意とした前田青邨ですが、力強い画風による草花の絵を描いています。
屏風絵にふさわしい装飾的な作品で、前田青邨の持つモダンな感覚が表れています。

小林古径 「孔雀」 昭和9年(1934) 東京・永青文庫
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大きく羽根を広げた孔雀の姿を画面いっぱいに描いています。
緑青の鮮やかさを存分に引き出し、丸い模様の金泥も華やかです。
装飾的でありながら端正な、小林古径ならではの画風です。

奥村土牛 「門」 昭和42年(1967) 東京・山種美術館
姫路城の城門を描いた作品で、80歳に近い高齢で夏の炎天下に何時間も掛けて
スケッチしたとのことです。
奥村土牛の特徴の一つの、形の強調が表れています。
大きく開かれた門扉、門の向こうの視界をふさぐ白壁、その壁に一つ開いている
鉄砲狭間と白壁の屋根の上の空間と、四角い図形が奥へと並び、絵に奥行を
見せています。
城の持つ物語性や情緒に頼らず、あくまで面の作る空間構成にこだわっています。

小倉遊亀 「コーちゃんの休日」 
 昭和35年(1960) 東京都現代美術館

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交流のあった越路吹雪をモデルにした作品で、色彩が明快で描線に勢いがあり、
量感も表されています。
マティスを研究していた頃で、従来の日本画には無い、思い切った力強さのある
モダンな作品です。
越路吹雪は絵を見て、夫に「自分の手や足の悪い癖がしっかり描かれている」と
言ったそうです。

前田青邨 「知盛幻生」 昭和46年(1971)
兄の源頼朝に追われた源義経一行が摂津の大物浦から船出したところ、
嵐に遭って散り散りになってしまった事件を題材にした、能の「船弁慶」に
拠っています。
壇ノ浦に沈んだ平知盛達の亡霊が千切れた鎧を着け、長刀を手にして
暗い波間から浮かび上がっています。
たらし込みで塗られた深い藍色の波は平家の怨念を表すように不気味です。
この作品は、波に翻弄される義経主従の船を描いた、「大物浦」と
対になっています。
歴史画の大家である前田青邨の傑作です。

参考
前田青邨 「大物浦」 昭和43年(1968)
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塩出英雄 「五浦」 昭和45年(1970) 茨城大学
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岡倉天心は明治38年(1905)年に茨城県の五浦に別荘を建て、翌年には
日本美術院も五浦に移しています。
天心に従って横山大観、下村観山、菱田春草、木村武山もここに移住します。
作品には洛中洛外図のように名札も付いています。
天心の家は「天心邸」ですが、弟子たちは「大観宅」「春草宅」です。

右下に天心が設計した六角堂が見えます。
六角堂は東日本大震災の津波で流されてしまいましたが、その後再建されています。
五浦の地は院展の画家たちの精神の拠り所になっているようです。

森田曠平 「京へ」 昭和48年(1973) 京都国立近代美術館
頭に柴の束を載せた大原女たちが京への道を歩いているところです。
京都出身の森田曠平は、望郷の思いからか大原女を描こうと思い立ち、
実際の大原女を写生してみると、想像していたのとは違って首は太く、
お尻はどっしりとした、たくましい女性労働者だったそうです。
描かれた大原女たちも表情は力強く、足取りもしっかりと堅固です。

岩橋英遠 「道産子追憶之巻」 
昭和53-57年 北海道立近代美術館(1978-82)

長さ29mという、絵巻のような長大な作品で、展示室の壁2面を使って
展示されています。
冬の夜の冬眠する熊の親子に始まり、春の始まりは朝日の当たる白樺林、
コブシ・林檎・桜が咲き、カラマツに新芽が吹いて草原は夏の昼になり、
赤トンボが群れをなして秋の夕方に写ります。
最後はまた冬に戻って、ストーブの周りの家族、雪原で訓練を行なう
屯田兵で終わります。
岩橋英遠(1903-1999)は屯田兵の子として北海道で生まれ育っています。

手塚雄二 「市民」 平成3年(1991) 
 富山・黒部峡谷セレネ美術館

国立西洋美術館の前庭に置かれている、ロダンの「カレーの市民」を描いています。
鈍く重い色彩で市民たちの像は浮き上がり、彼らの苦悩がひしひしと伝わります。
思い屈するところがあって、西洋美術館の前を歩いていた手塚さんは雨に打たれた
この像を見たとき、何か心に感じるものがあり、作品にしたそうです。


日本美術院の画家の作品を通して、明治以降現在の日本画の流れを
もう一度確認できる、とても見応えのある印象深い展覧会です。

「世紀の日本画展」(前期)の記事です。

展覧会のHPです。



【2014/03/06 21:47】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(4) |
喫茶店、「ゆりあぺむぺる」 吉祥寺
吉祥寺
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吉祥寺駅南口の喫茶店、「ゆりあぺむぺる」に行ってきました。
場所は武蔵野市吉祥寺南町1-1-6です。

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20席ほどのお店で、アンティークに囲まれて、ほの暗く落着いた雰囲気です。
「ゆりあぺむぺる」は、宮沢賢治の詩に出てくる名前です。

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お昼過ぎだったので、ランチセット1100円にしました。

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とてもていねいに作られていて、どれも美味しいです。

吉祥寺は喫茶店の多い町ですが、その中でも屈指の、いつまでもこのまま
続いていってほしいお店です。

以前、「ゆりあぺむぺる」に行ったときの記事です。


【2014/03/05 22:12】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「IMARI/伊万里 ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器」展 サントリー美術館
六本木・乃木坂
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六本木のサントリー美術館では、「IMARI/伊万里 ヨーロッパの
宮殿を飾った日本磁器」展が開かれています。
会期は3月16日(日)まで、休館日は火曜日です。

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江戸時代、佐賀県の有田で焼かれた磁器は伊万里港から出荷された
ことから伊万里焼と呼ばれていました。
オランダ東インド会社はこれを世界各地に輸出し、ヨーロッパの
王侯貴族たちに喜ばれています。

展覧会では、日本初公開の大阪市立東洋陶磁美術館所蔵の輸出伊万里を
中心に約190点が展示されています。

オランダ東インド会社は中国から景徳鎮の磁器を輸出していましたが、
明末清初の動乱や清の海禁政策により生産が激減したため、
これに代わるものとして日本の有田の磁器を選びます。
本格的に伊万里焼として輸出が始まったのは万治2年(1659)です。

初めは景徳鎮の製品に似た製品などを作っていて、染付の割合が
高くなっています。


「染付芙蓉手蓮池水禽文輪花大皿」 
 江戸時代・1660 ~ 1670年代 有田窯 大阪市立東洋陶磁美術館

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芙蓉手(ふようで)といわれる、円周を8つに分割する図柄は
景徳鎮でよく描かれています。


「染付大根文皿」 
 江戸時代・1660 ~ 1670年代 有田窯 大阪市立東洋陶磁美術館

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国内向けの図柄の製品も輸出されています。
こちらは雅味のある、和風のデザインです。


『染付鳳凰文皿(「VOC」銘』 
 江戸時代・1690 ~ 1710年代 有田窯 大阪市立東洋陶磁美術館

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オランダ東インド会社のマークのVOCの文字が入っています。


「色絵花卉文輪禍花鉢」 江戸時代・17世紀後半 サントリー美術館
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有田では柿右衛門様式が完成し、鮮やかな色絵磁器となって輸出されます。

ヨーロッパでは伊万里焼で宮殿を飾ることが王侯貴族の間で流行し、
やがてマイセン磁器の誕生を促します。

「色絵花鳥文八角大壺」 
 江戸時代・1680 ~ 1710年代 有田窯 サントリー美術館 重要文化財

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金彩の入った中国風の壺の窓に柿右衛門様式の絵が描いてあります。

「色絵楼閣山水人物文水注、碗・皿(五客)」 
 江戸時代・1690 ~ 1720年代 有田窯 大阪市立東洋陶磁美術館

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清潔な白に色絵の華やかさが添えられています。
輸出品で最も多かったのはカップとお皿だったそうです。
この頃はまだカップに取っ手が付いていません。
お皿とセットにするのはトルコからヨーロッパに入った習慣とのことです。
王侯貴族の間では東洋の陶磁器で中国のお茶を飲むのが流行していました。

「色絵龍虎文大壺」 
 江戸時代・1700 ~ 1740年代 有田窯 大阪市立東洋陶磁美術館

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和風の扇形や短冊の図柄が入っていて、蓋のつまみには鷹が止まっています。
黒い絵付けは海外で人気の高かった漆器の黒漆をイメージしたものです。

「色絵透彫楼閣人物文八角大壺」 
 江戸時代・1700 ~ 1730年代 有田窯 大阪市立東洋陶磁美術館

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精巧な透かし彫りがされ、窓には日本の男女、馬、桐。菊などが描かれています。

「色絵相撲人形(二組)」 
 江戸時代・1680 ~ 1710年代 有田窯 大阪市立東洋陶磁美術館

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白の素地を利かした人形で、錦のまわしを締め、力のこもった相撲を取っています。

「色絵ケンタウロス文皿」 
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ヨーロッパの図柄を取り入れた製品もあります。
たしかにこれはケンタウロスです。

1730年代に清の海禁政策が解かれると、景徳鎮は輸出を再開します。
これに対抗して、有田では浮世絵や美人図など、和風の図柄を積極的に使います。

「色絵傘美人文皿」 
 清時代・1730 ~ 1740年代 中国・景徳鎮窯 佐賀県立九州陶磁文化館

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オランダ東インド会社の注文による、中国風の図柄です。

「色絵傘美人文皿」 
 江戸時代・1730 ~ 1740年代 有田窯 大阪市立東洋陶磁美術館

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有田で焼かれた類似品だと、これが日本風の美人図になっています。
従者を小さく描くのは日本の絵巻物などによく見られる手法です。

景徳鎮の方でも伊万里焼を写した製品を作っています。

「色絵竹梅菊鳳凰文角皿」 
 江戸時代・1700 ~ 1730年代 有田窯 佐賀県立九州陶磁文化館

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金襴手で、菊の模様に梅、鳳凰などが描かれています。

「色絵竹梅菊鳳凰文角皿」 
 清時代・1730 ~ 1750年代 中国・景徳鎮窯 佐賀県立九州陶磁文化館

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景徳鎮が写したものは白い空間を埋めるように、鳳凰の位置をずらしています。

やがて伊万里焼は競争力を回復した景徳鎮に敗れ、宝暦7年(1757)に
公式な輸出は終わっています。

中国の様式、西洋の趣味、日本の感性の交じり合った伊万里焼の魅力を味わえて、
楽しめる展覧会です。

展覧会のHPです。





サントリー美術館の次回の展覧会は、「のぞいてびっくり江戸絵画」展です。
会期は3月29日(土)から5月11日(日)までです。

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【2014/03/04 23:09】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
「パステル 丸井上野店」
上野
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「パステル 丸井上野店」は上野マルイの2階にあります。
場所は台東区上野6-15-1です。

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ブルー系の店内は明るく、50席ほどで、分煙式です。
カジュアルな雰囲気のお店で、休日は家族連れのお客さんが多いようです。

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窓から上野駅が見えます。

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スイーツとパスタのお店で、特にプリンのメニューが豊富です。

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ランチはパステル30周年記念メニュー、パステルスタンダード1390円にしました。
料理はドリア、ピッツァ、各種パスタから1品選びます。
ソフトドリンクとプリンが付きます。

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パスタはナスとツナのトマトソース、プッタネスカ風を選びました。

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パスタはニンニクの風味が効いています。
コーヒーはおかわり出来ます。

「パステル」のプリンはとてもクリーミーで美味しく、これで1390円は
コスパが良いです。

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11時開店ですが、休日の12時には順番待ちになる、人気のあるお店です。


【2014/03/03 23:01】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「斎藤真一展」 銀座 日動画廊
銀座
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銀座の日動画廊では3月11日(火)まで「斎藤真一展」が開かれています。
日曜日はお休みです。

瞽女(ごぜ)の画家として有名な斎藤真一(1922~1994)の油彩画約40点が
展示即売されています。

斎藤真一(1922~1994)は岡山県出身で、東京美術学校を卒業し、
1958年にフランスに留学しています。
そこで親交を深めた藤田嗣治から、日本の東北地方を描くことを奨められ、
その縁で越後瞽女に惹かれていきます。

越後瞽女は盲目の旅芸人で、春3月に三味線を手に旅に出て、年の暮れまで
越後各地を回って、瞽女唄を聴かせる人たちです。
斎藤真一が取材を始めた1960年代にはすでに瞽女の数は激減していた
とのことですが、1964年に杉本キクエという人に廻り合ってから、多くの話を聴き、
作品の題材にしています。

「春の風」
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春の盛りの越後平野を瞽女さんたちが歩いています。
山々は雪を残し、雲が流れ、どこか儚げな景色です。

「紅い陽の雪原」
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赤々と夕陽に輝く中を一固まりになって行く瞽女さんたちです。
空には宵の明星が出ています。
瞽女さんが旅をする時は一番目の見える人を先頭にして、
前の人の荷物に手を置いて進みます。

他にも明治の吉原の情景やヨーロッパの街角などを描いた作品などが
展示されていて、どれも斎藤真一独特の懐かしさと寂しさの入り混じった
夢幻的な世界が繰り広げられています。

2011年に不忍画廊で開かれた「”瞽女/GOZE” 斎藤真一展」の記事です。

2010年に武蔵野市立吉祥寺美術館で開かれた「瞽女と哀愁の旅路 
斎藤真一展」の記事
です。


【2014/03/02 21:15】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「誕生50周年記念 ぐりとぐら展」 松屋銀座
銀座
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松屋銀座では、「誕生50周年記念 ぐりとぐら展」が開かれています。
会期は3月10日(月)まで、入場料は一般1,000円です。

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「ぐりとぐら」シリーズは中川李枝子さん(1935~)、山脇百合子さん
(1941~)姉妹により1963年に第1作が発表されています。

展覧会では全7作品のほか、二人のデビュー作の「いやいやえん」など、
宮城県美術館の所蔵する170点以上の原画が展示され、50周年を記念しての
宮﨑駿監督との対談の模様も上映されています。

「いやいやえん」(1962年)原画
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李枝子さんがお話を書き、高校3年生だった百合子さんが挿絵を描いています。
優しい表情や明快な色遣いなど、後の「ぐりとぐら」の特徴がすでに
出来上がっています。

「ぐりとぐら」(1963年「こどものとも」)原画
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森にピクニックに行ったぐりとぐらは大きな卵を見付け、それでカステラを作って、
他の動物たちとみんなで仲良く食べるというお話です。
久しぶりにこの作品を観ていてふと思ったのは、この卵の親鳥はどうしたのだろうか
ということです。
宮﨑監督も、普通は親鳥や雛の方に話が行くのに、食べてしまう話にするというのは
李枝子さん位だろうと感心していました。
李枝子さんによれば、保育士をしていた頃の作品で、子どもたちの喜ぶ顔を見るのが
一番嬉しく、そこで当時一番立派なお菓子だったカステラを作って食べるストーリーを
考えたそうです。

「ぐりとぐらのおきゃくさま」(1966年「こどものとも」)原画
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ぐりとぐらの家にサンタクロースがやって来るお話です。
李枝子さんは近くに住む石井桃子さんの家にいつも原稿を持って行って、
文章の指導を受け、一つ一つの言葉の大切さを知ったそうです。

「ぐりとぐらのえんそく」(1979年「こどものとも」表紙原画
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ぐりとぐらの肌の色は、東京国立博物館に行き、いろいろのネズミの剥製を
観察して、灰色系の多い中でオレンジ色があるのを見て、それに決めた
とのことです。

「ぐりとぐらの1年間」(1997年) 原画
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「ぐりとぐらとすみれちゃん」(2000年「こどものとも」)原画
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「そらいろのたね」(1964年「こどものとも」)原画
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ぐりとぐらは他の作品にも登場しています。

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とても人気のある展覧会で、特に女性のお客さんが多く、グッズ売り場のレ
ジには長い行列が出来ていました。
「ぐりとぐら」が長い間、多くの人に読まれ、愛されてきたことが分かります。
私も懐かしい思いで、「ぐりとぐら」の各場面を観て回りました。

展覧会のHPです。

 


【2014/03/02 12:34】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「タント タント オステリア」 恵比寿
恵比寿
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「タント タント オステリア」は アトレ恵比寿の6階にある、
イタリアンのお店です。
場所は恵比寿南1-5-5です。

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80席の大きなお店で、分煙式、入口側はやや暗く、奥の窓際は
明るくなっています。

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ビュッフェランチ1290円は13種類の前菜をビュッフェコーナーから選び、
パスタかピッツァから1品選びます。
プラス210円でワインや数種類のソフトドリンクが飲める
ドリンクバーが付きます。

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前菜はカナッペやマリネ、サラダなどいろいろあります。
特にナスのマリネが気に入りました。

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パスタはトマトとバジルにしました。
細目のパスタは酸味があって美味しいです。

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ドリンクはコーヒーにしました。

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あれこれ選べるので、グループで楽しむのにも良さそうなランチです。

店員さんによれば、4年前にオープンしたお店で、同じ系列の渋谷の
「タント タント」に比べてカジュアルな雰囲気が特徴とのことです。


【2014/03/01 21:51】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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