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「フランスの風景 樹をめぐる物語-コローからモネ、ピサロ、マティスまで-」展 新宿 損保ジャパン日本興亜美術館
新宿
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新宿の損保ジャパン日本興亜美術館では、6月26日(日)まで、
「フランスの風景 樹をめぐる物語-コローからモネ、ピサロ、マティスまで-」展が
開かれています。

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ロマン派、バルビゾン派、印象派からフォーヴィスムまで、フランスを中心にして、
樹木を描いた油彩や素描、版画など、約110点を展示する展覧会です。

ポール・ユエ 「グロ=フト―の空き地、フォンテーヌブローの森」 
 制作年不詳 個人蔵

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ポール・ユエ(1803-1869)はロマン派の画家で、ドラクロワとも親しく、
明暗の対比を強調した風景画を描いていて、バルビゾン派にも影響を
与えています。

ナルシス・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ 「森林の道」 
 制作年不詳 フォン・デア・ハイト美術館、ヴッパータール

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暗い森の向こうに明るい空の見える、劇的な風景です。
ナルシス・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ (1807‐1876)は父母が亡命スペイン人で、
元は陶磁器の絵付け職人でした。
ロマン主義の絵を描き、バルビゾン派の画家、テオドール・ルソーから自然描写を
学んでいます。

テオドール・ルソー 「バルビゾン、夕暮れの牧草地」 
 1840年頃 個人蔵

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テオドール・ルソーはバルビゾン派を代表する画家です。
バルビゾンに1836年から長期滞在し、1847年には移住して、フォンテーヌブローの
森をよく画題としています。

シャルル=フランソワ・ドービニー 「ヴァルモンドワの下草」 
 1872年 カミーユ・ピサロ美術館、ポントワーズ

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ヴァルモンドワはパリの北西にある、セーヌ川の支流オワーズ川沿いの町で、
ドービニーは幼少期をここで過ごしています。
森の緑の鮮やかさが際立つ作品です。
シャルル=フランソワ・ドービニー(1817-1878)はコローとも親しいバルビゾン派の
画家で、サロンの審査員としてモネやピサロなどの若い画家を評価しています。

カミーユ・コロー 「エトルタ近くの風景」 
 1872年 フォン・デア・ハイト美術館、ヴッパータール

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木立の下に農家や人物が小さく描かれています。
フランス北西部、ノルマンディー海岸のエトルタにはクールベやモネなども
訪れています。

ギュスターヴ・カイユボット 「セーヌ河岸、プティ・ジュヌヴィリエ」 
 1870年頃 アルジャントゥイユ美術館

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プティ・ジュヌヴィリエはパリの北西の郊外にあるセーヌ川沿いの町で、
多くの印象派の画家が訪れ、カイユボットはここで暮らしていました。

カミーユ・ピサロ 「マトゥランの丘にて、ポントワーズ」 
 1874年 個人蔵

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ポントワーズはパリの北西にある、セーヌ川の支流オワーズ川沿いの町で、
ピサロはここに長く住み、セザンヌなども訪れています。

リュドヴィク・ピエット 「フォッセの祭り、ポントワーズ」
 1877年 カミーユ・ピサロ美術館、ポントワーズ

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大きな作品で、日の当たる並木道は大勢の人で賑わい、遠くの平野を
汽車が白煙を上げて横切り、画面は祝祭気分があふれています。
リュドヴィク・ピエット (1826-1878)はドガと親しく、第1回と第2回の印象派展に
出展しています。

クロード・モネ 「ヴェトゥイユの河岸からの眺め、ラヴァクール(夕暮れの効果)」 
 1880年頃 個人蔵

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大きな作品で、大きな木陰や紅を帯びた空、その色を映す川面が
夕暮れ時を表しています。
ヴェトゥイユ(ヴェタイユ)はパリの北西50㎞にあるセーヌ川沿いの町で、
ラヴァクールは対岸にあります。
モネは1878年にアルジャントゥイユからヴェトイユに引っ越しています。

マクシミリアン・リュース 「日没の風景」 
 1888年 個人蔵

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マクシミリアン・リュース(1858-1941)は第8回印象派展でスーラの作品に感化され、
早くから新印象派のメンバーになっています。
パリの貧しい労働者階級の子として生まれたこともあって、工場や労働者なども
よく描いています。
色彩のコントラストが強く、画面に迫力があるのが特徴です。

レオ・ゴーソン 「樹木の向こうの村」 1890年 個人蔵
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点描による風景画です。
レオ・ゴーソン(1860-1944)は版画職人出身の画家で、新印象主義の
点描の作品を描きました。

モーリス・ドニ 「小さなブルターニュの女性、沼のほとり」 
 1892年頃 個人蔵

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ナビ派の画家、モーリス・ドニの作品は平面的で色彩が豊かです。
ブルターニュの風景をよく描き、別荘も購入しています。

ロベール・アントワーヌ・パンション 「ブランヴィル=クルヴォンの谷」 
 1910年頃 個人蔵

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ブランヴィル=クルヴォンはルーアンの東にあります。
力強く大まかな筆遣いで、手前の木立と日の当たる丘陵とをくっきりとした
明暗で分けています。
ロベール・アントワーヌ・パンション(1886-1943)はルーアン生まれの
ポスト印象派の画家で、ルーアン周辺の風景をフォーヴィズム的な手法で
描いています。

フェリックス・ヴァロットン 「オンフルールの眺め、朝」 
 1912年 オワーズ県美術館、ボーヴェ

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オンフルールはセーヌ川河口の港町です。
夏の明るい日射しが道に影を映し、遠くにはオンフルールの町と教会が見えます。
高々とした木立の緑も鮮やかですが、どこか不思議な印象を受ける木々の姿です。
フェリックス・ヴァロットン(1865-1925)はスイス生まれで、フランスで活動し、
よくオンフルールに滞在しています。

他に、シニャック、ルドン、マティスなど多くの画家の作品が展示されています。
ロマン派、バルビゾン派、印象派、ナビ派など、画風や技法はさまざまですが、
樹木の絵は観ていて心が和み、新緑の季節にふさわしい展覧会です。

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展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「魔法の美術館/光と影のイリュージョン」展です。
会期は7月12日(火)から8月24日(日)までです。

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【2016/05/31 20:12】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「素心 バーミヤン大仏天井壁画~流出文化財とともに~」展 東京藝術大学大学美術館
上野
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上野の東京藝術大学大学美術館陳列館では東京藝術大学大学アフガニスタン特別企画展、
「素心 バーミヤン大仏天井壁画~流出文化財とともに~」が開かれています。
会期は6月19日(日)までで、入館は無料です。

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上野の東京国立博物館で6月19日(日)まで開かれている特別展、「黄金のアフガニスタン
-守りぬかれたシルクロードの秘宝-」展に合わせての企画です。

内戦などの混乱の中で略奪され、国外に流出した文物の一部は日本にも流入しています。
そこで、「流出文化財保護日本委員会」を設立し、寄贈を受けた文化財102点を
アフガニスタンに返還するということです。
東京藝術大学大学美術館ではそのうちの87件、東京国立博物館では15件が出展されています。

展覧会名の「素心」とは、「人が生まれながら持っている濁りなき心」という意味とのことで、
これは大乗仏教の「仏性」の思想を表しています。

ガラス器 1世紀
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仏陀像頭部 3~4世紀
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壁画断片 7~8世紀
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バーミヤンの東大仏の天井部分に描かれていた壁画、「太陽神と飛天」は2001年に
タリバンによって東大仏とともに爆破されています。
その壁画を、写真資料を基に原寸大で和紙に印刷し、岩絵具による彩色も加えて
復元したものも展示されています。
実物と同じ形に再現された天井に貼られていて、往時の姿を知ることが出来ます。

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更に60%縮小サイズで、剥落個所で図像が想定できる部分は図像を補った、
想定復元図も制作されています。

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槍を持ち、光背を負った人物を中心に、風神、翼を持つ飛天、4頭の馬の牽く馬車などが描かれ、
アフガニスタン特産のラピスラズリの青が空間を埋めています。
人物像はギリシャの太陽神ヘリオス、イランのミスラなどの影響を受けているそうです。

縮小サイズの想定復元画は伊勢志摩サミットに集まった各国首脳に観てもらうことが決まり、
急遽サミット会場に送られています。

「黄金のアフガニスタン-守りぬかれたシルクロードの秘宝-」展の記事です。

展覧会のHPです。


【2016/05/29 19:25】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「美の祝典II 水墨の壮美」展  出光美術館
日比谷・有楽町
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丸の内の出光美術館では開館50周年記念、「美の祝典」展が開かれています。

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出光美術館の開館50周年を記念して、所蔵する名品を3期に分けて展示するもので、
「II 期 水墨画の壮美」は6月12日(日)までです。
6月17日(金)からのIII 期は江戸絵画を中心にしています。


「叭々鳥図」 牧谿 南宋時代 重要文化財
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叭々鳥(ははちょう)はムクドリ科の黒い鳥です。
輪郭線を使わない、没骨(もっこつ)という技法によって描いています。
牧谿は南宋から元時代にかけての禅僧の画家で、南中国の湿り気のある大気を
感じさせる作品は特に日本で好まれています。
足利義政のコレクションである東山御物を管理していた能阿弥(1397-1471)の
記録によれば、保有していた中国絵画279幅のうち、103幅が牧谿だったそうです。  
この絵も東山御物の一つで、若狭酒井家に伝わった品とのことです。 

「山市晴嵐図」 玉澗 南宋末~元初期 重要文化財
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玉澗(ぎょくかん)も禅僧の画家で、簡潔で勢いのある筆遣いを特徴にしていて、
日本では牧谿より好まれていたそうです。
東山御物の「瀟湘八景図巻」の中の一つで、余白の空間が生きています。
「瀟湘八景図巻」は他に「遠浦帰帆」(徳川美術館蔵)、「洞庭秋月」(個人蔵)が
現存しています。

「四季花鳥図屏風」 能阿弥 応仁3年(1469) 重要文化財
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牧谿に傾倒していた能阿弥が牧谿風に描いた水墨花鳥図です。
白鷺の飛ぶ靄のかかったような空間や蓮の表現に潤いがあります。
この絵の2年前に応仁の乱が始まっています。

「天神縁起尊意参内図屏風」 室町時代 重要美術品
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太宰府に流され、怨霊となった菅原道真の猛威に怯える醍醐天皇のお召しで、
比叡山の高僧、尊意が参内のため鴨川を渡るところです。
嵐で増水した川の水を法力で押し分けて進んでいて、紅海を渡るモーセのような
お話です。
突き進む牛の姿には迫力があり、牛飼い童は手綱にすがり、従者たちが慌てて
追いかけています。
車輻は濃い線と薄い線で交互に描き、高速で回転している様を表しています。

「竹鶴図屏風」(左隻) 長谷川等伯 桃山時代
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大徳寺所蔵の牧谿の三幅対、「観音猿鶴図」を元にしています。
右隻には丸くうずくまる鶴が描かれ、濃淡の墨で表した竹林に奥行きのある
空間を感じます。

「雙峯挿雲図」 浦上玉堂 江戸時代 重要文化財
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ぐいぐいと勢い良く描かれ、空には泡のような雲が浮かんでいます。
手前の船の漁師と遠くの山のふもとの人物が同じ大きさに描かれています。
描きたいものを大きく描くという心の表れで、この人物が玉堂の境地を表して
いるのでしょう。

浦上玉堂(1745-1820)は元は岡山藩の支藩の侍ですが、2人の息子を連れて脱藩し、
諸国を放浪しています。
晩年、放浪の末に京都に落ち着き、息子には売れる絵を描かせ、自分は好みの絵を
描いていた頃の作品とのことです。
玉堂は酒の酔いに任せて筆を走らせ、醒めると筆を置き、酔うとまた描いたそうです。

「十二ヵ月離合山水図屏風」(右隻) 池大雅 明和6年(1769)頃 重要文化財
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離合山水図は一幅でも山水図になっており、並べても絵画にもなるというものです。
「十二ヵ月離合山水図屏風」は右隻から左隻にかけて、春から冬への移り変わりを
描いています。
木々の緑は緑色の点々で表していて、明るく輝いて見えます。
スーラより100年以上早く点描法を編み出したことになります。

「山水図屏風」(部分) 与謝蕪村 宝暦13年(1763) 重要文化財
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与謝蕪村(1716-1783)は俳人ですが、池大雅との合作の「十便図」「十宜図」などの
文人画でも有名です。
画材の高価な絹を調える資金を集めるため、屏風講を弟子たちが開いて作られた
屏風とのことです。
当時、人気の高かった中国の文人画に倣って、全体にきっちりとした描き方ですが、
左隻の家の中にいる人物は気の抜けたようなのどかな顔をしています。
右隻の人物が謹直な表情なのに比べて際立っていて、その表情一つで作品の雰囲気を
大きく変えています。
描かれた当時もその表情についてはいろいろ言われたそうです。

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「十便図」「十宜図」は東京ステーションギャラリーでは、6月19日まで開かれている、
「川端康成コレクション 伝統とモダニズム」展に展示されています。

「川端康成コレクション 伝統とモダニズム」展の記事です。

「梅花書屋図」(部分) 田能村竹田 天保3年(1832年) 重要文化財
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田能村竹田(1777-1835)は江戸時代の文人画家で、豊後竹田、岡藩の
藩医の子として生まれ、一時は藩に出仕して藩政に参加しますが、
37歳で隠居し、各地を旅して多くの文人と交流しています。

大きな画面の文人画で、ゆるやかに流れる川の岸には白梅が咲き誇り、
道を行く三人の人物が手前に見えます。
中景に書斎があり、二人の人物が語り合っていて、遠景の書斎では
一人が書を読んでいます。
春らしい明るい色彩で、文人たちの理想郷を描いた清雅な作品ですが、
これは友である頼山陽が亡くなったのを悼んで描いた作品とのことです。


特別展示 「伴大納言絵巻」(中巻部分) 平安時代 国宝
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貞観8年(866)に起きた応天門の変を題材に平安時代末期に描かれた3巻の絵巻で、
この記念展が10年振りの展示となり、I期に上巻、II期に中巻、III期に下巻が展示されます。

応天門の変は、大納言伴善男が宮城の応天門に放火したとされ、流罪になった事件で、
これにより大伴氏は没落し、藤原氏が権勢を強めています。

中巻は子どもの喧嘩が元で、伴善男が放火の犯人であることが露見する場面です。

取っ組み合いをする子ども、舎人の子を蹴飛ばす伴大納言の家来、自分の子を
連れ帰る母親が同じ場面に描かれています。
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火事の直前、伴大納言たちが応天門から降りてきたことを大声で知らせる舎人が
左側に描かれています。

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展覧会のHPです。


【2016/05/28 20:27】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
「コーヒービーン&ティーリーフ東京ガーデンテラス紀尾井町店」
赤坂見附
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「コーヒービーン&ティーリーフ東京ガーデンテラス紀尾井町店」は
東京ガーデンテラス紀尾井町の2階にあります。
場所は千代田区紀尾井町1-3です。

東京ガーデンテラス紀尾井町は赤坂プリンスホテルの跡地に建った、
ホテル・オフィス・商業施設を合わせた複合ビルで、2016年5月10日に
1・2階部分がオープンしています。

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大きなオブジェが目を惹きます。

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向かって左が「コーヒービーン&ティーリーフ」、右が「ファミマ」と
カフェ「ストリーマーエスプレッソ」のコラボ店です。
奥の方には「スターバックス」もあります。

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朝7時30分から開いていて、全席禁煙、天井は高く、明るい店内で、
窓から紀尾井町通りを眺めることが出来ます。

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ミッドセンチュリー風の椅子もあります。

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チーズケーキスフレ280円とブレンドコーヒーS320円です。

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私の行った時も多くのお客さんが居ましたが、ホテルなどのオフィス階が
オープンすると更に賑わうことでしょう。


【2016/05/27 19:43】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「若冲 プライスコレクション 着物」展 松坂屋上野店
上野広小路
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今日、2つ目の記事です。

松坂屋上野店7階呉服売場では、5月31日(火)まで、伊藤若冲生誕300年記念展、
「若冲 プライスコレクション 着物」という展示会が開かれています。
作品の販売もされています。

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着物は若冲のコレクションとして有名なプライスコレクションを基にアレンジされた京友禅で、
制作は京友禅メーカーのZONEが行ない、すべての着物にプライス氏の直筆サインが
入っています。

東京都美術館で開かれていた若冲展はあまりの混雑ぶりに行くのをあきらめましたが、
こちらはゆっくり若冲を味わうことが出来ます。

訪問着 「菊流水図・葡萄図」
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左 名古屋帯 「鳥獣花木図」
右 掛軸名古屋帯 「紅白梅図」
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若冲の「動植綵絵」は2009年に東京国立博物館で開かれた、「皇室の名宝展」で
観る機会がありました。
その時は今回ほど混むことはなく、ゆっくり鑑賞出来ました。

「皇室の名宝展」の記事です。


【2016/05/26 21:04】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
「徳永陶子作品展 記憶シリーズvol.9」 丸善丸の内本店
東京
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丸の内オアゾ内の丸善丸の内本店4階ギャラリーでは、「徳永陶子作品展
記憶シリーズvol.9」が
5月31日(火)まで開かれています。
アクリル画、約40点の展示です。

徳永陶子さん(1967~)は淡く、柔らかい色彩による抽象画を描いています。
2007年からは毎年、丸善丸の内本店で個展を開いています。
今年の展覧会の作品は、窓から見える風景、窓の内と外を出入りする
空気、風、光を通して蘇る記憶をイメージして描いたそうです。

「映」
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時を経て、記憶の中で晒された色と形です。


【2016/05/26 19:27】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「雑貨展」 六本木  21_21 DESIGN SIGHT
六本木・乃木坂
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六本木の東京ミッドタウン・ガーデン内にある「21_21 DESIGN SIGHT
(トゥーワン・トゥーワン・デザインサイト)」では企画展、
「雑貨展」が開かれています。
会期は 6月5日(日)まで、火曜日は休館日です。

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「私たちの日常の生活空間に寄り添い、ささやかな彩りを与えてくれるデザイン」としての
「雑貨」に焦点を当てた企画です。

雑貨を荷車に積んだ、明治時代の行商(横浜開港資料館所蔵)
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「松野屋行商」 松野屋+寺山紀彦(studio note)
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それを再現した展示です。
現代のトートバッグも積んであります。

「雑貨と生活史年表」 イラストレーション:三宅瑠人
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「雑マンダラ」 イラストレーション:川原真由美
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「雑」という言葉を含む二字熟語を集めてあります。


「雑貨のルーツ」 協力:柏木 博

バウハウス
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北欧デザイン
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葉っぱの模様はスウェーデンのグスタフスベリです。

民芸ブーム
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工業デザイン
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榮久庵憲司デザインの醤油差しもあります。

消費ブーム
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アンディ・ウォーホルのポップアートを思い出します。

「終わらない自問自答」 池田秀紀/伊藤菜衣子(暮らしかた冒険家)
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「理想の暮らし」についての自問自答が展開されています。

「雑貨展の雑貨」 展覧会企画チーム
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さまざまの雑貨が並んでいます。

「愛のバッドデザイン」 清水久和
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「グッドデザイン賞はもらえないけれど、記憶の片隅から消えない機能美を持つ物」を
集めてあります。

「キッチュな生活雑貨パッケージ」 町田忍
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昭和30年代から集めてきたパッケージです。
マーブルチョコレートは1961年発売開始です。

『「銀座八丁」と「雑貨」』 森岡督行(森岡書店)
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昭和28年発行の写真帳、「銀座八丁」に載っていて現在も営業しているお店から
買ってきた雑貨です。

「Hook Carpet」 WE MAKE CARPETS
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オランダからの3人組デザイナーが雑貨を使って作ったカーペットです。


日常何気なく使ったり見たりしている雑貨も、こうやって改めて見直すと、いろいろ面白く、
興味が尽きません。

展覧会のHPです。


【2016/05/24 19:31】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ホノルルコーヒー池袋東武店」
池袋
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「ホノルルコーヒー池袋東武店」は東武百貨店池袋店本館11階のダイニングシティ
スパイスにあります。
場所は豊島区西池袋1-1-25です。

2016年2月にオープンしたお店で、通路に面してオープンテラスも広く取ってあります。

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イギリスのお菓子、アップルクランブル700円です。

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甘さは控えめで、サクサクとして、ボリュームもあります。
ケーキ類はセットのコーヒーが200円になります。
映っているのはカプチーノ600円です。

こちらはハワイの揚げ菓子、マラサダ300円で、温かくて軽い食感です。

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バニラシュガーかシナモンシュガーをまぶすので、シナモンシュガーにしました。
映っているのはケーキのセットドリンクのコーヒーです。
マラサダは元々ポルトガル領アゾレス諸島のサンミゲル島のお菓子で、
ハワイに移住した労働者が持込んだそうです。

ハワイとポルトガルとイギリスという、大航海時代つながりの味を一度に楽しみました。


【2016/05/22 19:58】 お店 | トラックバック(0) | コメント(2) |
「真田丸展」 両国 江戸東京博物館
両国
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江戸東京博物館では2016年 NHK大河ドラマ特別展、「真田丸」が開かれています。
会期は6月11日(日)までです。
5月22日までの前期と24日の後期で一部展示替えがあります。

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5月12日の夜にブロガー特別内覧会があったので参加してきました。
田原昇斎藤学芸員による解説を伺った後、拝観しました。

プロローグ 日の本一の兵

真田信繁(幸村)は大坂の陣で奮戦し、夏の陣では徳川家康の本陣を脅かして、
「真田日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」と謳われますが、遺品は少ししか
残っていません。

最初に、六連銭紋旗指物、真田信繁所要の兜、馬具、馬印などが展示されています。

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「真田信繁(幸村)画像」 高野山蓮華定院 江戸時代
 1 真田信繁(幸村)画像 高野山 蓮華定院 蔵_R

蓮華定院には真田家と縁の深い、真言宗の寺院です。
関ヶ原に向かう徳川秀忠軍を上田城で阻んだ罪で、真田昌幸、信繁父子が当初、
ここに蟄居し、後に九度山に移っています。
六連銭の紋をしていて、父の兄で長篠の戦いで討死した真田信綱の像の可能性も
あるとのことです。

「鹿角・六連銭紋旗指物」 個人蔵 江戸時代
 2 鹿角・六連銭文旗指物 個人蔵(上田市立博物館寄託)_R

鹿角(かづの)と組合わせてあります。
六連銭は三途の川の渡し賃を表し、信濃の豪族、海野氏の家紋でもあります。
真田家は海野氏の出と称していて、同じく六連銭を家紋としています。


第1章 武田と真田

真田氏は信繁の祖父、幸隆の代から甲斐の武田氏に属し、長篠の戦いでは
幸隆の嫡男信綱と次男昌輝が討死し、三男昌幸が家督を継いでいます。

「武田軍使用長槍」 上田市立博物館 戦国時代
5月29日までの展示です。
松平信一が長篠の戦いで武田軍から奪った槍で、穂先は後世の物ですが、
長さは5.6mもあり、全体に籐が巻かれ、朱に塗られています。
武田の赤備えを表す武具ですが、重い甲冑を着け、このような長槍を振り回して
戦うのは大変だったろうと思います。

「真田昌幸画像」 高野山蓮華定院 江戸時代
 9 真田昌幸画像高野山 蓮華定院_R

書かれている賛は、史記の中で漢の高祖劉邦が張良を讃えた言葉です。

 謀廻帷幄中 勝事千里外

知略に優れた謀将、真田昌幸らしい言葉です。


第2章 第一次上田合戦から小田原合戦

真田昌幸は武田家の滅亡、本能寺の変の後の混乱時には一時、越後の上杉景勝に
臣従しています。

「鉄黒漆塗紺糸威異製最上胴具足」 伝上杉景勝所用 
 新潟県立歴史博物館 永禄6 年(1563)8月吉日

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兜の裏に刻まれた銘から制作年が分かります。
錣(しころ)が二重になった上杉家独特の兜で、前立には摩利支天を象徴する
卍が彫られています。


第3章 関ヶ原合戦と真田

「直江状」 新潟県歴史博物館 江戸時代写 17世紀
慶長5年(1600)、上杉景勝に謀反の疑いがあるとして、徳川家康が交渉役の禅僧に
命じて書かせた詰問状に対し、上杉景勝の家臣、直江兼次の送った回答文です。
内容が挑戦的で、徳川家康を怒らせ、会津征伐、そして関ヶ原の戦いにつながった
とされる文書ですが、原本は存在せず、写しが何点か残っています。
直江状については、偽書ではないかとの説もあります。

「内府ちがいの条々」 大阪歴史博物館 慶長5年(1600)7月24日付
徳川家康が軍勢を率いて会津征伐に赴いた隙を狙って、長束正家・増田長盛・
前田玄以の三奉行が発した家康への弾劾状です。
原本は確認されておらず、写しが何点か残っています。

「関ヶ原合戦図屏風」 桃山時代 大阪歴史博物館蔵 重要文化財
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前期に右隻(上)、後期に左隻(下)が展示されます。
右隻は9月14日の状況で、大垣城も見えます。
左隻には合戦当日の9月15日の様子が描かれ、西軍が敗走しています。
津軽家伝来の屏風で、家康の養女満天姫が津軽信枚に嫁いだ際の
嫁入り道具とされています。


第4章 真田家と桃山文化

真田昌幸の嫡男真田信之と妻の小松姫所用の諸道具の展示です。

 
第5章 大坂冬の陣・夏の陣

「真田信繁書状 左京宛」 高野山蓮華定院 (年不詳)6 月23 日付
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真田信繁が九度山に蟄居中に左京という人物に宛てた手紙で、焼酎を無心しています。
壷に紙を貼って蓋をしてほしいと、細かいことも書いてあります。

ともに蟄居していた父の昌幸が国元に送った手紙でも、金を早く送ってほしいと
催促していて、生活は楽ではなかったようです。

「大坂城攻配陣之図」 東京都・徳川林政史研究所 元禄14 年(1701)9月22 日写
18 大坂城攻配陣之図 公益財団法人徳川黎明会 徳川林政史研究所_R

大坂冬の陣の籠城側と攻城側の武将の配置図です。
左下(南東)に見える半円が真田信繁の構築した出丸(真田丸)です。
右下の攻城側に米沢中納言(上杉景勝)や片桐市正(且元)の名があります。

「薙刀直し刀 骨喰藤四郎」 豊国神社 鎌倉時代 重要文化財
骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう)は鎌倉時代の刀工、粟田口吉光の作です。
相手を斬る真似をしただけで骨を砕いたと言われ、この名が付きました。
刀身に倶利伽羅が彫られており、元が薙刀だったので、切先が細長くなっています。
豊臣家の所蔵でしたが、大坂夏の陣では堀の中から無傷で発見されていますが、
明暦の大火で焼けたため、修復されています。

中央 「鉄盾」 岡山県・徳守神社 桃山−江戸時代
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大坂城の西、船場に布陣し、大坂方の鉄砲への対策として森忠政の部隊が
徳川家康から授かった鉄盾です。
覗き窓が付いていて、銃弾の開けた穴も残っています。
大坂夏の陣の後、津山に帰った森忠政が徳守神社に奉納していて、
激戦の様を伝える遺品です。

右 「白糸威水牛形兜」 毛利勝永所用 高知県立高知城歴史博物館 江戸時代
左 「石造地蔵菩薩」 福井市立郷土歴史博物館 元和元年(1615)寅年5 月7日
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兜は天王寺・岡山の戦いで奮戦し、大坂城で自刃した毛利勝永の所用で、
水牛の角の形をしています。

真田信繁は福井藩主、松平忠直の家臣、西尾宗次に討取られています。
その西尾宗次が真田信繁の供養のため造った地蔵で、背中に彫られた
元和元年5 月7日の日付は天王寺・岡山の戦いで信繁が討死した日です。


エピローグ 信繁から幸村へ

難波戦記、真田伊豆守物語、真田三代記など、真田一族の活躍を描いた
軍記物などが展示されています。

真田信繁の活躍は江戸時代時代前期に成立した難波戦記などにより広く
伝えられますが、難波戦記が信繁を幸村と記したため、やがて幸村の名前で
記憶されるようになり、幕府の文書にも幸村の名前が現れるようになります。


真田信繁に限らず、戦国時代についての豊富な遺品、資料の揃った興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。


次回の特別展は、「大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで」です。
会期は8月2日(火)から28日(日)までです。


【2016/05/21 19:54】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
「かんだやぶそば」 淡路町
淡路町・神田
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「かんだやぶそば」は淡路町のワテラス近くの小路にあります。
場所は千代田区神田淡路町2-10です。

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明治13年(1880)の創業で、藪蕎麦グループの本家でもあります。

初代堀田七兵衛の銅像です。

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2013年の火災で一時休業していましたが、2014年10月に新築オープンしています。

以前あった板塀は取り除かれましたが、佇まいは以前の雰囲気を残していて、
1階は小上がりもあって約80席、2階席も出来ました。

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せいろうそば670円と天たね1340円に消費税が付いて2170円です。

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やぶそば名物、海老のかき揚げの天たねは、以前と同じく、かりっと揚がっています。

東京の蕎麦屋を代表するお店なので、火事のニュースを聞いたときは驚きましたが、
再開されたのはとても喜ばしいことです。


【2016/05/20 19:36】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「北大路魯山人の美 和食の天才」展 日本橋 三井記念美術館
三越前
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日本橋の三井記念美術館では、特別展 ユネスコ無形文化遺産登録記念
「北大路魯山人の美 和食の天才」展が開かれています。
会期は6月26日(日)までです。
5月22日までの前期と5月24日からの後期で一部展示替えがあります。

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2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたのを記念しての展覧会です。

食器も料理の一部と考えた北大路魯山人は織部、志野、瀬戸、備前、染付など、
さまざな技法の陶器を自在に制作しています。

「椿鉢」 1940年頃 足立美術館
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前期の展示です。
大きな鉢にぶっくりと椿が描かれています。

「黄瀬戸草虫文壺」 1952年 北村美術館
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草の間に虫も居て、野趣あふれる絵柄です。

「織部長板鉢」1955年 銀座 久兵衛
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草を表すかのように彫られた曲線がリズムを作っています。

「織部蟹絵平鉢」 1959年 個人蔵
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蟹が鉢の中に丸く収まっています。

陶器だけでなく、漆器も手掛けています。

「一閑塗日月碗」 1943年 個人蔵
チラシに載っている作品です。
一閑塗は木地に紙を貼り、それに漆を塗る技法です。
金と銀の丸をあしらって日月を表した、モダンなデザインです。


魯山人は書や絵も能くしています。

良寛詩 「十字街頭」 六曲一隻 1941年 紀尾井町福田家
前期の展示です。
屏風に元気の良い字で良寛の詩の一節が書かれています。

十字街頭乞食了
八幡宮辺方徘徊
児童相見共相語
去年癡僧今又来

魯山人は良寛の書風を慕っていました。


「八ツ橋図」 四曲一隻 1951年 個人蔵
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さらっと描いていますが、琳派の気分がよく出ています。

北大路魯山人の多彩な才能を楽しめる展覧会です。


2010年に日本橋髙島屋で開かれた、「北大路魯山人展」の記事です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は特別展、「アール・ヌーヴォーの装飾磁器」展です。
会期は7月6日(水)から8月31日(水)までです。

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【2016/05/19 21:28】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「黄金のアフガニスタン-守りぬかれたシルクロードの秘宝-」展 上野 東京国立博物館
上野
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上野の東京国立博物館では特別展、「黄金のアフガニスタン-守りぬかれた
シルクロードの秘宝-」展が開かれています。
会期は6月19日(日)までです。

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会場の表慶館です。

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アフガニスタン国立博物館に収蔵されていた古代アフガニスタンの遺物は1979年の
ソ連軍侵攻とそれに続く内戦でほとんどが失われてしまったと思われていました。
ところが1989特に貴重な工芸品は博物館員たちにより大統領府にある中央銀行の
地下金庫に秘かに運び入れられ、2004年まで大切に保管されていたのでした。

「自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる」は、再開された
アフガニスタン国立博物館入口に置かれたメッセージです。

展覧会では、4つの遺跡から出土した貴重な文物の一部が展示されています。

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テペ・フロール遺跡

アフガニスタン北東部にある、紀元前2100~紀元前2000年頃の遺跡です。
ラピスラズリの産地に近く、メソポタミア文明とインダス文明をつなぐ地点で
あったと考えられています。

「幾何学文脚付杯」 金 紀元前2100~紀元前2000年頃
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幾何学模様の彫られたゴブレットで、脚の部分は失われています。


アイ・ハヌム遺跡

テペ・フロールの更に北、タジキスタンとの国境近くにある、前3世紀~前2世紀の
遺跡です。
アレクサンドロス大王の東征の後、建設されたギリシャ都市で、神殿、宮殿、体育場
、半円形劇場などを備えていました。

「キュベーレ女神円盤」 銀、鍍金 前3世紀
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2頭のライオンの挽くペルシャ風の戦車に乗っているのは、キュベーレ女神と
ギリシャの勝利の女神、ニケです。
空にはギリシャの太陽神、ヘリオスが噛んでいます。
キュベーレ女神はアナトリア(現在のトルコ)で信仰され、ギリシャ、ローマにも
伝わった、大地の女神です。
左右の人物は東洋風で、西と東の文化の混じり合ったヘレニズムを表しています。

ギリシャ語刻銘付石碑台座 石灰岩 前3世紀初め 
四角い台座で、ギリシャ文字が彫られています。
その中には、デルフォイの神殿の神託の一部もあります。

 幼きものは行儀よきものとなり
 青年とならば自制知るものとなり
 壮年とならば正義知るものとなり
 老年とならば良き助言者となれ
されば汝、悔いなき死を得ん
(前田耕作訳を参考) 

味わい深い処世訓で、孔子の言葉にも似ています。


ティリヤ・テペ遺跡

北部にある、紀元前1世紀~紀元後1世紀の遺跡で、地元のウズベク語で
「黄金の丘」という意味です。
ゾロアスター教の神殿だった場所に設けられた6基の墓に、女性6人、男性1人が
数多くの黄金の装飾品と共に埋葬されていました。
展示室ではそれぞれの墓の出土状況を表した図と共に展示されています。

「牡羊像」 金 1世紀第2四半期
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羊の一種、ムフロンの小さな像ですが、角の縞、目玉、毛並み、関節、蹄まで精巧に
表現されています。

「アフロディーテ飾板」 金、トルコ石 1世紀第2四半期
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ギリシャ神話の美の女神で、ローマ神話のヴィーナスに相当します。
姿はギリシャ風ですが、翼を持ち、腕輪をして、顔立ちもインド風で、額には
インド風の印もあります。
ガンダーラ仏の顔立ちがギリシャ風なのと逆の形です。
アフロディーテ飾板は2人の女性の墓から発見され、胸元に置かれていました。

「冠」 金、トルコ石 1世紀第2四半期
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女性の墓から出土した、木の葉を付けた樹木のような冠です。
頭を動かすとキラキラ輝いたことでしょう。
似たデザインの冠は朝鮮半島や奈良県の藤の木古墳からも出土しています。

「ドラゴン人物文ペンダント」 
 金、トルコ石、ラピスラズリ、ガーネット、カーネリアン、真珠 1世紀第2四半期

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金や宝石をふんだんに使った、豪華な装飾品です。
左右対称形で、遊牧民の服装をした人物が翼のある怪獣を掴んでいます。
人物の額にはインド風の印があります。

「インド・メダイヨン」 金 1世紀第2四半期
表にはライオン、裏には車輪を転がす人物が彫られています。
刻まれた文字から、仏教の広まり(転法輪)を表していることが分かります。
人物は仏陀を表した最古の姿かも知れないということです。
ティリヤ・テペでは仏教に関連する遺物はこれ1つのみです。


べグラム

カブールの北約70㎞にある、1~3世紀に中央アジアから北インドを支配した
クシャーン朝の夏の都です。
入口をレンガでふさいだ2つの部屋から、多数の工芸品が発見されました。

「マカラの上に立つ女性像」 象牙 1世紀
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高さ45㎝の象牙の彫刻で、インドの怪魚マカラの上に立つインド風の女性です。
べグラムでは数百点の象牙製品が出土しています。

「脚付彩絵杯」 ガラス 1世紀
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透明なガラスに鮮やかな色彩でギリシャ・ローマ風の男女が描かれています。
エナメルで絵付けをする技法はエジプトで始まり、地中海世界に広まっています。


アフガニスタン流出文化財

内戦などの混乱の中で略奪され、国外に流出した文物の一部は日本にも流入しています。
そこで、「流出文化財保護日本委員会」を設立し、寄贈を受けた文化財102点を
アフガニスタンに返還するということです。
展覧会ではそのうちの15件が出展されています。


現在では辺境の地と思われがちなアフガニスタンが、かつてはシルクロードの中継地として、
東西の文化が盛んに交流した場所であったことを示す、とても興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。


【2016/05/17 19:55】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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