三越前
日本橋三越本店では、「薬師寺慈恩殿奉納障壁画展」が開かれています。
会期は2月6日(月)まで、入場料は一般・大学生800円です。

薬師寺の慈恩殿に細川護熙さんが制作して奉納する壁画のうち、2017年春に
40面が納められるのを機に、その内23点を展示するものです。
薬師寺慈恩殿

併せて、著名作家が描き、薬師寺に奉納された散華(行事の際に撒かれる
蓮の花を象った紙)、60点も展示されています。
「慈恩大師坐像」 新納忠之介

慈恩大師は唐時代の僧で、玄奘三蔵に師事し、法相宗の開祖となっています。
薬師寺は法相宗の寺院です。
新納忠之介(にいろちゅうのすけ:1869-1954)は彫刻家で、東京美術学校で
高村光雲に師事し、後に多くの仏像の修復を行なっています。
細川護熙さんの描く障壁画には天人や楽人、僧たちが描かれ、音楽を奏でる
楽人の横には虎も仲間入りしています。

散華は、上村松篁、奥田元宋、奥村土牛、小倉遊亀、片岡球子、加山又造、熊谷守一、
小磯良平、杉山寧、髙山辰雄、東山魁夷、平山郁夫、前田青邨、森田曠平などがあります。
加山又造は工芸を思わせる桜の花、熊谷守一は軽い線描きの蛙、前田青邨は紅白梅、
森田曠平は天人を描いています。
chariot
日本橋三越本店では、「薬師寺慈恩殿奉納障壁画展」が開かれています。
会期は2月6日(月)まで、入場料は一般・大学生800円です。

薬師寺の慈恩殿に細川護熙さんが制作して奉納する壁画のうち、2017年春に
40面が納められるのを機に、その内23点を展示するものです。
薬師寺慈恩殿

併せて、著名作家が描き、薬師寺に奉納された散華(行事の際に撒かれる
蓮の花を象った紙)、60点も展示されています。
「慈恩大師坐像」 新納忠之介

慈恩大師は唐時代の僧で、玄奘三蔵に師事し、法相宗の開祖となっています。
薬師寺は法相宗の寺院です。
新納忠之介(にいろちゅうのすけ:1869-1954)は彫刻家で、東京美術学校で
高村光雲に師事し、後に多くの仏像の修復を行なっています。
細川護熙さんの描く障壁画には天人や楽人、僧たちが描かれ、音楽を奏でる
楽人の横には虎も仲間入りしています。

散華は、上村松篁、奥田元宋、奥村土牛、小倉遊亀、片岡球子、加山又造、熊谷守一、
小磯良平、杉山寧、髙山辰雄、東山魁夷、平山郁夫、前田青邨、森田曠平などがあります。
加山又造は工芸を思わせる桜の花、熊谷守一は軽い線描きの蛙、前田青邨は紅白梅、
森田曠平は天人を描いています。
上野
上野の東京国立博物館平成館では特別展、「春日大社 千年の至宝」が開かれています。
会期は3月12日(日)までです。

2月12日(日)までの前期と2月14日(火)からの後期の他にも細かい展示替えがありますので、
博物館のHPでご確認ください。
奈良の春日大社は藤原氏の氏神を祀る社として長く栄え、春日の地は聖地として
崇められてきました。
展覧会では、社殿の建て替え、修繕を約20年に1度行う式年造替が2016年に
行なわれたのを機に、春日大社に伝来する神宝や名品などが展示されています。
第1章 神鹿の杜
春日大社の歴史についての資料や、神鹿を表した美術品の展示です。
「鹿島立神影図」 南北朝~室町時代・14~15世紀 春日大社

通期の展示です。
武甕槌命(たけみかづちのみこと)が紳鹿に乗り、常陸の鹿島を出て、大和の春日に
降り立った姿です。
春日山には月が昇っています。
武甕槌命は元々、鹿島の神で、藤原氏の祖の中臣氏もこの地方の出自とされています。
平城京の造営とともに、藤原氏がこの神を春日の御蓋山(みかさやま)に
勧請したことが春日大社の始まりです。
後小松天皇(1377-1433)の奉納と伝えられています。
「春日神鹿御正体」 南北朝時代・14世紀
京都・細見美術館 重要文化財

通期の展示です。
鹿は春日大社の神鹿として崇められます。
鞍には神の依り代の榊と円鏡を付け、円鏡には神仏習合思想による
春日神の5体の本地仏が線彫りされています。
「鹿図屏風」 江戸時代・17世紀 春日大社

通期の展示です。
貞享2年(1685)に奈良の住人が興福寺に奉納した品です。
第2章 平安の正倉院
春日神の調度品として奉納された神宝の展示です。
「若宮御料古神宝類 平胡簶」 平安時代・12世紀 春日大社 国宝

2月12日(日)までの展示です。
春日若宮の神は長保5年(1003)に出現したとされ、保延元年(1135)に
別社に祀られています。
春日若宮おん祭は1136年に始まるお祭りで、現在まで一度も途切れずに
続いています。
平胡簶(ひらやなぐい)は矢を帯びるための武具で、下の部分に箱が付いて、
矢尻を差し込みます。
紫檀地に銀板をはめ、螺鈿の装飾を施しています。
大治6年(1131)の銘があり、藤原頼長(1120-1156)の奉納によるものです。
藤原頼長は辣腕政治家で、左大臣であったことから悪左府と呼ばれましたが、
保元の乱を起こして敗れ、首に矢を受けて亡くなっています。
「金地螺鈿毛抜形太刀」 平安時代・12世紀 春日大社 国宝


2月19日(日)までの展示です。
毛抜形太刀は柄の透彫りの形が毛抜きに似ていることからこの名のある、古式な太刀です。
金具は金無垢で精巧な細工が施され、、鞘には竹林の中の猫と雀を螺鈿で表した、見事な造りです。
藤原頼長の奉納と伝えられ、猫の意匠は猫好きだった頼長の嗜好を映しているのかもしれません。
2月14日(火)からは2003年に制作された、復元模造の太刀が展示されます。
復元模造の太刀は平安時代の太刀に替わって神宝として奉納されるため、
以後は人の目に触れることは無いそうです。
第3章 春日信仰をめぐる美的世界
神仏習合した春日への信仰を表す品々の展示です。
「春日宮曼荼羅」 鎌倉時代 13世紀 奈良・南市町自治会蔵 重要文化財

2月12日(日)までの展示です。
春日宮曼荼羅は平安時代の12世紀後半から京都の藤原氏が春日社への参詣の
代わりに自邸に掛ける礼拝画として描かれるようになります。
幾何学的な図像の曼荼羅とは異なり、自然の風景を取り入れた優美な画像です。
この曼荼羅は西から東に向かう参詣路に沿って下から上がっていく構図です。
後の「春日宮曼荼羅」もこの形式で描き続けられます。
一の鳥居を過ぎると左手に東御塔、西御塔があります。
神社には珍しい五重の塔で、高さは約50mあったそうです。
西御塔は永久4(1116)年、藤原忠実の発願、東御塔は保延6(1140)年、
鳥羽上皇の発願で建立されています。
二の鳥居を過ぎた左手に回廊に囲まれた本殿があります。
回廊の中の社殿の配置は現在もほとんど同じです。

春日神である以下の四柱を祀る四棟並んだ小社が本殿です。
第一殿 武甕槌命(たけみかづちのみこと)
第二殿 経津主命(ふつぬしのみこと)
第三殿 天児屋根命(あめのこやねのみこと)
第四殿 比売神(ひめがみ)
本殿の向こう側に御蓋山、さらに春日山が見えます。
左端は若草山です。
春日山には月が昇っています。

遣唐使の阿倍仲麻呂が帰国を前に詠んだとされる歌はこの月のことを詠っています。
天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山にいでし月かも
仏像は神仏習合思想による春日神の本地仏を描いたものです。
左から十一面観音菩薩(比売神)、地蔵菩薩(天児屋根命)、薬師如来(経津主命)、
釈迦如来(武甕槌命)です。
右は天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)を祀る若宮神社と、本地仏の
文殊菩薩です。

2011年に根津美術館ではこの春日宮曼荼羅などを展示した、「春日の風景
-麗しき聖地のイメージ-」展が開かれていました。
「春日の風景-麗しき聖地のイメージ-」展の記事です。
「文殊菩薩騎獅像および侍者立像」 康円作
鎌倉時代・文永10年(1273) 東京国立博物館 重要文化財

通期の展示です。
2013年に展示されていた時の写真です。
獅子に乗った文殊菩薩に4人の侍者が従う渡海文殊を表しています。
春日大社の祭神のうち、若宮は文殊菩薩と同体とされていて、この像は興福寺勧学院の本尊でした。
康円は運慶の孫で、奈良仏師の慶派に属しています。
「春日権現験記絵(春日本) 巻1」 江戸時代・文化4年(1807) 春日大社

西園寺公衡(1264-1315)が一門の繁栄を願って制作された、藤原氏の氏神である春日神の
霊験を表した絵巻で、多くの摸本も描かれています。
春日本は松平定信の命による制作です。
橘氏の女に春日神が乗り移り、本殿の前の中門で自らを慈悲万行菩薩と
名乗る場面です。
会期中は春日権現験記絵の原本も展示されます。
第4章 神々に捧げる武具
春日大社は公家ばかりでなく、武家の崇敬も集め、甲冑や太刀など、
多くの武具が奉納されています。
「赤糸威大鎧(梅鶯飾)」 鎌倉時代・13世紀 春日大社 国宝

2月19日(日)までの展示です。
堂々とした大鎧で、精巧な金具には梅、鶯、蝶が彫られています。
兜には獅子噛みの鍬形が付けられています。

「赤糸威大鎧(竹虎雀飾)」 鎌倉~南北朝時代・13~14世紀 春日大社 国宝

2月14日(火)からの展示です。
赤い威糸が際立ち、大袖にも竹と虎の細工が貼られた、極めて華麗な大鎧で、
実用を超えた工芸作品となっています。
2月14日(火)から2月19日(日)までの期間は国宝の大鎧と胴丸の4領が勢揃いします。

第5章 神々に捧げる芸能
春日若宮おん祭をはじめとする祭礼で奉納される、舞楽や能で使われる作品などの展示です。
観世、宝生など現在の能楽諸座はすべて、春日大社や興福寺に奉仕する大和猿楽に始まっています。
第6章 春日大社の式年造替
約20年に1度行われる式年造替は2016年が60回目とのことです。
造替に関する資料や絵馬、本殿の前に置かれていた獅子・狛犬などの展示です。
会場の最後の記念撮影コーナーには春日灯篭が吊るされていました。

この展覧会は平安の正倉院とも呼ばれた春日大社の宝物の数々を目にすることの出来る
とても貴重な機会です。
展覧会のHPです。
chariot
上野の東京国立博物館平成館では特別展、「春日大社 千年の至宝」が開かれています。
会期は3月12日(日)までです。

2月12日(日)までの前期と2月14日(火)からの後期の他にも細かい展示替えがありますので、
博物館のHPでご確認ください。
奈良の春日大社は藤原氏の氏神を祀る社として長く栄え、春日の地は聖地として
崇められてきました。
展覧会では、社殿の建て替え、修繕を約20年に1度行う式年造替が2016年に
行なわれたのを機に、春日大社に伝来する神宝や名品などが展示されています。
第1章 神鹿の杜
春日大社の歴史についての資料や、神鹿を表した美術品の展示です。
「鹿島立神影図」 南北朝~室町時代・14~15世紀 春日大社

通期の展示です。
武甕槌命(たけみかづちのみこと)が紳鹿に乗り、常陸の鹿島を出て、大和の春日に
降り立った姿です。
春日山には月が昇っています。
武甕槌命は元々、鹿島の神で、藤原氏の祖の中臣氏もこの地方の出自とされています。
平城京の造営とともに、藤原氏がこの神を春日の御蓋山(みかさやま)に
勧請したことが春日大社の始まりです。
後小松天皇(1377-1433)の奉納と伝えられています。
「春日神鹿御正体」 南北朝時代・14世紀
京都・細見美術館 重要文化財

通期の展示です。
鹿は春日大社の神鹿として崇められます。
鞍には神の依り代の榊と円鏡を付け、円鏡には神仏習合思想による
春日神の5体の本地仏が線彫りされています。
「鹿図屏風」 江戸時代・17世紀 春日大社

通期の展示です。
貞享2年(1685)に奈良の住人が興福寺に奉納した品です。
第2章 平安の正倉院
春日神の調度品として奉納された神宝の展示です。
「若宮御料古神宝類 平胡簶」 平安時代・12世紀 春日大社 国宝

2月12日(日)までの展示です。
春日若宮の神は長保5年(1003)に出現したとされ、保延元年(1135)に
別社に祀られています。
春日若宮おん祭は1136年に始まるお祭りで、現在まで一度も途切れずに
続いています。
平胡簶(ひらやなぐい)は矢を帯びるための武具で、下の部分に箱が付いて、
矢尻を差し込みます。
紫檀地に銀板をはめ、螺鈿の装飾を施しています。
大治6年(1131)の銘があり、藤原頼長(1120-1156)の奉納によるものです。
藤原頼長は辣腕政治家で、左大臣であったことから悪左府と呼ばれましたが、
保元の乱を起こして敗れ、首に矢を受けて亡くなっています。
「金地螺鈿毛抜形太刀」 平安時代・12世紀 春日大社 国宝


2月19日(日)までの展示です。
毛抜形太刀は柄の透彫りの形が毛抜きに似ていることからこの名のある、古式な太刀です。
金具は金無垢で精巧な細工が施され、、鞘には竹林の中の猫と雀を螺鈿で表した、見事な造りです。
藤原頼長の奉納と伝えられ、猫の意匠は猫好きだった頼長の嗜好を映しているのかもしれません。
2月14日(火)からは2003年に制作された、復元模造の太刀が展示されます。
復元模造の太刀は平安時代の太刀に替わって神宝として奉納されるため、
以後は人の目に触れることは無いそうです。
第3章 春日信仰をめぐる美的世界
神仏習合した春日への信仰を表す品々の展示です。
「春日宮曼荼羅」 鎌倉時代 13世紀 奈良・南市町自治会蔵 重要文化財

2月12日(日)までの展示です。
春日宮曼荼羅は平安時代の12世紀後半から京都の藤原氏が春日社への参詣の
代わりに自邸に掛ける礼拝画として描かれるようになります。
幾何学的な図像の曼荼羅とは異なり、自然の風景を取り入れた優美な画像です。
この曼荼羅は西から東に向かう参詣路に沿って下から上がっていく構図です。
後の「春日宮曼荼羅」もこの形式で描き続けられます。
一の鳥居を過ぎると左手に東御塔、西御塔があります。
神社には珍しい五重の塔で、高さは約50mあったそうです。
西御塔は永久4(1116)年、藤原忠実の発願、東御塔は保延6(1140)年、
鳥羽上皇の発願で建立されています。
二の鳥居を過ぎた左手に回廊に囲まれた本殿があります。
回廊の中の社殿の配置は現在もほとんど同じです。

春日神である以下の四柱を祀る四棟並んだ小社が本殿です。
第一殿 武甕槌命(たけみかづちのみこと)
第二殿 経津主命(ふつぬしのみこと)
第三殿 天児屋根命(あめのこやねのみこと)
第四殿 比売神(ひめがみ)
本殿の向こう側に御蓋山、さらに春日山が見えます。
左端は若草山です。
春日山には月が昇っています。

遣唐使の阿倍仲麻呂が帰国を前に詠んだとされる歌はこの月のことを詠っています。
天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山にいでし月かも
仏像は神仏習合思想による春日神の本地仏を描いたものです。
左から十一面観音菩薩(比売神)、地蔵菩薩(天児屋根命)、薬師如来(経津主命)、
釈迦如来(武甕槌命)です。
右は天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)を祀る若宮神社と、本地仏の
文殊菩薩です。

2011年に根津美術館ではこの春日宮曼荼羅などを展示した、「春日の風景
-麗しき聖地のイメージ-」展が開かれていました。
「春日の風景-麗しき聖地のイメージ-」展の記事です。
「文殊菩薩騎獅像および侍者立像」 康円作
鎌倉時代・文永10年(1273) 東京国立博物館 重要文化財

通期の展示です。
2013年に展示されていた時の写真です。
獅子に乗った文殊菩薩に4人の侍者が従う渡海文殊を表しています。
春日大社の祭神のうち、若宮は文殊菩薩と同体とされていて、この像は興福寺勧学院の本尊でした。
康円は運慶の孫で、奈良仏師の慶派に属しています。
「春日権現験記絵(春日本) 巻1」 江戸時代・文化4年(1807) 春日大社

西園寺公衡(1264-1315)が一門の繁栄を願って制作された、藤原氏の氏神である春日神の
霊験を表した絵巻で、多くの摸本も描かれています。
春日本は松平定信の命による制作です。
橘氏の女に春日神が乗り移り、本殿の前の中門で自らを慈悲万行菩薩と
名乗る場面です。
会期中は春日権現験記絵の原本も展示されます。
第4章 神々に捧げる武具
春日大社は公家ばかりでなく、武家の崇敬も集め、甲冑や太刀など、
多くの武具が奉納されています。
「赤糸威大鎧(梅鶯飾)」 鎌倉時代・13世紀 春日大社 国宝

2月19日(日)までの展示です。
堂々とした大鎧で、精巧な金具には梅、鶯、蝶が彫られています。
兜には獅子噛みの鍬形が付けられています。

「赤糸威大鎧(竹虎雀飾)」 鎌倉~南北朝時代・13~14世紀 春日大社 国宝

2月14日(火)からの展示です。
赤い威糸が際立ち、大袖にも竹と虎の細工が貼られた、極めて華麗な大鎧で、
実用を超えた工芸作品となっています。
2月14日(火)から2月19日(日)までの期間は国宝の大鎧と胴丸の4領が勢揃いします。

第5章 神々に捧げる芸能
春日若宮おん祭をはじめとする祭礼で奉納される、舞楽や能で使われる作品などの展示です。
観世、宝生など現在の能楽諸座はすべて、春日大社や興福寺に奉仕する大和猿楽に始まっています。
第6章 春日大社の式年造替
約20年に1度行われる式年造替は2016年が60回目とのことです。
造替に関する資料や絵馬、本殿の前に置かれていた獅子・狛犬などの展示です。
会場の最後の記念撮影コーナーには春日灯篭が吊るされていました。

この展覧会は平安の正倉院とも呼ばれた春日大社の宝物の数々を目にすることの出来る
とても貴重な機会です。
展覧会のHPです。
新宿
新宿の東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館では
「クインテットIII 五つ星の作家たち」展が開かれています。
会期は2月19日(日)までです。

この展覧会は「クインテット」(五重奏)と題して、継続的な作品発表の実績があり、
招来有望な5人の作家を紹介する企画です。
今回は3回目で、「自然」をテーマに、川城夏未、木村佳代子、橋本トモコ、堀由樹子、
横溝美由紀の近作・新作約70点が展示されています。
川城夏未さん(1968~)
川城さんは蜜蝋を絵具に混ぜた作品を描いています。

「枕の上の物語りの中」 パステル、キャンバス、パネル

木村佳代子さん(1971~)
宇宙に浮遊する花の生命です。

「BIRTH」 2014年 ミクストメディア(アクリル着彩、麻紙、パネル他)

「1/f」 2016年 ミクストメディア(アクリル着彩、麻紙、パネル他)

橋本トモコさん(1969~)
対象の形も色彩も単純化し、平面的に描いています。
「明日の幻想-江戸川」 2016年 油彩、アブソルバン、綿布、パネル

「明日の幻想-オシロイバナ」 2016年 油彩、白亜地、綿布、パネル

堀由樹子さん(1971~)
樹々に囲まれた生活をしているとのことで、自然を柔らかく受け止めています。
「森の午後」 2016年 油彩、キャンバス

「素描-窓の外」 2016年 オイルパステル、水彩紙

横溝美由紀さん(1968~)
絵具を塗った糸をキャンバスの上に渡し、弾いて直線を引く、大工の墨壺と同じような
技法で描いています。
糸を弾くという身体的行為による、絵画というより彫刻として制作しているそうです。
「blank map M060.020.2016」「blank map F120.024.2016」「blank map M060.023.2016」

展覧会のHPです。
次回の展覧会は「FACE展 2017」です。
会期は2月25日(土)から3月30日(木)までです。

chariot
新宿の東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館では
「クインテットIII 五つ星の作家たち」展が開かれています。
会期は2月19日(日)までです。

この展覧会は「クインテット」(五重奏)と題して、継続的な作品発表の実績があり、
招来有望な5人の作家を紹介する企画です。
今回は3回目で、「自然」をテーマに、川城夏未、木村佳代子、橋本トモコ、堀由樹子、
横溝美由紀の近作・新作約70点が展示されています。
川城夏未さん(1968~)
川城さんは蜜蝋を絵具に混ぜた作品を描いています。

「枕の上の物語りの中」 パステル、キャンバス、パネル

木村佳代子さん(1971~)
宇宙に浮遊する花の生命です。

「BIRTH」 2014年 ミクストメディア(アクリル着彩、麻紙、パネル他)

「1/f」 2016年 ミクストメディア(アクリル着彩、麻紙、パネル他)

橋本トモコさん(1969~)
対象の形も色彩も単純化し、平面的に描いています。
「明日の幻想-江戸川」 2016年 油彩、アブソルバン、綿布、パネル

「明日の幻想-オシロイバナ」 2016年 油彩、白亜地、綿布、パネル

堀由樹子さん(1971~)
樹々に囲まれた生活をしているとのことで、自然を柔らかく受け止めています。
「森の午後」 2016年 油彩、キャンバス

「素描-窓の外」 2016年 オイルパステル、水彩紙

横溝美由紀さん(1968~)
絵具を塗った糸をキャンバスの上に渡し、弾いて直線を引く、大工の墨壺と同じような
技法で描いています。
糸を弾くという身体的行為による、絵画というより彫刻として制作しているそうです。
「blank map M060.020.2016」「blank map F120.024.2016」「blank map M060.023.2016」

展覧会のHPです。
次回の展覧会は「FACE展 2017」です。
会期は2月25日(土)から3月30日(木)までです。

銀座
銀座の日動画廊では創業90周年記念、「藤田嗣治と日動画廊の歴史展」が開かれています。
会期は1月31日(火)まで、日曜日はお休みです。

1928年に長谷川仁の創業した日動画廊は1934年に、パリから帰国していた藤田嗣治の
東京での個展を開いています。
展覧会では、藤田が戦前から戦後にかけて描いた、女性像、裸婦像、猫、子どもたち、
自画像等の作品や当時の資料が展示され、日動画廊と藤田の関わりが紹介されています。
1934年個展開催時、日動画廊前で藤田嗣治を囲む長谷川仁・林子夫妻

*****
同じ銀座の資生堂ギャラリーでは創業90周年記念、「吉岡徳仁 スペクトル」展が
開かれています。
会期は3月26日(日)まで、休館日は月曜日です。

吉岡徳仁さん(1967~)はデザイナーで、透明感のある作品を制作しています。
今回はスペクトラムという、光を使ったインスタレーションの展示です。
霧の中に光の虹が現れています。

透明なガラスのベンチも吉岡さんのデザインです。

展覧会のHPです。
chariot
銀座の日動画廊では創業90周年記念、「藤田嗣治と日動画廊の歴史展」が開かれています。
会期は1月31日(火)まで、日曜日はお休みです。

1928年に長谷川仁の創業した日動画廊は1934年に、パリから帰国していた藤田嗣治の
東京での個展を開いています。
展覧会では、藤田が戦前から戦後にかけて描いた、女性像、裸婦像、猫、子どもたち、
自画像等の作品や当時の資料が展示され、日動画廊と藤田の関わりが紹介されています。
1934年個展開催時、日動画廊前で藤田嗣治を囲む長谷川仁・林子夫妻

*****
同じ銀座の資生堂ギャラリーでは創業90周年記念、「吉岡徳仁 スペクトル」展が
開かれています。
会期は3月26日(日)まで、休館日は月曜日です。

吉岡徳仁さん(1967~)はデザイナーで、透明感のある作品を制作しています。
今回はスペクトラムという、光を使ったインスタレーションの展示です。
霧の中に光の虹が現れています。

透明なガラスのベンチも吉岡さんのデザインです。

展覧会のHPです。
銀座
「澤井珈琲 東京銀座店」は銀座三丁目の交差点の奥の小路にあります。
場所は中央区銀座3-3-7です。

澤井珈琲は鳥取県のコーヒー専門店で、こちらは2016年10月にオープンしたお店です。
通信販売で知られたお店で、東京では他に、浅草の「まるごとにっぽん」に販売専門の
浅草店があります。

いろいろなコーヒーや紅茶が並んでいます。
喫茶室は地下1階にあります。

メニューはほぼ680円で揃っています。

カプチーノ680円です。

クッキーが付きます。
カップはウェッジウッドです。
こちらはアイスコーヒー680円です。

味は普通かなと思います。
東京にも札幌の宮越屋珈琲店、名古屋のコメダ珈琲店、京都のイノダコーヒ、
大阪の丸福珈琲店など、各地のコーヒー店が進出して、変化に富んできました。
chariot
「澤井珈琲 東京銀座店」は銀座三丁目の交差点の奥の小路にあります。
場所は中央区銀座3-3-7です。

澤井珈琲は鳥取県のコーヒー専門店で、こちらは2016年10月にオープンしたお店です。
通信販売で知られたお店で、東京では他に、浅草の「まるごとにっぽん」に販売専門の
浅草店があります。

いろいろなコーヒーや紅茶が並んでいます。
喫茶室は地下1階にあります。

メニューはほぼ680円で揃っています。

カプチーノ680円です。

クッキーが付きます。
カップはウェッジウッドです。
こちらはアイスコーヒー680円です。

味は普通かなと思います。
東京にも札幌の宮越屋珈琲店、名古屋のコメダ珈琲店、京都のイノダコーヒ、
大阪の丸福珈琲店など、各地のコーヒー店が進出して、変化に富んできました。
東京
丸の内オアゾ内の丸善丸の内本店4階ギャラリーAでは1月24日(火)まで、
「山口和男 パステル画展」が開かれています。
山口和男さん(1950~)は神奈川県出身で、油彩画やパステル画を描いています。
展覧会ではパステル画の静物画や風景画など約40点が展示されています。
特に静物画が多く、どれも柔らかな色調で、しっくり落着いた雰囲気です。
「器物と林檎」 キャンソンミタント紙裏面、パステル画

やや霞がかった画面で、それぞれの質感が程よく表されています。
キャンソンミタント紙はフランスのキャンソン社の製造するパステル用紙です。
****
同じ丸の内オアゾ内の丸善丸の内本店4階ギャラリーBでは1月24日(火)まで、
「坪内好子-銅版画とガラス絵の世界」展が開かれています。
坪内好子さん(1966~)は東京出身で、金箔を貼った銅版画やガラス絵を制作しています。
作品には古きヨーロッパの雰囲気があります。
「VENTO BOM, AGUA NA VELA VIII」 銅版画・金箔・手彩色

「良い風が吹いてきた、船出の時だ」という意味とのことで、大航海時代のガレオン船が
風をはらんで海に乗り出しています。
「王国への鍵-TELC-」 銅版画・金箔・手彩色

鍵を乗せた気球が町から空に上がって行きます。
TELC(テルチ)はチェコの古都です。
chariot
丸の内オアゾ内の丸善丸の内本店4階ギャラリーAでは1月24日(火)まで、
「山口和男 パステル画展」が開かれています。
山口和男さん(1950~)は神奈川県出身で、油彩画やパステル画を描いています。
展覧会ではパステル画の静物画や風景画など約40点が展示されています。
特に静物画が多く、どれも柔らかな色調で、しっくり落着いた雰囲気です。
「器物と林檎」 キャンソンミタント紙裏面、パステル画

やや霞がかった画面で、それぞれの質感が程よく表されています。
キャンソンミタント紙はフランスのキャンソン社の製造するパステル用紙です。
****
同じ丸の内オアゾ内の丸善丸の内本店4階ギャラリーBでは1月24日(火)まで、
「坪内好子-銅版画とガラス絵の世界」展が開かれています。
坪内好子さん(1966~)は東京出身で、金箔を貼った銅版画やガラス絵を制作しています。
作品には古きヨーロッパの雰囲気があります。
「VENTO BOM, AGUA NA VELA VIII」 銅版画・金箔・手彩色

「良い風が吹いてきた、船出の時だ」という意味とのことで、大航海時代のガレオン船が
風をはらんで海に乗り出しています。
「王国への鍵-TELC-」 銅版画・金箔・手彩色

鍵を乗せた気球が町から空に上がって行きます。
TELC(テルチ)はチェコの古都です。
新橋・汐留
汐留のパナソニック 汐留ミュージアムでは、
「マティスとルオー展 ― 手紙が明かす二人の秘密 ―」が開かれています。
会期は3月26日(日)までで、休館日は1月25日、 2月1日、8日、15日です。
会期中、2月20日(月)までと2月21日(火)からで、一部展示替えがあります。

国立美術学校の教授のギュスターヴ・モロー(1826-1898)の教えを共に受け、
生涯の友であった、アンリ・マティス(1869-1954)とジョルジュ・ルオー(1871-1958)が
約半世紀に渡って交わした手紙や、その時期の絵画作品を展示する展覧会です。
マティスとルオーは1892年にモローの教室で出会っています。
アンリ・マティス 「スヒーダムの瓶のある静物」
油彩 1896年 マティス美術館、ル・カトー=カンブレジ

初期の作品で、堅実な画風です。
スヒーダムはオランダの都市で、ジンの生産が盛んでした。
アンリ・マティス 「モデル」 1901年 油彩 パリ市立美術館

フォーヴィズムの少し前の時期の作品で、堅牢な画き方です。
確認されている最初の二人の往復書簡は1906年にマティスが南仏のコリウールから
出した葉書です。
アフリカに行った時に受けた強い印象について述べ、ルオーにはアフリカは
合わないだろうと書いています。
また、サロン・ドートンヌへの作品の搬入期日を問い合わせています。
それに対してルオーは、アルジェリアは自分にも合う筈だと答えています。
サロン・ドートンヌは、保守的なサロンに対抗して、マティスやルオー、マルケ、ボナールなど
若手の芸術家の設立した展覧会で、1903年に第1回展が開かれています。
ジョルジュ・ルオー 「花瓶 水浴の女たち」
1909年 ファイアンス パナソニック汐留ミュージアム

ルオーやマティス、ヴラマンク、ドランたちは画商のアンブロワーズ・ヴォラール
(1866-1939)に誘われて、パリ近郊の陶芸家、アンドレ・メテ(1871-1920)の
工房を訪れ、陶器の絵付けを行なっています。
特にルオーは陶芸を重視していました。
ジョルジュ・ルオー 「ブルターニュの風景」
精油で溶いた絵具、紙 1915年 個人蔵

ルオーの父はブルターニュ出身のブルトン人で、ルオー自身もブルターニュの風景に惹かれ、
作品にしています。
厚く堅固に塗られた画面で、紺色の海の色が際立ち、何か精神的なものを感じます。
アンリ・マティス 「窓辺の女」 油彩 1920年 みぞえ画廊
1920年代のマティスはニースを拠点にしています。
マティスの好きな窓辺を描いていて、オテル・ド・ラ・メディテラネからの眺めです。
フォーヴィズムの時代の終った後の作品で、縦横の線による画面構成が効いています。
アンリ・マティス 「室内:二人の音楽家」 油彩 1923年 ポーラ美術館

一人はギターのような楽器を、一人は楽譜を持っています。
明るく平面的で、装飾性の高い、心地良い作品です。
ジョルジュ・ルオー 「曲馬団の娘たち」 油彩 1924-25年 泉屋博古館分館

ルオーはよくサーカスの人たちを描いています。
マティスも晩年の切り絵のシリーズで、サーカスを題材にしています。
ジョルジュ・ルオー 「窓辺の静物」
油彩、グワッシュ 1930年 個人蔵(ジョルジュ・ルオー財団協力)、パリ

静物と風景の組合わせで、ルオー特有のステンドグラスのような太い輪郭線が
強調されています。
アンリ・マティス 「ラ・フランス」 油彩 1939年 ひろしま美術館

第2次世界大戦の始まった年の作品です。
フランスを象徴する女性、ラ・フランスを描いていて、ラ・フランスは赤、白、青の
三色旗の服を着ています。
正面を向き、左右対称の形をした、モニュメンタルな姿をしています。
この作品は出版人のテリアード(1897-1982)が1937年に創刊した美術文芸雑誌、
「ヴェルヴ」の8号(1940)の表紙絵になり、ルオーのジャンヌ・ダルクを主題にした作品も
同じ8号に載せられています。
しかし、1940年にドイツ軍の機甲部隊に攻め込まれたフランスは降伏し、
マティスやルオーも厳しい生活を送ることになります。
二人は互いに画材を融通したり、家族の安否を気遣っています。
マティスの妻と娘は対独レジスタンスの罪で捕らえられ、娘は危うく強制収容所に
入れられるところでした。
ジョルジュ・ルオー 「聖ジャンヌ・ダルク 古い町外れ」
油彩、カンヴァスに貼った紙 1951年 個人蔵(ジョルジュ・ルオー財団協力)、パリ

フランスの救国の英雄であるジャンヌ・ダルクを描いています。
アンリ・マティス 『「ジャズ」 X ピエロの葬式』
ボショワール、紙 1947年 宇都宮美術館

2月20日までの展示です。
晩年、体力の衰えたマティスは、助手が色を塗った紙をハサミで切り抜く
切り絵に取組んでいます。
題名はジャズですが、ジャズそのものを描いた作品は無く、サーカスや
旅行の思い出などを題材にしています。
明快な色彩で、切り絵の特徴を生かした軽やかで自由な作品です。
ジョルジュ・ルオー 「マドレーヌ」
油彩、紙 1956年 パナソニック汐留ミュージアム

ルオー最晩年の作品で、サーカスの女道化師を描いています。
マドレーヌはマグダラのマリアのフランス名で、晩年のルオーは聖書の人物を
題名にすることが多いようです。
晩年も二人の交流は続き、1947年にルオーがマティスに送った絵葉書では、
ドニ(1870-1943)やマルケ(1875-1947)が亡くなっていることを嘆いています。
二人が最後に会ったのは1953年に、ニースに滞在していたルオーが
病床のマティスを訪ねた時です。
画家として、ルオーは精神性を高め、マティスは絵画性を追求するなど、
その方向性はかなり違います。
その二人が生涯、互いを友として深く結ばれていたことを示す往復書簡です。
ルオーとマティス、二人の作品をまとめて観ることも出来る、ちょっとお得な展覧会です。
展覧会のHPです。
次回の展覧会は、「日本、家の列島 ヨーロッパ巡回帰国展」です。
会期は4月8日(土)から6月25日(日)までです。
chariot
汐留のパナソニック 汐留ミュージアムでは、
「マティスとルオー展 ― 手紙が明かす二人の秘密 ―」が開かれています。
会期は3月26日(日)までで、休館日は1月25日、 2月1日、8日、15日です。
会期中、2月20日(月)までと2月21日(火)からで、一部展示替えがあります。

国立美術学校の教授のギュスターヴ・モロー(1826-1898)の教えを共に受け、
生涯の友であった、アンリ・マティス(1869-1954)とジョルジュ・ルオー(1871-1958)が
約半世紀に渡って交わした手紙や、その時期の絵画作品を展示する展覧会です。
マティスとルオーは1892年にモローの教室で出会っています。
アンリ・マティス 「スヒーダムの瓶のある静物」
油彩 1896年 マティス美術館、ル・カトー=カンブレジ

初期の作品で、堅実な画風です。
スヒーダムはオランダの都市で、ジンの生産が盛んでした。
アンリ・マティス 「モデル」 1901年 油彩 パリ市立美術館

フォーヴィズムの少し前の時期の作品で、堅牢な画き方です。
確認されている最初の二人の往復書簡は1906年にマティスが南仏のコリウールから
出した葉書です。
アフリカに行った時に受けた強い印象について述べ、ルオーにはアフリカは
合わないだろうと書いています。
また、サロン・ドートンヌへの作品の搬入期日を問い合わせています。
それに対してルオーは、アルジェリアは自分にも合う筈だと答えています。
サロン・ドートンヌは、保守的なサロンに対抗して、マティスやルオー、マルケ、ボナールなど
若手の芸術家の設立した展覧会で、1903年に第1回展が開かれています。
ジョルジュ・ルオー 「花瓶 水浴の女たち」
1909年 ファイアンス パナソニック汐留ミュージアム

ルオーやマティス、ヴラマンク、ドランたちは画商のアンブロワーズ・ヴォラール
(1866-1939)に誘われて、パリ近郊の陶芸家、アンドレ・メテ(1871-1920)の
工房を訪れ、陶器の絵付けを行なっています。
特にルオーは陶芸を重視していました。
ジョルジュ・ルオー 「ブルターニュの風景」
精油で溶いた絵具、紙 1915年 個人蔵

ルオーの父はブルターニュ出身のブルトン人で、ルオー自身もブルターニュの風景に惹かれ、
作品にしています。
厚く堅固に塗られた画面で、紺色の海の色が際立ち、何か精神的なものを感じます。
アンリ・マティス 「窓辺の女」 油彩 1920年 みぞえ画廊
1920年代のマティスはニースを拠点にしています。
マティスの好きな窓辺を描いていて、オテル・ド・ラ・メディテラネからの眺めです。
フォーヴィズムの時代の終った後の作品で、縦横の線による画面構成が効いています。
アンリ・マティス 「室内:二人の音楽家」 油彩 1923年 ポーラ美術館

一人はギターのような楽器を、一人は楽譜を持っています。
明るく平面的で、装飾性の高い、心地良い作品です。
ジョルジュ・ルオー 「曲馬団の娘たち」 油彩 1924-25年 泉屋博古館分館

ルオーはよくサーカスの人たちを描いています。
マティスも晩年の切り絵のシリーズで、サーカスを題材にしています。
ジョルジュ・ルオー 「窓辺の静物」
油彩、グワッシュ 1930年 個人蔵(ジョルジュ・ルオー財団協力)、パリ

静物と風景の組合わせで、ルオー特有のステンドグラスのような太い輪郭線が
強調されています。
アンリ・マティス 「ラ・フランス」 油彩 1939年 ひろしま美術館

第2次世界大戦の始まった年の作品です。
フランスを象徴する女性、ラ・フランスを描いていて、ラ・フランスは赤、白、青の
三色旗の服を着ています。
正面を向き、左右対称の形をした、モニュメンタルな姿をしています。
この作品は出版人のテリアード(1897-1982)が1937年に創刊した美術文芸雑誌、
「ヴェルヴ」の8号(1940)の表紙絵になり、ルオーのジャンヌ・ダルクを主題にした作品も
同じ8号に載せられています。
しかし、1940年にドイツ軍の機甲部隊に攻め込まれたフランスは降伏し、
マティスやルオーも厳しい生活を送ることになります。
二人は互いに画材を融通したり、家族の安否を気遣っています。
マティスの妻と娘は対独レジスタンスの罪で捕らえられ、娘は危うく強制収容所に
入れられるところでした。
ジョルジュ・ルオー 「聖ジャンヌ・ダルク 古い町外れ」
油彩、カンヴァスに貼った紙 1951年 個人蔵(ジョルジュ・ルオー財団協力)、パリ

フランスの救国の英雄であるジャンヌ・ダルクを描いています。
アンリ・マティス 『「ジャズ」 X ピエロの葬式』
ボショワール、紙 1947年 宇都宮美術館

2月20日までの展示です。
晩年、体力の衰えたマティスは、助手が色を塗った紙をハサミで切り抜く
切り絵に取組んでいます。
題名はジャズですが、ジャズそのものを描いた作品は無く、サーカスや
旅行の思い出などを題材にしています。
明快な色彩で、切り絵の特徴を生かした軽やかで自由な作品です。
ジョルジュ・ルオー 「マドレーヌ」
油彩、紙 1956年 パナソニック汐留ミュージアム

ルオー最晩年の作品で、サーカスの女道化師を描いています。
マドレーヌはマグダラのマリアのフランス名で、晩年のルオーは聖書の人物を
題名にすることが多いようです。
晩年も二人の交流は続き、1947年にルオーがマティスに送った絵葉書では、
ドニ(1870-1943)やマルケ(1875-1947)が亡くなっていることを嘆いています。
二人が最後に会ったのは1953年に、ニースに滞在していたルオーが
病床のマティスを訪ねた時です。
画家として、ルオーは精神性を高め、マティスは絵画性を追求するなど、
その方向性はかなり違います。
その二人が生涯、互いを友として深く結ばれていたことを示す往復書簡です。
ルオーとマティス、二人の作品をまとめて観ることも出来る、ちょっとお得な展覧会です。
展覧会のHPです。
次回の展覧会は、「日本、家の列島 ヨーロッパ巡回帰国展」です。
会期は4月8日(土)から6月25日(日)までです。
表参道
表参道の根津美術館ではコレクション展、「染付誕生400年」が開かれています。
会期は2月19日(日)までです。

朝鮮の陶工、李三平は約400年前の1616年に肥前有田で初めて磁器を焼いたとされています。
展覧会では1998年に山本正之氏が寄贈した作品を中心に、17世紀から19世紀にかけての、
染付、柿右衛門、鍋島焼などの肥前磁器が展示されています。
「染付鷺矢羽根文皿」 肥前 17世紀前期-中期

初期の小さな皿で、中央に白抜きで白鷺、周りに矢羽根が描かれています。
肥前磁器でよく題材にされる白鷺の早い作例とのことです。
鷹の羽に囲まれていて、白鷺も居心地の悪いことでしょう。
「染付楼閣山水文台皿」 肥前 17世紀前期-中期

初期の作らしく、器形にやや歪みがあって、大らかな姿をしています。
「染付流水菊花文稜花鉢」 肥前 17世紀中期-後期

中央には水に浮かぶ菊花、周りには垣根や竹、梅がていねいに描き込まれています。
「染付雪柴垣文軍配形皿」 肥前 17世紀

軍配の形をした皿で、柴垣に積もった雪を白抜きで表しています。
空に描かれた放射状の物は花とのことです。
白と青を活かした、幻想的な光景です。
寛文(1661-1673)、延宝(1673-1681)の頃には器の形や文様が和様になり、
構図も非対照で、余白が多くなったそうです。
「色絵三果文稜花皿」 肥前 17世紀後期-18世紀前期

三果文は桃、柘榴、仏手柑(あるいはライチ)を配する絵柄です。
稜花皿は縁が尖りのある花の形になっている皿です。
酒井田柿右衛門家文書によれば、初代柿右衛門は長崎で中国人から
色絵の技術を学び、正保4年(1647)には加賀前田家に製品を販売しています。
「色絵寿字文独楽形鉢」 肥前 17世紀末期-18世紀前期

華やかな金襴手の鉢で、中央の壽の文字は金で縁取りされ、左右には巻物、
打ち出の小槌、上下には隠れ蓑、宝珠、丁子などの宝尽し文が描かれています。
「染付白鷺文皿」 肥前 17世紀

佐賀鍋島藩の直営窯で製作された鍋島焼です。
全体にむらなく薄く塗られた顔料は水辺の景色を表し、鷺や蓮の葉は白い生地を残して
描かれています。
鍋島焼は大名への贈答用に使われ、デザインがすっきりとモダンで、スキがありません。
肥前磁器の初期から発展していった様子がよく分かる展示です。
展示室5は正月恒例の「百椿図」の展示です。

丹波国篠山藩、後に播磨国明石藩7万石の藩主となった松平忠国(1597~1659)の
注文により狩野山楽が描いたとされ、忠国とその子で老中にもなった信之(1631-86)の
2代にわたって、それぞれの花に著名人に漢詩や和歌の賛を書いてもらっています。
本之巻、末之巻の2巻併せて約24mあり、100種類以上もの椿を描き並べています。
賛を寄せたのは49人で、大名は松平忠国と徳川光圀、加藤明友(加藤嘉明の孫)です。
他に公家の烏丸光広、歌人、俳人の北村季吟、俳人の西山宗因、僧の松花堂昭乗、
儒者の林羅山などがいます。
展示室6のテーマは「点初め-新年を祝う-」です。
点初め(たてぞめ)はその年最初の茶会のことで、干支や正月にちなんだ茶道具が
展示されています。
「小松引図」(部分) 冷泉為恭 江戸時代 19世紀

小松引は正月最初の子の日に野の小松を引いて長寿を願う平安時代の行事です。
みやびな行事で、よく画題にもなっています。
掛軸で、上の方には峰の松が描かれています。
冷泉為恭(1823~64)は幕末の絵師で、大和絵に優れ、王朝文化を題材にした作品を
多く描いています。
「大井戸茶碗 銘 三芳野」 高麗茶碗 朝鮮時代 16世紀 重要美術品

井戸茶碗は朝鮮時代の日常雑器で、日本の茶人が茶器に見立てたものです。
大振りの井戸茶碗を大井戸と呼びます。
高台は高く、くっきりとしていて、口縁には金継も見えます。
「赤楽富士茶碗」 伝覚々斎作 江戸時代 17~18世紀

ぶっくりした茶碗に富士山のような太い線が入っています。
覚々斎(1678-1730)は表千家6代家元です。
1階の展示室3は3月31日(金)まで、興福寺中金堂再建記念特別展示、
「再会 ─興福寺の梵天・帝釈天」です。

右 「梵天立像」 定慶作 木造彩色 鎌倉時代 建仁2年(1202) 興福寺蔵 重要文化財
左 「帝釈天立像」 定慶作 木造彩色 鎌倉時代 建仁元年(1201)

像高約180㎝の桧の寄木造で、やや前傾し、堂々とした姿です。
帝釈天は甲冑を着け、蓮の蕾を持ち、衣装には截金が残っています。
顔は明治以降の後補なので、梵天に比べ彫りが深く、くっきりとした顔立ちです。
梵天立像と帝釈天立像は興福寺に置かれていましたが、帝釈天立像は明治の
廃仏毀釈で荒廃した興福寺の復興に協力した、三井財閥の益田鈍翁に渡っています。
今回は2018年の中金堂の落慶をひかえての、112年振りの再会とのことで、
2体並んでの展示です。
展覧会のHPです。
次回の展覧会は特別展「高麗仏画-香りたつ装飾美-」です。
会期は3月4日(土)から3月31日(金)までです。

chariot
表参道の根津美術館ではコレクション展、「染付誕生400年」が開かれています。
会期は2月19日(日)までです。

朝鮮の陶工、李三平は約400年前の1616年に肥前有田で初めて磁器を焼いたとされています。
展覧会では1998年に山本正之氏が寄贈した作品を中心に、17世紀から19世紀にかけての、
染付、柿右衛門、鍋島焼などの肥前磁器が展示されています。
「染付鷺矢羽根文皿」 肥前 17世紀前期-中期

初期の小さな皿で、中央に白抜きで白鷺、周りに矢羽根が描かれています。
肥前磁器でよく題材にされる白鷺の早い作例とのことです。
鷹の羽に囲まれていて、白鷺も居心地の悪いことでしょう。
「染付楼閣山水文台皿」 肥前 17世紀前期-中期

初期の作らしく、器形にやや歪みがあって、大らかな姿をしています。
「染付流水菊花文稜花鉢」 肥前 17世紀中期-後期

中央には水に浮かぶ菊花、周りには垣根や竹、梅がていねいに描き込まれています。
「染付雪柴垣文軍配形皿」 肥前 17世紀

軍配の形をした皿で、柴垣に積もった雪を白抜きで表しています。
空に描かれた放射状の物は花とのことです。
白と青を活かした、幻想的な光景です。
寛文(1661-1673)、延宝(1673-1681)の頃には器の形や文様が和様になり、
構図も非対照で、余白が多くなったそうです。
「色絵三果文稜花皿」 肥前 17世紀後期-18世紀前期

三果文は桃、柘榴、仏手柑(あるいはライチ)を配する絵柄です。
稜花皿は縁が尖りのある花の形になっている皿です。
酒井田柿右衛門家文書によれば、初代柿右衛門は長崎で中国人から
色絵の技術を学び、正保4年(1647)には加賀前田家に製品を販売しています。
「色絵寿字文独楽形鉢」 肥前 17世紀末期-18世紀前期

華やかな金襴手の鉢で、中央の壽の文字は金で縁取りされ、左右には巻物、
打ち出の小槌、上下には隠れ蓑、宝珠、丁子などの宝尽し文が描かれています。
「染付白鷺文皿」 肥前 17世紀

佐賀鍋島藩の直営窯で製作された鍋島焼です。
全体にむらなく薄く塗られた顔料は水辺の景色を表し、鷺や蓮の葉は白い生地を残して
描かれています。
鍋島焼は大名への贈答用に使われ、デザインがすっきりとモダンで、スキがありません。
肥前磁器の初期から発展していった様子がよく分かる展示です。
展示室5は正月恒例の「百椿図」の展示です。

丹波国篠山藩、後に播磨国明石藩7万石の藩主となった松平忠国(1597~1659)の
注文により狩野山楽が描いたとされ、忠国とその子で老中にもなった信之(1631-86)の
2代にわたって、それぞれの花に著名人に漢詩や和歌の賛を書いてもらっています。
本之巻、末之巻の2巻併せて約24mあり、100種類以上もの椿を描き並べています。
賛を寄せたのは49人で、大名は松平忠国と徳川光圀、加藤明友(加藤嘉明の孫)です。
他に公家の烏丸光広、歌人、俳人の北村季吟、俳人の西山宗因、僧の松花堂昭乗、
儒者の林羅山などがいます。
展示室6のテーマは「点初め-新年を祝う-」です。
点初め(たてぞめ)はその年最初の茶会のことで、干支や正月にちなんだ茶道具が
展示されています。
「小松引図」(部分) 冷泉為恭 江戸時代 19世紀

小松引は正月最初の子の日に野の小松を引いて長寿を願う平安時代の行事です。
みやびな行事で、よく画題にもなっています。
掛軸で、上の方には峰の松が描かれています。
冷泉為恭(1823~64)は幕末の絵師で、大和絵に優れ、王朝文化を題材にした作品を
多く描いています。
「大井戸茶碗 銘 三芳野」 高麗茶碗 朝鮮時代 16世紀 重要美術品

井戸茶碗は朝鮮時代の日常雑器で、日本の茶人が茶器に見立てたものです。
大振りの井戸茶碗を大井戸と呼びます。
高台は高く、くっきりとしていて、口縁には金継も見えます。
「赤楽富士茶碗」 伝覚々斎作 江戸時代 17~18世紀

ぶっくりした茶碗に富士山のような太い線が入っています。
覚々斎(1678-1730)は表千家6代家元です。
1階の展示室3は3月31日(金)まで、興福寺中金堂再建記念特別展示、
「再会 ─興福寺の梵天・帝釈天」です。

右 「梵天立像」 定慶作 木造彩色 鎌倉時代 建仁2年(1202) 興福寺蔵 重要文化財
左 「帝釈天立像」 定慶作 木造彩色 鎌倉時代 建仁元年(1201)


像高約180㎝の桧の寄木造で、やや前傾し、堂々とした姿です。
帝釈天は甲冑を着け、蓮の蕾を持ち、衣装には截金が残っています。
顔は明治以降の後補なので、梵天に比べ彫りが深く、くっきりとした顔立ちです。
梵天立像と帝釈天立像は興福寺に置かれていましたが、帝釈天立像は明治の
廃仏毀釈で荒廃した興福寺の復興に協力した、三井財閥の益田鈍翁に渡っています。
今回は2018年の中金堂の落慶をひかえての、112年振りの再会とのことで、
2体並んでの展示です。
展覧会のHPです。
次回の展覧会は特別展「高麗仏画-香りたつ装飾美-」です。
会期は3月4日(土)から3月31日(金)までです。

蔵前
カフェ「コフィノワ」は都営地下鉄大江戸線蔵前駅の南側の小路にあります。
場所は台東区蔵前3-20-5です。

2016年8月にオープンした自家焙煎のコーヒー店で、店内は10席ほど、全席禁煙、
簡素なつくりです。
BGMにエストレリータが流れていました。


すぐ横に焙煎機があり、なかなか存在感があります。

メニューのトーストはペリカンのパンを使っています。

バタートースト300円です。

ペリカンのパンはあっさりとした自然な味わいです。
こちらはオニオンチーズトースト500円です。

カプチーノ430円です。

ドリップコーヒー450円はグアテマラにしました。

美味しいコーヒーは色変わりの可愛いカップに入っています。
ドリンクセットにすると50円引きになります。
お店の方の応対もていねいで、居心地の良いお店です。
近くの厩橋まで歩いてみました。

橋の名前にちなんで、柱や欄干などに馬をあしらってあります。


1929年の竣工で、リベットが使われています。

chariot
カフェ「コフィノワ」は都営地下鉄大江戸線蔵前駅の南側の小路にあります。
場所は台東区蔵前3-20-5です。

2016年8月にオープンした自家焙煎のコーヒー店で、店内は10席ほど、全席禁煙、
簡素なつくりです。
BGMにエストレリータが流れていました。


すぐ横に焙煎機があり、なかなか存在感があります。

メニューのトーストはペリカンのパンを使っています。

バタートースト300円です。

ペリカンのパンはあっさりとした自然な味わいです。
こちらはオニオンチーズトースト500円です。

カプチーノ430円です。

ドリップコーヒー450円はグアテマラにしました。

美味しいコーヒーは色変わりの可愛いカップに入っています。
ドリンクセットにすると50円引きになります。
お店の方の応対もていねいで、居心地の良いお店です。
近くの厩橋まで歩いてみました。

橋の名前にちなんで、柱や欄干などに馬をあしらってあります。


1929年の竣工で、リベットが使われています。
