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「六古窯―<和のやきもの>」展 出光美術館
日比谷・有楽町
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丸の内の出光美術館では「六古窯―<和のやきもの>」展が開かれています。
会期は6月9日(日)までです。

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六古窯とは陶磁器研究家の小山富士夫の命名によるもので、中世から現在まで
生産の続く、瀬戸、常滑、越前、信楽、丹波、備前の6つの窯のことです。
元々は生活の道具として使われていましたが、やがて茶道具としても注目されています。

「灰釉牡丹文共蓋壺」 瀬戸窯 鎌倉時代後期 出光美術館
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愛知県瀬戸市中心の窯で、須恵器の窯の猿投窯を受継ぎ、高級品である施釉陶器などを
生産しています。
高さ約31㎝、粘土のひもを巻くように重ねるひも作りで、元の青磁の壺をモデルにしていて、
胴に牡丹文が彫ってあります。

「大壺」 常滑焼 平安時代後期 出光美術館
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愛知県常滑市を中心にした窯で、猿投窯に連なり、大型の壺や甕を生産しています。
高さ約50㎝あり、ひも作りで、自然釉が流れ落ち、土くずなどが貼り付いた「振り物」が
見られます。

「双耳壺」 越前窯 室町時代 福井県陶芸館
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福井県越前町の窯で、平安時代に始まり、壺、甕、擂り鉢といった生活用品に特化し、
茶道具は作りません。
高さ約40㎝、焼成中に窯の中で倒れ、さらに逆の向きに倒れたため、自然釉が複雑に
流れて、豪快な景色を見せています。
 
「鬼桶水指」 信楽窯 桃山時代 愛知県陶磁美術館
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滋賀県甲賀市信楽を中心にした窯で、中世に発展し、茶陶も盛んに作るようになります。
「鬼桶」は繊維を水に浸けてほぐす「緒桶(おおけ)」が訛ったもので、茶席の水指に
見立てています。

「筒茶碗」 信楽窯 桃山時代 出光美術館
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信楽特有の赤い地肌に灰釉がかかり、内側も滑らかです。

「大壺」 丹波窯 室町時代 出光美術館
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兵庫県篠山市今田地区の窯で、平安末期頃から始まり、茶陶も作っています。
高さ約42㎝のひも作りで、丹波独特の淡緑色の自然釉が流れています。

「壺」 備前焼 室町時代後期 兵庫陶芸美術館
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岡山県備前市周辺の窯で、須恵器から発展したとされており、丈夫で壊れにくいと評判で、
各地に流通しています。
信楽と並んで、早くから茶陶を数多く作っています。
高さ約40㎝のひも作りで、へらで削って形を調整しています。
肩に線が入り、自然釉が掛かっています。

「灰釉葦鷺文三耳壺」 渥美窯 平安時代 愛知県陶磁美術館 重要文化財
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愛知県の渥美半島で平安末期から鎌倉時代に焼かれていた窯ですが、廃絶しています。
高さ約39㎝、砂質の土をひも作りで成形し、浅く大らかな線彫りをしています。


他に唐物として喜ばれた中国陶磁や青銅器なども展示されています。

「唐物肩衝茶入 銘 道阿弥」 福建系 南宋時代 大名物・柳営御物 出光美術館 
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胴の中央に線が入り、釉薬の垂れた、釉なだれが見られます。
かなり使い込まれたようで、表面に手摺れの痕があります。
関ヶ原の戦いの功で徳川家康から山岡景友(道阿弥)に賜ったことからこの名があります。

「青磁袴腰香炉」 龍泉窯 南宋時代~元時代 出光美術館
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青銅器を模した香炉で、袴を着けたような形から名付けられました。

今は廃絶した猿投窯、能登の珠洲窯の作も展示され、古窯の素朴な力強さを
存分に味わえる展覧会です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「唐三彩―シルクロードの至宝」展です。
会期は6月22日(土)から8月25日(日)です。

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【2019/04/30 21:10】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「びわ湖長浜KANNON HOUSE」 高月町井口 日吉神社 十一面観音坐像
上野
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京成上野駅近くの「びわ湖長浜KANNON HOUSE」に行ってきました。
場所は台東区上野2-14-27で、京成上野駅と不忍池の間にあります。

観音の里として知られる滋賀県長浜市が、「観音」をテーマとして
2016年の3月にオープンした情報発信拠点で、開館時間は午前10時から午後6時、
入館は無料、休館日は月曜日です。

その長浜市には130体を超える観音像があり、約2か月に1体ずつこちらで
展示しています。

3月19日からは約2か月の予定で、高月町井口の日吉神社の十一面観音坐像をはじめ
5体が展示されています。

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円満寺(日吉神社)には中世、神仏習合期の像、19体が伝えられています。
日吉山王二十一社」の本地仏と垂迹神で、21体あったものが2体失われています。

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中心の十一面観音坐像は伊弉冉尊(イザナミノミコト)の本地仏で、鎌倉時代の作、
金箔と彩色が施され、玉眼が入っています。

像の台座と背中には社名と神名が書かれています。

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十一面観音坐像が一番大きいのは当地の独自の信仰によるものではないかということで、
湖北地方に観音像が多く残されているのは、かつて己高山(こだかみやま)で
盛んだった山岳信仰の影響と思われるとのことです。

前回のlびわ湖長浜KANNON HOUSEの記事です。

「びわ湖長浜KANNON HOUSE」のHPです。


上野公園にはいろいろの種類の桜があります。

陽光(ヨウコウ)
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寒山(カンザン)
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鬱金(ウコン)
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八尾紅虎尾(ヤオベニトラノオ)
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早晩山(イツカヤマ)
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上野山下の証券会社のパンダはお花見で盛り上がっていました。
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【2019/04/29 18:50】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
亀戸天神の藤
亀戸・錦糸町
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昨日、亀戸天神の藤を見に行ってきました。
亀戸駅、錦糸町駅からそれぞれ15分ほどの所にあります。
雨模様の肌寒い日でしたが、かなりの参拝客で賑わっていました。
今日は天気も良く、大変に込み合っているそうで、時間に余裕が必要です。

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園内にはいろいろの種類の梅の木が植えられていて、梅の実も成っていました。

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舞台では、昭和初期の流行歌を歌って評判の「東京大衆歌謡楽団」が演奏して、
大勢の観客を集めていました。
レトロな楽団ですが、最年長のヴォーカルの方は1983年生まれです。
歌っていたのは春日八郎の「お富さん」(1954年)や三橋美智也の「古城」(1959年)でした。


「くず餅船橋屋」は当然、行列が出来ていたので、蔵前橋通りを錦糸町駅に向かって歩き、
「スミダ珈琲」に行きましたが、こちらも満席でした。

以前、「スミダ珈琲」に行った時の記事です。

そこで、東京駅に行き、丸の内KITTEの「SAZA COFFEE KITTE 丸の内店」で
ひと休みし、徳川将軍珈琲をいただきました。

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以前、「SAZA COFFEE KITTE 丸の内店」に行った時の記事です。


【2019/04/28 14:38】 街歩き | トラックバック(0) | コメント(2) |
「リニューアル・オープン記念展」 東京都現代美術館
清澄白河
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東京都現代美術館では、「リニューアル・オープン記念展」が開かれています。
会期は6月16日(日)までです。

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東京都現代美術館は約3年のリニューアル工事が終わり、3月29日にオープンし、
2つの展覧会が開かれています。

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企画展 「百年の編み手たち - 流動する日本の近現代美術 -」

1910年代から現在まで、現代美術館の所蔵する近現代作家の作品の展示です。


「MOTコレクション ただいま / はじめまして」

休館中に収蔵した約400点の作品の展示です。

館内のソファーもコルク製に替わり、中庭にも置かれています。

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「発見の塔」 アンソニー・カロ 1991年
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「ロッキング・マンモス」 ヤノベケンジ 2005年
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以前は写真のようにロビーに置かれていましたが、今回は展示室内に展示されています。

2階のカフェもベトナム風の「カフェ・ハイ」から「ニ階のサンドイッチ」に替わりました。

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私が行ったのはオープン初日の午後だったので、残念ながらサンドイッチは
売り切れでした。
紙を持っているのは東京国立博物館のマスコット、東博(あずまひろし)君の
モデルになったのと同じ埴輪です。

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ブレンドコーヒー432円とアッサムティー432円です。

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展覧会のHPです。


【2019/04/27 20:08】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ハネカフェ」 清澄白河 2019/4
清澄白河
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清澄白河の「ハネカフェ」に行ってきました。
場所は江東区三好1-8-4で、地下鉄清澄白河駅から清澄通りを南へ少し行った
左側にあります。

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明るい店内は全席禁煙、座席数も少なめで、ゆったりとしています。
コンセプトは「旅客機&エアライン」とのことで、エアラインのポスター、
旅客機の模型、クルーの制帽など、航空関係のグッズがたくさん並んでいます。
「ハネ」は翼の意味です。

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壁に映っている時計も駐機場のようです。

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水のグラスも機内で使われている物で、こちらはキャセイパシフィックとKLMです。

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ロンネフェルト紅茶450円です。

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こちらはハネカフェブレンド450円とチーズタルト450円です。
ドリンクとセットで100円引きになります。

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注文の都度挽いて、ドリップで淹れるコーヒーは甘さ控えめのタルトとよく合います。
2009年の3月のオープンということで、10周年記念のボールペンをいただきました。

清澄白河の現代美術館は長い改修期間の後、ようやく3月にリニューアルオープン
しましたが、マスターによればおかげで閉館の間はお客さんも少なめだったそうです。

現代美術館の隣の木場公園に訪れた春です。

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以前、「ハネカフェ」に行った時の記事です。


【2019/04/26 21:12】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち」 新橋 パナソニック汐留美術館
新橋・汐留
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新橋のパナソニック汐留美術館では「ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち」が
開かれます。
会期は6月23日(日)まで、休館日は水曜日です。

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なお、「パナソニック汐留ミュージアム」は4月1日に「パナソニック汐留美術館」に
名称を変更しています。

象徴主義の画家、ギュスターヴ・モロー(1826‐1898)の描いた女性像に
焦点を当てた展覧会で、パリのギュスターヴ・モロー美術館所蔵する
油彩、水彩、素描など、約70点が展示されます。

「24歳の自画像」 油彩、カンヴァス 1850年
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「アレクサンドリーヌ」 インク、鉛筆、紙
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モローは生涯、未婚でしたが、1859年頃に出会ったアレクサンドリーヌ・デュルーという
恋人がいました。
アレクサンドリーヌは1890年に亡くなっていますが、深く愛していたモローは
その思い出に自宅を改造した美術館にアレクサンドリーヌの部屋を設けています。

モローは又、母ポリーヌを愛していて、制作について相談もしており、素描だけで
40点近くを描いてます。

「パルクと死の天使」 油彩、カンヴァス 1890年頃
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アレクサンドリーヌの亡くなった頃に描かれた作品です。
パルクはローマ神話の運命の女神で、ギリシャ神話のモイラに相当します。
その中の運命の糸を断ち切る女神のアトロポスが死の天使の乗る馬の手綱を
取っています。
パルクも馬もうなだれて葬送の行列のようです。
冷たく凍る藍色の空に浮かぶ天使たちは分厚い絵具のかたまりで描かれ、
形のデッサンよりも色彩と幻想を重視したモローの資質が強く表れています。

「エウロペの誘拐」 油彩、カンヴァス 1868年
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エウロペはギリシャ神話に登場する女性で、白い牡牛に変身したゼウスに
誘拐されています。
大きな作品で、ゼウスは神の顔を顕し、エウロペは身を預けています。
筆遣いも細かく、精緻な描き方です。

「トロイアの城壁に立つヘレネ」 油彩、カンヴァス 1868年
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ギリシャ神話の「パリスの審判」の結果、トロイアに奪い去られたヘレネを
取り返そうとして起こされたのがトロイア戦争です。
犠牲者の横たわる城壁に赤い花を持って立つヘレネは観音像のようにも見えます。

「メッサリーナ」 油彩、カンヴァス
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メッサリーナ(20-48)は第4代ローマ皇帝クラウディウスの妻で、
強欲と放縦で有名でした。
夫を殺害しようと謀りますが、露見して殺されています。
暗い赤色の中でベッドに片膝を乗せた姿で浮かび上がる裸体や、
背後に見える女性や明かりを持つ人物は身をやつして売春宿で
男と交わったと伝えられるその人物像を表しています。

「出現」 油彩、カンヴァス 1876年頃
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大きな作品で、ルーヴル美術館の所蔵する水彩画と同じ頃に描かれています。
サロメは古代ユダヤのヘロデ王の前で舞を披露して、ご褒美に自分の母を非難した
洗礼者ヨハネの首を貰ったと、新約聖書に書かれた女性です。
暗い宮殿の中で、光を放つヨハネの首はサロメの体を照らし出しています。
白い蓮を手にしたサロメは驚いて、空中に現れたヨハネの首を指さしていますが、
ヘロデや他の人物は気付いておらず、ニ人だけの緊張した瞬間です。
建物の白い描線は最晩年に描き加えられています。
サロメは魅惑的な悪女として多くの画家を惹き付け、さまざまな作品が描かれています。

サロメは男性の運命を狂わせるファム・ファタル(Femme fatale、運命の女)の
代表格ですが、イヴやデリラ、クレオパトラ、ギリシャ神話のセイレーンなどを
描いた作品も展示されています。

モローは妖しい魅力を持つファム・ファタルを題材にした作品を多く描いていますが、
清純な女性も描いています。

「一角獣」 油彩、カンヴァス 1885年頃
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一角獣は獰猛な動物ですが、清純な乙女には従順とされています。
この一角獣も女性に気持ちを合わせるように片脚を上げています。

「一角獣」 油彩、カンヴァス 1885年頃
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特に装飾的な作品で、豪華な衣装の女性に一角獣がなついています。

モローはパリのクリュニー中世美術館の所蔵する、1500年頃に製作された、
「貴婦人と一角獣」という名の6枚の大きなタピスリーを観たのがきっかけ
で描いたそうです。

2013年に国立新美術館ではこのタピスリーを展示する、「貴婦人と一角獣展」が
開かれていました。

(参考)
「貴婦人と一角獣」(部分)
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「貴婦人と一角獣展」の記事です。


モローの作品は自画像以外すべて女性像と言ってよいほどですが、展示されている作品も
その通りで、さまざまの物語を持つ女性たちが描かれ、劇的な題材を追求するモローの
情熱が伝わります。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「マイセン動物園展」です。
会期は7月6日(土)から 9月23日(月・祝)までです。

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【2019/04/25 19:43】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「所蔵資料展」 新宿区立新宿歴史博物館 
四谷三丁目・曙橋
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新宿区立新宿歴史博物館では、「所蔵資料展、「新宿の遺跡2019 
[特集] 尾張徳川家戸山屋敷とその周辺」が開かれています。
会期は5月12日(日)までです。
場所は新宿区三栄町22です。

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新宿区で最近発掘された遺跡を紹介する展示です。

旧石器時代
都営大江戸線若松河田駅近くの若松町遺跡では約2万年前の旧石器時代の
遺跡が発見されています。
石器や石器を作る時に出来た剥片が出土し、ここで石器を作っていたことが分かります。
材料はここから80㎞以上離れた、箱根町畑宿の黒曜石です。
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縄文時代
新宿区には約13000年前の縄文時代草創期から人が暮らしており、約5000年前の
縄文時代中期には大規模集落が出現しています。
目白大学構内を中心とする落合遺跡では縄文時代中期の竪穴住居跡が101軒があり、
最近の発掘で更に6軒が発見されています。
底を打ち欠いて床面に逆さまに置かれた土器も出土しており、何かの儀礼と
考えられています。
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弥生時代
新宿区では紀元1世紀頃には本格的な農耕社会が始まったと思われます。
白銀公園周辺の白銀町西遺跡では弥生時代の住居跡6軒と方形周溝墓1基が
確認されています。
住居跡1軒と方形周溝墓は弥生時代中期後葉のもので、住居跡からは
ほぼ完全な形の宮ノ台式の区内最古の弥生土器の壺が出土しています。
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古墳時代
牛込の北町・中町・南町周辺では古墳時代の竪穴式住居跡があり、
最近の調査で更に北町で13軒、発見されています。

江戸時代

地鎮遺構
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白銀町遺跡では旗本屋敷跡から地鎮遺構が派遣されています。
1m四方ほどの穴に2枚の素焼きの皿を向かい合わせにしたものを5組据え、
約170枚の銅銭が撒かれています。

火災被災資料
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払方町遺跡は中下級の旗本屋敷のあった所で、享保期の火災で焼けた
陶磁器類が発掘しています。
700石の松下家の家財道具と考えられ、高級な鍋島焼も含まれています。

尾張徳川家下屋敷(戸山屋敷)
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諏訪通り、明治通り、大久保通りに囲まれ、国立国際医療研究センターや
戸山公園のある一帯は尾張徳川家の下屋敷で、13万6千坪もありました。

学習院女子中・高等科グラウンドからは屋敷を囲む御堀が発掘されています。
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大久保通り近くにあった表御殿と家来の長屋の間の跡からは多くの陶磁器が
出土しています。

色絵獅子耳筒口形花入生
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上品な作で、18世紀の京焼と思われます。

池泉回遊式庭園の御泉水や園路
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早稲田大学戸山キャンパスの隣には龍門滝という滝が造られ、
御泉水の水を落としていました。
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展覧会のHPです。


常設展示には所々に撮影スポットが設けられています。

鉄文字徳利が並んでいます。
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鉄文字徳利は鉄釉で商標や店名・屋号などを書いた陶器の酒瓶です。
量り売りの酒を入れて客に貸していて、通い徳利、貧乏徳利とも呼ばれています。
信楽焼の狸が通い帳と一緒に持っているのが通い徳利です。
江戸時代にはまだ鉄文字は稀で、器面を傷つけて文字を刻んでいたそうです。
産地は岐阜県多治見市の高田町や小名田町辺りですが、ガラスの一升瓶の
普及と共に廃れています。

甲州街道の宿場町である内藤新宿の模型です。
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新宿は内藤家が拝領した土地で、そこに宿場が開かれました。
右上に玉川上水が流れ、桜並木が植えられています。
玉川上水は四谷大木戸まで続き、そこから暗渠になって江戸市中に
水を配っていました。

四谷駅近くにあった菓子店で、耐火性に優れた蔵造りになっています。
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階段たんすから猫が見ています。
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東京市電の5000形が復元展示されています。
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昭和初期に流行した文化住宅です。
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日本建築の住宅に洋間を継ぎ足した、和洋折衷の一つの形です。

以前、「新宿歴史博物館」に行った時の記事です。


【2019/04/24 22:00】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「尾形光琳の燕子花図―寿ぎの江戸絵画―」 根津美術館
表参道
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南青山の根津美術館では特別展、「尾形光琳の燕子花図―寿ぎの江戸絵画―」が
開かれています。
会期は5月12日(日)までです。

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毎年この季節恒例の、「燕子花図屏風」を中心にして、草花や名所を題材にした
江戸時代の作品の展示です。

「燕子花図屏風」 六曲一双 尾形光琳 江戸時代・18世紀 根津美術館 国宝
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(右隻)
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(左隻)
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「桜下蹴鞠図屏風」 六曲一双 江戸時代 17世紀 重要美術品
(右隻)
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お公家さんや僧侶が蹴鞠に興じています。
蹴鞠は4本の木の間で行なわれますが、この絵では満開の桜になっています。
鞠が画面上で半分だけ飛び出しています。

左隻では、塀の外で従者たちが退屈そうに主人の帰りを待っています。
大きく伸びをして、あくびする者もいて、のどかな風景です。
右隻の人物が様々の衣装を着て、動きのあるのに対し、左隻の従者たちは
黒烏帽子に白の水干姿で、静かに座っています。
左隻の、水辺を表す線も大胆で、モダンです。
右隻と左隻を、枝を伸ばした桜がつないでいます。
大らかな雰囲気で、俵屋宗達の工房による製作と考えられています。


「源氏物語図屏風」 六曲一双 住吉具慶 江戸時代 17世紀
右隻
若菜巻上で、光源氏40歳の祝賀の場面で、養女の玉鬘が若菜を差し上げ、
二人は和歌を取り交わしています。

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左上が源氏です。

左隻
若菜巻下で、源氏や紫の上、明石の君の一行が住吉詣でをしています。

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『草花図屏風 「伊年」印』 六曲一隻 江戸時代 17世紀
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「伊年」印の捺された屏風は俵屋宗達の工房の作と云われ、これはその中でも
初期の作とされています。
右に桜草、蒲公英、菫、菜の花、中央に竹、風車、蕗、山吹、芥子、紫蘭、
ドクダミ、左には芥子、杜若、蓮、オモダカなどが描かれています。
多種類の草花を写実的に描くのは中国の本草学への関心も背景にあるとのことです。

「四季草花図屏風」 六曲一双 「伊年」印 江戸時代 17世紀
(左隻)
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穏やかな色調で、植物を四季の移り変わりにつれて、右から左に描いています。
薊、蒲公英、土筆、大根、鉄線花、撫子、牡丹、立葵、百合、紫陽花、鶏頭、粟、
茄子、薄、桔梗、萩、菊、南天、水仙などです。
「伊年」の印が押してあるので、これも俵屋宗達の工房の作品と思われます。

「小松引図」(部分) 冷泉為恭 江戸時代 19世紀
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小松引は正月最初の子の日に野の小松を引いて長寿を願う平安時代の行事です。
みやびな行事で、よく画題にもなっています。
掛軸で、上の方には峰の松が描かれています。
冷泉為恭(1823~64)は幕末の絵師で、大和絵に優れ、王朝文化を題材にした作品を
多く描いています。

「宇治橋図屏風」 二曲一隻 桃山時代 16~17世紀
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宇治川沿いの賑わいです。
画面右下に平等院が見えます。

川向こうの左上には黄檗山万福寺が見えます。
日本にインゲン豆を伝えた隠元禅師の開いたお寺です。

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宇治川名物の水車が回り、川では布を晒しています。
宇治橋には張り出しもあります。

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「洛中洛外図屏風」 八曲一双 江戸時代 17世紀
右隻
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左隻
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右隻には、東山の清水寺、八坂の塔、方広寺大仏殿、内裏、祇園祭の山鉾巡行
などが見えます。

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方広寺は豊臣秀吉の建てた寺で、東大寺大仏殿より大きな大仏殿は1798年に
焼失するまで京の名所だったということです。
右側の赤い柱の大きな建物です。

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天皇、足利、豊臣、徳川といった、時々の権力者の象徴を一つの画面に
納めているのが、洛中洛外図の面白さです。

左隻には、祇園祭の神輿行列、金閣寺、北野神社、二条城、東寺、嵐山などが
見えます。
二条城には1750年に焼失した天守閣も描き込まれています。

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他に、江戸時代盛んだった伊勢参宮を描いた屏風も3点、展示されています。


展示室5のテーマは「机上を彩る箱」です。
文房具を入れておく、蒔絵を施した箱の展示です。

「人物蒔絵硯箱」 蒔絵:飯塚桃葉(初代)、金工:浜野政随 
 木胎漆塗象嵌 江戸時代 18世紀

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破れ傘を担いだ人物が橋の上で空を見上げています。
飯塚桃葉は江戸の蒔絵師で、阿波徳島藩10代藩主、蜂須賀重喜(1738-1801)に
召し抱えられています。


展示室6のテーマは「風薫る茶席」です。
5月になり、初夏を迎えると、炉を閉じて風炉を用いる季節の始まりです。

「丸壺茶入 銘 青山」 福州窯系 南宋〜元時代 13−14世紀
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「青磁浮牡丹文水指」 龍泉窯 元時代 13~14世紀
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涼しげな色合いの壺で、水指に使われています。
暗い茶室の中で青が際立ちます。

「砂張釣舟花入 銘 艜(ひらた)」 東南アジア 15世紀
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細長い銅製の器で、縁を廻って細かい模様が入っています。
元は食器か盛り器として使われていた品です。
器を底の平らな川舟のひらた舟に見立てていて、武野紹鴎が所持していた
ところから紹鴎艜と呼ばれています。
砂張(さはり)は響銅とも書き、銅に錫、鉛を加えた合金です。

展覧会のHPです。


私の行った時は根津美術館の庭の燕子花はまだ咲いていませんでした。

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次回の展覧会は企画展、「はじめての古美術鑑賞―絵画のテーマー」です。
会期は5月25日(土)から7月7日(日)までです。

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【2019/04/23 19:07】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「サロン ド いしい」 お茶の水  2019/4
御茶ノ水・新御茶ノ水
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御茶ノ水駅前の「サロン ド いしい」に行ってきました。
場所は千代田区神田駿河台4-3で、新お茶の水ビル・サンクレール商店街の
1階にあります。

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昔ながらの喫茶店の雰囲気を残す店内は約30席、3面が仕切りの無い分煙、
ガラス壁になっていて、とても明るく、見晴らしの良いお店です。

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窓の向こうにニコライ堂が見えます。

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コーヒー380円は酸味系の味です。

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BGMの軽快なポップスを聞きながら、外の木々の葉に日光が当たり、
風に揺れてきらきら光るのをしばらく眺めていました。

JR御茶ノ水駅は今年になり、新しくエレベーターが設置され、使いやすくなりました。

以前、「サロン ド いしい」に行った時の記事です。


【2019/04/21 19:16】 お店 | トラックバック(0) | コメント(2) |
「小松宏誠「トランス/マテリア」」展 日本橋髙島屋美術画廊X
日本橋
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日本橋髙島屋美術画廊Xでは「小松宏誠「トランス/マテリア」」展が開かれています。
会期は4月29日(月・祝)までです。

小松宏誠さん(1981-)は鳥や羽根をテーマにした立体作品を制作しています。

ガチョウの羽根などで作られたシャンデリアやモビールが空調などの風を受けて、
ゆるゆると回転しています。
その影が壁、床、天井に映り、展示室が揺らめいて見えます。

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クジャクの羽根を並べたプレートです。

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小松宏誠さんの作品は2016年に損保ジャパン日本興亜美術館で開かれた、
「魔法の美術館/光と影のイリュージョン」展にも展示されていました。

「魔法の美術館/光と影のイリュージョン」展の記事です。


【2019/04/20 18:22】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「カフェ インカス (CAFE INCUS)」 上野
末広町
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「カフェ インカス (CAFE INCUS)」は上野の昭和通りと蔵前橋通りの交差点の
裏の小路にあります。
場所は台東区上野5-5-2です。

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2018年のオープンで、カウンター席中心に15席、全席禁煙、白と黒でまとめられ、
落着いた雰囲気です。

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ジャズカフェで、大きなスピーカーから静かにジャズが流れていました。

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自家焙煎のお店で、コーヒーはその都度挽いてサイフォンで淹れます。

コロンビア650円は軽い酸味で美味しいです。

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カップはロイヤル・ウースターです。

ジャズカフェを開く場所としてはあまり思い付かない辺りにありますが、やわらかな物腰の
マスターによれば、自宅に近いのでここに開いたそうです。

ジャズに耳を傾けながら、コーヒーをじっくりと味わえるお店です。


【2019/04/19 19:27】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「藝大コレクション展 2019」 東京藝術大学大学美術館
上野
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上野の東京藝術大学大学美術館では「藝大コレクション展 2019」が開かれています。
会期は6月16日までで、5月6日までの第1期と14日からの第2期に分かれ、
かなりの展示替えがあります。

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ラファエル・コラン 「田園恋愛詩」 1882年
パンフレットに使われている作品です。
ラファエル・コラン(1850-1916)はフランスの画家で、古典主義に拠りながら
印象派や象徴主義も取り入れています。
黒田清輝や岡田三郎助、和田英作を教えたことで知られています。

黒田清輝 「婦人像(厨房)」 1892年
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フランス留学時に定宿だった家の女性を描いています。
黒田清輝は元々、法律を学ぶためにフランスに留学したのですが、絵画に転向し、
師のラファエル・コランに学んだ外光派の技法を日本にもたらします。
外光派とは従来のアカデミズムの中に印象派の明るさを取り入れた画家を指します。
黒田清輝は1896年の東京美術学校の西洋画科の新設時には教官となり、以後日本の
洋画界を指導します。

岡田三郎助 「ムードンの夕暮」 1899年
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フランスに留学していた時の作品です。
岡田三郎助は黒田清輝と同じく、ラファエル・コランに師事しています。
紫がかった夕暮の景色で、遠くの空が、かすかに金色に光っています。
道を行く二人の人影が見え、かえって寂しさの増す情景です。

白滝幾之助 「稽古」 明治30年(1897)
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第1期の展示です。
白滝幾之助(1873-1960)は兵庫県出身で、山本芳翠、黒田清輝に師事した後、
東京美術学校に入学しています。
この作品は第2回白馬会展に出品され、翌年に卒業制作として学校買入れされています。
黒田清輝に倣った外交派の作品で、夏の下町の情景です。
やや体を傾けて自分にはまだ少し大きい三味線を弾いている子や、どっしり構えた
お師匠さんの様子がうまく描かれています。

高橋由一 「鮭」 明治10年(1877)頃 重要文化財
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高橋由一の代表作です。
長さ120㎝という大きな鮭で、洋画では珍しい極端に縦長の画面に描かれています。
日本人は掛軸を見慣れているので、縦長でも違和感は無かったのかもしれません。
皮のたるみ、塩の粒、縄のほつれまで克明に描かれ、身の赤がとても印象的です。

池大雅 「富士十二景図 九月 緑陰雑紅」 江戸時代
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第1期の展示です。
池大雅が妻の玉瀾のために描いた作品です。
東京藝術大学は7幅を所蔵していますが、長らく所在が不明だった最後の1幅が
最近発見され、コレクションに加わっています。
今回、滴翠美術館所蔵の4幅を加え、12幅が全点展示されています。

狩野芳崖 「悲母観音」 明治21年(1888) 重要文化財
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第1期の展示です。
観音菩薩は中空で水瓶を傾け、その下で童子が観音を見上げています。
仏画を基本にしていますが、西洋風の空間表現も取り入れ、近代日本画の
先駆となった作品です。
狩野芳崖の絶筆で、未完のままで芳崖が亡くなったので、盟友の橋本雅邦が
仕上げています。
狩野芳崖は幕末に狩野派を学び、明治には東京美術学校の設立にも関わった
フェノロサに見出されていますが、東京美術学校の教官就任を前に亡くなっています。

西郷孤月 「春暖」 明治30年(1897)
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第1期の展示です。
西郷孤月(1873-1912)は旧松本藩士の子で、横山大観らとともに東京美術学校の
1期生となり、明治29年には助教授に就任し、将来を嘱望されますが、故あって
中央画壇を離れ、各地を放浪しています。


イギリスで学んだ画家たちの作品も展示されています。

原撫松 「裸婦」 明治39年(1906)
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原撫松(はらぶしょう、1866-1912)は岡山藩士の子で、1904年から3年間、
イギリスに留学しています。
肖像画を多く手掛けていますが、47歳で亡くなっています。
しっかりとしたマチエールで、かなりの技量の持ち主であることが分かります。

牧野義雄 「テームス河畔」 水彩、紙 制作年不詳
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第1期の展示です。
牧野義雄(1870-1956)は旧挙母藩士の子で、イギリスで40年間活動しています。
霧のロンドンの景色を好み、紙を水に浸けてから水彩で描くという技法もよく使っています。
ロンドンに留学していた夏目漱石がロンドンの霧を厭わしく思っていたのと対照的です。

三宅克己 「ハムプステッドの深林」 明治31年(1898) 水彩・紙
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第1期の展示です。
三宅克己(みやけこっき、1874-1954)は徳島市出身で、アメリカ、イギリスに渡り、
帰国後は白馬会に参加しています。
ロンドン北部の公園、ハムステッド・ヒースを描いていて、深い森の中に人物のいる情景は
フェリックス・ヴァロットンの「ボール」(1899年)を思い出させます。
三宅はここがコンスタブルがよく画題にした場所であることについて感慨を述べています。

南薫造 「夜景」 明治41年(1908)頃
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南薫造(みなみくんぞう、1883-1950)は広島県の呉出身で、東京美術学校を卒業し、
イギリスに渡り、東京美術学校の教授を勤めています。
ジェームズ・マクニール・ホイッスラー(1834-1903)に傾倒し、イギリス到着の翌月には
ホイッスラーの旧邸を訪れています。

(参考)
ホイッスラー 「ノクターン:青と金色-オールド・バターシー・ブリッジ」 1872-75年 テート美術館
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展覧会のHPです。


【2019/04/18 19:42】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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