御徒町・上野広小路
上野松坂屋の美術画廊では、8月4日(火)まで、「内田博 油絵展」が開かれています。
内田博さん(1977~)は愛媛県出身で、松山大学を卒業し、おもに静物画を描いています。
「果物(檸檬・苺・文旦)とマーガレット」

光の具合にシャルダン風の趣きがあります。
内田さんの写実画は鋭く写実を突き詰めず、やや緩くしているのが特徴です。
風景画も何点か展示されています。
「北アルプスと田園」

田植えの終わった水田に北アルプスの残雪が映っています。
・・・・・
同じ美術画廊では、8月4日(火)まで、「安田充岐 青白磁作品展―アトリエと窓の外―」が
開かれています。
安田充岐さん(1980~)は埼玉県出身で、東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻を
修了しています。
「青白磁山紫陽花文壺」

器面に薄くヤマアジサイが浮彫されています。
「青白磁瓢箪に蛙花入」

安田さんの作品は器にも動物や植物を取り込んでいて、花生けに蛙、ぐい吞みに
小さな鼠が留まっていて、生命の優しさ、柔らかさを感じます。
chariot
上野松坂屋の美術画廊では、8月4日(火)まで、「内田博 油絵展」が開かれています。
内田博さん(1977~)は愛媛県出身で、松山大学を卒業し、おもに静物画を描いています。
「果物(檸檬・苺・文旦)とマーガレット」

光の具合にシャルダン風の趣きがあります。
内田さんの写実画は鋭く写実を突き詰めず、やや緩くしているのが特徴です。
風景画も何点か展示されています。
「北アルプスと田園」

田植えの終わった水田に北アルプスの残雪が映っています。
・・・・・
同じ美術画廊では、8月4日(火)まで、「安田充岐 青白磁作品展―アトリエと窓の外―」が
開かれています。
安田充岐さん(1980~)は埼玉県出身で、東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻を
修了しています。
「青白磁山紫陽花文壺」

器面に薄くヤマアジサイが浮彫されています。
「青白磁瓢箪に蛙花入」

安田さんの作品は器にも動物や植物を取り込んでいて、花生けに蛙、ぐい吞みに
小さな鼠が留まっていて、生命の優しさ、柔らかさを感じます。
新宿
新宿のSOMPO美術館ではSOMPO美術館開館記念展、「珠玉のコレクション」が
開かれています。
会期は9月4日(金)までです。

損害保険ジャパン日本興亜ビルの42階にあった東郷青児記念損保ジャパン日本興亜
美術館が同じ敷地に建てられた専用の建物に移転して、SOMPO美術館として
オープンしています。
ちょっと象のような形に見えます。



1階は受付、2階はミュージアムショップ、展示室は5・4・3階で、エレベーターで
まず5階に上がります。
展示作品は一部撮影可能です。
5階は自然を描いた作品の展示です。
山口華楊 「葉桜」 1921年

山口華楊 「猿」 1959年

山口華楊(1899-1984)は京都の日本画家で、特に動物画を得意としています。
4階は東郷青児の作品と、過去のFACE展でグランプリとなった作品の展示です。
東郷青児 「超現実派の散歩」 1929年

留学していたフランスから1928年に帰国した翌年に二科展に出品した作品で、
同館のロゴマークにもなっています。
不思議な絵で、左手に黒い手袋、右足に黒いブーツの裸の女性が月を掴まえようと
するかのように空中を浮遊しています。
この時期だけの珍しい作風で、以後はシュルレアリスムから離れ、いわゆる後の
東郷青児らしい作風に変わっていきます。
東郷青児 「望郷」 1959年

戦後の代表作で、東郷青児のスタイル加えて、シュルレアリスムの気分を
かすかに残した夢幻的な作品です。
3階は風景画、人物画、静物画の展示です。
以前と同じく、グランマ・モーゼスの作品も展示されています。
ポール・ゴーギャン 「アリスカンの並木路、アルル」 1888年

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「帽子の娘」 1910年

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「浴女」 1892-93頃

ポール・セザンヌ 「りんごとナプキン」 1879-80年

フィンセント・ファン・ゴッホ 「ひまわり」 1888年

仕切りのガラスは透明度が高く、鑑賞者が映りにくいので、間にガラスがあるのを
意識せずに観ることが出来ます。
敷地の関係で展示室は3つの階に分かれていますが、階段にはカーペットが敷かれ、
心地良い空間になっています。
窓が開いて明るい2階のミュージアムショップです。


展覧会のHPです。
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新宿のSOMPO美術館ではSOMPO美術館開館記念展、「珠玉のコレクション」が
開かれています。
会期は9月4日(金)までです。

損害保険ジャパン日本興亜ビルの42階にあった東郷青児記念損保ジャパン日本興亜
美術館が同じ敷地に建てられた専用の建物に移転して、SOMPO美術館として
オープンしています。
ちょっと象のような形に見えます。



1階は受付、2階はミュージアムショップ、展示室は5・4・3階で、エレベーターで
まず5階に上がります。
展示作品は一部撮影可能です。
5階は自然を描いた作品の展示です。
山口華楊 「葉桜」 1921年

山口華楊 「猿」 1959年

山口華楊(1899-1984)は京都の日本画家で、特に動物画を得意としています。
4階は東郷青児の作品と、過去のFACE展でグランプリとなった作品の展示です。
東郷青児 「超現実派の散歩」 1929年

留学していたフランスから1928年に帰国した翌年に二科展に出品した作品で、
同館のロゴマークにもなっています。
不思議な絵で、左手に黒い手袋、右足に黒いブーツの裸の女性が月を掴まえようと
するかのように空中を浮遊しています。
この時期だけの珍しい作風で、以後はシュルレアリスムから離れ、いわゆる後の
東郷青児らしい作風に変わっていきます。
東郷青児 「望郷」 1959年

戦後の代表作で、東郷青児のスタイル加えて、シュルレアリスムの気分を
かすかに残した夢幻的な作品です。
3階は風景画、人物画、静物画の展示です。
以前と同じく、グランマ・モーゼスの作品も展示されています。
ポール・ゴーギャン 「アリスカンの並木路、アルル」 1888年

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「帽子の娘」 1910年

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「浴女」 1892-93頃

ポール・セザンヌ 「りんごとナプキン」 1879-80年

フィンセント・ファン・ゴッホ 「ひまわり」 1888年

仕切りのガラスは透明度が高く、鑑賞者が映りにくいので、間にガラスがあるのを
意識せずに観ることが出来ます。
敷地の関係で展示室は3つの階に分かれていますが、階段にはカーペットが敷かれ、
心地良い空間になっています。
窓が開いて明るい2階のミュージアムショップです。


展覧会のHPです。
上野
東京国立博物館本館の総合文化展(平常展)に行ってきました。
まず、東博の一時閉館に対応しての年間券の期間延長の手続きをしておきました。
96日間の延長です。

「みみずく土偶」 埼玉県さいたま市真福寺貝塚出土 縄文時代後期(前2000~前1000年)

サザエさんのような髪型をして、大きな耳飾りを付けています。
みみずくのような顔に見えるので、この名があります。
「埴輪 踊る人びと」 埼玉県熊谷市野原古墳出土 古墳時代・6世紀

馬の手綱を曳く人との説もあるそうです。
国宝室の展示は「地獄草紙」です。
「地獄草紙」 平安~鎌倉時代・12~13世紀 国宝





8月10日(月・祝)までの展示です。
岡山の安住院に伝来の絵巻で、正法念処経に基く4つの地獄が描かれています。
「孔雀明王像」 平安時代・12世紀 国宝

孔雀は毒蛇を食べてしまうことから、孔雀明王は災厄や苦痛を取り除く
功徳があるとされています。
金箔を糸のように細く切って貼り付けた截金(きりかね)で飾られた羽根が
きらびやかです。
「住吉物語絵巻断簡」 鎌倉時代・13世紀 重要文化財

継母にいじめられた娘が恋人と結ばれるというお話です。
「和漢朗詠集」 巻下(益田本) 平安時代・11世紀 重要文化財

宋より渡来の紙など、数種類の紙をつなげています。
三井物産の設立者の益田孝(鈍翁)が所持していたので、この名があります。

小さな飛び雲文様の入った料紙を使っています。
「大字和漢朗詠集切」 伝藤原行成筆 平安時代・11世紀 重要美術品

和漢朗詠集を大きめの字で書写しているので、「大字朗詠」と呼ばれています。
いつはりのなきよなりせはいかはかり ひとのことのはうれしからまし
古今和歌集の詠み人知らずの歌です。
「和漢朗詠集断簡」 伝光厳天皇筆 南北朝時代・14世紀

いつはりのなきよなりせはいかはかり 人のことの葉うれしからまし
「大井戸茶碗 有楽井戸」 朝鮮時代・16世紀 重要美術品

8月10日(月・祝)までの展示です。
大井戸の名の通り、大きな茶碗です。
胴の上の部分が少し立ち、釉薬の照りも落着き、高台にかいらぎ(釉薬の縮れ)があります。
織田有楽斎の所有とされ、松永安左エ門の寄贈です。
「彫三島茶碗 銘 木村」 朝鮮 李朝時代・16~17世紀

8月10日(月・祝)までの展示です。
朝鮮に注文して作られた茶碗で、三島手という、線や花模様を彫った象嵌の技法が
使われています。
「祖師図」 狩野元信 室町時代・16世紀 重要文化財


しっかりとした画面構成で、唐代の禅宗の祖師たちを描いています。
元は大徳寺大仙院の襖絵だったので、引手の跡があります。
「紺糸肩裾取威腹巻」 室町時代・16世紀


腹巻は背中で引合わせる、元は中下級の徒歩武者の甲冑ですが、
室町時代になると上級武士も着るようになります。
紺色を中心に上下を紅色の糸で威した、肩裾取になっています。
「本小札勝色威腹巻」 江戸時代・18世紀 文化庁蔵


復古調の甲冑で、伊予今治藩主久松松平家の伝来です。
勝色(濃い紺色)の糸で嚇し、腹巻の背の引合わせ部分を守る背板も付いています。
「納涼図屏風」 久隅守景 江戸時代・17世紀 国宝


8月10日(月・祝)までの展示です。
久隅守景の代表作で、月夜の夕顔棚の下で涼む家族のおだやかな情景です。
淡く着色され、月は、輪郭に沿って外側を墨で塗る外隈(そとくま)という技法に
拠っています。
久隅守景は晩年、加賀前田家の招きで金沢に滞在しています。
「秋草図屏風」 俵屋宗雪 江戸時代・17世紀 重要文化財

右隻

左隻

菊、萩、薄、女郎花、芙蓉などの秋の草花が土坡に沿って品良く並んでいます。
俵屋宗雪は俵屋宗達の後継者で、加賀前田家に仕えています。
「風神雷神図屏風」 尾形光琳 江戸時代・18世紀 重要文化財

俵屋宗達の「風神雷神図屏風」の光琳による模写です。
「白蔵司・紅花・白粉花図」 鈴木其一 江戸時代・19世紀


白蔵司(はくぞうす)は狂言の「釣狐」のモデルとなった人物で、
この絵でも狂言の時の姿をしています。
「鶏図」 中村芳中 江戸時代・19世紀

雄鶏、雌鶏、雛が中村芳中独特のおっとりとした雰囲気で描かれています。
浮世絵の展示室は夏を題材にした作品を集めています。
「蚊帳美人図」 川又常行 江戸時代・18世紀

蚊帳から出て、立膝で煙管を持ち、月を眺めています。
川又常行(1677~?)は川又派の祖とされる、肉筆浮世絵師です。
「河原の夕涼み」 歌川豊国 江戸時代・19世紀

網で魚をすくったり、川床で若衆に酒を注いだり、思い思いに涼しく過ごしています。
「猫のすゞみ」 歌川国芳 江戸時代・19世紀

国芳得意の猫の絵で、両国橋を背景に、船頭の助けで川船に乗ろうとしています。
船頭は錨の形をした蛸の柄の浴衣をしています。
「名所江戸百景・両国花火」 歌川広重 江戸時代・安政5年(1858)

飢饉や疫病による死者供養や疫病除けに隅田川の川開きの日などに
花火が打ち上げられていました。
両国橋の脇には見物の川船が集まっています。
いつもながら各部門とも見所の多い、楽しめる展示です。
chariot
東京国立博物館本館の総合文化展(平常展)に行ってきました。
まず、東博の一時閉館に対応しての年間券の期間延長の手続きをしておきました。
96日間の延長です。

「みみずく土偶」 埼玉県さいたま市真福寺貝塚出土 縄文時代後期(前2000~前1000年)

サザエさんのような髪型をして、大きな耳飾りを付けています。
みみずくのような顔に見えるので、この名があります。
「埴輪 踊る人びと」 埼玉県熊谷市野原古墳出土 古墳時代・6世紀

馬の手綱を曳く人との説もあるそうです。
国宝室の展示は「地獄草紙」です。
「地獄草紙」 平安~鎌倉時代・12~13世紀 国宝





8月10日(月・祝)までの展示です。
岡山の安住院に伝来の絵巻で、正法念処経に基く4つの地獄が描かれています。
「孔雀明王像」 平安時代・12世紀 国宝

孔雀は毒蛇を食べてしまうことから、孔雀明王は災厄や苦痛を取り除く
功徳があるとされています。
金箔を糸のように細く切って貼り付けた截金(きりかね)で飾られた羽根が
きらびやかです。
「住吉物語絵巻断簡」 鎌倉時代・13世紀 重要文化財

継母にいじめられた娘が恋人と結ばれるというお話です。
「和漢朗詠集」 巻下(益田本) 平安時代・11世紀 重要文化財

宋より渡来の紙など、数種類の紙をつなげています。
三井物産の設立者の益田孝(鈍翁)が所持していたので、この名があります。

小さな飛び雲文様の入った料紙を使っています。
「大字和漢朗詠集切」 伝藤原行成筆 平安時代・11世紀 重要美術品

和漢朗詠集を大きめの字で書写しているので、「大字朗詠」と呼ばれています。
いつはりのなきよなりせはいかはかり ひとのことのはうれしからまし
古今和歌集の詠み人知らずの歌です。
「和漢朗詠集断簡」 伝光厳天皇筆 南北朝時代・14世紀

いつはりのなきよなりせはいかはかり 人のことの葉うれしからまし
「大井戸茶碗 有楽井戸」 朝鮮時代・16世紀 重要美術品

8月10日(月・祝)までの展示です。
大井戸の名の通り、大きな茶碗です。
胴の上の部分が少し立ち、釉薬の照りも落着き、高台にかいらぎ(釉薬の縮れ)があります。
織田有楽斎の所有とされ、松永安左エ門の寄贈です。
「彫三島茶碗 銘 木村」 朝鮮 李朝時代・16~17世紀

8月10日(月・祝)までの展示です。
朝鮮に注文して作られた茶碗で、三島手という、線や花模様を彫った象嵌の技法が
使われています。
「祖師図」 狩野元信 室町時代・16世紀 重要文化財


しっかりとした画面構成で、唐代の禅宗の祖師たちを描いています。
元は大徳寺大仙院の襖絵だったので、引手の跡があります。
「紺糸肩裾取威腹巻」 室町時代・16世紀


腹巻は背中で引合わせる、元は中下級の徒歩武者の甲冑ですが、
室町時代になると上級武士も着るようになります。
紺色を中心に上下を紅色の糸で威した、肩裾取になっています。
「本小札勝色威腹巻」 江戸時代・18世紀 文化庁蔵


復古調の甲冑で、伊予今治藩主久松松平家の伝来です。
勝色(濃い紺色)の糸で嚇し、腹巻の背の引合わせ部分を守る背板も付いています。
「納涼図屏風」 久隅守景 江戸時代・17世紀 国宝


8月10日(月・祝)までの展示です。
久隅守景の代表作で、月夜の夕顔棚の下で涼む家族のおだやかな情景です。
淡く着色され、月は、輪郭に沿って外側を墨で塗る外隈(そとくま)という技法に
拠っています。
久隅守景は晩年、加賀前田家の招きで金沢に滞在しています。
「秋草図屏風」 俵屋宗雪 江戸時代・17世紀 重要文化財

右隻

左隻

菊、萩、薄、女郎花、芙蓉などの秋の草花が土坡に沿って品良く並んでいます。
俵屋宗雪は俵屋宗達の後継者で、加賀前田家に仕えています。
「風神雷神図屏風」 尾形光琳 江戸時代・18世紀 重要文化財

俵屋宗達の「風神雷神図屏風」の光琳による模写です。
「白蔵司・紅花・白粉花図」 鈴木其一 江戸時代・19世紀


白蔵司(はくぞうす)は狂言の「釣狐」のモデルとなった人物で、
この絵でも狂言の時の姿をしています。
「鶏図」 中村芳中 江戸時代・19世紀

雄鶏、雌鶏、雛が中村芳中独特のおっとりとした雰囲気で描かれています。
浮世絵の展示室は夏を題材にした作品を集めています。
「蚊帳美人図」 川又常行 江戸時代・18世紀

蚊帳から出て、立膝で煙管を持ち、月を眺めています。
川又常行(1677~?)は川又派の祖とされる、肉筆浮世絵師です。
「河原の夕涼み」 歌川豊国 江戸時代・19世紀

網で魚をすくったり、川床で若衆に酒を注いだり、思い思いに涼しく過ごしています。
「猫のすゞみ」 歌川国芳 江戸時代・19世紀

国芳得意の猫の絵で、両国橋を背景に、船頭の助けで川船に乗ろうとしています。
船頭は錨の形をした蛸の柄の浴衣をしています。
「名所江戸百景・両国花火」 歌川広重 江戸時代・安政5年(1858)

飢饉や疫病による死者供養や疫病除けに隅田川の川開きの日などに
花火が打ち上げられていました。
両国橋の脇には見物の川船が集まっています。
いつもながら各部門とも見所の多い、楽しめる展示です。
日本橋
日本橋髙島屋美術画廊Xでは8月3日(月)まで、藤田朋一展 「扶桑國-ふそうこく-」が
開かれています。
藤田朋一さん(1976~)は千葉県出身で、飛騨国際工芸学園木工科を卒業しています。
「「扶桑國-ふそうこく-」



アクリルで、五重塔と国会議事堂が合体しています。
扶桑國とは日本の別名です。
「朽チルマデ栄ヨ」

木製で、海軍の零戦や陸軍の隼などに搭載された中島製作所製のエンジンに
お寺の屋根のような物が付いています。
「栄」は海軍での名称です。
参考
ハ-115(栄21型)エンジン

東京国立博物館に展示されていた時の写真です。
「机上の誉」

「栄」より出力を強化したエンジンで、彩雲や紫電改などに搭載されていますが、
設計に色々問題があったようです。
こちらは鳥居が付いています。
「城の男」

巨大なお城だと思ってよく見たら、鉄砲を担いだ武者が座っていて、
紀州雑賀衆を率いた鈴木孫一とのことです。

お寺も鉄砲で武装しています。

祈りの対象である宗教施設と近代工業が合体した不思議な造形で、
歴史と現代の接点を見出そうとしているようです。
・・・・・
同じ日本橋髙島屋の美術工芸サロンでは7月28日(火)まで、「佐々木伸佳 ガラス展」が
開かれています。
佐々木伸佳さん(1980~)は岩手県出身で、秋田公立美術工芸短期大学専攻科
ガラスコースを修了しています。
現在は静岡県伊豆市に炉を構えています。
「葉と器」

ヴェネチアガラスの技法に拠っており、丸みのある柔らかな造形が特徴です。
・・・・・
また、同じ美術画廊では7月28日(火)まで、「Metropolis 2020(平面・立体)」が開かれています。
近未来都市をテーマにした、平面と立体作品の展示で、アニメの世界のような作品もあります。
出展作家は以下の通りです。
石黒賢一郎、植松琢磨、薄久保香、梅沢和木、風間サチコ、菅野猛、北川宏人、
北野謙、近藤智美、坂本友由、田島大介、野又穫、橋爪彩、林茂樹、牧田愛、
村松英俊、明和電機、元田久治、山口英紀、山本大貴、山本雄大、山脇隆
風間サチコさんの木版画では、塹壕に籠る兵士たちがパソコンやケータイをいじっています。
山本大貴さんと山口英紀さんの作品、それぞれ1点は9月15日までの期限で、
抽選販売となります。
chariot
日本橋髙島屋美術画廊Xでは8月3日(月)まで、藤田朋一展 「扶桑國-ふそうこく-」が
開かれています。
藤田朋一さん(1976~)は千葉県出身で、飛騨国際工芸学園木工科を卒業しています。
「「扶桑國-ふそうこく-」



アクリルで、五重塔と国会議事堂が合体しています。
扶桑國とは日本の別名です。
「朽チルマデ栄ヨ」

木製で、海軍の零戦や陸軍の隼などに搭載された中島製作所製のエンジンに
お寺の屋根のような物が付いています。
「栄」は海軍での名称です。
参考
ハ-115(栄21型)エンジン

東京国立博物館に展示されていた時の写真です。
「机上の誉」

「栄」より出力を強化したエンジンで、彩雲や紫電改などに搭載されていますが、
設計に色々問題があったようです。
こちらは鳥居が付いています。
「城の男」

巨大なお城だと思ってよく見たら、鉄砲を担いだ武者が座っていて、
紀州雑賀衆を率いた鈴木孫一とのことです。

お寺も鉄砲で武装しています。

祈りの対象である宗教施設と近代工業が合体した不思議な造形で、
歴史と現代の接点を見出そうとしているようです。
・・・・・
同じ日本橋髙島屋の美術工芸サロンでは7月28日(火)まで、「佐々木伸佳 ガラス展」が
開かれています。
佐々木伸佳さん(1980~)は岩手県出身で、秋田公立美術工芸短期大学専攻科
ガラスコースを修了しています。
現在は静岡県伊豆市に炉を構えています。
「葉と器」

ヴェネチアガラスの技法に拠っており、丸みのある柔らかな造形が特徴です。
・・・・・
また、同じ美術画廊では7月28日(火)まで、「Metropolis 2020(平面・立体)」が開かれています。
近未来都市をテーマにした、平面と立体作品の展示で、アニメの世界のような作品もあります。
出展作家は以下の通りです。
石黒賢一郎、植松琢磨、薄久保香、梅沢和木、風間サチコ、菅野猛、北川宏人、
北野謙、近藤智美、坂本友由、田島大介、野又穫、橋爪彩、林茂樹、牧田愛、
村松英俊、明和電機、元田久治、山口英紀、山本大貴、山本雄大、山脇隆
風間サチコさんの木版画では、塹壕に籠る兵士たちがパソコンやケータイをいじっています。
山本大貴さんと山口英紀さんの作品、それぞれ1点は9月15日までの期限で、
抽選販売となります。
汐留
地下鉄大江戸線汐留駅横のカレッタ汐留の地下広場で一休みしました。

近くのパナソニック汐留美術館で開かれている「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」を
観た帰りに寄りました。
「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」の記事です。
広場に大きなテーブルが幾つか置かれていて、一休み出来ます。

地下2階部分にあり、目の前に電通ビルがそびえ、横に四季劇場「海」があります。

汐留は巨大なビルが林立していますが、その間にはエアポケットのような
ちょっとした空間が設けられています。

chariot
地下鉄大江戸線汐留駅横のカレッタ汐留の地下広場で一休みしました。

近くのパナソニック汐留美術館で開かれている「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」を
観た帰りに寄りました。
「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」の記事です。
広場に大きなテーブルが幾つか置かれていて、一休み出来ます。

地下2階部分にあり、目の前に電通ビルがそびえ、横に四季劇場「海」があります。

汐留は巨大なビルが林立していますが、その間にはエアポケットのような
ちょっとした空間が設けられています。

新橋・汐留
パナソニック汐留美術館では特別企画、「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」が
開かれています。
会期は9月22日(火・祝)まで、休館日は水曜日です。
入館時に検温があります。

1970年以降生まれの、注目されている工芸家の作品が展示されています。
第1章 日本の伝統文化の価値を問い直す「和」の美
桑田卓郎 「垸」 2020年

巨大な志野茶碗のような形で、かいらぎが弾けています。
色とりどりの大きなお茶碗が並んでいます。

参考 「つくしんぼう」 2018年

桑田さんの作品は丸の内仲通りに展示されています。
舘鼻則孝 「Heel-less Shoes」 2017年

舘鼻さんと言えば、極端に厚底で、デコラティブな靴です。
2019年に銀座のポーラミュージアムアネックスで開かれた、「舘鼻則孝展」の記事です。
深堀隆介 「四つの桶」 2009年

樹脂の表面に金魚の一部を描き、乾いたら樹脂を重ねてまた金魚を描き足して、
立体的に見えるようにしています。
「百舟」 2018年

縁日の風景の時が止まっています。
第2章 手わざの極致に挑む「巧」の美
池田晃将 「不可振賽子飾箱」 2019年

器の全面を螺鈿と蒔絵による極小の数字で埋め尽くしています。

髙橋賢悟 「flower funeral -cattle-」 2017年

花を石膏で型取りし、焼いて出来た空洞にアルミニウムを流し込んでいます。
花によって死というものを荘厳しています。
「origin as the flower funeral」 2016年

見附正康 「無題」 2019年

裏


見附さんは九谷焼作家で、赤絵細描という技法で細密な幾何学模様を描いています。
山本茜 「截金硝子長皿 「流衍(りゅうえん)」」 2014年

繊細な截金をガラスに施し、清澄な作品にしています。
「截金硝子香合「無我」」 2016年

「源氏物語シリーズ第十九帖 「薄雲」(雪明り)」 2011年


第3章 工芸素材の美の可能性を探る「絶佳」
安達大悟 「つながる、とぎれる、くりかえす」 2020年

木の板で生地を挟んで染める、板締め絞りの技法に拠っています。
大きな布で、デジタルのイメージもあります。
坂井直樹 「湯のこもるカタチ」 2019年

洗練された形の鉄瓶です。
「monocrome」 2020年

金象嵌を施し、漆を焼き付けています。
佐合道子 「とこしえ」 2018年

陶芸作品で、何か生命体のようなものを感じます。

橋本千毅 「花蝶螺鈿蒔絵箱」 2018年

華やかな螺鈿の花に立体の蝶が留まっています。

新里明士 「光器」



極く薄く成形した白磁にドリルで穴を開け、光を透過させています。
工芸の盛んな石川県に関係した方が多く、山本さんは金沢市出身、見附さんは加賀市出身で
九谷焼技術研修所卒業、安達さん・池田さん・佐合さんは金沢美術工芸大学を修了、
安達さん・池田さん・坂井さんは金沢卯辰山工芸工房に入っています。
さまざまな技巧を駆使した優美な作品が並び、良い物を見たという満足感が味わえます。
展覧会のHPです。
chariot
パナソニック汐留美術館では特別企画、「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」が
開かれています。
会期は9月22日(火・祝)まで、休館日は水曜日です。
入館時に検温があります。

1970年以降生まれの、注目されている工芸家の作品が展示されています。
第1章 日本の伝統文化の価値を問い直す「和」の美
桑田卓郎 「垸」 2020年

巨大な志野茶碗のような形で、かいらぎが弾けています。
色とりどりの大きなお茶碗が並んでいます。

参考 「つくしんぼう」 2018年

桑田さんの作品は丸の内仲通りに展示されています。
舘鼻則孝 「Heel-less Shoes」 2017年

舘鼻さんと言えば、極端に厚底で、デコラティブな靴です。
2019年に銀座のポーラミュージアムアネックスで開かれた、「舘鼻則孝展」の記事です。
深堀隆介 「四つの桶」 2009年

樹脂の表面に金魚の一部を描き、乾いたら樹脂を重ねてまた金魚を描き足して、
立体的に見えるようにしています。
「百舟」 2018年

縁日の風景の時が止まっています。
第2章 手わざの極致に挑む「巧」の美
池田晃将 「不可振賽子飾箱」 2019年

器の全面を螺鈿と蒔絵による極小の数字で埋め尽くしています。

髙橋賢悟 「flower funeral -cattle-」 2017年

花を石膏で型取りし、焼いて出来た空洞にアルミニウムを流し込んでいます。
花によって死というものを荘厳しています。
「origin as the flower funeral」 2016年

見附正康 「無題」 2019年

裏


見附さんは九谷焼作家で、赤絵細描という技法で細密な幾何学模様を描いています。
山本茜 「截金硝子長皿 「流衍(りゅうえん)」」 2014年

繊細な截金をガラスに施し、清澄な作品にしています。
「截金硝子香合「無我」」 2016年

「源氏物語シリーズ第十九帖 「薄雲」(雪明り)」 2011年


第3章 工芸素材の美の可能性を探る「絶佳」
安達大悟 「つながる、とぎれる、くりかえす」 2020年

木の板で生地を挟んで染める、板締め絞りの技法に拠っています。
大きな布で、デジタルのイメージもあります。
坂井直樹 「湯のこもるカタチ」 2019年

洗練された形の鉄瓶です。
「monocrome」 2020年

金象嵌を施し、漆を焼き付けています。
佐合道子 「とこしえ」 2018年

陶芸作品で、何か生命体のようなものを感じます。

橋本千毅 「花蝶螺鈿蒔絵箱」 2018年

華やかな螺鈿の花に立体の蝶が留まっています。

新里明士 「光器」



極く薄く成形した白磁にドリルで穴を開け、光を透過させています。
工芸の盛んな石川県に関係した方が多く、山本さんは金沢市出身、見附さんは加賀市出身で
九谷焼技術研修所卒業、安達さん・池田さん・佐合さんは金沢美術工芸大学を修了、
安達さん・池田さん・坂井さんは金沢卯辰山工芸工房に入っています。
さまざまな技巧を駆使した優美な作品が並び、良い物を見たという満足感が味わえます。
展覧会のHPです。
駒込・千石
駒込の東洋文庫ミュージアムでは9月22日(火・祝)まで、「大宇宙展―星と人の歴史」が
開かれています。
休館日は火曜日です。
入館時は検温と連絡先の記入があります。

古代から近代まで、天体や暦の研究の歴史についての展示です。
1階には三菱重工のH-IIAロケットの模型が展示されています。

H-IIA はUAEの火星探査機「HOPE」を載せて、20日に打ち上げに成功しています。
東洋文庫は三菱財閥の第三代当主岩崎久彌が設立した東洋学の研究図書館です。
「古代オリエントの精神文化」 アルフレッド・エレミス 1913年 ライプチヒ刊

古代ギリシャ由来の黄道十二星座はバビロニアに由来し、さらにその原型は
メソポタミアにあるそうです。
「バビロニア人の天文学の手引き」 ワイドナーほか 1915年 ライプチヒ刊

バビロニア暦は太陰暦を基本に太陽の動きも参考にする太陰太陽暦で、
週7日の概念も生み出しています。
「ギリシャとローマ」 ウィリアム・シャーウッド・フォックス 1916年刊

ギリシャ神話では太陽神ヘリオスが黄金の戦車を駆って空を渡っています。
「アルマゲストの星表」 パウル・クーニッチ 1986年 ヴィースバーデン刊

アレキサンドリアの学者プトレマイオス(100頃~170頃)は「アルマゲスト」を著し、
天動説を唱えています。
「サービア天文表」 バッターニー 880年成立 1899年刊

バッターニーはイスラム帝国であるアッバース朝の学者で、天文台を設けて観測し、
「サービア天文表」を作成し、またプトレマイオスの天文学を継承、改良しています。
「サービア天文表」は12世紀にラテン語に翻訳され、ヨーロッパの天文学に大きな影響を
与えています。
「ガリレオ・ガリレイ全集」 1718年 フィレンツェ刊

ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)の全集です。
ガリレオ望遠鏡を使って天体を研究し、太陽の黒点や木星の衛星を発見しています。
「永代大雑書万暦大成」 1924年 大阪刊

世界の中央に須弥山がそびえているという宇宙観はヒンドゥー教、ジャイナ教、
仏教などに共通する、古代インドの思想です。
「史記 天官書」 司馬遷 1739(乾隆4)年刊

司馬遷の「史記」には星の運行も記録され、中国で初めて星座がまとまった形で
記載されています。
儒教の天人相関説では北極星を天の皇帝とし 社会身分制度を星座に反映しています。
「三国志」 陳寿 3世紀成立

赤くとがった星が陣地に墜ち、諸葛亮がにわかに亡くなったとあります。
「将星墜つ(巨星墜つ)」の語源となった記述です。
「1671年の月食」 フェルビースト 1671(康熙10)年 北京刊

フェルビーストはイエズス会の宣教師で、清の康熙帝に仕え、暦法の改革や天文観測機器の
製作を行なっています。
1671年2月15日の月食の記録です。
「明月記」 藤原定家 写本(江戸時代)

藤原定家の日記「明月記」には1054年に現れた「客星(新星・超新星)についての
記録もあります。
「貞享暦」 渋川春海(安井算哲) 書写年不明

渋川春海(1639-1715)の編纂した、日本人に手による初めての暦法です。
それまで唐時代の宣明暦に基いた暦法を使っていたのを、より精密な元時代の
授時暦を基に、自身の観測結果を加えています。
1685(貞享2)年に施行されています。
「改暦弁」 福沢諭吉 1873年 1926年、東京刊

明治政府は1873(明治6)年に、現在も世界で使われているグレゴリオ暦を施行しますが、
詳しい説明が無かったので、福沢は新旧の暦の違いやグレゴリオ暦導入の必要性などを
伝えるために執筆しています。
時計の見方、地球と太陽と月の関係などについても書いてあります。
おとめ座、さそり座など、ギリシャ神話でなじみの深い星座も古代オリエントに由来することを
初めて知りました。
古代から現代まで、天文学や暦法の進化の過程が分かって、興味深い展覧会です。
展覧会のHPです。
chariot
駒込の東洋文庫ミュージアムでは9月22日(火・祝)まで、「大宇宙展―星と人の歴史」が
開かれています。
休館日は火曜日です。
入館時は検温と連絡先の記入があります。

古代から近代まで、天体や暦の研究の歴史についての展示です。
1階には三菱重工のH-IIAロケットの模型が展示されています。

H-IIA はUAEの火星探査機「HOPE」を載せて、20日に打ち上げに成功しています。
東洋文庫は三菱財閥の第三代当主岩崎久彌が設立した東洋学の研究図書館です。
「古代オリエントの精神文化」 アルフレッド・エレミス 1913年 ライプチヒ刊

古代ギリシャ由来の黄道十二星座はバビロニアに由来し、さらにその原型は
メソポタミアにあるそうです。
「バビロニア人の天文学の手引き」 ワイドナーほか 1915年 ライプチヒ刊

バビロニア暦は太陰暦を基本に太陽の動きも参考にする太陰太陽暦で、
週7日の概念も生み出しています。
「ギリシャとローマ」 ウィリアム・シャーウッド・フォックス 1916年刊

ギリシャ神話では太陽神ヘリオスが黄金の戦車を駆って空を渡っています。
「アルマゲストの星表」 パウル・クーニッチ 1986年 ヴィースバーデン刊

アレキサンドリアの学者プトレマイオス(100頃~170頃)は「アルマゲスト」を著し、
天動説を唱えています。
「サービア天文表」 バッターニー 880年成立 1899年刊

バッターニーはイスラム帝国であるアッバース朝の学者で、天文台を設けて観測し、
「サービア天文表」を作成し、またプトレマイオスの天文学を継承、改良しています。
「サービア天文表」は12世紀にラテン語に翻訳され、ヨーロッパの天文学に大きな影響を
与えています。
「ガリレオ・ガリレイ全集」 1718年 フィレンツェ刊

ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)の全集です。
ガリレオ望遠鏡を使って天体を研究し、太陽の黒点や木星の衛星を発見しています。
「永代大雑書万暦大成」 1924年 大阪刊

世界の中央に須弥山がそびえているという宇宙観はヒンドゥー教、ジャイナ教、
仏教などに共通する、古代インドの思想です。
「史記 天官書」 司馬遷 1739(乾隆4)年刊

司馬遷の「史記」には星の運行も記録され、中国で初めて星座がまとまった形で
記載されています。
儒教の天人相関説では北極星を天の皇帝とし 社会身分制度を星座に反映しています。
「三国志」 陳寿 3世紀成立

赤くとがった星が陣地に墜ち、諸葛亮がにわかに亡くなったとあります。
「将星墜つ(巨星墜つ)」の語源となった記述です。
「1671年の月食」 フェルビースト 1671(康熙10)年 北京刊

フェルビーストはイエズス会の宣教師で、清の康熙帝に仕え、暦法の改革や天文観測機器の
製作を行なっています。
1671年2月15日の月食の記録です。
「明月記」 藤原定家 写本(江戸時代)

藤原定家の日記「明月記」には1054年に現れた「客星(新星・超新星)についての
記録もあります。
「貞享暦」 渋川春海(安井算哲) 書写年不明

渋川春海(1639-1715)の編纂した、日本人に手による初めての暦法です。
それまで唐時代の宣明暦に基いた暦法を使っていたのを、より精密な元時代の
授時暦を基に、自身の観測結果を加えています。
1685(貞享2)年に施行されています。
「改暦弁」 福沢諭吉 1873年 1926年、東京刊

明治政府は1873(明治6)年に、現在も世界で使われているグレゴリオ暦を施行しますが、
詳しい説明が無かったので、福沢は新旧の暦の違いやグレゴリオ暦導入の必要性などを
伝えるために執筆しています。
時計の見方、地球と太陽と月の関係などについても書いてあります。
おとめ座、さそり座など、ギリシャ神話でなじみの深い星座も古代オリエントに由来することを
初めて知りました。
古代から現代まで、天文学や暦法の進化の過程が分かって、興味深い展覧会です。
展覧会のHPです。
キスリング
今まで観た、エコール・ド・パリの画家、キスリングの作品を集めて、私の「キスリング展」を
開いてみました。
モイーズ・キスリング(1891-1953)はクラクフ大公国(現在のポーランド)のクラクフ出身の
ユダヤ人で、地元の美術学校で学んだ後、1910年に19歳でパリに出てきます。
そしてエコール・ド・パリ(パリ派)の一人として活躍しています。
エコール・ド・パリの画家にはシャガール、スーティン、パスキン、モディリアーニなど
ユダヤ系が多いですが、20世紀初めのロシアなどでのユダヤ人迫害の影響も
あってのことで、シャガール(ベラルーシ)は1910年、スーティン(ロシア)は1913年に
パリに出てきています。
キスリング自身はユダヤ系であることを嫌い、ユダヤ風のモイーズ(モーセ)という
名前を使わず、サインもキスリングとだけ書いています。
モイーズ・キスリング 「サン=トロペでの昼寝(キスリングとルネ)」 1916年
プティ・パレ美術館/近代美術財団、ジュネーブ

1914年に第1次世界大戦が始まるとキスリングは外人部隊に志願して負傷し、
その功績でフランス国籍を取得しています。
南仏のサン=トロペで療養している時の絵で、この頃はキュビスムやフォーヴィスムを
取り入れています。
奥さんのルネがテーブルに突っ伏しているという面白い画面で、木洩れ日には
印象派の風もあります。
第一次世界大戦のドイツ側ではフランツ・マルクやアウグスト・マッケが
戦死しています。
モイーズ・キスリング 「花瓶」 1918年 松岡美術館

キスリングは女性像で有名ですが、花の絵はとても華やかです。
モイーズ・キスリング 「スペインの女」1925年

キスリングの作風になっている作品です。
スペイン風に黒を基調にしていて、白く硬質な肌合いで、
こちらを見る目に力があります。
背後の丸い形の重なりにリズムを感じます。
モイーズ・キスリング 「シルヴィー嬢」 1927年 松岡美術館

形は単純化され、暗い背景に浮かび上がる赤い服と、
大きく見開いた灰色の目が印象的です。
彼女が何を見ているのだろうかと思わせます。
モイーズ・キスリング 「ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル)」
1932-33年 カンティーニ美術館、マルセイユ

縦160㎝の大きな作品で、写実的に描かれたタータンチェックの服が目を惹きます。
モデルの母親は奔放な恋愛生活で知られた小説家のシドニー=ガブリエル・コレット
(1873-1954)ですが、ベル=ガズーの持つ白百合と白い襟が清楚な印象を与えます。
首を傾け、キスリング特有の憂愁を帯びた表情をしています。
背景を簡略化して描くキスリングにしては背景は念入りに描かれ、古典的な肖像画の
風もあります。
濃密に描かれた植物はアンリ・ルソー(1844-1910)にの絵に似ています。
モイーズ・キスリング 「水玉の服の少女」 1934年頃

淡い藤色の影を付けて、少女を浮き上がらせています。
水玉の服は平面的に描かれ、観る人の意識は愁いを帯びた表情の顔に集まります。
モイーズ・キスリング 「赤い長椅子の裸婦」 1937年 パリ市立近代美術館

ジョルジョーネの「眠れるヴィーナス」やティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」に
倣った作品ですが、画面は単純化されています。
裸婦がこちらを見ているのは「ウルビーノのヴィーナス」と同じです。
長椅子の紅色が強調され、裸婦の肌にも反映しています。
モイーズ・キスリング 「若い女性」 1939年

目や髪の色に合わせて、背景にも黒を使っていて、髪には銀色をあしらって、
光を写しています。
モイーズ・キスリング 「ミモザの花束」 1946年 パリ市立近代美術館

黄色と青の鮮やかな対比で、画面いっぱいにミモザの花が咲き乱れています。
モイーズ・キスリング 「背中を向けた裸婦」 1949年 吉野石膏美術振興財団

エキゾチックな趣きのターバンを巻いた女性の背中はなめらかで、ざらついた
筆触で描いた背景と対照的です。
モイーズ・キスリング 「グレシー城の庭園」 1949年 松岡美術館

亡くなる4年前に描かれていますが、大きな画面の元気の良い作品です。
キスリングの作品は単純化された色彩と明快な色彩が特徴です。
特に人物のちょっと憂いを帯びたような表情はニュアンス豊かで、
観る人を惹き付けます。
同じエコール・ド・パリの画家でも、スーティンが玄人受けはしても
一般にはちょっと近付きにくいのとかなり違います。
そういう所がキスリングの早く成功した理由かもしれません。
キスリングはエコール・ド・パリの中では早くに成功した画家ですが、
男気のある人で、1920年にモディリアーニが貧窮のうちに亡くなった時は
葬儀の全費用を負担しています。
また、1939年に第2次世界大戦が始まると、兵役年齢としては高齢にもかかわらず、
再び志願兵となり、フランスが降伏すると、ユダヤ人であるためアメリカに亡命します。
アメリカでは他の亡命画家の援助も行ない、大戦終了翌年の1946年にフランスに
戻り、フランスで亡くなっています。
chariot
今まで観た、エコール・ド・パリの画家、キスリングの作品を集めて、私の「キスリング展」を
開いてみました。
モイーズ・キスリング(1891-1953)はクラクフ大公国(現在のポーランド)のクラクフ出身の
ユダヤ人で、地元の美術学校で学んだ後、1910年に19歳でパリに出てきます。
そしてエコール・ド・パリ(パリ派)の一人として活躍しています。
エコール・ド・パリの画家にはシャガール、スーティン、パスキン、モディリアーニなど
ユダヤ系が多いですが、20世紀初めのロシアなどでのユダヤ人迫害の影響も
あってのことで、シャガール(ベラルーシ)は1910年、スーティン(ロシア)は1913年に
パリに出てきています。
キスリング自身はユダヤ系であることを嫌い、ユダヤ風のモイーズ(モーセ)という
名前を使わず、サインもキスリングとだけ書いています。
モイーズ・キスリング 「サン=トロペでの昼寝(キスリングとルネ)」 1916年
プティ・パレ美術館/近代美術財団、ジュネーブ

1914年に第1次世界大戦が始まるとキスリングは外人部隊に志願して負傷し、
その功績でフランス国籍を取得しています。
南仏のサン=トロペで療養している時の絵で、この頃はキュビスムやフォーヴィスムを
取り入れています。
奥さんのルネがテーブルに突っ伏しているという面白い画面で、木洩れ日には
印象派の風もあります。
第一次世界大戦のドイツ側ではフランツ・マルクやアウグスト・マッケが
戦死しています。
モイーズ・キスリング 「花瓶」 1918年 松岡美術館

キスリングは女性像で有名ですが、花の絵はとても華やかです。
モイーズ・キスリング 「スペインの女」1925年

キスリングの作風になっている作品です。
スペイン風に黒を基調にしていて、白く硬質な肌合いで、
こちらを見る目に力があります。
背後の丸い形の重なりにリズムを感じます。
モイーズ・キスリング 「シルヴィー嬢」 1927年 松岡美術館

形は単純化され、暗い背景に浮かび上がる赤い服と、
大きく見開いた灰色の目が印象的です。
彼女が何を見ているのだろうかと思わせます。
モイーズ・キスリング 「ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル)」
1932-33年 カンティーニ美術館、マルセイユ

縦160㎝の大きな作品で、写実的に描かれたタータンチェックの服が目を惹きます。
モデルの母親は奔放な恋愛生活で知られた小説家のシドニー=ガブリエル・コレット
(1873-1954)ですが、ベル=ガズーの持つ白百合と白い襟が清楚な印象を与えます。
首を傾け、キスリング特有の憂愁を帯びた表情をしています。
背景を簡略化して描くキスリングにしては背景は念入りに描かれ、古典的な肖像画の
風もあります。
濃密に描かれた植物はアンリ・ルソー(1844-1910)にの絵に似ています。
モイーズ・キスリング 「水玉の服の少女」 1934年頃

淡い藤色の影を付けて、少女を浮き上がらせています。
水玉の服は平面的に描かれ、観る人の意識は愁いを帯びた表情の顔に集まります。
モイーズ・キスリング 「赤い長椅子の裸婦」 1937年 パリ市立近代美術館

ジョルジョーネの「眠れるヴィーナス」やティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」に
倣った作品ですが、画面は単純化されています。
裸婦がこちらを見ているのは「ウルビーノのヴィーナス」と同じです。
長椅子の紅色が強調され、裸婦の肌にも反映しています。
モイーズ・キスリング 「若い女性」 1939年

目や髪の色に合わせて、背景にも黒を使っていて、髪には銀色をあしらって、
光を写しています。
モイーズ・キスリング 「ミモザの花束」 1946年 パリ市立近代美術館

黄色と青の鮮やかな対比で、画面いっぱいにミモザの花が咲き乱れています。
モイーズ・キスリング 「背中を向けた裸婦」 1949年 吉野石膏美術振興財団

エキゾチックな趣きのターバンを巻いた女性の背中はなめらかで、ざらついた
筆触で描いた背景と対照的です。
モイーズ・キスリング 「グレシー城の庭園」 1949年 松岡美術館

亡くなる4年前に描かれていますが、大きな画面の元気の良い作品です。
キスリングの作品は単純化された色彩と明快な色彩が特徴です。
特に人物のちょっと憂いを帯びたような表情はニュアンス豊かで、
観る人を惹き付けます。
同じエコール・ド・パリの画家でも、スーティンが玄人受けはしても
一般にはちょっと近付きにくいのとかなり違います。
そういう所がキスリングの早く成功した理由かもしれません。
キスリングはエコール・ド・パリの中では早くに成功した画家ですが、
男気のある人で、1920年にモディリアーニが貧窮のうちに亡くなった時は
葬儀の全費用を負担しています。
また、1939年に第2次世界大戦が始まると、兵役年齢としては高齢にもかかわらず、
再び志願兵となり、フランスが降伏すると、ユダヤ人であるためアメリカに亡命します。
アメリカでは他の亡命画家の援助も行ない、大戦終了翌年の1946年にフランスに
戻り、フランスで亡くなっています。
上野
東京国立博物館東洋館の1階にある、「ホテルオークラ レストラン ゆりの木」の外に
カフェが出来ました。

「ゆりの木」のテラス席を利用していて、26席あります。
平成館で開かれている「きもの展」を観た後に寄りました。

メニューにはみたらし団子やクリームぜんざいもあります。

博物館の庭園の横にあるので、とても静かで風通しも良く、蝉の声が聞こえます。
コーヒー500円はたっぷりあります。

飲み終わり、蝉の声も止んだので、帰ることにしました。
「きもの展」の記事です。
chariot
東京国立博物館東洋館の1階にある、「ホテルオークラ レストラン ゆりの木」の外に
カフェが出来ました。

「ゆりの木」のテラス席を利用していて、26席あります。
平成館で開かれている「きもの展」を観た後に寄りました。

メニューにはみたらし団子やクリームぜんざいもあります。

博物館の庭園の横にあるので、とても静かで風通しも良く、蝉の声が聞こえます。
コーヒー500円はたっぷりあります。

飲み終わり、蝉の声も止んだので、帰ることにしました。
「きもの展」の記事です。
上野
上野の東京国立博物館平成館では特別展、「きもの」が開かれています。
会期は8月23日(日)までです。
7月26日(日)までの前期と7月28日(火)からの後期でかなりの展示替えがあり、
他にも一部展示替えがありますので、ご注意下さい。
入館日時予約制で、入館時に検温があります。

菱川師宣 「見返り美人図」 江戸時代・17世紀 東京国立博物館


肉筆浮世絵で、玉結びの髪に吉弥結びの帯、振袖は菊と桜の花の丸模様です。
後ろ姿にすることで、後ろ結びである吉弥結びを見せ、左袖をひるがえして
模様を際立たせています。
当時の帯は細く前結びだったのに対して、吉弥結びは太く後ろ結びで、
後の帯の基本となっています。
帯が太くなったことで、やがて帯の上下を違う模様にすることも始まります。
「誰が袖美人図屏風」 六曲一双 江戸時代 17世紀 根津美術館

前期の展示です。
左隻では扇面散らしの屏風の前に立つ三つ巴文の小袖に唐輪髷の遊女が
鹿の子絞りに木の葉文の小袖を着て三味線を持つ禿(かむろ)から何かを
受け取るように手を差し出しています。
刀掛けには大小が、衣桁には武士好みの菖蒲柄の袴が掛かっています。

「振袖 紅紋縮緬地束熨斗模様」 江戸時代・18世紀 京都・友禅史会 重要文化財

前期の展示です
友禅染などの技法を駆使した、豪華極まりない婚礼用振袖です。
熨斗(のし)を束ねる紐は金糸で刺繍され、光り輝いています。
着物全体を一つの画面として捉え、模様を施すのは寛文期(1661-1673)以降の
傾向だそうです。
ロックフェラー夫妻が元の所有者に代金を提供して友禅史会に寄贈された品で、
個人からの1000万円の寄付により修理もなされています。
「小袖 白綾地秋草模様」 尾形光琳筆
江戸時代・18世紀 東京国立博物館 重要文化財

江戸に身を寄せた尾形光琳(1658-1716)の最初の寄宿先、冬木家の奥方のために
描いたものとされる、贅沢な小袖です。
尾形光琳は京都の呉服商「雁金屋」の生まれなので、着物のデザインに親しんでおり、
帯の部分には絵を入れていません。
光琳の直筆で完全な着物の形で残っているのはこの1点のみだそうです。
「小袖 萌黄紋縮緬地雪持竹雀模様」 天璋院篤姫所用
江戸時代・19世紀 徳川記念財団

藤に蝶をあしらった格子模様の地の裾は雪を被った竹と雀で埋められています。
白糸で刺繍された、竹に積もる雪は盛り上がり、色彩も鮮やかで豪華です。
背には養女となった近衛家の牡丹紋が刺繍されています。
他にも篤姫所用の品が何点か展示されています。
天璋院篤姫(1836-1883)は第13代将軍徳川家定の正室で、大奥の中心人物ですが、
明治維新後は質素な生活態度を貫いています。
「振袖 淡紅綸子地宮殿模様」 昭和時代・20世紀 国立歴史民俗博物館

明治以降になると、模様のデザインも更に多様化します。
シャンデリアも描かれた西洋風のデザインで、和洋混交という目新しさがあります。
「陣羽織 黒鳥毛揚羽蝶模様」 織田信長所用
安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館

溝口家が織田信長より拝領したとされる陣羽織です。
山鳥の羽根を縫い付け、羽根の色は濃い緑色で光沢があり、背中の織田家の
家紋の一つ、揚羽蝶の部分は白い羽根を使っています。
腰には太い紐が付けられています。
山賊の親分の着るような厳めしさで、こんな陣羽織姿の信長に睨みつけられた家臣は
身の縮む思いがしたことでしょう。
NHKの大河ドラマでも信長はこんな陣羽織を着ていました。
「火消半纏」 10点
火消半纏は火消の着た綿の厚手の半纏で、水を吸って火災の炎から身を守ります。
灰色の地に勇ましい龍や鷹、弁慶などが描かれ、武士の陣羽織のような趣きです。
江戸時代の庶民にとって火消は憧れでした。
連作 「光響」 15着 久保田一竹 イギリス、国際ショディエフ財団
久保田一竹(1917-2003)は室町・安土桃山時代に盛んだった辻が花染めを研究した
染色家です。
縮緬に辻が花染を施した着物を15着並べて一つの風景画とした、壮大な作品です。
「友禅訪問着 白地位相割付文「実り」」 森口邦彦 平成25年(2013) 株式会社三越伊勢丹
三越のショッピングバッグのデザインの元になった模様です。
「移り行く姿」 六曲一双 高畠華宵
右隻

高畠華宵(1888-1966)は大正から昭和初期に活躍した、美人画を得意とした画家です。
右隻は春から夏、左隻は秋から冬の情景で、さまざまな装いの女性が60人以上も
描かれた力作です。



梅、桜、松、海浜を背景に、御高祖頭巾、女官、鹿鳴館風、袴の女学生、モガ、中国服、
チマチョゴリ、浴衣、絽や紗、水着などの女性が描かれています。
セーラー服の女性と一緒に座っている女性は特徴のあるベルトをしているので、
東京女子高等師範学校附属高等女学校(現お茶の水女子大学)の生徒でしょうか。
1階ロビーにはレプリカの着物も展示されています。

「小袖 白綾地秋草模様」 尾形光琳筆
江戸時代・18世紀 東京国立博物館 重要文化財


帯は前結びにしています。
「振袖 白縮緬地衝立梅樹鷹模様」
江戸時代・18世紀 東京国立博物館 重要文化財


鷹の留まる衝立を描いた、力強い意匠です。
各時代の各種技法を凝らした数多くの着物が揃った、大変見応えのある展覧会です。
特に久保田一竹の連作、「光響」や高畠華宵の屏風、「移り行く姿」などは滅多に
観る機会の無い、貴重な機会です。
展覧会のHPです。
chariot
上野の東京国立博物館平成館では特別展、「きもの」が開かれています。
会期は8月23日(日)までです。
7月26日(日)までの前期と7月28日(火)からの後期でかなりの展示替えがあり、
他にも一部展示替えがありますので、ご注意下さい。
入館日時予約制で、入館時に検温があります。

菱川師宣 「見返り美人図」 江戸時代・17世紀 東京国立博物館


肉筆浮世絵で、玉結びの髪に吉弥結びの帯、振袖は菊と桜の花の丸模様です。
後ろ姿にすることで、後ろ結びである吉弥結びを見せ、左袖をひるがえして
模様を際立たせています。
当時の帯は細く前結びだったのに対して、吉弥結びは太く後ろ結びで、
後の帯の基本となっています。
帯が太くなったことで、やがて帯の上下を違う模様にすることも始まります。
「誰が袖美人図屏風」 六曲一双 江戸時代 17世紀 根津美術館

前期の展示です。
左隻では扇面散らしの屏風の前に立つ三つ巴文の小袖に唐輪髷の遊女が
鹿の子絞りに木の葉文の小袖を着て三味線を持つ禿(かむろ)から何かを
受け取るように手を差し出しています。
刀掛けには大小が、衣桁には武士好みの菖蒲柄の袴が掛かっています。

「振袖 紅紋縮緬地束熨斗模様」 江戸時代・18世紀 京都・友禅史会 重要文化財

前期の展示です
友禅染などの技法を駆使した、豪華極まりない婚礼用振袖です。
熨斗(のし)を束ねる紐は金糸で刺繍され、光り輝いています。
着物全体を一つの画面として捉え、模様を施すのは寛文期(1661-1673)以降の
傾向だそうです。
ロックフェラー夫妻が元の所有者に代金を提供して友禅史会に寄贈された品で、
個人からの1000万円の寄付により修理もなされています。
「小袖 白綾地秋草模様」 尾形光琳筆
江戸時代・18世紀 東京国立博物館 重要文化財

江戸に身を寄せた尾形光琳(1658-1716)の最初の寄宿先、冬木家の奥方のために
描いたものとされる、贅沢な小袖です。
尾形光琳は京都の呉服商「雁金屋」の生まれなので、着物のデザインに親しんでおり、
帯の部分には絵を入れていません。
光琳の直筆で完全な着物の形で残っているのはこの1点のみだそうです。
「小袖 萌黄紋縮緬地雪持竹雀模様」 天璋院篤姫所用
江戸時代・19世紀 徳川記念財団

藤に蝶をあしらった格子模様の地の裾は雪を被った竹と雀で埋められています。
白糸で刺繍された、竹に積もる雪は盛り上がり、色彩も鮮やかで豪華です。
背には養女となった近衛家の牡丹紋が刺繍されています。
他にも篤姫所用の品が何点か展示されています。
天璋院篤姫(1836-1883)は第13代将軍徳川家定の正室で、大奥の中心人物ですが、
明治維新後は質素な生活態度を貫いています。
「振袖 淡紅綸子地宮殿模様」 昭和時代・20世紀 国立歴史民俗博物館

明治以降になると、模様のデザインも更に多様化します。
シャンデリアも描かれた西洋風のデザインで、和洋混交という目新しさがあります。
「陣羽織 黒鳥毛揚羽蝶模様」 織田信長所用
安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館

溝口家が織田信長より拝領したとされる陣羽織です。
山鳥の羽根を縫い付け、羽根の色は濃い緑色で光沢があり、背中の織田家の
家紋の一つ、揚羽蝶の部分は白い羽根を使っています。
腰には太い紐が付けられています。
山賊の親分の着るような厳めしさで、こんな陣羽織姿の信長に睨みつけられた家臣は
身の縮む思いがしたことでしょう。
NHKの大河ドラマでも信長はこんな陣羽織を着ていました。
「火消半纏」 10点
火消半纏は火消の着た綿の厚手の半纏で、水を吸って火災の炎から身を守ります。
灰色の地に勇ましい龍や鷹、弁慶などが描かれ、武士の陣羽織のような趣きです。
江戸時代の庶民にとって火消は憧れでした。
連作 「光響」 15着 久保田一竹 イギリス、国際ショディエフ財団
久保田一竹(1917-2003)は室町・安土桃山時代に盛んだった辻が花染めを研究した
染色家です。
縮緬に辻が花染を施した着物を15着並べて一つの風景画とした、壮大な作品です。
「友禅訪問着 白地位相割付文「実り」」 森口邦彦 平成25年(2013) 株式会社三越伊勢丹
三越のショッピングバッグのデザインの元になった模様です。
「移り行く姿」 六曲一双 高畠華宵
右隻

高畠華宵(1888-1966)は大正から昭和初期に活躍した、美人画を得意とした画家です。
右隻は春から夏、左隻は秋から冬の情景で、さまざまな装いの女性が60人以上も
描かれた力作です。



梅、桜、松、海浜を背景に、御高祖頭巾、女官、鹿鳴館風、袴の女学生、モガ、中国服、
チマチョゴリ、浴衣、絽や紗、水着などの女性が描かれています。
セーラー服の女性と一緒に座っている女性は特徴のあるベルトをしているので、
東京女子高等師範学校附属高等女学校(現お茶の水女子大学)の生徒でしょうか。
1階ロビーにはレプリカの着物も展示されています。

「小袖 白綾地秋草模様」 尾形光琳筆
江戸時代・18世紀 東京国立博物館 重要文化財


帯は前結びにしています。
「振袖 白縮緬地衝立梅樹鷹模様」
江戸時代・18世紀 東京国立博物館 重要文化財


鷹の留まる衝立を描いた、力強い意匠です。
各時代の各種技法を凝らした数多くの着物が揃った、大変見応えのある展覧会です。
特に久保田一竹の連作、「光響」や高畠華宵の屏風、「移り行く姿」などは滅多に
観る機会の無い、貴重な機会です。
展覧会のHPです。
六本木一丁目
六本木のアークヒルズサウスタワーの地下1階にある、
「ビー ア グッド ネイバー コーヒーキオスク 六本木」に
行ってきました。
場所は港区六本木1-4-5です。

大倉集古館で開かれている「日本絵画の隠し玉―大倉コレクションの意外な一面―」展を
観た帰りに寄りました。
こちらのコーヒーは美味しいので、時々利用します。
お店前の通路のテーブルでいただきました。
カウンターで注文すると、席まで持ってきてくれます。
マキアート275円です。

量は少ないですが、やわらかな味で、ほのかな甘みもあります
近くの泉屋博古館分館は改修工事中のため、休館しています。

きれいなアガパンサスが咲いていました。

以前、「ビー ア グッド ネイバー コーヒーキオスク 六本木」に行った時の記事です。
chariot
六本木のアークヒルズサウスタワーの地下1階にある、
「ビー ア グッド ネイバー コーヒーキオスク 六本木」に
行ってきました。
場所は港区六本木1-4-5です。

大倉集古館で開かれている「日本絵画の隠し玉―大倉コレクションの意外な一面―」展を
観た帰りに寄りました。
こちらのコーヒーは美味しいので、時々利用します。
お店前の通路のテーブルでいただきました。
カウンターで注文すると、席まで持ってきてくれます。
マキアート275円です。

量は少ないですが、やわらかな味で、ほのかな甘みもあります
近くの泉屋博古館分館は改修工事中のため、休館しています。

きれいなアガパンサスが咲いていました。

以前、「ビー ア グッド ネイバー コーヒーキオスク 六本木」に行った時の記事です。