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タリーズコーヒー神田スクエア店
新御茶ノ水
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KANDA SQUARE(神田スクエア)は神田警察署と東京電機大学が移転した
跡地に建設され、2020年の2月に竣工した複合型オフィスビルです。
場所は千代田区神田錦町2-2-1です。

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敷地の中には豊川稲荷の祠があります。

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神田錦町二丁目の御神輿も保管されています。

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庭には水流や滝が造ってあります。

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サイやクマのオブジェも置いてあります。

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1階にはスーパーの「サミット」や「タリーズコーヒー神田スクエア店」が入っています。
「タリーズコーヒー」の店内は40席ほどで、建物内の吹抜けにテラス席があります。

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カプチーノS367円です。
外の庭のテラス席でいただきました。

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神田も神保町に神保町三井ビルディングや東京パークタワーが出来たりで、
姿が変わってきています。


【2021/04/30 20:23】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「FANTANIMA! 2021」展 丸善丸の内本店
東京
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丸の内オアゾ内の丸善丸の内本店4階ギャラリーABでは
「FANTANIMA! 2021」展が開かれています。
会期は5月4日(火)までです。

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FANTANIMA(ファンタニマ)はファンタジー(幻想)とアニマ(生命)を
合わせた、展覧会のための造語です。
日本から33名、海外から76名の作家による人形作品が集まり、
展示販売されています。

布、ウール、陶磁器など、素材も多様で、可愛いかったり、面白かったり、
まさしくファンタジックだったりなど、さまざまな動物、スタイルの人形があります。
外国作家が多いので、日本の人形とは雰囲気が異なる作品が多いのも
面白いところです。


【2021/04/29 20:38】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」展 サントリー美術館 その2
六本木・乃木坂
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サントリー美術館では開館60周年記念展、「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」展が
開かれていましたが、緊急事態宣言により美術館が休業になりました。
私は既に観てきたので、前回に続き2回目を書きます。
会場は撮影可能です。

第5章 浮世絵 

春信、清長、歌麿、写楽、北斎、広重などが揃っています。

「舞妓図」 江戸時代 17世紀
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熨斗模様の小袖に唐草模様の帯、御所風髷の女性が扇を持って踊っています。
寛文美人図と呼ばれる、独立した美人図として最初の形式です。

「美人図」 勝川春章 江戸時代 18世紀
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女性が紙の束を持って、蜘蛛が下りてくるのを待ち構えています。
色調も整った、優美な美人画です。

「富嶽三十六景 凱風快晴」 葛飾北斎 天保元-4年(1830-33)
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第6章 日本の文人画<南画>

「西湖図」 池玉蘭 江戸時代 18世紀
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池玉蘭(1727-84)は池大雅の妻で、絵師としても有名でした。

「松島図」 谷文晁 江戸時代 文政9年(1826)
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瑞巌寺の西側から眺めた景色です。
仙台藩の儒者、櫻田澹斎(さくらだたんさい、1795-1864)の依頼で描いたと記されています。

「春秋山水図屛風」 浦上春琴 文政4年(1821)
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右隻は春、左隻は秋の景色です。
浦上春琴(1779-1846)は浦上玉堂の子で、父とともに諸国を巡った後、京都に住まっています。


第7章 画壇の革新者たち

「群鶴図屛風」 曾我蕭白 江戸時代 18世紀
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優美さとは程遠い、迫力満点の群鶴図で、さすが蕭白、力量の凄さを見せています。

「鶏図押絵貼屛風」 伊藤若冲 江戸時代 18世紀
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若冲得意の鶏図です。

「叭々鳥図」 伊藤若冲 江戸時代 18世紀
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叭々鳥(ははちょう)はよく描かれる題材ですが、これは橋脚に留まっているという、
とても変わった構図です。

「旭日老松図」 伊藤若冲 江戸時代 18世紀
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面白い筆捌きで松を表しています。

「蘭亭曲水図屛風」 横山華山 江戸時代 19世紀
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横山華山(1781/1784-1837)は京都で活躍した絵師です。
曾我蕭白を支援した横山家の分家の養子となったことから、蕭白の作品に触れ、
私淑しています。
狩野派を学んだ後、岸駒(1756/1749-1839)に師事し、円山四条派の影響も
受けています。

2018年に東京ステーションギャラリーで開かれた「横山華山展」の記事です。


第8章 幕末から近代へ

冷泉為恭、柴田是真、河鍋暁斎、狩野芳崖、渡辺省亭、池田蕉園などです。

「風神雷神図」 佐竹永海 江戸時代 19世紀
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風神は鷲に捉えられ、雷神は足を蟹に挟まれています。
佐竹永海(1803-74)は会津若松出身で、谷文晁に師事し、井伊直弼の愛顧を受けて
彦根藩の御用絵師になっています。

「お多福図」 河鍋暁斎 明治時代 19世紀
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中国で文人のたしなむべき教養の琴、碁、書、画を描いた琴棋書画図のパロディーです。
さらりとした筆遣いで、巧みに描き出しています。

「鍾馗鬼共之図」 青木年雄 明治時代 19世紀
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寝そべる鐘馗と鬼たちが細密に描かれています。
青木年雄(1854-1912)は明治初期にアメリカに渡り、カリフォルニアなどで活躍した
日本人画家です。

「巨鷲図」 狩野芳崖 明治21年(1888)頃
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大きな鷲が舞い降りた岩陰では猿がおびえて固まっています。
狩野派の伝統に拠った力強い描き振りですが、西洋画の影響を受けた
印影表現も見られます。

「紫式部図」 渡辺省亭 明治時代 19-20世紀
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近江の石山寺で月を眺めながら源氏物語の想を練っている紫式部です。
水墨で描かれた遠山が写実的です。

「花見図」 池田蕉園 大正時代 20世紀
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舟遊びをしている女性たちに桜の花が散り込んでいます。
髪形は島田や玉結びなどそれぞれです。
池田蕉園(1886-1917)は東京出身の女流画家で、美人画に優れています。
上村松園にあこがれていたので、師の水野年方から松園に負けない画家に
なるようにと、蕉園の号をもらったそうです。
京都の上村松園、大阪の島成園とともに「三都三園」と称されましたが、
結核のため31歳で亡くなっています。

各時代、流派を代表する作品がこれほどしっかり揃っているとは思いませんでした。
貴重な機会なので、是非早く再開してほしいものです。

「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」展その1の記事です。

展覧会のHPです。


【2021/04/27 17:53】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」展 サントリー美術館 その1
六本木・乃木坂
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サントリー美術館では開館60周年記念展、「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」展が
開かれていましたが、緊急事態宣言により美術館が休業になりました。
私は既に観てきたので、2回に分けて書きます。

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日本の美術品を数多く所蔵するアメリカのミネアポリス美術館の所蔵作品の内、
中世から近世の絵画の展示です。
会場は撮影可能です。

第1章 水墨画

雲谷等顔や海北友松など。

「花鳥図屛風」 雪村周継 室町時代 16世紀
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月の夜、梅の木に白鷺、鯉が2匹、元気良く跳ねています。
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柳の下を楽しそうに飛ぶ鷰と白鷺です。
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雪村周継は戦国時代の絵師で、生没年は未詳です。
常陸の佐竹氏の一族で、臨済宗の画僧となっています。
50歳代に関東を渡り歩き、會津の葦名氏や三春の田村氏の許に身を寄せ、
80歳代で郡山で亡くなったものと思われます。
雪村はとぼけた味わいが魅力です。

「龍虎図屛風」 山田道安 室町時代 16世紀
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ユーモラスな趣きのある龍虎図です。
山田道安は戦国時代の武人画家で、初代は筒井順慶の叔父とされ、
3代にわたり道安を名乗っています。


第2章 狩野派の時代

狩野之信、伝山楽、山雪、探幽、雪信の展示です。

「四季耕作図襖(旧大覚寺正寝殿襖絵)」 伝狩野山楽 江戸時代 17世紀
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稲を唐竿で打ったり、石臼で挽いたりしています。
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狩野山楽(1559 -1635)は近江浅井氏の家臣の子で、豊臣秀吉の命で狩野永徳の
養子となっています。
狩野探幽たちが徳川家に従って江戸に下った後も京に残り、その系統は京狩野と
呼ばれるようになります。

「群仙図襖(旧天祥院客殿襖絵)」 狩野山雪 江戸時代 正保3年(1646)
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京都の妙心寺の塔頭、天祥院の襖絵でした。
右端は一本足のガマと遊ぶ蝦蟇仙人、杖を突いているのは鉄拐仙人でしょうか。
狩野山雪(1590ー1651)は京狩野の狩野山楽の婿養子で、幾何学的で斬新な構図や
動物のユーモラスな表情に特徴のある絵師です。

「雲門好日図」 狩野山雪 江戸時代 17世紀
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きっぱりと端正な描き振りです。

「騎獅文殊図」 清原雪信 江戸時代 17世紀
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清原雪信(1643 -1682)は久隅守景の娘の絵師です。
作風は繊細優美で、人気がありました。

「飛天図」 清原雪信 江戸時代 17世紀
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第3章 やまと絵―景物画と物語絵―

「武蔵野図屛風」 江戸時代 17世紀
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右隻部分 沈む満月
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左隻部分 菊花
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広々とした武蔵野は屏風の画題に好まれていました。

武蔵野は月の入るべき山もなし草より出でて草にこそ入れ  古歌
 
露おかぬ方もありけり夕立ちの空より広き武蔵野の原  太田道灌

「源氏物語図 胡蝶」 伝土佐光吉 江戸時代 17世紀
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源氏物語の「胡蝶」の帖の一場面です。
庭で催された船楽や蝶の衣装の女童が描かれています。
土佐光吉(1539-1613)は、狩野派全盛時代に狩野永徳などの下請けを
しながらも、土佐派の伝統を守っています。

「きりぎりす絵巻」 伝住吉如慶 江戸時代 17世紀
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玉虫姫と蝉の右衛門守の婚礼の恋愛絵巻で、虫たちが裃や小袖を着て
屋敷に住まっています。
右衛門守は玉虫姫の産んだ蝉の赤ちゃんを抱いて喜んでいます。
住吉如慶(1599-1670)は住吉派の祖で、幕府の御用を多く勤めています。


第4章 琳派

「源氏物語図屏風」 伝俵屋宗達 江戸時代 17世紀
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源氏物語の「薄雲」から「篝火」までの帖が描かれています。
元は五十四帖すべてを描いた屏風の一部と考えられるそうです。

源氏が亡くなった藤壺を哀悼している場面でしょうか。
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「伊勢物語図色紙(布引の滝)」 伝俵屋宗達 江戸時代 17世紀
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布引の滝は現在の神戸市にある滝です。
歌の一部が左から右に書かれています。

わが世をば今日か明日かと待つかひの涙の瀧といずれ高けむ

「源氏物語「秋好中宮」・白萩図」 酒井抱一 江戸時代 19世紀
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片面に源氏物語の登場人物、藩対面に白萩という、秋を題材にした団扇です。

「大原女図」 中村芳中 江戸時代 19世紀 ミネアポリス美術館
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中村芳中(?-1819)は大坂を中心に活躍した絵師で、尾形光琳を慕っていて、
どこかとぼけた、おっとりした味わいが魅力です。

「三夕図」 三幅対 鈴木其一 江戸時代 19世紀
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夕方の景色を詠んだ三つの名歌、三夕の歌にちなんでいます。
右から
見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ 藤原定家

寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ 寂蓮法師

心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ 西行


第5章以下は次回に書きます。

展覧会のHPです。


【2021/04/25 16:24】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「吉川龍展 今日と明日の間」 銀座 日動画廊
銀座
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銀座の日動画廊では4月27日(火)まで、「吉川龍展 今日と明日の間」が
開かれています。
日曜日はお休みです。

吉川龍(よしかわりょう)さん(1971~)は栃木県出身の洋画家で、
日動画廊ではよく出展されています。

題材は、木漏れ日の中の水辺、公園、街角などの一瞬の風景が中心です。

「緑に澄む」 30F
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日光を浴びて輝く樹木、水面に反射する光、木の影の織りなす緑の光景です。

2013年に同じ日動画廊で開かれた「吉川龍展」の記事です。


【2021/04/24 18:27】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ジャン・モワラス展」と「佐藤國男木版画展」 丸善丸の内本店
東京
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丸善丸の内本店4階ギャラリーAでは「ジャン・モワラス展」が
開かれています。
会期は4月27日(火)までです。

ジャン・モワラスさん(1945~)はフランスのピュイドドーム県出身の画家です。
厚塗りの濃密な色彩による単純化された風景や静物が題材です。

「アルス・アン・レ」
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アルス・アン・レはビスケー湾にある小島です。
場所を示すものはなく、畑の景色をきっぱりと抽象化して描いています。

*****

同じくギャラリーBでは「佐藤國男木版画展」が
開かれています。
会期は4月27日(火)までです。

佐藤圀男さん(1952~)は北海同出身、北海道在住の木版画家です。
「雨ニモマケズ」「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」など、宮澤賢治の
作品の世界が題材です。

「銀河鉄道の夜 白鳥・教会」
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木版画の優しさ、温かみがあり、額縁も彫刻されて味わいがあります。


【2021/04/23 20:22】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「DESIGN MUSEUM BOX展 集めてつなごう 日本のデザイン」 Ginza Sony Park
銀座
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銀座のイベントスペースの「Ginza Sony Park」では「DESIGN MUSEUM BOX展 
集めてつなごう 日本のデザイン」が5月9日(日)まで開かれています。

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地下に展示されています。

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5人のクリエーターがデザインの視点から日本の5つの地域で「宝物」を見つけ出し、
「DESIGN MUSEUM BOX」に展示するというものです。
展示の様子はNHK Eテレの日曜美術館の再放送、4月25日(日)午後8:00ー8:45でも
紹介されます。

「岩手」 田根剛(建築家)×御所野縄文博物館 「縄文のムラのデザイン」

「金沢」 田川欣哉(デザインエンジニア)×柳宗理記念デザイン研究所
     「柳宗理のデザインプロセス カトラリーを例に」

「浜松」 水口哲也(エクスペリエンスアーキテクト)×ヤマハ イノベーションロード
     「トランスアコースティックピアノ 匠とテクノロジーの出会い」

「姫路」 辻川幸一郎(映像作家)×日本玩具博物館
     「ぶちゴマ、そこから広がるさまざまなコマ」

「奄美」 森永邦彦(ファッションデザイナー)× 宇検村生涯学習センター 
     元気の出る館/瀬戸内町立図書館・郷土館 「ノロの装束“ハブラギン”」


和光のショーウインドウはQRコード風になりました。

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GINZA SIXの吹抜けの空間には名和晃平さんの「Metamorphosis Garden(変容の庭)」が
浮かんでいます。

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雲中に鹿が佇んでいる風情です。

2011年に東京都現代美術館で開かれた「名和晃平展」の記事です。


【2021/04/22 18:58】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「彩られた紙―料紙装飾の世界―」 虎ノ門 大倉集古館
六本木一丁目・神谷町
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虎ノ門の大倉集古館では企画展、「彩られた紙―料紙装飾の世界―」が
開かれています。
会期は6月6日(日)までです。

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料紙は書に用いられる紙のことで、絵画の用紙も併せて、紙に注目した展示です。

「賢愚経断簡(大聖武)」 伝聖武天皇筆
 奈良時代・8世紀 特種東海製紙株式会社

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賢愚経は賢者と愚者についての寓話を集めた経です。
大らかな書風から筆者は聖武天皇に仮託され、大聖武(おおじょうむ)と呼ばれています。
東大寺戒壇院に伝来していましたが、流出し切断されています。
料紙は檀(まゆみ)の繊維を原料にし、胡粉と樹脂の粒を混ぜた荼毘紙です。
荼毘紙の名は粉末を釈迦の骨に見立てたことによります。

「訶梨帝母経(神護寺経)」 平安時代・12世紀 特種東海製紙株式会社
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神護寺経は鳥羽法皇の発願で後白河法皇が神護寺に寄進した紺紙金字一切経で、
当初は5400巻ありました。
訶梨帝母経(かりていもきょう)は鬼子母神について述べた経です。
見返しには金銀で釈迦説法図が描かれています。
料紙は藍甕に何回も浸けて紺色に染めています。
金泥の経文は輝きを増すため硬い物で磨かれた跡があるそうです。

「古今和歌集序」 藤原定実筆 平安時代・12世紀 大倉集古館 国宝
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巻子本古今和歌集と呼ばれる20巻のうち、巻子の形で現存しているのは
この巻だけで、他は断簡が散在しています。
白、朱、藍、緑などの色や地模様を変えた32枚の料紙に書かれていて、
色の濃い料紙の部分では字も太めになっています。
料紙は北宋時代の装飾料紙で、竹を原料にして、表裏に色を塗り、版木を使った
雲母摺りと空摺りで文様を摺り出しています。


田中親美(たなかしんび:1875~1975)は厳島神社の依頼で、5年をかけて
平家納経全33巻の現状模本を制作しています。
そして当初の姿を想定した数組の復元模本を制作し、大倉集古館はその1組を
所蔵しています。
展覧会では9点が展示されています。

「平家納経 妙法蓮華経勧持品第十三(模本)」 田中親美 大正~昭和・20世紀
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「平家納経 妙法蓮華経分別功徳品第十七(模本)」 田中親美 大正~昭和・20世紀
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「平家納経 妙法蓮華経提婆達多品第十二(模本)」 田中親美 大正~昭和・20世紀
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地色の変化に合わせて、経文の字の色も変えています。
見返しには釈迦が説法している所へ龍女が侍女を従え、宝珠を捧げ持って
海上を進む様子が描かれています。

「平家納経 妙法蓮華経安楽行品第十四(模本)」 田中親美 大正~昭和・20世紀
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上欄には天女と瑞雲を空摺りで表しています。

「平家納経 妙法蓮華経法師功徳品第十九(模本)」 田中親美 大正~昭和・20世紀
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見返し絵には優しい表情で普賢菩薩に乗った普賢菩薩が繊細な描線で描かれています。

「金銀荘雲龍文銅製経箱(模造)」 田中親美 大正~昭和・20世紀 大倉集古館
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厳島神社蔵の国宝、「平家納経納置」長寛2年(1164)の模造です。 
黒漆で、側面に銅に鍍金の龍、蓋にも丸文で龍と雲、五輪塔をあしらっています。
法華経提婆達多品に龍女成仏が説かれていて、これも女人往生を意味する
意匠とのことです。

「普賢菩薩騎象像」 平安時代・12世紀 大倉集古館 国宝
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優しいお顔立ちの菩薩で、袖には金箔を糸のように細く切って貼り付けた
切金(きりかね)模様が見えます。
乗っている象は、仏師も実物を観たことが無いためでしょう、象にしては
体が長いのがユーモラスです。
普賢菩薩は女人往生を説く法華経に登場するため、女性の信仰を集めています。

「東大寺文書貼交屏風」 奈良・天平勝宝3年(752)~鎌倉・天福2年(1234)
 大倉集古館 重要文化財

六曲一隻屏風に貼られた古文書で、荘園などの領地についての文書が多いようです。

「武田信玄自筆書状」 室町時代・16世紀 特種東海製紙株式会社
武田信玄が富士山の浅間神社に誓った、河口湖の港では関銭を取らないとした約束が
現場で守られていないので、責任者を成敗するよう家臣の小山田弥三郎に命じた書状です。
楮(こうぞ)を原料とする杉原紙に書かれており、杉原紙は中世の武家社会で
よく使われていました。
小山田弥三郎信明は小山田氏当主で、弟の信茂は後に武田勝頼を裏切り、
織田信忠に降伏しますが許されず、処刑されています。

「関羽図」 円山応挙 江戸時代・18世紀 大倉集古館 重要美術品
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円山応挙が寄宿していた家の男の子が初節句を迎えたので描いたとのことです。
丈夫な紙をつなぎ合わせて、縦3.5mの大きな画面に雄渾な筆さばきで描いています。
細密な写実で知られる円山応挙ですが、このような大きな絵もこなしていました。

「大津絵 鬼の念仏」 江戸時代・18~19世紀 特種東海製紙株式会社
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怖ろし気な鬼が撞木、鉦と奉加帳を持ち、寄付を募る勧進をしています。
邪悪な心の人が善人のふりをしているという風刺です。
人気のある画題で、井伊の赤鬼と恐れられた井伊直弼もこの絵を描いています。
鬼の柄にもない殊勝な姿は微笑ましく、大津絵の中で一番好きな絵です。
楮紙に書いたものを補強のため、雁皮紙に貼ってあります。

作品に使われているそれぞれの紙についての説明があり、紙にはこれだけの種類が
あるのかと勉強になりました。
平家納経の模本9点と国宝の古今和歌集序が展示されているのも見所です。

展覧会のHPです。


大倉集古館の2階テラスです。

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テラスからホテルオークラを見たところです。

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【2021/04/20 18:09】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「三輪龍氣生の陶 命蠢く」 虎ノ門 菊池寛実記念智美術館
神谷町
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虎ノ門の菊池寛実記念智美術館では「三輪龍氣生の陶 命蠢く」が開かれています。
会期は8月1日(日)までです。

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三輪龍氣生(みわりゅうきしょう:1940~)さんは山口県萩市出身で、
萩焼12代三輪休雪を継いだ後、号を龍氣生に改めています。
従来の萩焼に捉われない自由な造形による作品を制作されています。

「人間シリーズ」 1976~77年 山口県立萩美術館・浦上記念館蔵
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初期のユーモラスな作風で、こちらは撮影可能です。

「R氏の肖像」 1974年 山口県立萩美術館・浦上記念館蔵
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「花器 摩利耶22」 2001年
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胸に十字架を付けたマリヤです。

「女帝・荘厳」 2015年 菊池寛実記念智美術館
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羊は豊穣の象徴で、渦巻く角まで金彩が施され、金色に輝いています。
最近の作品は装飾性が増し、華やかになっています。

「白昼夢」 2019年
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旧約聖書のモーセには角が生えていました。

「豊饒の視志」(部分) 2020年
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胸の多くの乳房を付けた、エフェソスの豊穣の女神、アルテミス神を思わせます。

生命をテーマにした作品には荘厳、幻想、怪奇の要素があって、展示室の暗めの
照明にも良く映えます。

展覧会のHPです。


【2021/04/18 20:08】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「台東区長奨励賞」 令和2年度
上野・上野広小路
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台東区では東京藝術大学の優秀な卒業制作や大学院修了作品の制作者に対して、
「台東区長奨励賞」を授与しています。
受賞作品は上野中央通り地下歩道にある展示ブースに、受賞後の3月から
1年間展示されています。

以下は令和2年度台東区長奨励賞受賞作品です。

秋澤瑞穂(デザイン科) 「A CAT GAZE」
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飼っている猫の目線で、よしなしごとを描いています。

島田智代(デザイン科) 「屑箱」
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愛着のある小物を捨てずにしまっておくための箱です。

田中綾子(彫刻科) 「だいたい似たような夜ばかり」
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寄せ集めた知識や経験によって作られた「偽物の情景」を表しているということです。

寺前有海(工芸科) 「shape of individuality」
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植物の属性をコンセプトにしたジュエリーとのことで、ピクニックに行って作った
花飾りのようです。

中里忠仁(工芸科) 「生まれ生きる」
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ふるさとの土で造った小さな登り窯で器を焼き上げました。

福島李子(彫刻科) 「Watching you」
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見られている自分をぬいぐるみで表しているそうです。


【2021/04/17 20:21】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「カフェ コキーユ」 六本木 国立新美術館 2021/4
乃木坂
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少し前、六本木の国立新美術館に行った時、1階アトリウムの「カフェ コキーユ」の
テラス席で一休みしました。

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新美術館のガラス壁を見上げます。

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コーヒー484円とあずきパイ220円です。

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東京タワーもライトアップされていました。

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新美術館の前庭には吉岡徳仁さんの「ガラスの茶室 - 光庵」が5月10日まで
展示されていて、ライトに当たって輝いていました。

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東京ミッドタウンのホールには深澤隆行さんの陽光桜をあしらったフラワーアートが
展示されていました。

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【2021/04/16 20:38】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「クールベと海 展―フランス近代 自然へのまなざし」 パナソニック汐留美術館
新橋・汐留
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パナソニック汐留美術館では「クールベと海 展―フランス近代 自然へのまなざし」が
開かれています。
会期は6月13日(日)まで、休館日は水曜日です。

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フランスの写実主義の画家、ギュスターヴ・クールベ(1819−1877)の風景画を
中心にした展示です。

クールベはスイスに近いフランシュ=コンテ地方のオルナンに生まれ、
故郷の風景を数多く描いています。

ギュスターヴ・クールベ 「フランシュ=コンテの谷、オルナン付近」
 1865年頃 茨城県近代美術館

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ルー川沿いの家々の情景で、石灰岩の崖はパレットナイフを使って質感を出しています。

ギュスターヴ・クールベ 「狩の獲物」 1856-62年頃 個人蔵
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狩の情景は需要の多いが題で、クールベもよく描いています。
アーティゾン美術館も「雪の中を駆ける鹿」を所蔵しています。

ギュスターヴ・クールベ 「波」 1870年 オルレアン美術館
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サロンに出展した作品の縮小版で、クールベがよく描いた、海岸に打ち寄せる波の情景で、
白い波頭が際立っています。
波を描いた作品は他にも何点か展示されています。
内陸のオルナンに生まれたクールベが初めて海を見たのは22歳の時ということですが、
その20数年後になって海を集中的に描き始め、生涯に100点あまりを描いています。

ギュスターヴ・クールベ 「エトルタ海岸、夕日」
 1869年 新潟県近代美術館・万代島美術館

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ノルマンディー海岸のエトルタは石灰岩の断崖のつくる風景が
多くの画家に好まれ、ブーダン、ヨンキント、モネなども描いています。
夕日の当たる海や雲が色彩豊かに描かれ、一瞬モネの絵かと思ってしまいます。

クロード・モネ 「アヴァルの門」 1886年 島根県立美術館
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モネはエトルタを何度も訪れ、崖の景色をよく描いています。
崖に寄せるさざなみに反射する日の光を鮮やかに描いています。

ウジェーヌ・ブーダン 「浜辺にて」 個人蔵
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ウジェーヌ・ブーダン(1824-98)は海辺の空の景色を描く画家として知られています。
パリから通じた鉄道に乗って来て、ノルマンディーの浜辺に集う都市の上流階級の
人たちを描いた作品です。
ブーダンはル・アーヴルで少年時代のモネに屋外で描くことを勧めていて、
印象派に大きな影響を与える役割を果たしています。
ブーダンは1859年にクールベと出会い、空の描き方を教えたりして、クールベにも
影響を与えています。

ギュスターヴ・カイユボット 「トゥルーヴィルの別荘」 1882年 東京富士美術館
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トゥルーヴィルはノルマンディーを代表する保養地で、1863年にパリと結ぶ鉄道が開通し、
別荘が建ち並ぶようになりました。

1870年にフランスはプロイセンと普仏戦争を戦い、敗北しますが、この敗戦をきっかけに
1871年にパリ市民が蜂起し、パリ・コミューンが成立しますが、政府軍に鎮圧されます。
クールベはその頃は成功した画家でしたが、パリ・コミューンの美術委員会議長に
なっていたため、民衆がヴァンドーム広場の円柱を破壊した事件の責任を問われ、
一時投獄もされ、巨額の賠償金を請求されています。
そのためクールベは1873年にスイスに亡命し、1877年に同地で亡くなっています。
スイス時代にも制作を続けており、以前のスケッチを基にした海の絵を何点も
描いていて、この展覧会でも展示されています。

クールベの風景画は写実に徹していて、あまり人物を描かず、それまでの風景画の
ような物語性はありません。
クールベの人物画には我の強さを感じたりしますが、風景画には風景を風景として
捉える厚みのある描き振りには一途さがあります。

他にコロ―、トロワイヨン、ヴェルネ、ミレー、シスレーなどの作品もあり、なかなか
面白い展覧会です。
ほとんどが国内の美術館の所蔵ですが、これだけ多くのクールベの作品が国内に
あることにも驚きました。

展覧会のHPです。


【2021/04/15 19:07】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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