表参道
表参道の根津美術館では企画展、「はじめての古美術鑑賞 人をえがく」が
開かれています。
会期は10月17日(日)までです。

人物を題材にした作品の展示です。
「弘法大師像」 鎌倉時代 13~14世紀 大師会蔵 重要文化財

五鈷杵(ごこしょ)と数珠を手にした、数多く流布する弘法大師像の一つで、
かなり古い時期に属する作です。
「飼馬図」 賢江祥啓 室町時代 15世紀

中国画でよく描かれる、馬と飼育する人物で、馬は丈の低い蒙古馬系で、
人物は騎乗に便利なブーツを履いています。
賢江祥啓は鎌倉の建長寺の書記を勤めた禅僧画家で、京都で絵を修業し、
関東で活躍しています。
「幸若舞曲つきしま絵巻」(部分) 紙本着色 室町時代 16世紀

平清盛が摂津国の大輪田泊に人工島の経が島を築くにあたって、
人柱を埋めたという伝説を題材にしています。
多くの人びとが人柱にしようと捕まえられ、檻に入れられている様子が
稚拙な表現で描かれています。
「風俗図」 三幅対 江戸時代 17世紀 重要美術品




中央の遊女を挟んで、左右の色男が意味ありげな視線を送っている三幅対です。
遊女は三味線を持った禿(かむろ)を従え、唐輪髷という髪型を結った、
貫禄のある姿です。
打掛には水車と水流を豪快に描き出し、小袖の柄とも合わせ、裏地の赤も華やかです。
裾には何か字が書いてあるように見えます。
水車は宇治の名物なので、伝説の宇治の橋姫を連想させます。
男は二人とも小腰を屈めて、刀は落し差し、若衆の大刀はお洒落な朱鞘です。
「砧打ち美人図」 窪俊満 江戸時代 18~19世紀

歌枕として有名な六玉川(全国で6か所の玉川)の内、摂津三島の玉川の情景です。
松の木の傍らで袖を風になびかせる女性と、砧を打つ女性が描かれています。
窪俊満(くぼしゅんまん:1757~1802)は浮世絵師で、狂歌や細工物も能くしています。
松風の音だに秋はさびしきに衣うつなり玉川の里
源俊頼 千載和歌集
「臨済一喝」 橋本雅邦 明治30年(1897) 個人蔵

唐時代の禅僧で臨済宗の祖、臨済義玄が禅問答で払子を手に一喝する場面です。
大きな軸物で、西洋画の技法を採り入れて顔や衣に陰影を付けて立体感を出し、
袈裟の縫い目も描き込んでいます。
橋本雅邦(1835-1908)は東京美術学校の絵画科主任となって日本画の近代化に
貢献し、菱田春草、横山大観、下村観山、河合玉堂らを育てています。
他に円山応挙、渡辺崋山、椿椿山などの作品も展示されています。
展示室5のテーマは「陶片から学ぶ-朝鮮陶磁編-」です。
朝鮮各地の窯から出土した陶片の展示で、さまざまな技法のあることが分かります。
「粉青陶片」 朝鮮時代 15~16世紀

粉青は鉄分の多い土に白土釉を化粧掛けし、透明釉を掛けた磁器ですが、
16世紀に消滅しています。
展示室6のテーマは「残茶-秋惜しむ-」です。
前年収穫の茶や夏の道具を使い納める頃です。
「長谷切」 藤原教長筆 平安時代 12世紀

秋の紅葉を愛でる漢詩が書かれています。
藤原教長は平安時代末期の公卿で、歌人、能書家としても知られています。
保元の乱(1156)では崇徳上皇方に付き、常陸国に配流されたこともあります。
展覧会のHPです。
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表参道の根津美術館では企画展、「はじめての古美術鑑賞 人をえがく」が
開かれています。
会期は10月17日(日)までです。

人物を題材にした作品の展示です。
「弘法大師像」 鎌倉時代 13~14世紀 大師会蔵 重要文化財

五鈷杵(ごこしょ)と数珠を手にした、数多く流布する弘法大師像の一つで、
かなり古い時期に属する作です。
「飼馬図」 賢江祥啓 室町時代 15世紀

中国画でよく描かれる、馬と飼育する人物で、馬は丈の低い蒙古馬系で、
人物は騎乗に便利なブーツを履いています。
賢江祥啓は鎌倉の建長寺の書記を勤めた禅僧画家で、京都で絵を修業し、
関東で活躍しています。
「幸若舞曲つきしま絵巻」(部分) 紙本着色 室町時代 16世紀

平清盛が摂津国の大輪田泊に人工島の経が島を築くにあたって、
人柱を埋めたという伝説を題材にしています。
多くの人びとが人柱にしようと捕まえられ、檻に入れられている様子が
稚拙な表現で描かれています。
「風俗図」 三幅対 江戸時代 17世紀 重要美術品




中央の遊女を挟んで、左右の色男が意味ありげな視線を送っている三幅対です。
遊女は三味線を持った禿(かむろ)を従え、唐輪髷という髪型を結った、
貫禄のある姿です。
打掛には水車と水流を豪快に描き出し、小袖の柄とも合わせ、裏地の赤も華やかです。
裾には何か字が書いてあるように見えます。
水車は宇治の名物なので、伝説の宇治の橋姫を連想させます。
男は二人とも小腰を屈めて、刀は落し差し、若衆の大刀はお洒落な朱鞘です。
「砧打ち美人図」 窪俊満 江戸時代 18~19世紀

歌枕として有名な六玉川(全国で6か所の玉川)の内、摂津三島の玉川の情景です。
松の木の傍らで袖を風になびかせる女性と、砧を打つ女性が描かれています。
窪俊満(くぼしゅんまん:1757~1802)は浮世絵師で、狂歌や細工物も能くしています。
松風の音だに秋はさびしきに衣うつなり玉川の里
源俊頼 千載和歌集
「臨済一喝」 橋本雅邦 明治30年(1897) 個人蔵

唐時代の禅僧で臨済宗の祖、臨済義玄が禅問答で払子を手に一喝する場面です。
大きな軸物で、西洋画の技法を採り入れて顔や衣に陰影を付けて立体感を出し、
袈裟の縫い目も描き込んでいます。
橋本雅邦(1835-1908)は東京美術学校の絵画科主任となって日本画の近代化に
貢献し、菱田春草、横山大観、下村観山、河合玉堂らを育てています。
他に円山応挙、渡辺崋山、椿椿山などの作品も展示されています。
展示室5のテーマは「陶片から学ぶ-朝鮮陶磁編-」です。
朝鮮各地の窯から出土した陶片の展示で、さまざまな技法のあることが分かります。
「粉青陶片」 朝鮮時代 15~16世紀

粉青は鉄分の多い土に白土釉を化粧掛けし、透明釉を掛けた磁器ですが、
16世紀に消滅しています。
展示室6のテーマは「残茶-秋惜しむ-」です。
前年収穫の茶や夏の道具を使い納める頃です。
「長谷切」 藤原教長筆 平安時代 12世紀

秋の紅葉を愛でる漢詩が書かれています。
藤原教長は平安時代末期の公卿で、歌人、能書家としても知られています。
保元の乱(1156)では崇徳上皇方に付き、常陸国に配流されたこともあります。
展覧会のHPです。
湯島
湯島の国立近現代建築資料館では、「丹下健三 1938-1970 戦前からオリンピック・
万博まで」展が開かれています。
会期は10月10日(日)まで、入館は無料です。
場所は文京区湯島4-6-15で、旧岩崎邸庭園に隣接しています。

丹下健三(1938-1970)の東京帝国大学の卒業制作から1970年の大阪万博まで、
模型や資料などで紹介する展示です。
「大東亜建設忠霊神域計画」

太平洋戦争中の1942年に建築学会が募集した「大東亜建設記念営造計画」に、
戦没学徒の慰霊施設を設計して応募し、1等を獲得しています。
場所は富士山麓想定し、を伊勢神宮を原型に、左右対称のプランになっています。
「広島平和記念公園及び記念館」


記念館は1955年の開館、川向うの原爆ドームを基点とした南北の軸線に沿った設計で、
都市景観というものを意識した画期的なプランです。
資料館は1階を柱だけにしたピロティ様式で、軸線上の資料館、慰霊碑、
原爆ドームを見通すことが出来ます。
「戦没学徒記念館」

兵庫県南淡町に建設された、学徒出陣や勤労動員で戦没した学生の慰霊施設です。
1967年の竣工で、淡路島の南端の山頂にあり、資料館と記念塔で構成されています。
「成城の自邸」

1953年竣工の木造で、丹下の好んだピロティ様式になっています。
2階はすべて畳敷き、低い椅子と併用するという現代の高床式住宅で、桂離宮を
思わせるところがあります。
「国立代々木屋内総合競技場」

1964年の東京オリンピックのために建てられた屋内競技場で、屋内空間を広く取るため、
吊り橋のような構造で屋根を吊っています。
優れた設計が高く評価され、丹下健三の名が世界に知られることとなった建築です。

「国立代々木競技場周辺地域模型」

明治神宮・代々木公園と渋谷のビル街の境に位置しています。
「山梨文化会館」

1966年の竣工で、円柱と梁で構造を支えていて、増改築が可能になっています。
ここでもピロティを取り入れています。

丹下健三は自身の代表作として、国立代々木競技場と山梨文化会館を挙げています。
「東京カテドラル聖マリア大聖堂」



1964年の竣工で、十字架型の斬新な形、立ち上がるステンレスの壁は圧倒的な
存在感があります。
丹下健三自身、カトリックに入信し、葬儀も東京カテドラルで行われています。
戦後の復興期という恵まれた環境という面もありましたが、建築を都市空間の中に
位置付ける発想、モダンでありながら伝統とも融合したデザインなど、丹下健三の
建築は極めて魅力的です。
展覧会のHPです。
隣の旧岩崎家住宅(ジョサイア・コンドル設計、1896年竣工)です。

湯島天神の本殿には夕日が当たって輝いていました。

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湯島の国立近現代建築資料館では、「丹下健三 1938-1970 戦前からオリンピック・
万博まで」展が開かれています。
会期は10月10日(日)まで、入館は無料です。
場所は文京区湯島4-6-15で、旧岩崎邸庭園に隣接しています。

丹下健三(1938-1970)の東京帝国大学の卒業制作から1970年の大阪万博まで、
模型や資料などで紹介する展示です。
「大東亜建設忠霊神域計画」

太平洋戦争中の1942年に建築学会が募集した「大東亜建設記念営造計画」に、
戦没学徒の慰霊施設を設計して応募し、1等を獲得しています。
場所は富士山麓想定し、を伊勢神宮を原型に、左右対称のプランになっています。
「広島平和記念公園及び記念館」


記念館は1955年の開館、川向うの原爆ドームを基点とした南北の軸線に沿った設計で、
都市景観というものを意識した画期的なプランです。
資料館は1階を柱だけにしたピロティ様式で、軸線上の資料館、慰霊碑、
原爆ドームを見通すことが出来ます。
「戦没学徒記念館」

兵庫県南淡町に建設された、学徒出陣や勤労動員で戦没した学生の慰霊施設です。
1967年の竣工で、淡路島の南端の山頂にあり、資料館と記念塔で構成されています。
「成城の自邸」

1953年竣工の木造で、丹下の好んだピロティ様式になっています。
2階はすべて畳敷き、低い椅子と併用するという現代の高床式住宅で、桂離宮を
思わせるところがあります。
「国立代々木屋内総合競技場」

1964年の東京オリンピックのために建てられた屋内競技場で、屋内空間を広く取るため、
吊り橋のような構造で屋根を吊っています。
優れた設計が高く評価され、丹下健三の名が世界に知られることとなった建築です。

「国立代々木競技場周辺地域模型」

明治神宮・代々木公園と渋谷のビル街の境に位置しています。
「山梨文化会館」

1966年の竣工で、円柱と梁で構造を支えていて、増改築が可能になっています。
ここでもピロティを取り入れています。

丹下健三は自身の代表作として、国立代々木競技場と山梨文化会館を挙げています。
「東京カテドラル聖マリア大聖堂」



1964年の竣工で、十字架型の斬新な形、立ち上がるステンレスの壁は圧倒的な
存在感があります。
丹下健三自身、カトリックに入信し、葬儀も東京カテドラルで行われています。
戦後の復興期という恵まれた環境という面もありましたが、建築を都市空間の中に
位置付ける発想、モダンでありながら伝統とも融合したデザインなど、丹下健三の
建築は極めて魅力的です。
展覧会のHPです。
隣の旧岩崎家住宅(ジョサイア・コンドル設計、1896年竣工)です。

湯島天神の本殿には夕日が当たって輝いていました。

東京
大丸東京店10階美術画廊では、「伊藤尚尋 油絵展-彩る想い-」が
9月28日(火)まで開かれています。
伊藤尚尋さん(1979~)は和歌山県出身で、一水会会員、細密な写実で
女性、イタリアや和歌山の風景などを描かれています。
展覧会では25点が展示されています。
「こぼれおちるもの」 F20

色調に統一感があり、セーターに当たる日光など光の描写も実に巧みで、
親しみやすい画風です。
*****
丸善丸の内本店4階ギャラリーでは、「みそろぎ人形展 2021」が
9月28日(火)まで開かれています。

「みそろぎ」はMythology(神話学)に由来する、この展覧会のための造語だそうです。
神話や民話、伝承、想像などから生まれた異次元の存在を追いたいとのことで、
約50名の作家の作品が会場いっぱいに展示されています。
ロシア・ウクライナ・ベラルーシ・カザフスタン・エストニアの作家の作品もあります。
郷土人形、玩具系と創作人形、フィギュア系の作品のコラボで、張り子人形や
キューピーさんもあって、それぞれの作風を楽しめます。




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大丸東京店10階美術画廊では、「伊藤尚尋 油絵展-彩る想い-」が
9月28日(火)まで開かれています。
伊藤尚尋さん(1979~)は和歌山県出身で、一水会会員、細密な写実で
女性、イタリアや和歌山の風景などを描かれています。
展覧会では25点が展示されています。
「こぼれおちるもの」 F20

色調に統一感があり、セーターに当たる日光など光の描写も実に巧みで、
親しみやすい画風です。
*****
丸善丸の内本店4階ギャラリーでは、「みそろぎ人形展 2021」が
9月28日(火)まで開かれています。

「みそろぎ」はMythology(神話学)に由来する、この展覧会のための造語だそうです。
神話や民話、伝承、想像などから生まれた異次元の存在を追いたいとのことで、
約50名の作家の作品が会場いっぱいに展示されています。
ロシア・ウクライナ・ベラルーシ・カザフスタン・エストニアの作家の作品もあります。
郷土人形、玩具系と創作人形、フィギュア系の作品のコラボで、張り子人形や
キューピーさんもあって、それぞれの作風を楽しめます。




池袋
西武池袋本店の西武アート・フォーラムでは、「─薔薇・バラ・ばら─ 福井江太郎
日本画展」が開かれています。
会期は9月28日(火)までです。

福井江太郎さん(1969~)は日本画家で、装飾的な画風により花や駝鳥の絵を
描かれています。
展覧会では薔薇を描いた作品を中心に展示されています。
実際の作品は画像より少し濃い色調です。
「喜」

「惺」

「祥」

「香」

「恵」

花弁の輪郭線がくっきり描かれ、色彩も華やかに輝き、様式美もあります。
2009年に日本橋髙島屋で開かれた「福井江太郎画集刊行記念展」の記事です。
*****
同じく西武アート・ギャラリーでは、「鳥屋尚行彫刻展」が開かれています。
会期は9月28日(火)までです。

鳥屋尚行さん(1972~)は東京出身で、フィレンツェで彫刻を学び、
木彫と陶を合わせた彫刻を制作されています。
「白狐」

毛並みはメソポタミア彫刻のように装飾的です。
鳥屋さんの作品はどこか象徴的な雰囲気をもっています。
「Ulyses―大瑠璃揚羽―」

本の上に蝶やキリンなどの動物の乗った、可愛い作品もあります。
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西武池袋本店の西武アート・フォーラムでは、「─薔薇・バラ・ばら─ 福井江太郎
日本画展」が開かれています。
会期は9月28日(火)までです。

福井江太郎さん(1969~)は日本画家で、装飾的な画風により花や駝鳥の絵を
描かれています。
展覧会では薔薇を描いた作品を中心に展示されています。
実際の作品は画像より少し濃い色調です。
「喜」

「惺」

「祥」

「香」

「恵」

花弁の輪郭線がくっきり描かれ、色彩も華やかに輝き、様式美もあります。
2009年に日本橋髙島屋で開かれた「福井江太郎画集刊行記念展」の記事です。
*****
同じく西武アート・ギャラリーでは、「鳥屋尚行彫刻展」が開かれています。
会期は9月28日(火)までです。

鳥屋尚行さん(1972~)は東京出身で、フィレンツェで彫刻を学び、
木彫と陶を合わせた彫刻を制作されています。
「白狐」

毛並みはメソポタミア彫刻のように装飾的です。
鳥屋さんの作品はどこか象徴的な雰囲気をもっています。
「Ulyses―大瑠璃揚羽―」

本の上に蝶やキリンなどの動物の乗った、可愛い作品もあります。
六本木・乃木坂
サントリー美術館では開館60周年記念展、「刀剣 もののふの心」が開かれています。
会期は10月31日(日)まで、休館日は火曜日です。
会期中、一部展示替えがあるので、展覧会のHPでご確認ください。

刀剣を中心に甲冑、合戦図屏風など、武家にまつわる作品の展示です。
「太刀 銘□忠 名物膝丸・薄緑」 鎌倉時代 13世紀 京都・大覚寺 重要文化財

備前長船派の作と考えられ、罪人の首を斬り落としたところ、膝まで斬れたということで、
この名があります。
源氏重代の太刀とされ、さまざまな伝承を持ち、源義経所持という伝承もあります。
「刀 名物義元左文字」 南北朝時代 京都・建勲神社 重要文化財

博多の刀工の一派、左文字派の作です。
三好政長から武田信虎に贈られ、信虎から今川義元に贈られ、義元の愛刀となりますが、
桶狭間の戦いで討たれた際に織田信長に奪われたとされています。
信長の家来の服部小平太は義元に一番槍を付けていますが、膝を斬られているので、
この刀で斬られたのかもしれません。
信長は短く磨り上げており、茎には金象嵌で「織田尾張守信長」「永禄三年五月十九日
義元討捕刻彼所持刀」とあります。
信長の死後、豊臣秀吉の手に渡り、更に秀頼から徳川家康に贈られ、家康は大坂の陣で
この刀を佩いていました。
明暦3年(1657)の明暦の大火に遭って焼身となったので焼き直しがされています。
「薙刀直し刀 無銘 名物骨喰藤四郎」 鎌倉時代 豊国神社 重要文化財

骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう)は鎌倉時代の刀工、粟田口吉光の作です。
相手を斬る真似をしただけで骨を砕いたと言われ、この名が付きました。
刀身に倶利伽羅が彫られており、元が薙刀だったので、切先が細長くなっています。
豊臣家の所蔵でしたが、大坂夏の陣では堀の中から無傷で発見されていますが、
明暦の大火で焼けたため、焼き直しがされています。
「朱漆塗矢筈札紺糸素懸威具足」 桃山時代 16~17世紀 サントリー美術館

以前の展覧会での写真です。
10月11日までの展示です。
兜、胴、佩楯を朱漆、草摺を黒漆で塗った鎧で、豊臣秀次所用と伝えられていますす。
素懸威(すがけおどし)は上下の小札をつなぐ糸の間隔を広くしたものです。
「酒伝童子絵巻」 狩野元信 大永2年(1522) サントリー美術館 重要文化財


酒呑童子の説話には、舞台を大江山とするものと、近江伊吹山とするものがあり、
こちらは伊吹山です。
小田原の北条氏綱の注文により狩野元信と弟子が描いた絵巻で、源頼光と
家来たちが討っている場面では酒呑童子の首が源頼光に喰らい付いています。
戦国時代の好みを映して凄惨な光景ですが、他の場面では同じ日の出来事の中に、
季節の異なる紅白梅、藤、萩、菊が描かれ、目を楽しませてくれます。
私の行った時は源頼光たちが出発の仕度をする場面と、酒吞童子の屋敷に
辿り着く場面が展示されていました。
「石山寺縁起絵巻(模本)」 七巻のうち第六巻(部分)
江戸時代 19世紀 サントリー美術館

鎌倉幕府の御家人、中原親能が謀反人を討伐する際、石山寺に祈願したところ、
その加護により討ち果たすことが出来たという話です。
謀反人の館に討ち入りする場面です。
「浄瑠璃物語絵巻」上巻 室町時代 16世紀 サントリー美術館


源義経と浄瑠璃姫の悲恋の物語です。
義経が奥州平泉に下る途中、三河の浄瑠璃姫の四季の花が同時に咲き乱れる
屋敷の庭を見て、素晴らしさに驚いています。
極楽浄土のような景色で、反り橋に立つのが義経です。
「調馬・厩馬図屏風」 桃山時代 16~17世紀 滋賀・多賀神社 重要文化財
右隻

左隻

六曲一双の屏風で、右隻では馬の調教の模様を座敷から眺めています。
左隻は厩に並んだ馬です。
馬は武士にとって大切な道具で、よく絵の題材にもなっています。
織田信長が天正9年(1581)に京都で行なった盛大な軍事パレードも
京都御馬揃えと呼ばれていました。
「日吉山王祇園祭礼図屛風」 六曲一双 土佐派 室町時代 16世紀



10月11日までの展示です。
近江日吉大社山王祭の船渡御の様子と京都八坂神社の祇園祭の様子が描かれています。
祇園祭の場面では山鉾や山車が巡行し、喧嘩も始まっています。
祇園祭の山鉾巡行で先頭を行く長刀鉾に立てられる、延宝3年(1675)和泉守来金道作の
巨大な長刀も展示されています。
来派は鎌倉時代から京都で続く刀工の一派です。
現在は真剣では重いので、竹に銀箔を貼ったものを立てているそうです。
名刀が揃い、いろいろな屏風絵や絵巻物なども展示されていて、面白い展覧会です。
展覧会のHPです。
6階のホールには刀剣男子のパネルがあって、記念撮影も出来ます。
右から膝丸、義元(宗三)左文字、秋田藤四郎、骨喰藤四郎です。

窓からの眺めです。

ミッドタウンの1階にはブドウが活けてありました。

chariot
サントリー美術館では開館60周年記念展、「刀剣 もののふの心」が開かれています。
会期は10月31日(日)まで、休館日は火曜日です。
会期中、一部展示替えがあるので、展覧会のHPでご確認ください。

刀剣を中心に甲冑、合戦図屏風など、武家にまつわる作品の展示です。
「太刀 銘□忠 名物膝丸・薄緑」 鎌倉時代 13世紀 京都・大覚寺 重要文化財

備前長船派の作と考えられ、罪人の首を斬り落としたところ、膝まで斬れたということで、
この名があります。
源氏重代の太刀とされ、さまざまな伝承を持ち、源義経所持という伝承もあります。
「刀 名物義元左文字」 南北朝時代 京都・建勲神社 重要文化財

博多の刀工の一派、左文字派の作です。
三好政長から武田信虎に贈られ、信虎から今川義元に贈られ、義元の愛刀となりますが、
桶狭間の戦いで討たれた際に織田信長に奪われたとされています。
信長の家来の服部小平太は義元に一番槍を付けていますが、膝を斬られているので、
この刀で斬られたのかもしれません。
信長は短く磨り上げており、茎には金象嵌で「織田尾張守信長」「永禄三年五月十九日
義元討捕刻彼所持刀」とあります。
信長の死後、豊臣秀吉の手に渡り、更に秀頼から徳川家康に贈られ、家康は大坂の陣で
この刀を佩いていました。
明暦3年(1657)の明暦の大火に遭って焼身となったので焼き直しがされています。
「薙刀直し刀 無銘 名物骨喰藤四郎」 鎌倉時代 豊国神社 重要文化財

骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう)は鎌倉時代の刀工、粟田口吉光の作です。
相手を斬る真似をしただけで骨を砕いたと言われ、この名が付きました。
刀身に倶利伽羅が彫られており、元が薙刀だったので、切先が細長くなっています。
豊臣家の所蔵でしたが、大坂夏の陣では堀の中から無傷で発見されていますが、
明暦の大火で焼けたため、焼き直しがされています。
「朱漆塗矢筈札紺糸素懸威具足」 桃山時代 16~17世紀 サントリー美術館

以前の展覧会での写真です。
10月11日までの展示です。
兜、胴、佩楯を朱漆、草摺を黒漆で塗った鎧で、豊臣秀次所用と伝えられていますす。
素懸威(すがけおどし)は上下の小札をつなぐ糸の間隔を広くしたものです。
「酒伝童子絵巻」 狩野元信 大永2年(1522) サントリー美術館 重要文化財


酒呑童子の説話には、舞台を大江山とするものと、近江伊吹山とするものがあり、
こちらは伊吹山です。
小田原の北条氏綱の注文により狩野元信と弟子が描いた絵巻で、源頼光と
家来たちが討っている場面では酒呑童子の首が源頼光に喰らい付いています。
戦国時代の好みを映して凄惨な光景ですが、他の場面では同じ日の出来事の中に、
季節の異なる紅白梅、藤、萩、菊が描かれ、目を楽しませてくれます。
私の行った時は源頼光たちが出発の仕度をする場面と、酒吞童子の屋敷に
辿り着く場面が展示されていました。
「石山寺縁起絵巻(模本)」 七巻のうち第六巻(部分)
江戸時代 19世紀 サントリー美術館

鎌倉幕府の御家人、中原親能が謀反人を討伐する際、石山寺に祈願したところ、
その加護により討ち果たすことが出来たという話です。
謀反人の館に討ち入りする場面です。
「浄瑠璃物語絵巻」上巻 室町時代 16世紀 サントリー美術館


源義経と浄瑠璃姫の悲恋の物語です。
義経が奥州平泉に下る途中、三河の浄瑠璃姫の四季の花が同時に咲き乱れる
屋敷の庭を見て、素晴らしさに驚いています。
極楽浄土のような景色で、反り橋に立つのが義経です。
「調馬・厩馬図屏風」 桃山時代 16~17世紀 滋賀・多賀神社 重要文化財
右隻

左隻

六曲一双の屏風で、右隻では馬の調教の模様を座敷から眺めています。
左隻は厩に並んだ馬です。
馬は武士にとって大切な道具で、よく絵の題材にもなっています。
織田信長が天正9年(1581)に京都で行なった盛大な軍事パレードも
京都御馬揃えと呼ばれていました。
「日吉山王祇園祭礼図屛風」 六曲一双 土佐派 室町時代 16世紀



10月11日までの展示です。
近江日吉大社山王祭の船渡御の様子と京都八坂神社の祇園祭の様子が描かれています。
祇園祭の場面では山鉾や山車が巡行し、喧嘩も始まっています。
祇園祭の山鉾巡行で先頭を行く長刀鉾に立てられる、延宝3年(1675)和泉守来金道作の
巨大な長刀も展示されています。
来派は鎌倉時代から京都で続く刀工の一派です。
現在は真剣では重いので、竹に銀箔を貼ったものを立てているそうです。
名刀が揃い、いろいろな屏風絵や絵巻物なども展示されていて、面白い展覧会です。
展覧会のHPです。
6階のホールには刀剣男子のパネルがあって、記念撮影も出来ます。
右から膝丸、義元(宗三)左文字、秋田藤四郎、骨喰藤四郎です。

窓からの眺めです。

ミッドタウンの1階にはブドウが活けてありました。

乃木坂
六本木の国立新美術館では、「第84回 新制作展」が開かれています。
会期は9月26日(日)までで、火曜日は休館日です。
新制作協会は1936年設立の美術団体で、現在は絵画部、彫刻部、
スペースデザイン部があります。
昨年はコロナ禍のため開催が今年に延期されました。
会場は撮影可能です。
石川由子 「にぎやかだった頃」

懐かしい時代の町の情景です。
日本髪に割烹着、着物の女性がお地蔵様を拝んでいます。

板谷諭使 「種まく人」

生物と機械のハイブリッドの巨大な種子が宙に浮いています。
一居孝明 「gold story <第二章>」

鈍い光を放つ金属の塊の中にはヒエロニムス・ボスのような怪物も見えます。
奥田善章 「星空にハレルヤ」

細密な描写とボリュームに圧倒されます。
小野仁良 「オトノキオク・ユルヤカナゴゴ」

板張りの縁側でギターを弾いてくつろぐ女性の横では猫がこちらを見ています。
小野伸一 「雨曼陀羅華」

雨曼陀羅華は法華経の一節で、釈迦が説法すると天界から花が降ってくる
ことをいいます。
ムラサキシキブが実を付け、薄は金色に輝いています。
甲斐美奈子 「めぐりあう時間」

ビーカーやフラスコ、香水瓶などがぎっしりと集まって、光り輝いています。
片山裕之 「ある風景」

廃物になった遊園地の飛行機。ランドセルは子どもの頃の記憶。
加藤貞子 「ニンギョウサマ」

秋田県に伝わる、村境に置いて災いの入ってくるのを防ぐ「塞の神(さえのかみ)」を
モチーフにしているようです。
金森宰司 「ライフ「2021在宅時間」」

「ライフ」シリーズで、ふっくらした在宅時間を過ごしています。
小島隆三 「黙示録 2021」

アダムとイヴの周りに黙示録の7人のラッパ吹きや4人の騎士などが描かれています。
近藤オリガ 上から「就寝前の祈り」「ある女性」「裸婦」



近藤さん独特の重厚な色調と筆触です。
佐藤泰生 「ヴェニス 騎馬像と広場」

サン・マルコ広場近くの海沿いに立っているヴィットーリオ・エマヌエーレ2世像です。
下から見上げたり、横から見たり、迫力があります。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世(1820-1878)はイタリア統一を成し遂げた王です。
斎藤正 「街を臨む」

明るく、カラッとした幻想です。
椎名みどり 「バス ストップ(たそがれ)」

ちょっとノスタルジックで不思議な情景です。
高野真木子 「分水嶺―水源を探して」

線描による女性の顔を中心にした、壁画のような装飾的な画面です。
高堀正俊 「食卓」

いつもながら白々と確かな写実です。
田村研一 「泥列車」

扇風機の付いた電車にヤンキー座りの女子高生、窓の外には青い怪物、
混沌とした都会の夕暮れです。
田村佳丈 「篠原の戦い」

加賀の篠原での寿永2年(1183)の木曽義仲と平家軍の戦いで、平家の武者が
射落とされています。
中井英夫 「賀茂川幻視」

河原に現れた玩具たちです。
鍋島正一 「ソリッドスクエア」
平面に見えますが、

屏風に似た立体作品です。

原田夏樹 「名犬六兵衛の居る風景 V」

原田さんの作品には名犬六兵衛が登場します。
蛭田均 「流れ着いた所」

女性と一緒にいるのはカブトガニやタツノオトシゴ、チョウセンアサガオなどで、
細密な写実には人を惹き付けるものがあります。
蛭田美保子 「卵から孵化するような話」

蛭田さんは野菜や品物を巨大に描いて、迫力満点の画面に仕立てています。
松木義三 「子供の時間」

組体操の子供たちによる群像表現です。
矢澤健太郎 「ものがたりをかたるものたちのものがたり」

朗々と語る人がいて、聴く人がいます。
渡辺久子 「花を摘む」

すっきりと素直な描写で、観ていてほっとします。
石井礼子 「大きくなりたい 麺好き・夢の中」

石井礼子さんの作品は家族の日常の情景を墨を使って上からの構図で
賑やかに描くものです。
2009年の新制作展で初めて知って注目していましたが、2019年に45歳で
亡くなられたそうです。
彫刻作品から1点
梶本良衛 「ワ・タ・シ 飛べるかな…」

彫刻が夢を語っているところです。
2019年の「第83回 新制作展」の記事です。
美術館も夕方になりました。

chariot
六本木の国立新美術館では、「第84回 新制作展」が開かれています。
会期は9月26日(日)までで、火曜日は休館日です。
新制作協会は1936年設立の美術団体で、現在は絵画部、彫刻部、
スペースデザイン部があります。
昨年はコロナ禍のため開催が今年に延期されました。
会場は撮影可能です。
石川由子 「にぎやかだった頃」

懐かしい時代の町の情景です。
日本髪に割烹着、着物の女性がお地蔵様を拝んでいます。

板谷諭使 「種まく人」

生物と機械のハイブリッドの巨大な種子が宙に浮いています。
一居孝明 「gold story <第二章>」

鈍い光を放つ金属の塊の中にはヒエロニムス・ボスのような怪物も見えます。
奥田善章 「星空にハレルヤ」

細密な描写とボリュームに圧倒されます。
小野仁良 「オトノキオク・ユルヤカナゴゴ」

板張りの縁側でギターを弾いてくつろぐ女性の横では猫がこちらを見ています。
小野伸一 「雨曼陀羅華」

雨曼陀羅華は法華経の一節で、釈迦が説法すると天界から花が降ってくる
ことをいいます。
ムラサキシキブが実を付け、薄は金色に輝いています。
甲斐美奈子 「めぐりあう時間」

ビーカーやフラスコ、香水瓶などがぎっしりと集まって、光り輝いています。
片山裕之 「ある風景」

廃物になった遊園地の飛行機。ランドセルは子どもの頃の記憶。
加藤貞子 「ニンギョウサマ」

秋田県に伝わる、村境に置いて災いの入ってくるのを防ぐ「塞の神(さえのかみ)」を
モチーフにしているようです。
金森宰司 「ライフ「2021在宅時間」」

「ライフ」シリーズで、ふっくらした在宅時間を過ごしています。
小島隆三 「黙示録 2021」

アダムとイヴの周りに黙示録の7人のラッパ吹きや4人の騎士などが描かれています。
近藤オリガ 上から「就寝前の祈り」「ある女性」「裸婦」



近藤さん独特の重厚な色調と筆触です。
佐藤泰生 「ヴェニス 騎馬像と広場」

サン・マルコ広場近くの海沿いに立っているヴィットーリオ・エマヌエーレ2世像です。
下から見上げたり、横から見たり、迫力があります。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世(1820-1878)はイタリア統一を成し遂げた王です。
斎藤正 「街を臨む」

明るく、カラッとした幻想です。
椎名みどり 「バス ストップ(たそがれ)」

ちょっとノスタルジックで不思議な情景です。
高野真木子 「分水嶺―水源を探して」

線描による女性の顔を中心にした、壁画のような装飾的な画面です。
高堀正俊 「食卓」

いつもながら白々と確かな写実です。
田村研一 「泥列車」

扇風機の付いた電車にヤンキー座りの女子高生、窓の外には青い怪物、
混沌とした都会の夕暮れです。
田村佳丈 「篠原の戦い」

加賀の篠原での寿永2年(1183)の木曽義仲と平家軍の戦いで、平家の武者が
射落とされています。
中井英夫 「賀茂川幻視」

河原に現れた玩具たちです。
鍋島正一 「ソリッドスクエア」
平面に見えますが、

屏風に似た立体作品です。

原田夏樹 「名犬六兵衛の居る風景 V」

原田さんの作品には名犬六兵衛が登場します。
蛭田均 「流れ着いた所」

女性と一緒にいるのはカブトガニやタツノオトシゴ、チョウセンアサガオなどで、
細密な写実には人を惹き付けるものがあります。
蛭田美保子 「卵から孵化するような話」

蛭田さんは野菜や品物を巨大に描いて、迫力満点の画面に仕立てています。
松木義三 「子供の時間」

組体操の子供たちによる群像表現です。
矢澤健太郎 「ものがたりをかたるものたちのものがたり」

朗々と語る人がいて、聴く人がいます。
渡辺久子 「花を摘む」

すっきりと素直な描写で、観ていてほっとします。
石井礼子 「大きくなりたい 麺好き・夢の中」

石井礼子さんの作品は家族の日常の情景を墨を使って上からの構図で
賑やかに描くものです。
2009年の新制作展で初めて知って注目していましたが、2019年に45歳で
亡くなられたそうです。
彫刻作品から1点
梶本良衛 「ワ・タ・シ 飛べるかな…」

彫刻が夢を語っているところです。
2019年の「第83回 新制作展」の記事です。
美術館も夕方になりました。

東京
丸の内では丸ビルなどで「アートアワードトーキョー丸の内2021」が開かれています。
会期は9月29日(水)までです。
「アートアワードトーキョー丸の内」は若手アーティストの発掘・育成を目的に
7人の審査員が日本の美術大学・大学院の卒業・終了制作展の中から選抜して、
ギャラリーで展示する展覧会です。
今回で15回目で、26人の作品が丸ビル 1Fマルキューブ、丸ビル 3F回廊、
丸の内オアゾ 1F○○広場、TOKYO TORCH Parkで展示され、最終日に
グランプリやその他の賞が決定します。
丸ビルマルキューブに展示の作品
内田早紀 東京藝術大学 「8匹のみつばち」など

「ドリトル先生」シリーズに出てくるオシツオサレツのような動物もいます。
加藤康司 東京藝術大学大学院 「倭蘭領東印度南方合戦外伝」

画面の中の映像がインドネシアについて語りかけてきます。
谷村 メイチン ロマーナ 東北芸術工科大学大学院
『エキゾチックファイアードラゴン「マスダ三兄弟」、マジカルユニコーン「ハイエル姉妹」』

幼稚園に置いておきたい、楽しそうな作品です。
田口薫 東京藝術大学大学院 「東亜の聖母」


聖母子像や聖母戴冠、イエスの生涯などがびっしりと線彫りされています。
丸の内オアゾ ○○広場に展示の作品
岡﨑龍之祐 東京藝術大学大学院 「JOMONJOMON」

縄文土器にインスパイアされたとのことで、赤色に生命力があります。
川角大和 愛知県立芸術大学大学院 「low table and rocking chair」

名は体を表さずに自己主張しています。
ジョン チャファ 武蔵野美術大学 「つながり」

とてもカラフルな化学工場のようです。
成島麻世 武蔵野美術大学 「ホ」

木から生まれた構造物が超然と立っています。
展覧会のHPです。
chariot
丸の内では丸ビルなどで「アートアワードトーキョー丸の内2021」が開かれています。
会期は9月29日(水)までです。
「アートアワードトーキョー丸の内」は若手アーティストの発掘・育成を目的に
7人の審査員が日本の美術大学・大学院の卒業・終了制作展の中から選抜して、
ギャラリーで展示する展覧会です。
今回で15回目で、26人の作品が丸ビル 1Fマルキューブ、丸ビル 3F回廊、
丸の内オアゾ 1F○○広場、TOKYO TORCH Parkで展示され、最終日に
グランプリやその他の賞が決定します。
丸ビルマルキューブに展示の作品
内田早紀 東京藝術大学 「8匹のみつばち」など

「ドリトル先生」シリーズに出てくるオシツオサレツのような動物もいます。
加藤康司 東京藝術大学大学院 「倭蘭領東印度南方合戦外伝」

画面の中の映像がインドネシアについて語りかけてきます。
谷村 メイチン ロマーナ 東北芸術工科大学大学院
『エキゾチックファイアードラゴン「マスダ三兄弟」、マジカルユニコーン「ハイエル姉妹」』

幼稚園に置いておきたい、楽しそうな作品です。
田口薫 東京藝術大学大学院 「東亜の聖母」


聖母子像や聖母戴冠、イエスの生涯などがびっしりと線彫りされています。
丸の内オアゾ ○○広場に展示の作品
岡﨑龍之祐 東京藝術大学大学院 「JOMONJOMON」

縄文土器にインスパイアされたとのことで、赤色に生命力があります。
川角大和 愛知県立芸術大学大学院 「low table and rocking chair」

名は体を表さずに自己主張しています。
ジョン チャファ 武蔵野美術大学 「つながり」

とてもカラフルな化学工場のようです。
成島麻世 武蔵野美術大学 「ホ」

木から生まれた構造物が超然と立っています。
展覧会のHPです。
日本橋
日本橋髙島屋美術画廊Xでは「かたわらに 沢田英男彫刻作品展」が
開かれています。
会期は9月27日(月)までです。

沢田英男さん(1955~)は極々小さな木彫を制作されています。
造りかけの仏像のような形や羊飼いと羊たちを象っている作品もあります。
半ば抽象化され、静かに佇むその形は何かを語りかけてくるようです。
*****
日本橋髙島屋美術画廊では「中島健太展-zone-」が開かれています。
会期は9月21日(火)までです。
「完売画家」と知られる中島健太さんの個展で、今回は女優の小松彩夏さんを
モデルにした作品を中心に、中島さん得意の波打ち際を描いた作品などが
展示されています。
中島さんの作品は同じ写実主義で人気作家の山本大貴さんと比べると、
より親しみやすく、色彩も濃厚です。
*****
同じく日本橋髙島屋美術画廊では「山田実穂展―遠くにいるかば達に―」が
開かれています。
会期は9月21日(火)までです。

山田実穂さん(1977~)はテラコッタでかばの像を制作されています。
薄桃色に彩色した粘土を焼いて造られたかばたちはどれも愛らしく、
暖か味があり、横にちょっと置いておきたくなります。
chariot
日本橋髙島屋美術画廊Xでは「かたわらに 沢田英男彫刻作品展」が
開かれています。
会期は9月27日(月)までです。

沢田英男さん(1955~)は極々小さな木彫を制作されています。
造りかけの仏像のような形や羊飼いと羊たちを象っている作品もあります。
半ば抽象化され、静かに佇むその形は何かを語りかけてくるようです。
*****
日本橋髙島屋美術画廊では「中島健太展-zone-」が開かれています。
会期は9月21日(火)までです。
「完売画家」と知られる中島健太さんの個展で、今回は女優の小松彩夏さんを
モデルにした作品を中心に、中島さん得意の波打ち際を描いた作品などが
展示されています。
中島さんの作品は同じ写実主義で人気作家の山本大貴さんと比べると、
より親しみやすく、色彩も濃厚です。
*****
同じく日本橋髙島屋美術画廊では「山田実穂展―遠くにいるかば達に―」が
開かれています。
会期は9月21日(火)までです。

山田実穂さん(1977~)はテラコッタでかばの像を制作されています。
薄桃色に彩色した粘土を焼いて造られたかばたちはどれも愛らしく、
暖か味があり、横にちょっと置いておきたくなります。
カップ
喫茶店などで使われているコーヒーカップのブランドを集めてみました。
今回はイギリスの代表的ブランド、ウェッジウッドです。
1759年にジョサイア・ウェッジウッドの設立したブランドです。
進化論で有名なチャールズ・ダーウィンはジョサイアの娘の子で、ジョサイアの
遺産のおかげで、研究に没頭することが出来ました。
ウエッジウッドはいろいろな種類があり、お店の方によれば丈夫で使いやすいそうです。
ワイルドストロベリー 「仏蘭西屋京王新宿店」

代表的な模様です。
ワイルドストロベリー 大丸東京店の「カフェ英國屋」

ピオニーという紅茶用の型です。
ハンティングシーン 大丸東京店の「カフェ英國屋」

ルネッサンスゴールド 「但馬屋珈琲店 小田急百貨店」

ユーランダーパウダーブルー 銀座の「炭火焙煎珈琲 凛」

フロレンティーンターコイズ 東銀座の「炭火焙煎珈琲 凛 east+」

ターコイズジュエル 「カフェ・ラ・ミル 紀尾井町サンローゼ赤坂店」

インディア 六本木の「る・ぽーる」

セレスティアルゴールド 千歳船橋の「喫茶 居桂詩(こけし)」

ホワイト 湯島の「Zehn Coffee(ツエーンコーヒー)」

カーゾン 初台の「カフェ・ド・ルラーシュ」

クタニクレーン お茶の水の山の上ホテル「コーヒーパーラー・ヒルトップ」

九谷焼の鶴をイメージしているようです。
chariot
喫茶店などで使われているコーヒーカップのブランドを集めてみました。
今回はイギリスの代表的ブランド、ウェッジウッドです。
1759年にジョサイア・ウェッジウッドの設立したブランドです。
進化論で有名なチャールズ・ダーウィンはジョサイアの娘の子で、ジョサイアの
遺産のおかげで、研究に没頭することが出来ました。
ウエッジウッドはいろいろな種類があり、お店の方によれば丈夫で使いやすいそうです。
ワイルドストロベリー 「仏蘭西屋京王新宿店」

代表的な模様です。
ワイルドストロベリー 大丸東京店の「カフェ英國屋」

ピオニーという紅茶用の型です。
ハンティングシーン 大丸東京店の「カフェ英國屋」

ルネッサンスゴールド 「但馬屋珈琲店 小田急百貨店」

ユーランダーパウダーブルー 銀座の「炭火焙煎珈琲 凛」

フロレンティーンターコイズ 東銀座の「炭火焙煎珈琲 凛 east+」

ターコイズジュエル 「カフェ・ラ・ミル 紀尾井町サンローゼ赤坂店」

インディア 六本木の「る・ぽーる」

セレスティアルゴールド 千歳船橋の「喫茶 居桂詩(こけし)」

ホワイト 湯島の「Zehn Coffee(ツエーンコーヒー)」

カーゾン 初台の「カフェ・ド・ルラーシュ」

クタニクレーン お茶の水の山の上ホテル「コーヒーパーラー・ヒルトップ」

九谷焼の鶴をイメージしているようです。
三越前
日本橋三越本店本館7階ギャラリーでは9月27日(月)まで、
「第68回 日本伝統工芸展」が開かれています。
入場は無料です。
今年は約590点が展示されています。

日本工芸会総裁賞 木綿着物「青海」 小林佐智子

風通織(ふうつうおり)という織り方で、少しずつ色の違う青い糸を使って、
艶やかで細密な格子模様を織り上げています。
高松宮記念賞 木芯桐塑和紙貼「蒼天」 高田和司

鳥打帽に野羽織、股引、地下足袋の伝統的な身なりをした鷹匠が
鷹を空に放った瞬間で、広く高い空間を感じさせます。
文部科学大臣賞 黒檀嵌荘匣「深山の彩」 三浦信一

深々とした色合いの黒檀に施された象嵌が神秘的な趣きを添えています。
NHK会長賞 乾漆箱「新雪」 水口咲

乾漆特有のふわりとした造形と柔らかな朱色が魅力です。
日本工芸会奨励賞 陶彫彩色「星河」 中村信喬

南蛮風の人物の衣装には北極星を中心に回る夜空の星の動きが写されています。
今年もさまざまな技法、意匠の作品が揃い、観ていて飽きることがありません。
2020年の「第67回 日本伝統工芸展」の記事です。
chariot
日本橋三越本店本館7階ギャラリーでは9月27日(月)まで、
「第68回 日本伝統工芸展」が開かれています。
入場は無料です。
今年は約590点が展示されています。

日本工芸会総裁賞 木綿着物「青海」 小林佐智子

風通織(ふうつうおり)という織り方で、少しずつ色の違う青い糸を使って、
艶やかで細密な格子模様を織り上げています。
高松宮記念賞 木芯桐塑和紙貼「蒼天」 高田和司

鳥打帽に野羽織、股引、地下足袋の伝統的な身なりをした鷹匠が
鷹を空に放った瞬間で、広く高い空間を感じさせます。
文部科学大臣賞 黒檀嵌荘匣「深山の彩」 三浦信一

深々とした色合いの黒檀に施された象嵌が神秘的な趣きを添えています。
NHK会長賞 乾漆箱「新雪」 水口咲

乾漆特有のふわりとした造形と柔らかな朱色が魅力です。
日本工芸会奨励賞 陶彫彩色「星河」 中村信喬

南蛮風の人物の衣装には北極星を中心に回る夜空の星の動きが写されています。
今年もさまざまな技法、意匠の作品が揃い、観ていて飽きることがありません。
2020年の「第67回 日本伝統工芸展」の記事です。
上野
上野の東京藝術大学大学美術館では「みろく ―終わりの彼方 弥勒の世界―」が
開かれています。
会期は10月10日(日)までです。

この展覧会は2016年の「素心 バーミヤン大仏天井壁画~流出文化財とともに~」展、
2017年の「素心伝心―クローン文化財 失われた刻の再生」に続く企画です。

弥勒(みろく、マイトレーヤ)は釈迦入滅後、56億7千万年後にこの世に現れ、
人びとを救済するとされている未来仏です。
弥勒像はパキスタンのガンダーラで生まれ、アフガニスタンのバーミヤンを経由し、
シルクロードを通って、遠く日本にまで伝わっています。
展覧会ではガンダーラ、バーミヤン、敦煌などに残る弥勒を紹介する展示です。
入口の床の地図にある赤い点を踏むと、画像が現れます。
ガンダーラ

龍門

興福寺

戦車に乗る太陽神を表した柱頭
ガンダーラ 2-3世紀 平山郁夫シルクロード美術館蔵


仏教美術ですが、4頭立ての馬車を駆る太陽神は古代ギリシャに由来する神です。
弥勒菩薩座像 ガンダーラ 2-3世紀 平山郁夫シルクロード美術館蔵

初期の弥勒像は左手に水瓶を持っています。
ガンダーラ仏の姿は西方ギリシャ・ローマの面影があります。
弥勒菩薩礼拝図 ガンダーラ 3-4世紀 平山郁夫シルクロード美術館蔵

弥勒菩薩はこの世に現れるまでの間、兜率天(とそつてん)で説法していると
されています。
太陽神ミイロ/カニシュカ1世金貨
2世紀前半 インド北部~アフガニスタン 平山郁夫シルクロード美術館蔵


弥勒の名は太陽神ミイロに由来し、ミトラス教とも関連があります。
カニシュカ1世はインドから中央アジアにかけて栄えたクシャーナ朝の王で、
仏教を保護したことで知られています。
バーミヤンE窟仏龕及び天井壁画(青の弥勒) 想定復元 東京藝術大学蔵


右手は思惟手の形、左手は水瓶を持った弥勒像です。
アフガニスタン特産のラピスラズリを使って青々と描かれ、左右には柱頭飾りの
載った柱も描き込まれています。
バーミヤンE窟模型 東京藝術大学蔵

人の身長は左右の黒い穴に近い高さです。
E窟のこの座像も天井壁画もタリバンにより爆破されてしまいました。
バーミヤン東⼤仏天井壁画「天翔る太陽神」 想定復元 東京藝術大学蔵


バーミヤンの東大仏の天井部分に描かれていた壁画、「天翔る太陽神」は2001年に
タリバンによって東大仏とともに爆破されています。
その壁画を、写真資料を基に原寸大で和紙に印刷し、実物と同じ形に再現された
天井に貼り、岩絵具で彩色して想定復元しています。
槍を持ち、光背を負った太陽神を中心に、風神、翼を持つ飛天、4頭の馬の牽く
馬車などが描かれ、アフガニスタン特産のラピスラズリの青が空間を埋めています。
太陽神はギリシャの太陽神ヘリオス、イランのミスラなどの影響を受けているそうです。
壁の側面には僧に導かれた大仏の寄進者も描かれています。

(参考)
2016年の「素心 バーミヤン大仏天井壁画」展に展示されていた想定復元図

展示室の壁には2017年の「素心伝心」展でも映写された、失われた東大仏の
頭の位置から見たバーミヤンの景色の動画が映されています。
東大仏はヒンドゥークシュ山脈も望めるこの雄大な景色を眺めていました。
バーミヤンはモンゴル系のハザラ人の居地域で、タリバンの制圧前は少年兵が
銃を持って大仏の頭の上に乗っていたこともありました。


敦煌莫高窟第275窟 弥勒菩薩交脚像再現(70%縮小) 5世紀 敦煌研究院

莫高窟で最も古い交脚像で、右手を施無畏印にし、左手を与願印にしています。
交脚は日本では馴染のない座り方です。
敦煌莫高窟第57窟 想定復元 7世紀 東京藝術大学蔵


本来は6体ありますが、主に清時代の修復がみられるため、今回は中央の
釈迦如来像と一番手前の菩薩像の2体を当初の形に推定復元しています。
釈迦如来像は敦煌研究院、菩薩像は東京藝術大学が模造し、
それを計測して3D切削機で成形し、彩色しています。
法隆寺金堂壁画9号壁(弥勒説法図) 焼損前再現 東京藝術大学蔵

法隆寺金堂壁画は1949年に模写作業中の失火で失われてしまいましたが、
写真を基に1967年から安田靫彦、前田青邨、橋本明治、吉岡堅二を中心
14名の日本画家によって復元模写が行なわれ、68年に完成しています。
こちらは東京藝術大学の復元・再現技術により再現された図です。
法隆寺金堂9号壁画(弥勒説法図) 想定復元 東京藝術大学蔵


こちらは更に元の姿を想定して復元した図です。
東大寺中性院弥勒菩薩立像 復元模刻 1190-99年 個人蔵

腰をややひねり、右足を少し前に出した、動きのある姿です。
元の像は鎌倉時代の建久年間の作と考えられます。
この展覧会の始まる直前、アフガニスタンでは2001年のアメリカ同時多発テロ事件を
きっかけに米軍などにより駆逐されたタリバンが再び全土を制圧したというのは
いささか苦い偶然ではあります。
2016年の「素心 バーミヤン大仏天井壁画~流出文化財とともに~」展の記事です。
2017年の「素心伝心 ―クローン文化財 失われた刻の再生」展の記事です。
展覧会のHPです。
chariot
上野の東京藝術大学大学美術館では「みろく ―終わりの彼方 弥勒の世界―」が
開かれています。
会期は10月10日(日)までです。

この展覧会は2016年の「素心 バーミヤン大仏天井壁画~流出文化財とともに~」展、
2017年の「素心伝心―クローン文化財 失われた刻の再生」に続く企画です。

弥勒(みろく、マイトレーヤ)は釈迦入滅後、56億7千万年後にこの世に現れ、
人びとを救済するとされている未来仏です。
弥勒像はパキスタンのガンダーラで生まれ、アフガニスタンのバーミヤンを経由し、
シルクロードを通って、遠く日本にまで伝わっています。
展覧会ではガンダーラ、バーミヤン、敦煌などに残る弥勒を紹介する展示です。
入口の床の地図にある赤い点を踏むと、画像が現れます。
ガンダーラ

龍門

興福寺

戦車に乗る太陽神を表した柱頭
ガンダーラ 2-3世紀 平山郁夫シルクロード美術館蔵


仏教美術ですが、4頭立ての馬車を駆る太陽神は古代ギリシャに由来する神です。
弥勒菩薩座像 ガンダーラ 2-3世紀 平山郁夫シルクロード美術館蔵

初期の弥勒像は左手に水瓶を持っています。
ガンダーラ仏の姿は西方ギリシャ・ローマの面影があります。
弥勒菩薩礼拝図 ガンダーラ 3-4世紀 平山郁夫シルクロード美術館蔵

弥勒菩薩はこの世に現れるまでの間、兜率天(とそつてん)で説法していると
されています。
太陽神ミイロ/カニシュカ1世金貨
2世紀前半 インド北部~アフガニスタン 平山郁夫シルクロード美術館蔵


弥勒の名は太陽神ミイロに由来し、ミトラス教とも関連があります。
カニシュカ1世はインドから中央アジアにかけて栄えたクシャーナ朝の王で、
仏教を保護したことで知られています。
バーミヤンE窟仏龕及び天井壁画(青の弥勒) 想定復元 東京藝術大学蔵


右手は思惟手の形、左手は水瓶を持った弥勒像です。
アフガニスタン特産のラピスラズリを使って青々と描かれ、左右には柱頭飾りの
載った柱も描き込まれています。
バーミヤンE窟模型 東京藝術大学蔵

人の身長は左右の黒い穴に近い高さです。
E窟のこの座像も天井壁画もタリバンにより爆破されてしまいました。
バーミヤン東⼤仏天井壁画「天翔る太陽神」 想定復元 東京藝術大学蔵


バーミヤンの東大仏の天井部分に描かれていた壁画、「天翔る太陽神」は2001年に
タリバンによって東大仏とともに爆破されています。
その壁画を、写真資料を基に原寸大で和紙に印刷し、実物と同じ形に再現された
天井に貼り、岩絵具で彩色して想定復元しています。
槍を持ち、光背を負った太陽神を中心に、風神、翼を持つ飛天、4頭の馬の牽く
馬車などが描かれ、アフガニスタン特産のラピスラズリの青が空間を埋めています。
太陽神はギリシャの太陽神ヘリオス、イランのミスラなどの影響を受けているそうです。
壁の側面には僧に導かれた大仏の寄進者も描かれています。

(参考)
2016年の「素心 バーミヤン大仏天井壁画」展に展示されていた想定復元図

展示室の壁には2017年の「素心伝心」展でも映写された、失われた東大仏の
頭の位置から見たバーミヤンの景色の動画が映されています。
東大仏はヒンドゥークシュ山脈も望めるこの雄大な景色を眺めていました。
バーミヤンはモンゴル系のハザラ人の居地域で、タリバンの制圧前は少年兵が
銃を持って大仏の頭の上に乗っていたこともありました。


敦煌莫高窟第275窟 弥勒菩薩交脚像再現(70%縮小) 5世紀 敦煌研究院

莫高窟で最も古い交脚像で、右手を施無畏印にし、左手を与願印にしています。
交脚は日本では馴染のない座り方です。
敦煌莫高窟第57窟 想定復元 7世紀 東京藝術大学蔵


本来は6体ありますが、主に清時代の修復がみられるため、今回は中央の
釈迦如来像と一番手前の菩薩像の2体を当初の形に推定復元しています。
釈迦如来像は敦煌研究院、菩薩像は東京藝術大学が模造し、
それを計測して3D切削機で成形し、彩色しています。
法隆寺金堂壁画9号壁(弥勒説法図) 焼損前再現 東京藝術大学蔵

法隆寺金堂壁画は1949年に模写作業中の失火で失われてしまいましたが、
写真を基に1967年から安田靫彦、前田青邨、橋本明治、吉岡堅二を中心
14名の日本画家によって復元模写が行なわれ、68年に完成しています。
こちらは東京藝術大学の復元・再現技術により再現された図です。
法隆寺金堂9号壁画(弥勒説法図) 想定復元 東京藝術大学蔵


こちらは更に元の姿を想定して復元した図です。
東大寺中性院弥勒菩薩立像 復元模刻 1190-99年 個人蔵

腰をややひねり、右足を少し前に出した、動きのある姿です。
元の像は鎌倉時代の建久年間の作と考えられます。
この展覧会の始まる直前、アフガニスタンでは2001年のアメリカ同時多発テロ事件を
きっかけに米軍などにより駆逐されたタリバンが再び全土を制圧したというのは
いささか苦い偶然ではあります。
2016年の「素心 バーミヤン大仏天井壁画~流出文化財とともに~」展の記事です。
2017年の「素心伝心 ―クローン文化財 失われた刻の再生」展の記事です。
展覧会のHPです。