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「博物館でお花見を」 東京国立博物館 2022
上野
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上野の東京国立博物館の恒例のイベント、「博物館でお花見を」に行ってきました。
会期は4月10日(日)までです。


「当麻曼荼羅図」 鎌倉時代・14世紀
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当麻曼荼羅は観無量寿経に基く極楽浄土を描いた絵画で、当麻寺に伝来する
奈良時代の作品を原本としています。

「狭衣物語絵巻」 江戸時代・17世紀
平安時代に作られた、狹衣中将と従妹の源氏宮の悲恋の物語で、この絵巻は
室町時代に制作された可能性があるそうです。

内裏で管弦の催しがあった時、狭衣中将の笛の音に感じ入った天椎御子
(あめのわかひこ)が天下り、中将を天上に誘います。
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源氏宮が東宮妃に望まれていると聞いた中将は宮の手を取って恋心を訴えます。
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「類聚歌合(天徳四年内裏歌合)」 伝藤原忠家筆 平安時代・12世紀 重要文化財
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天徳4年(960)3月に村上天皇の内裏で催された歌合の内容の書写です。
源順、壬生忠見、平兼盛、中務などの名があります。

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二番 鶯

左 源順 勝

  こほりたにとまらぬ春のたにかせに またうちとけぬうくひすのこゑ

右 平兼盛

  わかやとにうくひすいたくなくなるは にはもはたらに花やちるらむ

「和漢朗詠集断簡(関戸本)」 源兼行筆 平安時代・11世紀
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関戸家に伝わったので、この名があります。

  きのふこそとしはくれしかはるがすみ かすがのやまにはやたちにけり 人丸

「観桜図屏風」 住吉具慶 江戸時代・17世紀
伊勢物語第82段、「渚の院」の一場面で、惟喬親王と在原業平らの一行が
桜を愛でています。

「桜山吹図屏風」 伝俵屋宗達 江戸時代・17世紀
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右隻
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左隻
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右隻部分
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大きく土坡を配し、桜と山吹を厚塗りで描き入れ、和歌色紙が貼られています。

「青井戸茶碗 土岐井戸」 朝鮮時代・16世紀
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青井戸茶碗は釉が青色がかったものを云いますが、実際には青色に限らず、
色に変化があります。
土岐丹後守が所持していたと伝えられています。

「魚屋茶碗 銘 さわらび」 朝鮮時代・16~17世紀
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斗々屋茶碗とも書きます。
さわらびの名は源実朝の歌にちなみ、近江小室藩主小堀政峯が付けたもので、
青味がかった釉薬の色を早蕨に見立てています。
重ね焼きの跡も付いた、変化のある面白い茶碗です。

  さわらびの もえいづるはるになりぬれば のべのかすみもたなびきにけり

「呉州赤絵花卉文鉢」 中国・漳州窯 明時代・17世紀
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呉州赤絵はスワトウ(汕頭)とも呼ばれ、福建省の漳州窯で焼かれています。
粗い素地に濁りのある白化粧土を掛け、赤色や青、緑を使った伸びやかな
筆遣いで草花や人物が描かれています。

「色々糸威腹巻」 室町時代・15世紀 重要文化財
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背中で引き合わせる腹巻で、袖は上が広く下が狭い壺袖になっています。
威し糸の色を多く使った、華やかな鎧です。

「黒韋肩妻取威胴丸」 室町時代・15世紀 重要文化財
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腹巻より新しい形の、右側で引き合わせる胴丸です。
立派な兜と大袖が付き、黒韋威の一部を白糸と紅糸で変わった形に威しています。

「桜に春草図」 尾形乾山 江戸時代・18世紀
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桜、たんぽぽ、蕨、土筆などが暖かな雰囲気で描かれています。
室町時代の公家、三条西実隆の詠んだ、第九代将軍足利義尚への
祝い歌が書かれています。

  みるたびのけふにまさしと思ひこし 花は幾世のさかりなるらん

「十二ケ月歌意図巻 巻上」 土佐光起 江戸時代・17世紀
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藤原定家の「詠花鳥和歌各十二首」を絵にしています。
二月は桜と雉です。

  桜 かざしおる道行人の袂まで さくらににほふきさらぎのそら

  雉 かり人のかすみにたどる春の日を つまどふきじのこえにたつらん

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「小袖 紫白染分縮緬地笠扇桜文字模様」 江戸時代・18世紀
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伊勢大輔の歌、「いにしえの奈良の都の八重桜きょう九重に匂ひぬるかな」を
あしらっていて、ナ・ラ・ノなどの字が大きく刺繍して入っています。

「掻取 桃色縮緬地瀧桜竹模様」 江戸時代・18世紀
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掻取は内掛の公家での呼び方で、立木に雲の模様は公家女性の
デザイン様式とのことです。
桜木や花を刺繍でふっくらと縫い出しています。

「東都御殿山図」 歌川広重 江戸時代・19世紀
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広重の肉筆画です。
品川の御殿山の桜で、沖に帆掛け船が見えます。

「春風美人図」蹄斎北馬 江戸時代・19世紀
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桜を散らす風に驚いて女性が裾を押さています。
帯や裾が面白い形に吹き上がっています。

「飛鳥山花見」 鳥居清長 江戸時代・18世紀
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飛鳥山は徳川吉宗の命で開発された桜の名所です。
3枚続きの浮世絵で、清長特有の8頭身の美人がそぞろ歩きをしています。


【2022/03/31 18:30】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「第98回白日会展」 国立新美術館 2/2
乃木坂
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第98回白日会展の記事の2/2で、風景画や静物画を載せます。

中島健太 「匿名の地平線」
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中島さん特有の波打ち際の景色です。

古根益雄 「鹿嶋の海」
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山本章 「haze 2022」
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三井敏之 「夕凪に想う」
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関口雅文 「山彦は風と語らう」
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古澤新司 「秋の気配」
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松木康博 「行雲」
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松尾文隆 「POITIERS」
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亀山裕昭 「林檎舎」
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雄々しい寂寥感があります。

山本桂右 「山道を行く人」
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近景からはるか遠くまで一続きです。

岩下慎吾 「春風の中で」
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小さな作品ですが、春の喜びにあふれています。

福澄明美 「風薫る」
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ヤダシンタロウ 「春霞/見沼の再生」
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美化されない景色に却って惹かれます。

井ますみ 「野の花たち」
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五月女政巳 「黄昏」
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松村盛仁 「GATE」
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元気の良い夕陽です。

長尾浩一 「サン・ジョバンニの階段」
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池田良則 「海風」
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くっきりとした色彩と構成です。

原太一 「Once upon a time」
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ヒエロニムス・ボスのバベルの塔が爆発し、ロケットやナパーム弾が飛び出しています。

石濱阿理紗 「生まれるまえに聴いた音」
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不思議な懐かしさを感じます。

柳田也寿志 「黄色い車といつもの庭」
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井阪仁 「夏近し」
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村上紘一 「氷点の重なり」
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松井孝吉 「花に雨」
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中谷晃 「朝靄の庭園」
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中村キミ子 「夢の彼方へ」
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宮﨑宗人 「バタフライ エフェクト」
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黒木ゆり 「透明な時間」
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坂元忠夫 「残影 IV」
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会場に並んだ白日会の作品は同じ写実でも幅がありますが、観ていると
落着いて満ち足りた気持になります。


【2022/03/29 20:51】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「第98回白日会展」 1/2 国立新美術館
乃木坂
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六本木の国立新美術館では「第98回白日会展」が4月4日(月)まで開かれています。
火曜日は休館日です。

白日会は大正13年(1924)の発足時から写実を追求している団体で、
絵画部と彫刻部があります。
会場は撮影可能です。

記事は2回に分け、今日は人物画を載せます。

山本大貴 「Halchon Days」
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おだやかな日々という意味です。
大きなオルゴール盤も見えるクラッシックな雰囲気ですが、ヘアスタイルは今風です。
山本さんの特徴の、細密で品のある作品で、文字通りおだやかな世界です。

伊勢田理沙 「覚めない夢」
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伊勢田さんの絵にはいつも猫がいるのですが、今回はカメオになっていました。

大友義博 「休息~Vera Repina」
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女性はロシアの画家、イリヤ・レーピンの「休息―妻ヴェーラ・レーピナの肖像」を
見ています。

中道佐江 「幻想夜」
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鏡泰裕 「月こそ心よ花こそ心よ」
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日蓮の言葉です。

中山忠彦 「アネモネのある部屋」
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木原和敏 「午後」
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山下光子 「森の小径で」
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和田幹雄 「デイドリームトリッパ―」
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河菜直子 「静かな時間」
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宮本佳子 「初対面」
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抱かれた猫は緊張して、足を突っ張っています。

浅井恵子 「夏の日」
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人物画には日常の幸せを感じさせるものがあります。

松本凌介 「美しすぎる世界」
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丸山一夫 「黒い静物」
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落着いた黒色で、静物としての人物です。

藤原光 「小さな希望」
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髙梨芳実 「ウクライナの人アナスタシア」
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岡田髙弘 「記憶の残像」
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ウクライナ国旗が描き込まれています。


【2022/03/27 19:37】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「VOCA展2022 現代美術の展望―新しい平面の作家たち─」 上野の森美術館
上野
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上野の森美術館では「VOCA展2022 現代美術の展望―新しい平面の作家たち─」が
開かれています。
会期は3月30日(水)までで、休館日はありません。

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VOCA展は全国の学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40歳以下の
若手作家を推薦してもらい、その作家が平面作品の新作を出品する
というもので、今年で29回目になります。
VOCAとは、"THE VISION OF CONTEMPORARY ART"のことです。
今回は33組の作家の作品が展示されています。

VOCA賞 川内理香子 「Raining Forest」 油彩、カンヴァス
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厚塗りの地を引っ掻いてジャガーが描かれています。

VOCA奨励賞 鎌田友介 「Japanese houses (Taiwan/Brazil/Korea/U.S./Japan)」
アクリル塗料・インク・鉄・アクリル板・インクジェットプリント・
紙・韓国に存在した日本家屋の部材、木材

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床の間を模した構成で、日本家屋への焼夷弾の効果を調査した図面も貼ってあります。

VOCA奨励賞 近藤亜樹 「ぼく ここにいるよ」 アクリル、木製パネル
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子どもとそれにまつわる物や思い出です。

VOCA佳作賞 谷澤紗和子 「はいけい ちえこさま」
アクリル、紙・解体された家屋の廃材・アクリル板

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創作者としての高村智恵子をイメージしています。

VOCA佳作賞 堀江栞 「〈後ろ手の未来〉#2、#3、#4、#5、#6」
岩絵具・膠、綿布・和紙・木枠

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人というものの存在が表れています。

大原美術館賞 小森紀綱 「絵画鑑賞」 油彩・アクリル・膠、麻布・ 木製パネル
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宗達、光琳、北斎、グイド・レーニ、キリコなどが描き込まれた、迷路のような空間です。

泉川のはな 「南国遊覧之図」 アクリル・顔料、カンヴァス・木製パネル
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「琉球」が消え、「沖縄」になっていく様が描かれています。

展覧会のHPです。


【2022/03/26 19:08】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
「CAFE de METRO(カフェ ドゥ メトロ) Echika表参道 」
表参道
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「CAFE de METRO(カフェ ドゥ メトロ) Echika表参道 」は東京メトロ表参道駅の
横にあります。
地下にある、200席ほどの大きなお店で、店内はちょっとクラシック風、改札口の
すぐ近くにあるので便利です。

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コーヒーS350円です。

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根津美術館の「かたちのチカラ」展に行った帰りに寄りました。

根津美術館の庭には紅梅が咲いていました。

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「かたちのチカラ」展の記事です。


この日は南風が吹いていたせいか、羽田空港に着陸する航空機が文字通り
ラッシュ時の地下鉄並の頻度でひっきりなしに飛んで来ていました。

表参道の交差点や根津美術館の庭から写した航空機で、すべて別の機体です。

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【2022/03/25 18:35】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「第57回 昭和会展」とメトロ銀座ギャラリー 
銀座
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銀座の日動画廊では3月30日(水)まで、「第57回 昭和会展」が開かれています。

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昭和会展は日動画廊の主催する若手作家の公募展です。
今回は1981~2003年生まれの23名の作品が展示されています。
過去には山本大貴さんなど多くの新進作家が受賞されています。

***

東京メトロ銀座駅コンコースには「メトロ銀座ギャラリー」があって、
3面の展示スペースになっています。

現在は文化学園大学造形学部デザイン・造形学科の卒業生9名の作品が
2期に分けて展示されています。

3月27日までは第1期の作品の展示です。

「窒息」 宇津木千尋
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「木漏れ日」 田所麻優
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「隠居」 塩野目南帆
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「漂流」 西島陽花
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「羊水が呼び水となり、」 山添理花子
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「火焔」 根岸有希
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建て替え工事の始まったソニービルの板囲いもアートしています。

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和光のショーウインドウは鏡がテーマで、銀座の景色が切れ切れに映っています。

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【2022/03/23 20:02】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「季節をめぐり、自然と遊ぶ~花鳥・山水の世界~」展 大倉集古館
六本木一丁目・神谷町
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大倉集古館では企画展、「季節をめぐり、自然と遊ぶ~花鳥・山水の世界~」が
開かれています。
会期は3月27日(日)までです。

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春を迎えるに当たり、季節にちなんだ作品の展示です。

「桜に杉図屏風」 桃山時代・16世紀
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直立した桜と杉が交互に並んで色彩の変化にリズムがあります。

「花鳥草虫図巻」(部分) 潘崇寧 清時代・康煕56年(1717)
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細密な写実で、色彩も華やかです。

「寒光雪峰図」 菅井梅関 文政12年(1829)
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厳しい冬の雪山を水墨で表しています。
菅井梅関(1784~1844)は仙台出身の文人画家で、頼山陽や田能村竹田らと
交流がありました。

「秋草蒔絵文台」 富田幸七 明治時代・19~20世紀
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菊や萩、薄、女郎花などが描かれ、薄の穂には露の置かれた、優美な蒔絵です。
富田幸七(1852-1910)は京都の蒔絵師です。

「五言絶句・山中煎茶図」 (書)頼山陽 (画)青木木米 文政7年(1824)
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この頃は煎茶が盛んで、交流のある頼山陽や青木木米、田能村竹田たちは共に
煎茶を楽しんでいました。

「梅花の詩」 西郷隆盛(南洲)筆 明治時代・19世紀
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  夢回春草池塘外 詩在梅花烟雨間

謝霊運の詩です。
おおらかな西郷隆盛の書はその人物像とも相まって今も親しまれています。

展覧会のHPです。


【2022/03/21 19:10】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「かたちのチカラ展」 根津美術館
表参道
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表参道の根津美術館では企画展、「かたちのチカラ展」が開かれています。
会期は3月31日(木)までです。

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文様ではなく、素材の特性を生かした工芸品の展示で、唐物、日本の漆器、茶道具の
3つにまとめられています。

「白磁浄瓶」 唐時代  8世紀
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僧が浄水を入れる金属製の器をかたどっています。
白磁は白い生地に透明な釉薬をかけたものですが、これは生地の上に白い土を
かぶせてから透明な釉薬をかけてあるそうです。
丸みのあるおだやかな形で、浮き出した土の色に温かみがあります。

「青銅輪花形杯台」 北宋時代 10~12世紀
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6弁の花の形の羽を持った茶碗や杯を載せる青銅製の杯台です。
この形を基にした漆塗りの杯台が天目茶碗を載せる天目台になったそうです。

「青白磁輪花碗」 景徳鎮窯 北宋時代 11~12世紀 個人蔵
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輪花碗は青銅器に倣って磁器や漆器でも作られています。
北宋時代になると文様の無い、洗練された形の物が愛好されるようになります。

「黒漆輪花椀」 北宋時代 12世紀
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すっきりとした、花の形の椀です。
文様の無い中国の漆器は無文漆器、あるいは素文漆器と呼ばれています。

「曜変天目茶碗」 建窯系 南宋時代 12~13世紀 重要美術品
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器の内外に細かい曜変の粒がびっしりと現れています。
日本では曜変は16世紀の初めには珍重されていますが、この碗はまだ曜変とは
認められてはおらず、江戸時代に所有していた加賀前田家が曜変に加えたそうです。
加賀前田家は、現在MIHO MUSEUM所蔵の曜変天目茶碗(重要文化財)も
所蔵していました。

「黒漆稜花形盒子」 元時代 14世紀
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高さ15㎝ほどで、ぐるりと花形の切込みを廻らし、蓋の表には龍を彫った
べっ甲が嵌められています。

「朱漆瓶子」 室町時代 15~16世紀 個人蔵
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お神酒を供える根来塗の瓶子で、大きく膨らんだ上部とすぼまった下部の対比が
印象的で、剥げた朱塗が古寂びた趣きを見せています。

「朱漆盤」 室町時代 永正3年(1506)
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寺社で使われた盤で、使い古された剥落が景色になっています。

「黒漆大棗」 盛阿弥 桃山時代 16世紀
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盛阿弥は茶道具の塗師で、千利休に気に入られ、豊臣秀吉からは天下一の称号を
許されています。

「火襷鶴首花入」 備前 江戸時代 17世紀
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首が傾いているのは、焼成時に他の器が当たっていたためと思われます。
巻いた藁が火襷(ひだすき)をつくる、明るい姿です。


展示室5のテーマは「武人画家」です。

武人の画家たちの絵画作品の展示です。

「山水図」 海北友松 2幅 桃山時代 17世紀
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海北友松は近江浅井氏の家臣の子で、父や兄弟は討死しています。

「職人尽図(傘張翁)」 岩佐又兵衛 江戸時代 17世紀 重要美術品
二人の虚無僧が尺八を吹き、小さな子どもが二人駆け付けている向こうで、
老人が傘張りをしている、飄々とした絵です。
岩佐又兵衛は荒木村重の子で、荒木村重は織田信長を裏切ったため、
一族が殺されています。


展示室6のテーマは「仲春の茶事」です。

仲春とは初春と晩春の間、春の中頃のことです。

「色絵桜花文水指」 肥前 江戸時代 17世紀
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白の地に赤の桜が映えて華やかです。

「黄瀬戸獅子香炉」 美濃 桃山時代 16~17世紀 重要美術品
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脚は動物の足をかたどり、つまみは猿が手を合わせたような形をしています。
動物をかたどった香炉も、蓋が動物の形の香炉もよくあるものの、
両方揃った形は珍しいそうです。


展覧会のHPです。


【2022/03/20 20:40】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「没後50年 鏑木清方展」 東京国立近代美術館
竹橋
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東京国立近代美術館では「没後50年 鏑木清方展」が開かれています。
美人画の大家で代表作、「築地明石町」を始め庶民の生活を深い愛情を持って描いた
鏑木清方(1878-1972)の作品、約110点が展示されています。

会期中、かなりの展示替えがあるので、展覧会のHPでご確認ください。

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会期中、かなりの展示替えがあるので、展覧会のHPでご確認ください。

第1章 生活をえがく

「雛市」 明治34年(1901) 公益財団法人 北野美術館
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初期の作品です。
雛祭の近い頃、雛市では裕福な家の母娘がお雛様を選んでいて、振袖を着た
女の子は赤いショールを巻いています。
手前には桃の枝を担いで働いている女の子がいて、やはり雛飾りを見ていますが、
まだ寒いのに裸足です。
鏑木清方は貧富の差にも敏感で、宮内庁三の丸尚蔵館の所蔵する昭和8年作の
「讃春」でも丸の内の情景と隅田川の水上生活者を共に描いています。

「七夕」 昭和4年(1929年) 大倉集古館
右隻
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水葵と朝顔の模様の着物姿の洗い髪の女性が縁台に腰掛け、白い芙蓉を
眺めています。
網に笹の裾模様の着物の女性は、かがんで針に糸を通しながら水鏡に映る
織姫と彦星を視ているところです。

左隻
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七夕の竹飾り、瓜、徳利、香炉、桔梗、女郎花と共に五色の糸巻き、琴、筆と柏葉の
模様の着物がお供えされています。
着物の柄は梶や柏の葉に字を書いて供える風習を表しています。
裁縫、音楽、書道の上達を願う行事です。
左上に金銀の砂子で描かれた天の川を見上げる女性の着物は秋草の裾模様です。

江戸情緒と季節感にあふれた作品で、大倉財閥2代目の大倉喜七郎の援助により
1930年にローマで開かれた日本美術展覧会に出品されています。

「春雪」 昭和21年(1946) サントリー美術館
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戦時中の疎開先の御殿場で、第1回の日展が開かれると聞いて制作した作品です。
浮世絵風の単純化された画面で、武家の奥方が夫の羽織を畳んでいるところです。
描かれているのは女性一人ですが、羽織によって、画面の外にもう一人の人物の
存在を感じさせます。
小袖の藤色は、御殿場から見た富士山の色、裾模様は雪輪紋で、富士山に降る雪を
示しているとのことです。
清方の、自然と人の融合した絵画という考え方が表れているそうです。
この作品は、サントリー美術館の所蔵している唯一の近代絵画ということです。


特集1 東京

鏑木清方の作品には東京の地名の入った作品が多くあり、それぞれの地名の持つ
情趣を描き入れています。

「墨田河舟遊」 大正3年(1914) 東京国立近代美術館
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右隻
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左隻
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武家の女性の一行でしょうか、隅田川の舟遊びの情景で、舟の中では
鼓や三味線のお囃子で碁盤人形と呼ばれる操り人形が踊っています。
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お付きの侍も見入っています。
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屋根で竹竿を押す船頭の一人はまだ前髪の少年で、ここにも貧富の差が
さり気なく描かれています。
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左隻には侍を乗せた舟、猿曳を乗せた舟、投網を打つ舟、西瓜を売る舟が見えます。
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「築地明石町」 昭和2年(1927) 東京国立近代美術館
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花火模様の小紋の着物に、抱き柏の黒の羽織の女性が振返っています。
涼やかな目元をして、富士額の髪の生え際も細やかに描かれています。
明治に流行した、イギリス巻とも夜会巻とも言われる髪型や袖から覗く
金の指輪は時代の変化も表しています。
季節は秋の初め、女性は素足で、朝顔の葉は枯れかけています。
モデルは清方の弟子だった、江木ませ子とのことです。
築地明石町は明治に外国人居留地となり、西洋の香りのする場所に
なっていて、作品にも横に西洋式の柵、後ろに洋式帆船が見えます。

「新富町」 昭和5年(1930) 東京国立近代美術館
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縞の着物に利休色の小紋縮緬の羽織、雨下駄を履いた芸者さんが蛇の目傘を
傾けて通ります。
向こうには鏑木清方の生まれた年に完成した新富座が見えます。
新富座は江戸時代の守田座の後進で、近代劇場として建設されましたが、
1923年の関東大震災で焼失し、廃座となっています。
この絵の描かれた頃にはもう無くなっており、清方は懐旧の思いを込めて
描き入れたのでしょう。

「浜町河岸」 昭和5年(1930) 東京国立近代美術館
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桃割れの髪に、松竹梅模様でしょうか、小紋の着物の町娘が踊りの稽古から
帰るところで、習ったばかりの踊りの所作を繰り返しているようです。
娘らしく襦袢、鼻緒などの赤やバラのかんざしが華やかです。
遠くには木造の新大橋や関東大震災まで残っていたという深川安宅の
火の見櫓が描かれています。
清方は浜町河岸に足かけ6年、住んでいたということです。

三福対として並べると、「築地明石町」には明治のモダンさが際立ち、
羽織の黒が画面を引き締めています。

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「讃春」 昭和8年(1933) 宮内庁三の丸尚蔵館
右隻
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左隻
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部分
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4月12日~5月8日の展示です。
昭和天皇御即位記念に三菱財閥の岩崎家より献上された屏風で、
右隻の皇居前広場では紺のセーラー服姿の女学生が二人、
タンポポを摘んだり、松の根元で休んだりしています。
向こうには当時の黒塗りの箱型自動車や、富士見櫓が見えます。
万葉集の巻頭歌、菜を摘む乙女に呼びかけたとされる、雄略天皇の歌を
思い出します。

左隻は隅田川に小舟を浮かべた水上生活者の情景です。
赤い着物のおかっぱ頭の小さな女の子が船底を覗き、中から母親が
優しく見上げています。
金具も捲れた古い和船ですが、バケツには桜の枝が活けてあります。
遠くの清洲橋の吊橋型の橋がぼんやり浮かんでいます。
近代的な鋼鉄橋を、鏑木清方らしく浮世絵風にあしらっています。
舟には七輪が載っていて、火が起きています。
仁徳天皇の「民のかまどはにぎはひにけり」の故事に依っているのでしょう。
清洲橋は関東大震災の復興事業として計画され、昭和3年に完成しており、
震災からの東京の復興の意味も表しています。

城櫓に自動車、鋼鉄橋に和船と、江戸と近代を上手く取り合わせていて、
上流家庭の子も庶民も、共に春を慶ぶ情景を描いたものですが、
隅田川の貧しい水上生活者を選んだのは、鏑木清方らしい着想だと思います。

第2章 物語をえがく

「三遊亭圓朝像」 昭和5年(1930) 東京国立近代美術館 重要文化財
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鏑木清方の父は圓朝と親交があり、清方自身も17歳の時に圓朝の取材旅行に
同行しています。
その頃を思い出して描いた作品で、圓朝は大柄で面長の顔をしていて、
紋付には高崎扇の紋が入っています。

「一葉」 昭和15年(1940) 東京藝術大学
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樋口一葉の随筆、「雨の夜」の一節、眠れない夜に今は亡き伯母に
裁縫を習った昔を懐かしんだという文に想を得ています。
一葉を地味な着物に前掛けをして、針仕事の手を休めている、
市井の女性の姿として描いています。
その顔は意思的で、写真のほとんど残っていない一葉のイメージは、
この絵によるところが大きいです。
手許に置かれた端切れは、一葉の作品、「たけくらべ」を表しています。
吊ったランプが夜なべ仕事と、明治という時代を思わせます。

「たけくらべの美登利」 昭和15年(1940) 京都国立近代美術館
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4月5日~5月8日の展示です。
樋口一葉の「たけくらべ」の最後の場面です。
幼なじみの信如が家の格子に差し入れていった水仙の作り花を手に、
島田髷を結った美登利がものを思っています。

特集2 歌舞伎

「薄雪」 大正6年(1917) 福富太郎コレクション資料室
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4月1日~5月8日の展示です。
歌舞伎の「恋飛脚大和往来」の大和新口村の場面で、客の金に手を付けてしまった
飛脚屋の忠兵衛と、その金で身請けされた遊女の梅川が駆け落ちして、忠兵衛の
故郷の新口村に辿り着く場面です。
雪のちらつく中で、捕まれば死罪の忠兵衛と抱き合う梅川は黒の着物に梅の模様、
帯は雪輪模様です。
福富太郎のコレクションは鏑木清方に始まります。
この絵を購入して、確認のため清方の家に持参して見せたところ、行方の分からなかった
作品との出会いに清方は大変に喜び、1か月ほど借り受けて眺めていたそうです。


「道成寺 鷺娘」 昭和4年(1929) 大谷コレクション
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この作品も1930年にローマで開かれた日本美術展覧会に出品されています。
歌舞伎のことは知られていないだろうから、季節を強調して描いたそうです。
「道成寺」の主人公、花子は満開の桜の下に立ち、後ろには山吹も咲いています。
桜模様の振り袖姿で、帯には蛇体となった清姫を表す模様が入っています。
「鷺娘」の雪の中に現れた鷺の精は白無垢の振袖に黒の帯、頭には白い綿帽子を
被っています。

「さじき」 昭和20年(1945)頃 歌舞伎座
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桟敷で芝居見物をする親子です。
後ろには枇杷やサクランボが置かれた初夏の情景で、母親の帯は紫陽花、
娘の紙入れは杜若をあしらっています。
それに対して、着物の柄は母親は桔梗に撫子、娘は色付き始めた楓と、
秋を感じさせる演出です。
全体に緑色を効かせていて、母親のかんざし、指輪も翡翠です。
娘の口は少し開いていて、母親との表情にわずかな違いを見せています。
昭和20年だと終戦の年で、枇杷やサクランボなど簡単に手に入らなかった
頃ですが、思い出の中の情景でしょう。

鏑木清方は随筆に、歌舞伎座は二階の東桟敷が昔から夏でも海風が通って
涼しかったと書いています。


第3章 小さくえがく

「朝夕安居」 昭和21年(1946) 鎌倉市鏑木清方記念美術館
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あっさりした筆遣いによる、明治の長屋の夏の風景です。
豆腐屋が廻り、新聞配達が駆け、裏の井戸は水を汲む人、水桶を運ぶ人で
賑わっています。
百日紅の木の下では、風鈴売りが客を待ち、赤い短冊を付けた風鈴が
屋台から下がっています。
清方の思い出の中にある明治の暮らしを、愛惜の思いをこめて描いています。
描いたのは終戦の翌年で、清方の懐かしい東京は焼野が原になっていました。

去っていってしまった江戸、そして自分も生きていた明治への鏑木清方の
思いが十分に伝わる展覧会です。


所蔵作品展には門弟だった伊東深水の描いた鏑木清方像も展示されています。

「清方先生寿像」 伊東深水 昭和26年(1951)
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随筆を執筆中の鏑木清方です。
机には挿絵画家として親交の深かった泉鏡花の全集も載っています。
後ろの浮世絵は鳥文斎栄之のようです。
鏑木清方は伊東深水、川瀬巴水,寺島紫明、山川秀峰など多くの門弟を
育てています。

展覧会のHPです。


【2022/03/19 18:16】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
湯島天神の満開の梅とスターバックスのカップ
湯島・上野
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湯島天神の梅が満開になりました。

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本殿裏の枝垂れ梅です。

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そうかと思ったらスターバックスのカップにはもう桜が咲いていました。

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スターバックス上野マルイ店のテラス席です。

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【2022/03/18 20:16】 街歩き | トラックバック(0) | コメント(0) |
『第5回 人形と絵の「春」展』 丸善丸の内本店
東京
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丸善丸の内本店4階ギャラリーでは『第5回 人形と絵の「春」展』が開かれています。
会期は3月22日(火)までです。

出展した作家は以下の通りです(敬称略)。

青の羊 亜由美 Uncreerアンクレール 今井亜樹 今井キラ ウエノミホコ En 
小畑すみれ 加藤美紀 紙谷英里 KIOKUDROP萩原まさえ 喜藤敦子 桐原ユウ 
くり 黒木こずゑ 上妻みどり 小暮千尋 こみねゆら 紗矢香 柴田貴史 鈴木ゆきよ 
せいこ 青扇 せきぐちよしみ 田中アユミ 田中早苗 ちゃお Terusan 戸井田しづこ 
鳥居椿 Trevor brown 中井柘榴 永見由子 西村勇魚 Noe happa 坂東可菜 
日香里 ひびき 宝永たかこ 保坂有美 maiko 松本潮里 マツモトヒラコ まな 
水樹尚子 美夜花りり 宮本香那 目黒ミロ 森馨 森下ことり 山崎明咲 山田ミンカ 
山吉由利子 吉水たか代 吉村眸 りのん RUBY

フランス人形系、日本人形系など、約60名の作家のさまざまな人形と絵が
それぞれ工夫の凝らされた展示で、会場いっぱいに並んでいます。
フランス人形系が中心で、ちょっと妖しい雰囲気の人形も多いようです。

右 : 山田ミンカ 「春色のシカ人」
左 : 永見由子 「お揃い」

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また、丸善丸の内本店では4月28日(木)から5月3日(火・祝)まで、
「FANTANIMA! 2022」展が開かれる予定です。
FANTANIMA(ファンタニマ)はファンタジー(幻想)とアニマ(生命)を
合わせた、展覧会のための造語です。
日本と海外の作家による人形作品が集まり、展示販売されます。

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今年はウクライナから11人の作家が出品を予定していますが、
一部の作家の作品しか発送が終わっておらず、今後の輸送は
不可能とのことです。
2月26日の段階ではほとんどの作家の無事を確認しているそうです。

まさかロシア軍のウクライナ信仰がこのような人形展にまで
影を落とすとは思いも寄らないことです。


【2022/03/17 19:38】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「深井隆 彫刻展 青空 ーBLUE BLUE BLUEー」 日本橋髙島屋
日本橋
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日本橋髙島屋美術画廊Xでは「深井隆 彫刻展 青空 ーBLUE BLUE BLUEー」が
開かれています。
会期は3月21日(月・祝)までです。

深井隆さん(1951~)は2019年まで東京藝術大学の彫刻科教授を勤めておられます。
展覧会では青色を使った「青空シリーズ」が展示されています。

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木彫に青のアクリルグワッシュを塗ってあります。
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小さな陶器もあります。
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【2022/03/15 20:28】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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Author:chariot
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