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2022年に観た主な展覧会
上野など
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2022年に観た主な展覧会、10件を選びました。
記事の掲載順に並んでいます。

1.東京国立博物館 「ポンペイ展」

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紀元後79年にヴェスヴィオ火山の噴火で埋没したポンペイの遺跡などから
出土した遺物、約150点の展示です。
素晴らしい彫刻や壁画が数多く揃った展覧会で、ローマの文化がいかに
洗練されていたかを実感しました。

「辻音楽師」 前1世紀 モザイク
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仮面を着け、タンバリン、シンバル、アウロス(2本管の笛)を奏でています。
前300年頃のアッティカ新喜劇の一場面とされ、左上に制作者であるギリシャ人、
ディオスクリデスの署名があります。
動きと立体感のある見事な出来栄えのモザイクです。

「ポンペイ展」の記事です。


2.東京都美術館 「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 
  フェルメールと17世紀オランダ絵画展」

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フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」を始め、ドレスデン国立古典絵画館所蔵の
17世紀オランダ絵画、約70点を展示する展覧会です。

ヨハネス・フェルメール 「窓辺で手紙を読む女」 1657-59年頃
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左側の窓から差し込む光に照らされた女性という、フェルメールのスタイルになっています。
1979年のX線調査の結果、当初は壁にキューピッドの絵が描かれていて、後に上塗りで
隠されていたことが分かりました。
修復途中の画像で、キューピッドの姿が現れだしています。

「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」の記事です。


3.国立新美術館 「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」

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ニューヨークのメトロポリタン美術館のヨーロッパ絵画部門の所蔵する約2500点から
ルネサンスのフラ・アンジェリコからポスト印象派のゴーギャンまで、65点を選んでの
展示です。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 「女占い師」 おそらく1630年代
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若い裕福な男が女占い師の話に気を取られている隙に、娘たちが財布や装身具を
掠め取ろうとしています。
カラヴァッジョの影響を受けた画家で、幼子イエスがロウソクを掲げる「大工ヨセフ」で
有名ですが、このような明るい色彩でありながら、しれっと冷ややかな作品も描いています。

「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」の記事です。


4.東京国立近代美術館 「没後50年 鏑木清方展」

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美人画の大家で代表作、「築地明石町」を始め、庶民の生活を深い愛情を持って描いた
鏑木清方(1878-1972)の作品、約110点の展示です。

「築地明石町」 昭和2年(1927) 東京国立近代美術館蔵
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花火模様の小紋の着物に、抱き柏の黒の羽織の女性が振返っています。
涼やかな目元をして、富士額の髪の生え際も細やかに描かれています。
明治に流行した、イギリス巻とも夜会巻とも言われる髪型や袖から覗く
金の指輪は時代の変化も表しています。
季節は秋の初め、女性は素足で、朝顔の葉は枯れかけています。
モデルは清方の弟子だった、江木ませ子とのことです。
築地明石町は明治に外国人居留地となり、西洋の香りのする場所に
なっていて、作品にも横に西洋式の柵、後ろに洋式帆船が見えます。

「没後50年 鏑木清方展」の記事です。


5.東京藝術大学大学美術館 「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」展

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宮内庁三の丸尚蔵館の所蔵する皇室の名宝と東京藝術大学のコレクションを併せて
展示する展覧会です。
「蒙古襲来絵詞」「唐獅子図屏風」「動植綵絵」などが展示されました。

「蒙古襲来絵詞」 鎌倉時代 13世紀 三の丸尚蔵館 国宝
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肥後の御家人、竹崎季長が文永弘安の役での自分の活躍を記録に
残すために描かせたと云われています。
前巻は文永の役で、矢が当たり血を流して暴れる馬を、季長は鎧の袖を翻して
必死に御しています。
「肥後国竹崎五郎兵衛季長 生年二十九」と誇らしげに記されています。

「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」展の記事です。


6.東京都美術館 「ボストン美術館展 芸術×力」

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古今東西の権力者たちがその力を示すために制作したり、収集した芸術品を
中心にした展覧会です。
「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」を観ることが出来ました。

「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」 鎌倉時代 13世紀後半
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「平治物語絵巻」は平治の乱(1159年)の模様を描いた絵巻で、合戦絵巻の最高峰と
され、元は15巻ほどだったらしく、現在は3巻と断簡数枚、摸本2巻が残っています。
ボストン美術館の所蔵する「三条殿夜討巻」は藤原信頼、源義朝らの軍勢が
後白河上皇の三条殿を襲撃する場面です。

右から左へ、急を知って駆け付ける公卿たち、後白河上皇を牛車に乗せる
武者たち、炎上する三条殿と武者の乱暴狼藉、一団となって引揚げる軍勢が
次々と描かれています。
絵巻を描いた頃より100年ほど前の、平氏の全盛をもたらした事件を、今見て来た
ばかりのような臨場感あふれる場面に描き出しています。

「ボストン美術館展 芸術×力」の記事です。


7.東京国立博物館 「故宮の世界」展

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かつては明・清の宮殿だった壮大な紫禁城をバーチャル・リアリティで再現し、
東京国立博物館の所蔵する清の美術工芸品も併せて展示する展覧会です。

「慶豊図巻」 金昆、陳枚、孫祜、丁観鵬、程志道、呉桂筆
 清時代・乾隆5年(1740) 東京国立博物館


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北宋時代の「清明上河図巻」に倣った図巻で、旧暦1月15日の元宵節でにぎわう
北京の街並みを6人の画家が細緻に描いています。

「故宮の世界」展の記事です。

 
8.静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館) 「響きあう名宝 曜変・琳派のかがやき」展

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世田谷区岡本にあった静嘉堂文庫美術館の展示ギャラリーが東京丸の内の
明治生命館1階に移転して、静嘉堂@丸の内と命名して第1回の展覧会です。

「曜変天目」(稲葉天目) 建窯 宋時代 12~13世紀 国宝
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徳川家光から春日局に下され、子孫の稲葉家に伝えられたのでその名があります。
曜変天目は日本に数点あるだけの大変珍しい品で、特にこの稲葉天目は有名です。
小さな天目茶碗ですが、見込みの斑文は星のように輝き、観る角度によって
その色も微妙に変わり、小さな宇宙を観るような景色です。

「響きあう名宝 曜変・琳派のかがやき」展の記事です。


9.アーティゾン美術館 「パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂」展 

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パリ・オペラ座は1669年にルイ14世によって設立されています。
現在は1875年に完成したガルニエ宮と呼ばれる劇場を指します。
展覧会では特に19世紀から20世紀初めに盛んに上演された、ロマンティック・バレエ、
グランド・オペラ、バレエ・リュスや、多くのアーティストが参加した舞台芸術を通して、
パリ・オペラ座の歴史が紹介されています。

「バレエの授業」 1873-76年 オルセー美術館
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稽古場の情景です。
踊り子の白を中心に、赤、緑、水色、黒のリボンをあしらって華やかです。
誰かの連れてきた犬も紛れ込んでいます。
ドアの向こうの窓から少し外の風景も見えます。
活き活きとした画面で臨場感があり、観ていて飽きません。

「パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂き」展の記事です。


10.サントリー美術館 「京都・智積院の名宝」展

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真言宗智山派の総本山である智積院の寺宝を展示する展覧会です。
長谷川等伯・久蔵父子の絵が一番の見所です。

「楓図」 六面のうち四面 長谷川等伯 桃山時代 16世紀  国宝
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長谷川等伯(1539-1610)が京都で狩野派と画壇の頂点を争っていた頃の作品です。
元は豊臣秀吉が長男の鶴松の菩提を弔うため建立した祥雲禅寺の襖絵
だったのを貼り直したので、絵の継ぎ目にずれがあります。
豊臣氏の滅亡後、祥雲禅寺は隣接地の智積院に与えられています。
秋の初めなのでしょう、楓の葉はまだ緑の葉と紅葉とが混じり、
萩や鶏頭も描かれています。
左上から右側まで続いている青い流水が画面に変化と奥行きを与えています。
桃山風の豪放な図ですが、草花の描写には優美さもを感じられ、
長谷川等伯の特徴が表れています。

「京都・智積院の名宝」展の記事です。

ブログを始めて16年経ちました。
コロナ禍のため、多くの展覧会が予約制になり、不便な状態が続いています。
展覧会に行く回数も以前よりは減ってしましましたが、そんな中、私のブログを
読んでいただき、本当に有難うございました。
お礼申し上げます。
どうぞ良いお年をお迎え下さい。


【2022/12/31 18:41】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
「TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI」 丸ビル
東京
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12月15日に丸ビルの3・4階に「TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI」が
オープンしました。

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3階にはシェアラウンジ、4階にはスターバックスカフェが併設されています。
書店の営業時間は11時からですがシェアラウンジとカフェは8時から22時までです。

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窓からは東京駅丸の内駅舎を眺めることが出来ます。

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あらびきソーセージパティ&スクランブルエッグ イングリッシュマフィンとカフェミストです。

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便利な場所にあるので、オープンしたばかりですがカフェはお客さんで賑わっていました。


【2022/12/30 19:32】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「メトロ銀座ギャラリー」 2022年12月
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東京メトロ銀座駅コンコースには「メトロ銀座ギャラリー」があって、
3面の展示スペースに立体作品が展示されています。

2023年4月15日までは「METORO ART PASSAGE」展が開かれ、
9名のアーティストの作品が順次、展示されます。

1月7日までは以下の3名の作品の展示です。

澤田志功 「鏡花水月」
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花を持った立ち姿は聖観音像を思わせます。

鏡花水月は美しくとも手に取ることは出来ないものという意味で、
泉鏡花の名の由来にもなっています。

2021年に日本橋髙島屋で開かれた「澤田志功展」の記事です。

KAZUKO 「泉を抱く」
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帆足枝里子 「白の果て」
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【2022/12/29 20:20】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「日本の風景を描く―歌川広重から田渕俊夫まで―」 山種美術館
恵比寿
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山種美術館では特別展、「日本の風景を描く―歌川広重から田渕俊夫まで―」が
開かれています。
会期は2023年2月26日(日)までです。

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山種美術館の所蔵する、日本の四季や風景を描いた作品の展示です。

歌川広重 「東海道五拾三次之内 日本橋・朝之景」 1833-36(天保4-7)年頃
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1月15日までの展示です。
南岸からの景色で、どちらのお大名でしょうか、毛槍と馬印を立てた大名行列の一行が
朝の日本橋を渡ります。
太鼓橋の形を上手く使っていて、お侍の武張った肘も描写されています。
手前の高札場の横では、日本橋の市場で仕入れた魚屋や八百屋の棒手振りが
商いに出かけるところです。
町の木戸は開けられ、遠くには火の見櫓も見え、いかにも江戸らしい鮮やかな風景です。
最初期の摺りで、雲も描かれています。
後の摺りでは雲は省かれています。

歌川広重 「近江八景之内 石山秋月」 1834(天保5)年頃
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1月17日からの展示です。
近江八景は中国の瀟湘八景に倣って近江の琵琶湖周辺の景色を
八つ選んだものです。
紫式部は石山寺に籠って、琵琶湖の湖面に映る月を眺めながら、
源氏物語の想を練ったとされています。
左に石山寺の本堂、右に瀬田の唐橋、遠くに比叡山が見えます。

石山や鳰の海てる月かげは 明石も須磨もほかならぬ哉   近衛信尹

椿椿山 「久能山真景図」 1837(天保8)年 重要文化財
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久能山は徳川家康を祀った久能山東照宮のある所です。
松林の下の参道を赤い着物のお坊さんと青い着物の従者がトコトコと
登って行きます。
真景図とは写生を元に描いた絵という意味ですが、この絵は上からと下からの
視点が混じっていて、東洋画の大らかさを感じます。
椿椿山(つばきちんざん:1801~1854)は槍奉行同心の子で、谷文晁や
渡辺崋山に学んでいます。
肖像画に秀でた画家で、渡辺崋山や高野長英の肖像画で有名です。
椿椿山は師の渡辺崋山にならって各地を旅行し、写生していて、この絵も訪れて
10年後に描いたそうです。

菱田春草 「釣帰」 1901(明治34)年
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横山大観と菱田春草は日本美術院の創設に参加し、1900年頃からは光や空気感を
出すために輪郭線を使わないで描く技法を手掛けています。
輪郭線が無いため、ぼんやりした印象があり、当時は「朦朧体」と呼ばれ、
非難されています。

横山大観 「喜撰山」 1919(大正8)年
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百人一首に載っている、喜撰法師の歌に拠っています。
喜撰法師は宇治に住んでいたとされます。

 わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり

金箋紙(裏に金箔を押した鳥の子紙の表面を薄く剥いだもの)に描いた
最初の作品で、明るく温かい地色が映えています。
京都の土の赤さを表現するために使ったと考えられるそうです。

山元春挙 「火口の水」 1925(大正14)年
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山元春挙(1872-1933)は円山四条派の画家で、応挙の孫弟子の森寛斎に学んでいます。
1907(明治40)年の文展の開設にあたっては竹内栖鳳らとともに審査委員を
勤めています。
日本画に西洋画の技法を採り入れ、立体感のある作品を生んでいます。
透明な青色の表現は春挙の特徴です。

佐伯祐三 「レストラン(オ・レヴェイユ・マタン)」 1927(昭和2)年
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亡くなる前年の作品で、パリの小さなレストランを正面から描いています。
「レヴェイユ・マタン」とは「目覚まし時計」という意味で、壁に朝を告げる
鶏が描かれています。
佐伯の特徴の看板の文字や窓の中の様子も描きこまれています。
灰色の空の下、裏町の風情があり、人の暮らしの懐かしさを感じます。
日本画の美術館である山種美術館の所蔵する、珍しい洋画です。

川合玉堂 「春風春水」 1940(昭和15)年
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川の急流に張ったワイヤーを使った渡し舟には農家の女性が乗り
、船頭が腰に力を入れて舟を操っています
岩場には山桜が咲き、満々とした蒼い水の描写が印象的です。

河合玉堂は多摩地方の風景を愛してよく描いています。
戦時中は奥多摩に疎開し、東京の自宅が空襲で焼失した後は現在の
青梅市御岳に移り住んでいます。

川合玉堂 「早乙女」 1945(昭和20)年
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終戦の年に描かれていますが、常と変わらぬ農村の営みです。
畦道は一気に引いたような太い線で、たらし込みも使われています。
田植は早乙女が中心になる農作業ですが、戦時中で男手の足りない
時でもあり、「銃後の守り」の意味も込めています。

東山魁夷 「白い壁」 1952(昭和27)年
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月夜の南アルプス市の土蔵の情景です。
白壁に差す月光や影の具合を工夫しています。
色面の分割、構成を意識しているようで、後の作品と少し雰囲気が違います。

東山魁夷 「白い嶺」 1964(昭和45)年
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蔵王の樹氷です。
白く透き通った、神秘的な光景が広がります。

近藤弘明 「清夜」 1970(昭和45)年
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月に照らされた野原に白い花が咲き広がる、浄土を思わせる風景です。
近藤弘明(1924-2015)は下谷の天台宗の寺院に生まれた日本画家で、
仏教思想に基いた幻想的な作品を描いています。

田渕俊夫 「輪中の村」 1979(昭和54)年
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木曽川下流の輪中の風景です。
背景の部分は銀箔を紙に貼った時に偶然出来る皺をそのまま使って、
雲の感じを出しています。

石田武さんの奥入瀬の四季を描いた作品、4点が展示されています。

石田武 「四季奥入瀬 瑠璃」 1985(昭和60)年 個人蔵
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新緑の奥入瀬渓谷で、斜めになった木が緊張感のある画面をつくっています。

石田武 「四季奥入瀬 秋韻」 1985(昭和60)年 個人蔵
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こちらは紅葉の季節で、川岸は黄金色に輝いています。

山種美術館のHPです。


【2022/12/27 19:25】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「東京国立博物館のイスラーム陶器」展示と上野公園の彫刻 2022年
上野
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東京国立博物館の東洋館3階5室では創立150年記念特集として、「東京国立博物館の
イスラーム陶器」の企画展示があります。
中国陶磁の一角に約50点が展示され、会期は2023年1月22日(日)までです。

イスラーム陶器は現在のイラン、イラク、シリア、トルコ、エジプトを中心とした地域で
焼かれた陶器を言います。

「三彩刻花文鉢」 イラン、ニーシャープール サーマーン朝・9~10世紀
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白土で化粧を施し、線彫りで格子と渦巻きを描き、黄と緑の鉛釉でなぞり、
褐釉で斑文を散らしています。
サーマーン朝(873~ 999)はイラン東部と中央アジア西南部を支配した王朝です。

「白釉浮文瓶」 イラン セルジューク朝~ホラズム・シャー朝・12~13世紀初頭
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12世紀のイランで、石英とガラスを混ぜたフリット胎土が使われるようになります。
これにより型押しや多彩な色釉薬が可能になっています。
ホラズム・シャー朝(1077~1231)はイラン、中央アジアを支配した王朝ですが、
モンゴル帝国に滅ぼされています。

「青緑釉藍彩鉢」 イラン セルジューク朝~ホラズム・シャー朝・12~13世紀初頭
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「色絵人物文鉢」 イラン、カーシャーン ホラズム・シャー朝・1180年代~1220年代
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白い錫釉を掛け、黒釉で輪郭線を取り、赤、青、ターコイズ色などで彩色しています。
人物は可愛く描かれています。
「ミナイ手」と呼ばれています。

「多彩鉢」 イラン イル・ハーン朝・13世紀中頃~14世紀中頃
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黒釉で細かい文様を描き、ターコイズ色で彩色しています。
イル・ハーン朝はモンゴル帝国の地方政権で、13世紀中頃~14世紀中頃に
イラン、イラク、アナトリア東部を支配していました。

「多彩鳥形手付瓶」 イラン イル・ハーン朝・13世紀中頃~14世紀中頃
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黒、藍、ターコイズ色の彩色が施されています。

ラスター彩も何点か展示されています。

「ラスター彩掻落鳥文水差」
 イラン、カーシャーン ホラズム・シャー朝・1200~1230年

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ラスター彩は焼成した白い錫の鉛釉の上に、銅や銀などの酸化物で
絵付けをした陶器で、金属色の輝きがあります。
9~10世紀にアッバース朝のバクダードを中心に製作され始め、12世紀末には
イランに伝わった技法です。

右 「ラスター・藍彩鳥文鉢」
 イラン、カーシャーン ホラズム・シャー朝・1200~1230年

左 「ラスター彩掻落銘文入鉢」
 イラン、カーシャーン ホラズム・シャー朝・1200~1230年

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「ラスター・藍彩人物文鉢」
 イラン、カーシャーン ホラズム・シャー朝・1170年代末~1200年頃

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ラスター彩と藍彩を使ってます。


「黄釉白堆緑彩刻文鉢」 エジプト マムルーク朝・14世紀
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緑彩が少し入って、アクセントになっています。
マムルーク朝は奴隷出身の騎兵による軍人王朝で、13世紀から16世紀にかけて
エジプト、シリア、紅海西岸を支配しました。

「黄緑釉白彩鉢」 エジプトまたはシリア マムルーク朝・14~15世紀
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西域風の中国陶磁もあります。

「白磁鳳首瓶」 中国 唐時代・7世紀 重要文化財
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鳳首には目が鉄絵具で描かれ、下が棒状で、栓になっています。
鳳首瓶は胡瓶とも呼ばれ、ササン朝ペルシャの金属器に起源を持つ形です。

「三彩貼花龍耳瓶」 中国 唐時代・8世紀 重要文化財
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古代ギリシャのアンフォラのような形で、西方の香りがします。

「五彩金襴手水注」 中国、景徳鎮窯 明時代・16世紀 重要美術品
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華やかな金襴手の水注で、西域の器を模しています。

***

上野公園の中の、旧東京音楽学校奏楽堂前の「芸術の散歩道」には毎年、
東京藝術大学卒業生による彫刻の修了制作が置かれています。
現在は2022年の終了制作が並んでいます。
春に写真を撮ったのですが、UPするのが遅れてしまいました。

「currve tunnel」 石田己和
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「わたしの秘密基地」 岩井りと
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「うずくまる少年」 永井遼太朗
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「YOCA」 三澤萌寧
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上野不忍池の蓮は茶色く枯れて、冬景色になっています。

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【2022/12/25 17:49】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「大倉コレクション 信仰の美」 大倉集古館
六本木一丁目・神谷町
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虎ノ門の大倉集古館では、企画展、「大倉コレクション 信仰の美」が開かれています。
会期は2023年1月9日(月・祝)までです。

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大倉集古館の設立者で実業家の大倉喜八郎(1837~1928)は明治初めの
廃仏毀釈運動で寺社から流出した仏画や仏像の保護に努め、収集しています。

展覧会ではこれらの仏教美術が展示されています。

「百萬塔陀羅尼」 奈良時代・8世紀 特種東海製紙株式会社
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称徳天皇(在位:764-770)は 藤原仲麻呂の乱を平定した後、国家の安泰を
願って陀羅尼を100万巻印刷し、小型の木製の塔に納めて、東大寺・西大寺・
興福寺・薬師寺などの十大寺に奉納しています。
陀羅尼とはサンスクリット語の原文を漢字で音写した呪文のことです。
これだけの量を1つの木版で印刷するのは磨耗のため不可能であり、
複数の木版を使った筈で、金属版を使ったかもしれないとのことです。
並んだ小さな文字の濃淡のムラの具合はたしかに印刷であることを示しています。

「一字金輪像」 重要文化財 鎌倉時代
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一字で表される如来の真言を仏の姿にした像です。
画面の下側左右に、花瓶に活けた蓮の花が様式的に描かれています。
印を結び、蓮華の上に座した姿は、緻密に、華やかに描かれながら、
端正で、静かです。
肌の白と唇の赤の対照が印象的です。
奥村土牛は師の小林古径を偲んで、「浄心」という題で、中尊寺の木造の
一字金輪像を描いています。

「普賢十羅刹女像」 鎌倉時代 14世紀
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普賢菩薩は華厳経や法華経に書かれた菩薩で、法華経が女人成仏を説くことから、
特に女性に多く信仰されています。
白象に乗った姿で表されます。
十羅刹女は法華経に登場する10人の鬼神で、法華経信者を守護します。
根津美術館所蔵の平安時代の絵では羅刹女は唐風の衣装ですが、
こちらは和風の装いです。
9人しか見えず、もう1人はどこかに隠れているのでしょうか。

「普賢菩薩騎象像」 平安時代・12世紀 国宝
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優しいお顔立ちの菩薩で、袖には金箔を糸のように細く切って貼り付けた
切金(きりかね)模様が見えます。
乗っている象は、仏師も実物を観たことが無いためでしょう、象にしては
体が長いのがユーモラスです。
普賢菩薩は女人往生を説く法華経に登場するため、女性の信仰を集めています。

「阿弥陀三尊来迎図」 鎌倉時代~室町時代 14世紀
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立姿の阿弥陀如来が勢至菩薩、蓮台を捧げ持つ観音菩薩を従えています。
両菩薩は身をかがめ、いかにも急いで現われた感じがします。
紺地の上に金箔や切金を用いた、きらびやかで動きのある図像です。
三尊立像形式の来迎図は鎌倉から室町にかけて多く制作されたとのことです。

「山越阿弥陀図」 冷泉為恭 文久3年(1863) 重要美術品
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山越阿弥陀は、夕陽に阿弥陀如来の姿を観るもので、恵心僧都源信(942~1017)が
感得したと伝えられ、鎌倉時代に画題として成立したとのことです。
この図では松や桜が大和絵の手法で細かく描き込まれ、鹿の遊ぶ山の向こうに、
阿弥陀如来が姿を現しています。
転法輪印を結んでいて、左手を逆手にして変化をつけているとのことです。
冷泉為恭(1823~1864)は幕末の絵師ですが、佐幕派と見なされて、尊皇攘夷派に
付け狙われ、この絵も紀州粉河寺に隠れている時に、自己の救済を願って描いたもの
とのことです。
しかし、この翌年に殺されています。

「融通念仏縁起絵巻」 室町時代 15世紀
仏8-5-2010_006

平安時代の僧、良忍上人(1072~1132)が阿弥陀如来から融通念仏の偈を伝授され、
毘沙門天の加護の下、念仏を広める様子を絵巻物にしています。
この場面は毘沙門天の呼び掛けに応じて、吉祥天や広目天など諸天が集まっている
ところです。

「法蓮上人坐像」 鎌倉時代 14世紀
大倉img268 (1)

法蓮は飛鳥時代から奈良時代にかけての修験僧で、豊前英彦山などで活動したと
されています。
大きく目を見開き、袂を広げている面白い姿で、衆生を救う宝珠を蛇神から
受け取っているところです。

「空也上人絵伝」 室町時代 16世紀
仏8-5-2010_005

空也上人(903~972)の事績を、雲で仕切った縦長の画面に描いています。
上から、共にいた鹿が射殺されたので、その皮と角で衣と杖を作ります。
毘沙門天の招きで剃髪し、賀茂(松尾)明神から鰐口と鉦鼓を授けられます。
宮中に呼ばれた時に雨が降って来ると、傘が飛来します。
最後は、捨てられた屍や白骨を供養している場面です。
後半の場面の、南無阿弥陀仏と唱えると口から小仏が飛び出て来る様子も、
六波羅蜜寺にある木造の空也上人像と同じ姿です。
各場面は簡潔な描写ですが、分かり易く、観ていて面白い絵伝です。


田中親美(たなかしんび:1875~1975)は厳島神社の依頼で、5年をかけて
平家納経全33巻の現状模本を制作しています。
そして当初の姿を想定した数組の復元模本を制作し、大倉集古館はその1組を
所蔵しています。
展覧会ではそのうち6巻が展示されています。

「平家納経 妙法蓮華経提婆達多品第十二(模本)」 田中親美 大正~昭和・20世紀
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地色の変化に合わせて、経文の字の色も変えています。
見返しには釈迦が説法している所へ龍女が侍女を従え、宝珠を捧げ持って
海上を進む様子が描かれています。

「平家納経 妙法蓮華経法師功徳品第十九(模本)」 田中親美 大正~昭和・20世紀
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見返し絵には優しい表情で普賢菩薩に乗った普賢菩薩が繊細な描線で描かれています。

「金銀荘雲龍文銅製経箱(模造)」 田中親美 大正~昭和・20世紀 大倉集古館
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厳島神社蔵の国宝、「平家納経納置」長寛2年(1164)の模造です。 
黒漆で、側面に銅に鍍金の龍、蓋にも丸文で龍と雲、五輪塔をあしらっています。
法華経提婆達多品に龍女成仏が説かれていて、これも女人往生を意味する
意匠とのことです。

展覧会のHPです。


【2022/12/24 19:07】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「カフェダイニング クレアンテ 御茶ノ水店」
御茶ノ水
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「カフェダイニング クレアンテ 御茶ノ水店」はお茶の水ビルディングの地下1階にあります。
場所は千代田区神田駿河台4-3です。

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すっきりした造りの店内は約50席、ドリンクとフードが揃っています。
セルフのカフェではなく、喫茶店の形式です。

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本格生パスタもいろいろ揃っています。

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カフェオレ550円にしました。

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カップはNARUMIです。

御茶ノ水駅の横にあって、便利なお店です。

お茶の水ビルディングのクリスマス飾りは雪だるまのサンタクロースとトナカイでした。

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【2022/12/23 20:41】 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ボッティチェリ特別展 「美しきシモネッタ」 丸紅ギャラリー
竹橋・大手町
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竹橋の丸紅ギャラリーでは開館記念展 III、ボッティチェリ特別展
「美しきシモネッタ」が開かれています。
会期は2023年1月31日(火)までです。

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丸紅ギャラリーは丸紅株式会社のコレクションを展示するため、
昨年オープンした展示室です。
竹橋の丸紅ビルの3階にあり、日祝は休館、入館料は一般500円です。
混雑緩和の為、当日の入場整理券をギャラリー入口で9:50より配布しています。

「美しきシモネッタ」は丸紅株式会社の所蔵で、日本に1点だけある、
ボッティチェリの作品です。
展覧会ではこの作品の解説や丸紅の所蔵となるまでの来歴も併せて
展示されています。
「美しきシモネッタ」は18世紀に画商のジャン=バティスト=ピエール・
ルブランによって紹介されて、広く知られるようになっています。
ピエール・ルブランはフランス王妃マリー・アントワネットのお抱え画家、
エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの夫でもあります。
ナチスの略奪に遭ったこともあるということは初めて知りました。

「美しきシモネッタの肖像」 サンドロ・ボッティチェリ
 1480-85年頃 テンペラ 丸紅株式会社

ボッティチェリ009


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フィレンツェ一の美女と謳われ、若くに亡くなった、シモネッタ・ヴェスプッチ
(1453-1476)の肖像で、彼女は「ヴィーナスの誕生」や「プリマヴェーラ」の
モデルにもなったともいわれています。
ルネッサンスの肖像画の一つの典型の真横からの像に比べると、かすかにこちらを
向いて立体感を出し、窓枠で背景を区切って顔を際立たせています。
くっきりした線描を用い、肌は白く輝き、金色に波打つ髪の表現は装飾的です。

ルネッサンス期のこれだけ素晴らしい作品が日本にあり、時々観ることが
出来るというのは、とても嬉しいことです。

展覧会のHPです。

丸紅ビルの1階ロビーです。

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【2022/12/22 19:14】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「アートで綴る 和光歳時記」展 2022年 銀座和光
銀座
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銀座和光本館6階のセイコーハウス銀座ホールでは「アートで綴る 和光歳時記」展が
開かれています。
会期は12月25日(日)まで、入場は無料です。

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陶芸、漆芸、截金、ガラス、日本画、染色、木彫の12人の作家による、
季節や干支にちなんだ作品が展示されています。

鳥毛清
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沈金の輝きで椿を輝かせています。

安田直子
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白い陶器に金魚の泳ぐ姿を描き続けておられます。

田村星都
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九谷焼で、極細の筆で字を書き込む技法を受け継いでおられます。
松竹梅や岩が描かれています。

  わが君は千代に八千代にさざれ石の いはほとなりて苔のむすまで

  万代をまつにぞ君をいはひつる ちと世のかげに すまむと思へば

江里朋子
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截金(きりかね)という、細く切った金箔などを貼り付ける技法です。

滝口和男
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陶器の蓋物と楽しそうな十二支の動物たちで、兎がマイクの前で歌っています。

山口暁子
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絹の裏側から描く裏彩色という技法による、優しく柔らかな世界です。

吉岡更紗
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植物由来の染料を使った植物染による、古来の自然な色の再現です。

山崎葉
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吹きガラスにエナメルで植物や虫が描上絵付されています。

小西潮
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ヴェネチアン・グラスの技法による繊細なレースグラスです。

神垣夏子
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籃胎蒟醤(らんたいきんま)という、竹ひごを編んで漆で固めた地に色漆を
埋め込んでいく技法に拠っています。

小黒アリサ
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木彫による小さく丸々とした可愛い動物たちです。

東園基昭
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御所人形と花模様の兎、背景は雪輪に菊水です。


【2022/12/20 18:30】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
2022年のクリスマス飾り
東京
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今年のクリスマス飾りを集めてみました。

日本橋髙島屋
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日本橋三越のライオン像はサンタクロースの帽子を被っています。
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上野駅はパンダと一緒です。
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竹橋パレスサイドビル
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丸の内KITTE
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丸の内MY PLAZA
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丸の内エリアでは今年はユーミンの特集、「MARUNOUCHI BRIGHT CHRISTMAS2022
~YUMING 50th BANZAI!~」を開催しています。

丸ビル1階のマルキューブのYUMING'S TIME MACHINE TREE
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新丸ビル4階にはブティック・ルージュがオープンしました。
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丸の内オアゾ1階には喫茶シュガータウンがオープンしています。
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丸の内ブリックスクエア
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丸の内仲通りの丸の内イルミネーション2022
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スターバックスもクリスマスモードです。
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銀座の教文館ではハンドベルでクリスマスソングが演奏されていました。
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【2022/12/18 19:22】 街歩き | トラックバック(0) | コメント(0) |
「本から飛び出せ! のりものたち」展 駒込 東洋文庫ミュージアム
駒込・千石
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駒込の東洋文庫ミュージアムでは「祝・鉄道開業150周年 本から飛び出せ!
のりものたち」展が開かれています。
会期は2023年1月15日(日)までです。
 
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2022年は1872年(明治5年)に新橋横浜間で鉄道が開業して150年になります。
展覧会では鉄道以前のいろいろな乗り物を中心にした資料が紹介されています。

「ペリー提督日本遠征記」 F.L.ホークス編 1856年
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幕府との条約締結交渉のため、1854年に浦賀に2度目の来航をしたペリー提督は
実物の1/4模型の蒸気機関車を持参しています。
横浜の陸上にレールを敷き、人を乗せて実際に運転しています。

「イラストレイテッド・ロンドン・ニュース」 1862年 ロンドン刊
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世界最初の地下鉄はメトロポリタン鉄道がロンドンの郊外と都心を結ぶために建設し、
1863年に開業しています。
当時は地表から掘り込んでから埋め戻す工法で造られていました。
地下を蒸気機関車が煙を吐きながらけん引するため、「不満そうな人類の蒸し風呂」と
呼ばれたそうです。

「史記 大宛列伝」 司馬遷 紀元前90年頃成立
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前漢の武帝(前156-前87)は北方の騎馬民族の匈奴と戦うため、汗血馬という名馬を
産する大宛(ウズベキスタンのフェルガナ地方)に遠征し、多数の馬を得ています。

「虢国夫人遊春図」 張萱 人民美術出版社 1984-89年 北京刊
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張萱(ちょうけん)は唐時代の宮廷画家です。
楊貴妃の姉、虢国夫人(かくこくふじん、?-756)が男装して乗馬しているところで、
真中に描かれています。
唐時代には女性もよく乗馬していました。
虢国夫人は豪奢な生活を楽しんでいましたが、安禄山の反乱に遭い、逃亡先で
自殺しています。

「延享来朝記」 写本 江戸時代
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徳川家重の第9代将軍就任の祝賀のため、延享5年(寛延元年、1748)に来日した
朝鮮通信使の記録です。
随員の一人が曲乗りを披露しているところで、走る馬の上に立って扇を広げています。

「オスマン帝国全覧」 イグナティウス・ムラジャ・ドーソン 1787-1820年 パリ刊
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オスマン帝国(1299-1922)の歴史や文化をまとめた研究所です。
預言者ムハンマド(570頃-630)は天馬ブーラークに乗ってエルサレムから天に昇り、
神の声を聞いたとされています。
ブーラークの頭は人、胴は馬の姿をしています。

「馬の歴史と管理・改良について」 ジョン・ローレンス 1809年 ロンドン刊
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イギリスでの馬の文化を表しています。
エリザベス女王も馬をこよなく愛好し、自身もよく乗馬し、競馬で持ち馬が勝つと
大喜びしていました。

「ルター訳聖書」 1686年 ニュルンベルク刊
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旧約聖書の創世記では神がノアに方舟を造らせています。

「日本書紀」 養老4年(720)成立
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新羅に攻められた百済を救援するため朝鮮に派遣された倭の船団は白村江で、
唐・新羅連合軍に大敗しています。

「キャプテン・クック航海記図版集」 18世紀末 ロンドン刊
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ジェームズ・クック(1728~79)による太平洋探検の記録で、双胴式のカヌーを
漕いでいるところです。

「中国のジャンク船」 アイボン・A・ドネリー 1924年 上海刊
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ジャンク船には河川や沿岸用の小型船や外航用の大型船までいろいろな種類が
ありますが、竜骨(キール)が無く、箱をつなげた構造なのが特徴です。

「漂着清国船図」 19世紀前半(江戸時代後期)
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静岡県掛川や千葉県銚子に漂着した清国船を描いています。
寧波を出て長崎に向かう予定でした。

「長崎見聞録」 広川獬 1800年初版 1818年刊
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蘭方医の広川獬が長崎で吉雄耕牛に学んでいた時の見聞を記録したものです。
出島に来たオランダ船について、その構造を詳しく解説しています。

「蛮船図絵」 筆者不詳 19世紀後半(幕末頃)刊
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日本に来航するようになった各国の船を描いています。
これは蒸気機関による外輪船で、アメリカ船のようです。

「プチャーチン以下露国船来朝、戸田浦にて軍艦建造図巻」 1855年頃
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幕府との条約締結のため来日したロシアのプチャーチン一行の乗船ディアナ号は
安政大地震に遭って損壊しています。
そのため伊豆の戸田(へだ)村で船大工たちがロシア人の指導で代船を建造した時の
模様を描いた絵巻です。
日本人が建造した初の洋式船で、1855年(安政2年)に完成し、戸田村にちなんで
ヘダ号と命名され、ロシアの軍艦旗の聖アンドレイ旗も掲げられています。
皆が大喜びしている様子も描かれた絵巻で、2016年の日露首脳会談では
この絵巻の複製がプーチン大統領に贈られています。

モリソン文庫の展示スペースにも乗り物についての資料が展示されています。

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「写真で見る氷川丸」 日本郵船 刊行年不明
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戦前、シアトル航路を就航していた日本郵船の氷川丸・日枝丸・平安丸を紹介する
パンフレットです。

日枝丸は戦時中、海軍に徴用され、1944年に米潜水艦の雷撃を受けて沈没しています。

平安丸も戦時中、海軍に徴用され、1944年にトラック島で空襲を受けて沈没しています。

氷川丸は戦時中は病院船として、戦後は引揚船としても利用され、現在は横浜港の
山下公園前に係留され、「日本郵船氷川丸」として公開されています。

(参考) 氷川丸
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展覧会のHPです。


【2022/12/17 17:10】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ユニクロコーヒー銀座」
銀座
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「ユニクロ コーヒー 銀座」はギンザコマツ東館(ユニクロの入っているビル)の
12階にあります。
場所は中央区銀座6-9-5で、GINZA SIXの向かい側です。

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お店はカウンター席が数席あるだけですが、銀座通りに面した側にも席があり、
そこはテイクアウト扱いになっています。

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スイーツは他に銀座らしく文明堂のどら焼きもあります。

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季節のコーヒー400円、カフェオレ350円と銀座ウエストのクッキー250円です。

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ドリップで淹れるコーヒーはたっぷりあって、すっきりと美味しいです。

コーヒーも美味しいし、ユニクロの各階で買い物した後の疲れ休めに便利なお店です。

11階には銀座の老舗を紹介するコーナーが設けられています。

空也
ユDSC04016

銀座梅林
ユDSC04007

ビヤホールライオン
ユDSC04003

歌舞伎座
ユDSC04015


【2022/12/16 23:01】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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Author:chariot
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