fc2ブログ
前のページ
「没後190年 木米」展 サントリー美術館
六本木・乃木坂
chariot

サントリー美術館では「没後190年 木米」展が開かれています。
会期は3月26日(日)まで、休館日は火曜日です。
会期中、展示替えがあるので、展覧会のHPでご確認ください。

木米img450 (7)


青木木米(1767 - 1833)は京都祇園の茶屋に生まれ、京焼の陶工となり、
特に煎茶の器を数多く制作しています。

「木米喫茶図」 田能村竹田 文政6年(1823) 個人蔵
木米img450 (5)

木米img450 (6)

2月27日までの展示です。
文人画家、豊後の田能村竹田(1777 - 1835)が青木木米を訪ね、
煎茶で歓待された時の様子です。
小さな炉を前に、茶碗を手に座った木米は如何にもくつろいでいます。
賛には、音曲と化粧の巷にあって、煎茶を吟味して楽しんでいるとあります。
青木木米は文人として頼山陽や田能村竹田、上田秋成らと交流しています。

「染付龍濤文提重」 青木木米 江戸時代・19世紀 東京国立博物館 重要文化財
木米img450 (2)

展示室の最初に置かれています。
提重(さげじゅう)とは手提げの重箱で、中国の提盒(ていごう)を
模した形をしています。
明の万暦年間の青花(染付)を写した作で、取っ手に祥瑞風の紗綾形文、
底に雷文を施し、器には万暦年製の青花磁器と同じ龍が踊っています。
角には古染付風の虫食いも見せ、中国陶磁を自由に組み合わせています。
青木木米が製陶に打ち込むようになったのは若い頃、木村蒹葭堂の書庫で
清の朱笠亭の「陶説」を読んで感銘を受けたことによるそうです。

「三彩鉢」 青木木米 春日山窯 文化4~5年(1807~8) サントリー美術館
木米img450 (3)

清時代の素三彩に倣った作思われ、大きく見込みの深い鉢で、中国陶磁には
無い形だそうです。
加賀藩12代前田斉広の命で金沢の商人、亀田鶴山がは文化4年(1807)に
京都から青木木米を招き、木米は金沢の卯辰山に春日山窯を開きます。
翌年、二の丸の焼失による財政負担のため、窯は藩営から民営に変わり、
木米自身は京都に帰っています。

「染付名花十友図三段重箱」 青木木米 江戸時代・19世紀 京都国立博物館
木米img450 (10)

木製の重箱を模した、10種類の草花と清友、韻友、艶友、名友、佳友、禅友、
倦友、雅友、浄友、殊友の十友の字を散りばめた、風雅な趣の器です。

「白泥詩文涼炉」 青木木米 文政7年(1824) 個人蔵
木米img450 (4)

涼炉は煎茶の湯を沸かす小さな炉です。
木米は煎茶に親しみ、同じく煎茶を好む文人の需めで煎茶道具をつくっています。
胴には唐代の漢詩文が彫り付けられています。
木米自身も幼い頃から中国文化に関心を寄せています。

「南蛮急須」 青木木米 江戸時代・19世紀 個人蔵
木米img450 (9)

釉を掛けない焼締の急須です。
木米は煎茶の炉や急須を数多くつくっています。

「金襴手花鳥文煎茶碗」 青木木米
 江戸時代・19世紀 早稲田大学會津弥一記念博物館

木米img450 (11)

煎茶用の5客の小さな茶碗で、底に聾米造と朱書きされています。
木米は後年耳が聞こえなくなり、聾米と号しています。
木米は燃える薪のはぜる音で焼成温度を確認するのでいつも耳を窯に近付けて
いたためとも、窯の爆発に遭ったあったためともいわれています。

右「聴濤図」 青木木米 文政9年(1826) 公益財団法人脇村奨学会蔵
左「化物山水図」 青木木米 文政12年(1829) 個人蔵
木米img450 (8)

右は2月27日までの展示、左は3月1日からの展示です。
青木木米は文人画家としても知られています。
幼い頃、池大雅(1723 - 1776)に会ったことがあり、池大雅を深く尊敬しています。

「兎道朝暾図」 青木木米 江戸時代・19世紀 サントリー美術館
木米img450 (1)

3月1日からの展示です。 
兎道朝暾図(うじちょうとんず)は朝日を浴びた宇治の情景で、宇治川が流れ、
右に平等院、左に宇治橋が見えます。
東京国立博物館も同じ題材の作品を所蔵しています。

木米が製陶を習った奥田頴川、同門の仁阿弥道八、同時期に活躍した永樂和全、
木米が尊敬した野々村仁清などの作品も展示されています。

青木木米とその世界について知ることの出来る興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。


【2023/02/11 18:46】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「CACAOCAT (カカオキャット)白金台店」
白金台
chariot

「CACAOCAT (カカオキャット)白金台店」は国立科学博物館附属自然教育園の
隣にあります。
場所は港区白金台5-18-8で、以前、「ドーナッツプラント白金台店」のあった所です。

カDSC06627

東京都庭園美術館の「交歓するモダン」展の帰りに寄りました。

北海道のチョコレートの会社のお店で、猫がマスコットです。

カDSC06626

カDSC06624


いろいろなチョコレートです。

カDSC06620


ジェラートもあります。

カDSC06618


コーヒー528円にはチョコレートが付き、自分で種類を選びます。
テラス席でいただきました。

カDSC06605


チョコレートはストロベリー味にしました。

カDSC06616

表面には猫のひっかき傷を模した筋が付いています。
たっぷりの苦み系のコーヒーとよく合います。

目の前の目黒通りを犬と一緒に散歩する人が通るのを見ながらのひと休みです。

カDSC06614


【2023/02/10 21:52】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「はしもとみお木彫展」と「バンナイリョウジ作品展」 銀座
銀座
chariot

銀座1丁目のギンザタナカ銀座本店の5階ホールでは「はしもとみお木彫展」が
開かれています。
会期は3月19日(日)まで、入場は無料です。

img449.jpg


はしもとみおさん(1980ー)は兵庫県出身で、三重県の古い民家をアトリエにして、
木彫で動物を制作されています。
展覧会では、ノミ跡の残る表現で犬や猫などの可愛い姿を掘り出した作品が
展示されています。

はDSC08185

はDSC08187

はDSC08189

はDSC08191

はDSC08195

はDSC08199

はDSC08207

はDSC08203

はDSC08212

はDSC08210

はしもとみおさんのアトリエを忠実に再現したアトリエで、北野トマレさんによる制作です。
はDSC08214

田中貴金属の会場で開催ということで、純金のミニチュア動物たちも居ます。
はDSC08236


***

また、GINZA SIXの6階の銀座蔦屋書店では2月26日(日)まで、バンナイリョウジ作品展
「小さな木彫りねこ」が開かれています。
バンナイリョウジさんは木彫で猫を彫っておられていて、こちらは手のひらに乗る
小さな猫です。

コースターに乗っています。
ばDSC08253

ばDSC08266

ばDSC08256

ばDSC08257

ばDSC08262

大きな口を開けて鳴いています。
ばDSC08263


【2023/02/09 19:14】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
東京長浜観音堂 長浜市高月町宇根 冷水寺十一面観音坐像
東京
chariot

日本橋の「東京長浜観音堂」は東京駅八重洲口からさくら通りを進み、
小路を左に入った八重洲セントラルビルの4階にあります。
場所は中央区日本橋2-3-21です。

img443.jpg


「東京長浜観音堂」では「観音の里」と呼ばれる滋賀県の長浜に残る観音像を、
約1~2か月ごとに入れ替えて展示を行なっています。

2月1日から2月28日までは長浜市高月町宇根の冷水寺の所蔵する
十一面観音坐像(脇仏)が展示されています。

れDSC07865

れDSC07868

れDSC07870

本尊の脇仏で、江戸時代の作、ヒノキの一木割矧造で内刳を施してあります。
玉眼が入り、肘から先はやや不自然な付き方になっています。

冷水寺は寺伝によれば奈良時代に行基が開いた宇根野寺が祖で、平安時代に
円珍により再興されています。
戦国時代、賤ケ岳の戦いで村が柴田勝家勢の焼討に遭い、本尊が焼損したので、
元禄時代に鞘仏をつくって本尊とし、胎内に旧本尊を納めています。

前回の展示もそうですが、長浜のある北近江は戦国時代、織田信長の浅井攻めや
賤ヶ岳の戦いなど、戦乱に巻き込まれ、多くの仏像が被害に遭っています。

参考
右:焼損した旧本尊 10世紀
左:鞘仏としてつくられた十一面観音坐像 元禄時代
img444.jpg


前回の東京長浜観音堂の記事です。

展覧会のHPです。


【2023/02/07 19:38】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ワイルドファイヤー:火の自然史」展 国立科学博物館
上野
chariot

上野の国立科学博物館では企画展「ワイルドファイヤー:火の自然史」が
開かれています。
会期は2023年2月26日(日)までです。

img318_202212242239525e6.jpg

img319_2022122422395528a.jpg

ワDSC06596

ワDSC06595


ワイルドファイヤーとは野火、山火事のことです。
ワイルドファイヤーは地球に植物が現れ、酸素が空気中に溜まってきた
3億4千万年前頃に始まったそうです。

野火によって燃焼した植物は炭素分に富む「チャコール」になります。
「チャコール」を調べると発生した野火の規模や温度が分かります。

ワDSC06478


アロマオイルの採れるカユプテは種子が熱に強く、野火の後、早くに種子を
撒いて繁殖します。

ワDSC06487


バンクシアの果実は硬く、野火に遭った後、裂けて種子を撒きます。

ワDSC06492


約6500万年前に始まる新生代は温暖な気候の後、ロッキーやヒマラヤなどの
造山帯が形成されると寒冷化し、内陸は乾燥して草原が広がります。
草原の拡大には野火が影響しています。
草原の植生に適応したモウコウマのような動物が繁殖します。

ワDSC06566


約4万年前に起きた阿蘇4火砕流は阿蘇の過去最大の火砕流です。
巻き込まれたヒノキアスナロは表面が火で焼けています。

ワDSC06586


日本でクロボクと呼ばれる黒色土壌の一部は先史時代に人間が火入れをしていた
証拠とされています。

ワDSC06570


人の活動も野火に影響を与えています。
インドネシアで毎年発生する泥炭火災は、農地造成の目的で水路を開いて
水抜きするために、土地が乾燥して発生しているそうです。

地球温暖化の進行に伴い、地域によっては野火の発生確率が更に増加する
可能性があるそうです。
たしかに、北米の最近の野火はすさまじい勢いでした。

ワイルドファイヤーの歴史と地球環境の関係などが分かりやすく解説された、
なかなか興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。


【2023/02/05 19:27】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」展 東京都庭園美術館
目黒・白金台
chariot

白金台の東京都庭園美術館では、「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」展が
開かれています。
会期は2023年3月5日(日)までです。

モダンimg320


1900年代から30年代、第2次世界大戦直前までのモダニズムの時代に焦点を当てた
展覧会です。
機能的でモダンなデザインを追及する流れがあり、一方で大衆消費社会の出現により
商品に目新しい装飾性を求める動きも強くなり、この二つがせめぎ合った時代との
ことです。

ウィーン工房は建築家のヨーゼフ・ホフマン(1870 – 1956)とデザイナーの
コロマン・モーザー(1868 – 1918)が結成した工房で、家具、装飾品、日用品を
手掛けていました。
直線的な装飾が特徴です。

ヨーゼフ・ホフマン 「センターピース・ボウル」 1924年 個人蔵
img336.jpg


ポール・ポワレ 「ガーデン・パーティー・ドレス」 1911年 島根県立石見美術館
モダンimg321 (9)

フランスの服飾デザイナー、ポール・ポワレ(1879-1944)はウィーン工房と
交流していました。
ポワレは女性のファッションからコルセットを追放したことで有名です。

フランシス・ジュールダン 「コーヒーサーバー」
 1920‐21年 ポール・エリュアール歴史美術館、サン・ドニ

モダンimg321 (1)

フランシス・ジュールダン(1876 – 1958)はフランスの家具デザイナーで、
組み合わせ家具など、機能的なデザインを目指しています。

アンドレ・グルー(デザイン)、マリー・ローランサン(絵付)、アドルフ・シャノー(制作)
 「椅子」 1924年 東京都庭園美術館

モダンimg321 (3)

黒檀やべっ甲を使った豪華な椅子です。
アンドレ・グルー(1884-1966)はフランスのアール・デコのインテリアデザイナーです。
マリー・ローランサン(1883-1956)はポール・ポワレの妹でアンドレ・グルーの妻の
ニコル・グルーと親しくしています。

UAM(Union des Artistes Modernes、現代芸術家協会)は1929年から1958年まで
活動したフランスの芸術家団体で、モダンなデザインを追及しています。

ピエール・シャロー 『フロア・スタンド「修道女」』 1923年 東京国立近代美術館
モダンimg321 (2)

ピエール・シャロー(1883 – 1950)はフランスのアール・デコのインテリアデザイナー、
建築家で、UAMにも参加しています。

この時代はモダニズムで有名なバウハウスの時代でもあります。

マルセル・ブロイヤー 「クラブチェアB3(ヴァシリー)」 1925年 豊田市美術館
モダンimg321 (7)

マルセル・ブロイヤー(1902-1981)はハンガリー出身の建築家・デザイナーで、
ドイツのバウハウスで学び、教えています。
最初にスチールパイプを使った椅子として知られ、軽量で、大量生産を可能にしています。

斎藤佳三 『表現浴衣染見本「維納(ウィンナ)の華」 制作年不詳
モダンimg321 (12)

東洋陶磁の模様をマイセンなどが写したブルーオニオン柄に似ています。
斎藤佳三(1887-1955)は音楽家・デザイナーで、ドイツに留学し、ヨーロッパの
モダンなデザインを日本の生活に取り入れる工夫を行なっています。

アールデコ調の庭園美術館の展示室とも調和した展示で、特にデザインに
関心のある方には興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。


【2023/02/04 19:59】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「THE FRONT ROOOM」 丸ビル
東京
chariot

「THE FRONT ROOOM」は丸ビル1階にあります。

フDSC07843

フDSC07841


以前、「丸の内カフェ×ワイアードカフェ」のあった所で、2022年9月にオープンした
レストランカフェです。
マルキューブに面したテラス席約40席を含め約120席あり、壁は無く開けています。
会計はキャッシュレスのみで、席で行います。

フDSC07827

フDSC07824


カウンター席でいただきました。

フDSC07830


チョコラテ770円とカフェラテ715円です。

フDSC07838


チョコラテにはバレンタインメニューということで、ドライストロベリーと
スターアニスが載っています。
甘さは控えめで、濃さも程良く美味しいです。
カフェラテはラテアートがきれいです。

テラス席、カウンター席、ソファー席と揃っていて、変化のあるお店です。


【2023/02/03 19:33】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「渡辺 おさむ 展-ユートピアをさがして-」 日本橋髙島屋
日本橋
chariot

日本橋髙島屋美術画廊では「渡辺 おさむ 展-ユートピアをさがして-」が
開かれています。
会期は2月6日(月)までです。

渡辺おさむさん(1980~)は洋菓子を飾るスイーツデコの技術を基に、
いろいろな物をお菓子で飾りつけるフェイク・クリーム・アートを
行なっておられます。
使っているのは樹脂の素材ですが、本物以上に本物に見えます。

「Sweet Cat」
わDSC07911


「Twin Rabbit」
わDSC07920


「Cream Fox」と「Cream leopard」
わDSC07924


「Sweet dainosaur」
わDSC07885


「Unicorn-視覚-」
わDSC07900

フランス国立クリュニー中世美術館の所蔵する、「貴婦人と一角獣」と
いう名のタピスリーに拠っています。
2013年に国立新美術館で開かれた「貴婦人と一角獣展」の記事です。


「風神―大福―」と「雷神―マカロンー」
わDSC07904

風神の袋は大福、雷神の太鼓はマカロンになっています。

「Cream painting-亀山雪晴-」
わDSC07933

歌川広重の「東海道五拾三次」の一つです。

どれもいかにも美味しそうで、思わず食べてみたくなってしまいます。

2014年に銀座のポーラ ミュージアム アネックスで開かれた
『渡辺おさむ「Sweets Sentiment」』展の記事です。


【2023/02/02 19:18】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
プロフィール

chariot

Author:chariot
美術館・博物館めぐりとカフェの記事を書いています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


<<前ページ | ホーム |