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「近代洋画と日本画」展 泉屋博古館分館
六本木1丁目
chariot

六本木の泉屋博古館分館では、「近代洋画と日本画」展が開かれています。
会期は6月26日(日)までです。

泉001


約30点の展示ですが、展示室の都合で、5月15日(日)までの前半と
5月17日(火)からの後半でかなりの展示替えがあります。
前半の入場券で後半は半額になります。

同じテーマの洋画と日本画を並べての展示です。

「二人麗子像」 岸田劉生 大正11年(1922年)
泉002

洋画で、重厚な塗りの背景の前に娘の麗子を二人、ずっしりと存在感のある姿に
描いています。
特に左の麗子は実際より幅広くなっています。
二人の着物の黄色味のある濃厚な赤色に目を奪われます。

鵠沼にあった自宅近くの漁師の娘さんが麗子の遊び相手で、二人を見ていて
作品の想を得たのだろうということです。
櫛や椿油の瓶を置いて鏡に見入っている姿はいかにもおしゃまです。
岸田劉生は東洋画も描いているので、この作品も禅画の寒山拾得の趣きがあります。

「人形」 小林古径 昭和14年(1939年)
泉003

淡い色の無地を背景にして、黒い衣装の人形をくっきりと浮き立たせています。
濃淡を使い分けて華やかな薔薇のレースの質感まで表わしています。
腕と手にも表情があります。
端正な線描の顔は金髪、緑の目、紅い唇、ブローチが彩りを添えています。
一体の人形に生命と気品を与えた作品です。

泉004

大正11-12年の欧州旅行のお土産として娘さんに買ってきたフランス人形
とのことです。
娘さんも長い間大事にしていたのでしょう。

「二人麗子像」と並べると、西洋画で描く東洋と日本画で描く西洋の対比の
面白さがあります。

「モンソー公園」 クロード・モネ 1876年
泉005

1874年の第1回印象派展より少し後の作品です。
空と光、樹木と影を描き出しています。
日傘を差して歩いているのは後妻となるアリス・オシュデとその娘とのことです。

泉007

娘の白い服と青いリボンは庭園美術館で観たモーリス・ドニの「聖母月」の
女の子の服と同じようなデザインです。

「禁城松翠」 竹内栖鳳 昭和3年(1928年)
泉006

皇居の石垣とお堀を写実的に描いています。
竹内栖鳳は欧州旅行の経験があり、洋画を意識しています。
この作品も画題は日本画風ですが、松に立体感があり、石垣や水面の描写に
洋画風なところがあります。


常設展示として、「中国古代青銅祭器の世界」展も開かれ、商時代から
後漢時代にかけての青銅器約30点も展示されています。
各品に解説とX線CT画像も添えられていて、参考になります。
青銅祭器の肉厚は通常2-3mmだったようです。

泉008


会場には手に持つタイプの鉦の複製も展示されていました。
こちらは肉厚が1cmほどもあります。
木槌で叩けるようになっていて、皆さん叩いていました。
清雅な音がします。
邪気を払うために使ったのではないかとのことです。


泉屋博古館のコレクションの基を造った住友家は四国の別子銅山の開発により
興隆しています。
玄関ホールには、銅鉱石や精錬用の炭を使った正月飾りや銅を交易品とした
長崎貿易の様子を描いた絵図などが展示されています。
オランダ商館の使節が大阪にあった精錬所を訪れた時の記録帳もあって、
シーボルトの名も載っていました。


なお、展示予定だった板谷波山の「葆光彩磁珍果文花瓶」(重要文化財)は
余震が続いているため、展示は中止になっています。

展覧会のHPです。

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【2011/04/28 06:49】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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