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「もてなす悦び展 ジャポニズムのうつわで愉しむお茶会」 三菱一号館美術館
東京
chariot

丸の内の三菱一号館美術館では「もてなす悦び展 ジャポニズムのうつわで
愉しむお茶会」が開かれています。
会期は8月21日(日)までです。

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19世紀後半の欧米では、万国博覧会などをきっかけにしてジャポニズム(日本趣味)
が大きな流行を見せます。
これを反映してジャポニズムの工芸品も数多く作られています。

この展覧会では、三菱一号館美術館コレクション<I>として、アメリカ在住の
ジョン&ミヨコ・ウンノ=デイヴィー夫妻から譲り受けたコレクションを
中心にして、陶磁器、銀器、ガラス器など、ジャポニズムの工芸品、
約230点が展示されています。


ウースター窯 「色絵菊文鉢」 18世紀 磁器 出光美術館蔵 イギリス
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ウースター窯は1751年に創業し、1866年にジャポニズム様式の陶磁器の制作を
始めています。
江戸時代から大量にヨーロッパに輸出された伊万里焼の模倣から始まり、
デザインもやがて初期の形から徐々に自由に変化していきます。
この鉢もかなり崩したデザインです。

ロイヤル・ウースター社 「吉祥文カップ&ソーサー」 1880年代 磁器
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青海波に似せた青い地模様の上に厚く金彩を塗って、亀甲文などの吉祥文を
描いています。
アメリカのティファニー商会の注文による製品です。

ウースター窯は1789年に「ロイヤル」の称号を得て、1958年にロイヤル・
ウースターと改称しています。
1872年には岩倉具視の使節団の視察も受けています。

ロイヤル・ウースター社 「伊万里写ティーセット」 1881年 磁器
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お盆も揃った金襴手の豪華なティーセットです。
取っ手やつまみは竹をイメージしていて、菊の紋も入っています。

ミントン社/伝クリストファー・ドレッサー 「日本文物文カップ&ソーサー」 
 1878-80年頃 磁器 イギリス
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金彩で縁取ったターコイズブルーの地に草花や置物などをあしらっています。

ミントン社のジャポニズム製品は1860年代のクリストファー・ドレッサーによる
七宝を模したデザインから始まります。

ミントン社は1793年に創業し、ボーンチャイナを開発しています。
1872年には岩倉具視の使節団の視察も受けています。

ミントン社 「桜椿文カップ&ソーサー」 1882年頃 磁器
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コバルトブルーの地に桜と椿をあしらっていて、空に延びる花枝を観るようです。

ロイヤル・コペンハーゲン磁器製作所 「魚駕籠形皿(蟹と魚藻)」 
 1890年頃 磁器 デンマーク
立体的な蟹を貼り付けた、眞葛焼を模したような製品です。
真葛焼も明治以降、盛んに輸出されています。

エミール・ガレ 「草花色紙文蓋付瓶」 1870年代 ガラス・鍍金 フランス
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緑色のガラスに白木蓮や金色の短冊が描かれています。
蓋のつまみは獅子の形をしています。
エミール・ガレと言えばアール・ヌーボーを思い出しますが、ジャポニズムと
アール・ヌーボーの近さを感じさせます。

ティファニー商会/エドワード・C・ムーア 「瓢箪文酒ポット」 
 1880年 銀・銅・金 アメリカ
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銀地に瓢箪の葉を打ち出し、瓢箪の実の部分やつまみは銅です。

ティファニー商会は1868年からエドワード・C・ムーアが中心となって
ジャポニズム意匠の銀器を盛んに制作しています。
ティファニーの銀製品は魚や虫、草花をあしらっていて、どれも繊細な細工です。

ゴーハム社 「日本趣味ナイフセット」 1880年代 銀、銅、金 アメリカ
柄の部分は形もデザインも日本刀の小柄(こづか)とそっくりです。

「ティー・ガウン」 1895年頃 京都服飾文化研究財団蔵 日本
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私邸の社交の場で既婚の女主人の着用した室内着です。
菊の刺繍の施された絹製で日本から輸出されています。
茶会ではこのような服装でお客をもてなしていたということです。

17世紀後半にオランダで流行した茶会では東洋との貿易で得た貴重な東洋の
陶磁器を使ったりしていました。
茶会は1840年代にイギリスの上流階級で復活し、19世紀末にはヨーロッパ各国の
中産階級にも普及していきます。
イギリスでは1830年代の末にインドのアッサムで茶の製品化に成功し、1880年代の
末には茶を自給化しています。
ヨーロッパのアジアへの進出と共に盛んになった茶会では、その頃流行した
ジャポニズムを取り入れた食器や工芸品がもてはやされます。

茶会の主催者は家庭の女性なので、彼女たちの好みを反映してか、展示されている
茶器類はどれも華やかで可愛いデザインと色彩です。
日本の茶器の渋い趣味とはかなり異なります。

会場にずらりと並んだ陶磁器や銀器を観ていると、当時どれだけジャポニズムが
もてはやされていたかを実感出来ます。
装飾性に優れた日本美術はジャポニズムという形によって上手く取り入れられた
と思います。

19世紀後半のイギリスの代表的なお茶菓子であるストロベリータルト、
マーブルケーキ、ティーケーキのレシピも紹介されていました。

展覧会のHPです。


また、1階の歴史資料室では9月11日(日)まで、「関東大震災から学ぶ 
震災と復興 ~丸の内・防災都市のあゆみ」展が開かれています。

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【2011/06/26 02:30】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • 村石太レディ&ナポレオンさん、こんばんは。
  • こういう色柄の茶器を使う茶会はさぞ華やかだったろうと思います。
    まさしく、おもてなしですね。

    【2011/08/21 23:50】 url[chariot(猫アリーナ) #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 芸術同好会(名前検討中
  • 芸術を 使いこなすのだろうか?素敵な 器ですね。

    【2011/08/21 21:55】 url[村石太レディ&ナポレオン #FuZ7lzI.] [ 編集]
    please comment















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