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「青山杉雨の眼と書」展 東京国立博物館
上野
chariot

上野の東京国立博物館平成館では特別展、「青山杉雨の眼と書」が
開かれています。
会期は9月9日(日)までです。
8月19日までの前期と8月21日からの後期で、一部展示替えがあります。

青001


今年は書家の青山杉雨(あおやまさんう、1912-1993)の生誕100年に当たり、
また日中国交正常化40周年、東京国立博物館140周年 にも当たります。
展覧会では、青山杉雨の収集した中国の書画、文房具と自身の代表作、
約360点を展示しています。


青山杉雨は1930年代に書家としての活動を始め、行書、草書を得意としていました。

青山杉雨 「白楽天・間夕」 昭和13年(1938)
青004

26歳の作品です。
柔らかな書風で強弱のリズムがあります。

やがて、30歳で西川寧に師事し、篆書(てんしょ)や隷書(れいしょ)による
表現を追求します。

青山杉雨 「殷文鳥獣戯画」 昭和44年(1969)
青005

57歳の作品です。
動物や鳥の姿を篆書の雰囲気で自由に描いています。
漢字が象形文字だったことを思い出させてくれます。

青山杉雨 「萬方鮮」 昭和52年(1977)
青002

青山杉雨は2枚合わせるとほぼ方形になる紙に数文字を配した作品を多く
書いています。

墨の潤いや枯れを存分に使った力強い書き振りで、鮮の字は魚や羊の
象形文字であることを示しています。

青山杉雨 「戦士図・図象文字集成」 昭和56年(1981)
青007

前期の展示です。
殷時代の金文(青銅器に鋳込まれた文字)に想を得て、戦士と武具、
動物の形を絵文字のように書いています。

青山杉雨の書は作品ごとに趣きが違い、「一作一面貌」とも呼ばれています。
また、中国の歴史を知り、それぞれの時代の政治、経済を知らないと
書は理解出来ない、とも述べています。

青山杉雨の書を観ていると、ものごとを字によって表現することの喜びが
伝わってきます。
それは漢字というものが原初の金石文の時から持っている特質なのでしょう。


青山杉雨は、当時評価の低かった明清の書画も数多く収集し、個人では入手が
困難と思われていた、元の楊維楨(よういてい、1296-1370)の書も入手しています。

楊維楨 「張氏通波阡表巻」 元時代・至正25年(1365)
青003

張麒という人の依頼で書いた、張家の先祖の墓地である通波塘に立てる
碑(阡表)の原稿です。

青山杉雨は中国の文房具の収集も行なっています。

「楼閣人物黄楊彫硯屏」 清時代(17-19世紀)
青006

硯屏(けんびょう)とは、チリやホコリが入るのを防ぐために硯の横に置く
小さな衝立です。

書斎も再現されていて、洋式机を使って書いていたことが分かります。
大きな作品は立って書いたようです。
書棚には書籍や置物が並び、いかにも文人の書斎らしい落着いた雰囲気です。


書の持つ品格の伝わる、すがすがしさを感じる展覧会です。

展覧会のHPです。






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【2012/07/29 00:06】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(2) |
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  • magiちゃんさん、こんばんは。
  • 書は白と黒の世界で、くっきりとしてあざやかです。
    迫力のある書き振りの作品は絵画を観るようで、象形文字の面白さを味わえました。

    【2012/07/30 23:36】 url[chariot(猫アリーナ) #/8nqih4Y] [ 編集]
  • すばらしいですね・・・萌えちゃう。
    上野ですか、行ってみたいな・~・。

    本当にすがすがしさを感じられそうです。

    【2012/07/30 10:55】 url[magiちゃん #-] [ 編集]
    please comment















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    blog_name=【映画的・絵画的・音楽的】 ♥   青山杉雨展
     
     8月の冒頭で取り上げた「フェルメール展」に引き続いて、上野の東京国立博物館で開催されている「青山杉雨の眼と書」展(〜9月9日)に行ってきました。  こちらは、同じ上野でほ
    【2012/08/17 06:02】

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