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「琳派から日本画へ―和歌のこころ・絵のこころ―」展 山種美術館
恵比寿
chariot

恵比寿の山種美術館では特別展、「琳派から日本画へ
-和歌のこころ・絵のこころ-」が開かれています。
会期は3月31日(日)までです。
3月3日までの前期と3月5日からの後期で展示替があります。

りん001


平安時代の古筆、江戸時代の琳派作品、近代の日本画を通して、
「和歌」と「装飾」の視点から作品を紹介する展覧会です。

藤原定信 「石山切(貫之集下)」 平安時代・12世紀 重要美術品
りん002

前期展示です。
「石山切」は白河天皇の六十の賀を祝って制作された、「西本願寺本三十六人家集」の
うち、「貫之集下」と「伊勢集」のことです。
西本願寺の所蔵でしたが、昭和4年(1929)に2つの集が分割され、
断簡になった時に付けられた名です。
昔は本願寺が石山(後の大阪城)にあったことにちなんでいます。
料紙には草花や鳥、蝶の文様が描かれ、金銀箔が散らされています。

右側の歌です。

  いたづらによにふるものとたかさごのまつもわれをやともとみるらむ

伝俵屋宗達 「槙楓図」 江戸時代・17世紀
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右側に大きく曲がった幹と直立した幹の槙を置き、槙と楓の葉が左上に力強く
伸びていく、躍動感のある画面です。
下に女郎花と桔梗も見えます。

本阿弥光悦 「摺下絵古今集和歌巻」 江戸時代・17世紀 東京国立博物館
場面替があります。
古今集の恋歌39首を書写した巻物で、竹、梅、芍薬、蝶などを料紙に
下摺りしてあります。
裏側には松葉が摺ってあり、巻物を巻いた状態では松葉が見え、開いていくと
まず竹、続いて梅の下摺りが見える仕掛けになっています。
松竹梅を並べた、目出度い趣向です。

尾形光琳 「四季草花図巻」 宝永2年(1705)
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前期展示で、場面替があります。
淡い色彩草花を描き並べています。

酒井抱一 「秋草鶉図」 江戸時代・19世紀 重要美術品
江戸7-19-2010_003

前期展示です。
薄、女郎花、露草、楓の中にウズラが群れています。
薄の葉は細くリズミカルに描かれ、繊細なデザイン感覚に満ちています。
銀で描かれた月も低く置かれ、落着いた風情と品の良い華やかさがあります。
月の黒いのは銀が酸化したのではなく、銀の上に黒を塗ってあるそうです。
ウズラは土佐派のよく描いた画題で、この作品も土佐派に倣った画風です。

下村観山 「老松白藤」 大正10年(1921)
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六曲一双屏風で、金地に大きく枝を伸ばした松とそれに絡みつく藤を
装飾的に描かれています。
松と藤はよく描かれる題材で、夫婦和合を表しています。
今度観て初めて、熊蜂が一匹描かれているのを知りました。

松岡映丘  「河内越」 昭和3年(1928)
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前期展示です。
中村岳陵、荻生天泉、吉村忠夫、松岡映丘、川﨑小虎、尾上柴舟による
伊勢物語の合作の一部です。
男が河内にいる別の女の許に通うのを、女が送り出してから歌を詠んでいます。
 
 風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとりこゆらん

物陰に隠れてそれを聞いた男は愛しく思って、河内に行くのを止めた
というお話です。
竜田山は大和と河内の間にある山で、紅葉の名所です。
楓、萩、女郎花、桔梗の描かれた庭に秋の風が吹いています。

上村松園 「詠哥」 昭和17年(1942)
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菊の模様の着物に鳳凰丸の帯の女性が短冊を手にしています。
秋の歌を考えているのでしょう。
葵づとつぶ髷という公家の女性の髪形をしています。

加山又造 「千羽鶴」 昭和45年(1970) 国立近代美術館
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後期展示です。
六曲一双の左隻で、うねる波間を越え、鶴の群れが満月に照らされて
飛行しています。
華麗な琳派の装飾性を見せた作品です。
同じテーマの陶板壁画が展示室に下りる階段の壁に貼ってあります。

山種美術館のHPです。


山種美術館の次の展覧会は特別展、「百花繚乱―花言葉・花図鑑―」です。
会期は4月6日(土)から6月2日(日)までです。

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速水御舟の「名樹散椿」も展示されます。

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【2013/02/28 00:02】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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