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「浮世絵Floating World (フローティングワールド)-珠玉の斎藤コレクション-」展 第3期 三菱一号館美術館 
東京
chariot

三菱一号館美術館で開かれている、「浮世絵Floating World
(フローティングワールド)-珠玉の斎藤コレクション-」展の
第3期に行ってきました。
期間は9月8日(日)まで、タイトルは「うつりゆく江戸から東京
―ジャーナリスティック、ノスタルジックな視点」です。

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斎藤文夫氏(川崎・砂子の里資料館長)の所蔵する浮世絵の発生期から
幕末・明治までを網羅する浮世絵のコレクションの展示です。

展示は3期に分かれ、期毎にすべて展示替えされて、3会期合わせて
約600点が展示されます。

第2期、「北斎・広重の登場-ツーリズムの発展」の記事です。

第3期は北斎・広重・国芳などによる江戸の風景と三代目広重・小林清親・
井上安治などによる幕末・明治の江戸・東京を描いた作品、約160点の展示です。

一川芳員 「横浜海岸波止場繁栄之図」 万延元年(1860
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部分
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1859年に開港した横浜港の賑わいです。
左奥の赤い札の貼ってある所が東海道の神奈川宿です。
まだ港の水深が浅いためか、外国船は沖に停泊し、間を和舟が往復しているようです。
波止場では荷物を載せた荷車が盛んに往復していて、役人がそれを見張っています。
騎乗する外国人女性も見えます。
翌々年の文久2年には、騎馬で散歩中の女性を含むイギリス人4人が島津久光の
行列に入り込んで薩摩藩士たちに殺傷される生麦事件が起きています。

一川芳員 「亜墨利加蒸気船 長四十間巾六間」 文久元年(1861)
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横浜に来航したと思われる、アメリカの大型蒸気船を描いています。
船のサイズを題名にしているのが面白い所で、四十間だと70m、
千石船の倍以上はある偉容を大判三枚続で表しています。
ペリー艦隊の時の外輪船ではなく、スクリュー船に変わっています。

歌川芳員(うたがわよしかず、生没年不詳)は幕末から明治初期の浮世絵師で、
歌川国芳の門人で、一川、一川斎とも号し、横浜開港場などをよく描いています。

小林清親 「海運橋 第一銀行雪中」 明治9年(1876)
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第一国立銀行は 国立銀行条例に基く日本初の民間銀行で、明治6年に現在の
日本橋兜町で開業しました。
現在のみずほ銀行の前身です。
建物は二代目清水喜助の設計による和洋折衷型で、明治の新風物として
当時の錦絵にも盛んに取り上げられています。
雪曇りの空を背景にした第一銀行の建物は白く際立っていますが、
文明開化の喧騒とは違った静けさがあります。

小林清親(1847 -1915〉は幕臣出身で鳥羽伏見の戦いや上野戦争にも参加しています。
後に河鍋暁斎や柴田是真に絵を学び、明治の東京を叙情的な浮世絵に描いて、
最後の浮世絵師と呼ばれるようになります。
清親の叙情性は川瀬巴水たちに受け継がれていきます。

楊洲周延 「真美人 十四(女学生)」 明治30年(1897)
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着物の下にシャツを着て、日傘を差すという、明治の新風俗です。
三菱一号館の建ったのはこの少し前の1894年です。

楊洲周延(ようしゅう ちかのぶ、1838 -1912〉は越後高田藩の藩士出身で、
戊辰戦争では上野の彰義隊に参加し、函館まで転戦しています。
歌川国芳、三代歌川豊国、豊原国周に浮世絵を学んでいた周延は、明治維新後は
浮世絵師として明治末期まで主に美人画を描いて評判を取っています。


1期から3期まで、浮世絵の始まりから明治の浮世絵までを網羅した展覧会で、
浮世絵の仕事の細かさ、工夫の面白さ、感覚の鋭さを改めて確認出来ました。

展覧会のHPです。





三菱一号館美術館の次回の展覧会は、「三菱一号館美術館名品選2013
-近代への眼差し 印象派と世紀末美術-」です。
会期は10月5日(土)から2014年1月5日(日)までです。

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【2013/08/20 00:14】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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