京橋・東京
京橋のブリヂストン美術館ではコレクション展、「色を見る、色を楽しむ。」が
開かれています。
会期は9月18日(水)までです。

色彩をテーマにした展覧会で、色彩や絵具についての興味深い解説が
添えられています。
14世紀から17世紀のヨーロッパでは黄色は「レッド・チンイエロー」という
鉛と錫の化合物を使っていたということです。
18世紀以降はイタリアのヴェスヴィオ火山の土から採った「ネープルスイエロー」が
使われました。
火山の土を使うとは、色作りも大変です。
レンブラント・ファン・レイン 「聖書あるいは物語に取材した夜の情景」
油彩・銅板 1626~28年

とても小さな作品で、火の周りで男たちが話をしていて、鎧を着た男も見えます。
新約聖書の「ペテロの否認」の場面か何かでしょうか。
工業生産による最初の顔料は1704年に開発されたプルシャンブルーです。
日本にも輸入されて、ベロ藍と呼ばれ、葛飾北斎の版画にもよく使われています。
印象派は、ブーダンに誘われたモネのように屋外に出て絵を描くことを始めましたが、
それには携行できる絵具も寄与しています。
金属製のチューブが開発されたのは1841年です。
クロード・モネ 「雨のベリール」 1886年

岩山、沸き立つ波、斜めに降る雨を手早い筆遣いで描いています。
色彩も豊かで、勢いを感じます。
クロード・モネ 「黄昏、ヴェネツィア」 油彩・カンヴァス 1908年頃

モネは晩年の1910年代から白内障を患い、ほとんど失明に近い状態になっています。
そこで手術を受け、視力が回復すると黄と青が強く見えすぎると嘆いています。
イギリスのヴィクトリア女王が、1861年に夫君のアルバート公が亡くなって以来、
ずっと喪服を着ていたので、ヨーロッパでは黒のファッションが好まれるように
なったそうです。
マネや印象派の画家もよく黒を使っていて、マネやドガの黒には都会的な
センスがあります。
エドガー・ドガ 「レオポール・ルヴェールの肖像」
油彩・カンヴァス 1874年頃

やがて、色彩を強調したフォーヴィズムが現れます。
モーリス・ド・ヴラマンク 「運河船」 油彩・カンヴァス 1906年

ヴラマンクのフォーヴィスム時代の作品で、現実に見える色とは異なる
強烈な色彩を使っています。
ルドンは黒の画面から始まり、後に豊富な色彩に転換します。
オディロン・ルドン『「夢想」 III うつろいやすい光、無限に吊されたひとつの頭』
リトグラフ 1891年

マティスのシリーズ版画「ジャズ」、20点が展示されています。
晩年、体力の衰えたマティスは、助手が色を塗った紙をハサミで切り抜く
切り絵に取組んでいます。
題名はジャズですが、ジャズそのものを描いた作品は無く、サーカスや
旅行の思い出などを題材にしています。
切り絵の即興性はジャズに通じるものがありそうです。
明快な色彩で、切り絵の特徴を生かした軽やかで自由な作品です。
アンリ・マティス 『「ジャズ」 X ピエロの葬式』 ステンシル 1947年

アンリ・マティス 『「ジャズ」 VIII イカルス』 ステンシル 1947年

第10室では、「追悼 ザオ・ウーキー」として、今年4月に亡くなった
ザオ・ウーキーの作品9点が展示されています。
ザオ・ウーキーは1921年に北京で生まれ、1948年にパリに渡り、
その後フランス国籍を取得しています。
抽象画ですが、その作品にはどこか水墨画のような雰囲気があり、
親しみやすさを感じます。
「07.06.85」 油彩・カンヴァス 1985年

画面いっぱいに広がる海の波を思わせる深い青色が印象的な作品です。
展覧会のHPです。
ブリヂストン美術館の次回の展覧会は特別展、「カイユボット展ー都市の印象派」です。
会期は10月10日(木)から12月29日(日)までです。
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京橋のブリヂストン美術館ではコレクション展、「色を見る、色を楽しむ。」が
開かれています。
会期は9月18日(水)までです。

色彩をテーマにした展覧会で、色彩や絵具についての興味深い解説が
添えられています。
14世紀から17世紀のヨーロッパでは黄色は「レッド・チンイエロー」という
鉛と錫の化合物を使っていたということです。
18世紀以降はイタリアのヴェスヴィオ火山の土から採った「ネープルスイエロー」が
使われました。
火山の土を使うとは、色作りも大変です。
レンブラント・ファン・レイン 「聖書あるいは物語に取材した夜の情景」
油彩・銅板 1626~28年

とても小さな作品で、火の周りで男たちが話をしていて、鎧を着た男も見えます。
新約聖書の「ペテロの否認」の場面か何かでしょうか。
工業生産による最初の顔料は1704年に開発されたプルシャンブルーです。
日本にも輸入されて、ベロ藍と呼ばれ、葛飾北斎の版画にもよく使われています。
印象派は、ブーダンに誘われたモネのように屋外に出て絵を描くことを始めましたが、
それには携行できる絵具も寄与しています。
金属製のチューブが開発されたのは1841年です。
クロード・モネ 「雨のベリール」 1886年

岩山、沸き立つ波、斜めに降る雨を手早い筆遣いで描いています。
色彩も豊かで、勢いを感じます。
クロード・モネ 「黄昏、ヴェネツィア」 油彩・カンヴァス 1908年頃

モネは晩年の1910年代から白内障を患い、ほとんど失明に近い状態になっています。
そこで手術を受け、視力が回復すると黄と青が強く見えすぎると嘆いています。
イギリスのヴィクトリア女王が、1861年に夫君のアルバート公が亡くなって以来、
ずっと喪服を着ていたので、ヨーロッパでは黒のファッションが好まれるように
なったそうです。
マネや印象派の画家もよく黒を使っていて、マネやドガの黒には都会的な
センスがあります。
エドガー・ドガ 「レオポール・ルヴェールの肖像」
油彩・カンヴァス 1874年頃

やがて、色彩を強調したフォーヴィズムが現れます。
モーリス・ド・ヴラマンク 「運河船」 油彩・カンヴァス 1906年

ヴラマンクのフォーヴィスム時代の作品で、現実に見える色とは異なる
強烈な色彩を使っています。
ルドンは黒の画面から始まり、後に豊富な色彩に転換します。
オディロン・ルドン『「夢想」 III うつろいやすい光、無限に吊されたひとつの頭』
リトグラフ 1891年

マティスのシリーズ版画「ジャズ」、20点が展示されています。
晩年、体力の衰えたマティスは、助手が色を塗った紙をハサミで切り抜く
切り絵に取組んでいます。
題名はジャズですが、ジャズそのものを描いた作品は無く、サーカスや
旅行の思い出などを題材にしています。
切り絵の即興性はジャズに通じるものがありそうです。
明快な色彩で、切り絵の特徴を生かした軽やかで自由な作品です。
アンリ・マティス 『「ジャズ」 X ピエロの葬式』 ステンシル 1947年

アンリ・マティス 『「ジャズ」 VIII イカルス』 ステンシル 1947年

第10室では、「追悼 ザオ・ウーキー」として、今年4月に亡くなった
ザオ・ウーキーの作品9点が展示されています。
ザオ・ウーキーは1921年に北京で生まれ、1948年にパリに渡り、
その後フランス国籍を取得しています。
抽象画ですが、その作品にはどこか水墨画のような雰囲気があり、
親しみやすさを感じます。
「07.06.85」 油彩・カンヴァス 1985年

画面いっぱいに広がる海の波を思わせる深い青色が印象的な作品です。
展覧会のHPです。
ブリヂストン美術館の次回の展覧会は特別展、「カイユボット展ー都市の印象派」です。
会期は10月10日(木)から12月29日(日)までです。
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私も見ました。
名品ぞろいのブリジストンですからとても楽しめました。
「追悼・ザオ・ウーキー」には特に胸を打たれました。あの常設でいつもかかっている絵(06,07,85)は特に好きです。
深い自然の魂みたいなものを感じます。
名品ぞろいのブリジストンですからとても楽しめました。
「追悼・ザオ・ウーキー」には特に胸を打たれました。あの常設でいつもかかっている絵(06,07,85)は特に好きです。
深い自然の魂みたいなものを感じます。
作品には心に響く何かがあります。