乃木坂
六本木の国立新美術館では「未来を担う美術家たち
16th DOMANI・明日展 建築×アート」が開かれています。
会期は2014年1月26日(日)までです。
火曜日は休館日で、12月24日(火)から1月7日(火)も休館しています。

文化庁が1967年度から実施している、若手芸術家を研修のため海外に派遣する、
「芸術家在外研修(新進芸術家海外留学制度)」の成果を発表する展覧会で、
毎年開かれています。
8人のアーティストの作品が展示されるとともに、今回は初めて建築を取り上げ、
「未来の家」というテーマを設定して、43人の建築家のブースが設けられています。
アーティストによるギャラリートークも3回に分かれて
行なわれてます。
12月14日(土) 徳丸鏡子、小笠原美環、大野由美子
12月15日(日) 榊原澄人、吉本直子、土橋素子
1月12日(日) 11:00~ 大栗恵、川上りえ
12月15日のギャラリートークに行き、3人の話を聴いてきました。
その要旨です。
会場内は撮影可能です。
榊原澄人さんの作品はアニメーションで、大型のプロジェクターを使って
3枚の画面をつないでいます。
浜に打ち上げられた鯨、雪の丘、猥雑な町、炎上する都市と画面が続き、
浜の場面に戻ります。
ヒエロニムス・ボスのような世界で、丘の場面はブリューゲル風です。




白いひげを伸ばし、老人になった男は群集の輪の中に入って何かを
訴えますが、つまみ出されてしまいます。
いつの時代も預言者は世に受け入れられないようです。
榊原澄人さん
「元は8枚続きの360度の輪になった画面を中からパノラマのように観る
仕掛けになっている。
男性の一生を描き入れている。
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」を元にしていて、
男が森の中で思索して悟ったことを町に出てて皆に伝えようとしている。
北海道生まれなので、鯨のよく出てくるアイヌの民話には馴染みがある。
描かれていることはすべて個人的、内的なプロセスである。」
吉本直子さんの作品は白いシャツなどをレンガのように固めて
組上げられています。



見上げると、バビロンの城壁のようです。

本の形をしていて、旧約聖書のイザヤ書の1節が書かれています。

「論じ合おうではないか、と主は言われる。たとえお前たちの罪が
緋のようでも雪のように白くなることができる。」
吉本直子さん
「白い古着を集めて、糊で固めて作っている。
最初は染織を学んでいたが、やがて他人の纏った後の染みや皺のある
衣服から、どんな人が着ていたのか想像することに興味が引き寄せられた。
不在の他者の遺した物、水面に出来た波が広がって、やがてかすかに
漂っているイメージを表したい。
「白い館」は、人はやがてはいなくなってしまう、その理不尽の中で
つながろうとしていることを伸びた袖で表現した。
自分が問いを繰り返しているうちに、答えが返ってくるように思う
ことがあるが、それは自分の声かも知れない。
それでも問い続けることに意味があると思う。
自分が何を求めてやっているか自分でも解らない部分がある。
作品を観た人の感想によって気が付くことがあり、新鮮な発見が
あってうれしい。」
土橋素子さんの作品は大きな六角形の天蓋が3つ吊ってあり、
屋根が描かれています。
ちょっと南国のバンガロー風です。



土橋素子さん
「ヨーロッパに長く居て、内部から見上げる教会建築の神々しさが好きだった。
それを造り上げる人間の力は大したものだと思う。
自分も描くことでその素晴らしさを追体験したい。
天蓋に描いたのは瓦の役目をする貝殻のつもり。
壁の絵は芭蕉の葉でつくったアーチをイメージしている。
会場の仮設の壁に直接描いた。
アーチも建築における高度な技術だと思う。
芭蕉は日本画にもよくある画題で、アクリルで描いているが墨絵の感じを
出したかった。
自分は京都育ちで、外国に居ても日本人としてのアイデンティティを感じる。
自分では気が付かなくても、外国の人から作品に日本人の感性があると
言われることが多い。」
各作家のギャラリートークは面白く、今年も興味深い話を聴くことが出来ました。
このトークがあるので、DOMANI展に行く時はわくわくした気持ちになります。
その他の作家の作品は以下の通りです。
徳丸鏡子さん
陶器の作品で、蓮の花の上に不動明王の火炎が立っていたり、
壁に鳳凰が貼ってあったりします。


小笠原美環さん

窓のつくる四角い枠と光を描いています。

大野由美子さん
床一面に銀色のジグソーパズルが広がっています。
靴を脱いで上がってもよいそうです。
これだけパズルを嵌めていくのは大変だったことでしょう。
大栗恵さん
窓を写した写真などの展示です。
川上りえさん
天井から針金で作った立方体をつないだ物が何本も下がっています。
その下をくぐれる程度の所まで来ています。


会場には建築家のブースが並んでいます。
各出展者のギャラリートークも行なわれます。

今永和利さんのブース

山岡嘉彌さんのブース

前回の展覧会に行った時の記事です。
展覧会のHPです。
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六本木の国立新美術館では「未来を担う美術家たち
16th DOMANI・明日展 建築×アート」が開かれています。
会期は2014年1月26日(日)までです。
火曜日は休館日で、12月24日(火)から1月7日(火)も休館しています。

文化庁が1967年度から実施している、若手芸術家を研修のため海外に派遣する、
「芸術家在外研修(新進芸術家海外留学制度)」の成果を発表する展覧会で、
毎年開かれています。
8人のアーティストの作品が展示されるとともに、今回は初めて建築を取り上げ、
「未来の家」というテーマを設定して、43人の建築家のブースが設けられています。
アーティストによるギャラリートークも3回に分かれて
行なわれてます。
12月14日(土) 徳丸鏡子、小笠原美環、大野由美子
12月15日(日) 榊原澄人、吉本直子、土橋素子
1月12日(日) 11:00~ 大栗恵、川上りえ
12月15日のギャラリートークに行き、3人の話を聴いてきました。
その要旨です。
会場内は撮影可能です。
榊原澄人さんの作品はアニメーションで、大型のプロジェクターを使って
3枚の画面をつないでいます。
浜に打ち上げられた鯨、雪の丘、猥雑な町、炎上する都市と画面が続き、
浜の場面に戻ります。
ヒエロニムス・ボスのような世界で、丘の場面はブリューゲル風です。




白いひげを伸ばし、老人になった男は群集の輪の中に入って何かを
訴えますが、つまみ出されてしまいます。
いつの時代も預言者は世に受け入れられないようです。
榊原澄人さん
「元は8枚続きの360度の輪になった画面を中からパノラマのように観る
仕掛けになっている。
男性の一生を描き入れている。
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」を元にしていて、
男が森の中で思索して悟ったことを町に出てて皆に伝えようとしている。
北海道生まれなので、鯨のよく出てくるアイヌの民話には馴染みがある。
描かれていることはすべて個人的、内的なプロセスである。」
吉本直子さんの作品は白いシャツなどをレンガのように固めて
組上げられています。



見上げると、バビロンの城壁のようです。

本の形をしていて、旧約聖書のイザヤ書の1節が書かれています。

「論じ合おうではないか、と主は言われる。たとえお前たちの罪が
緋のようでも雪のように白くなることができる。」
吉本直子さん
「白い古着を集めて、糊で固めて作っている。
最初は染織を学んでいたが、やがて他人の纏った後の染みや皺のある
衣服から、どんな人が着ていたのか想像することに興味が引き寄せられた。
不在の他者の遺した物、水面に出来た波が広がって、やがてかすかに
漂っているイメージを表したい。
「白い館」は、人はやがてはいなくなってしまう、その理不尽の中で
つながろうとしていることを伸びた袖で表現した。
自分が問いを繰り返しているうちに、答えが返ってくるように思う
ことがあるが、それは自分の声かも知れない。
それでも問い続けることに意味があると思う。
自分が何を求めてやっているか自分でも解らない部分がある。
作品を観た人の感想によって気が付くことがあり、新鮮な発見が
あってうれしい。」
土橋素子さんの作品は大きな六角形の天蓋が3つ吊ってあり、
屋根が描かれています。
ちょっと南国のバンガロー風です。



土橋素子さん
「ヨーロッパに長く居て、内部から見上げる教会建築の神々しさが好きだった。
それを造り上げる人間の力は大したものだと思う。
自分も描くことでその素晴らしさを追体験したい。
天蓋に描いたのは瓦の役目をする貝殻のつもり。
壁の絵は芭蕉の葉でつくったアーチをイメージしている。
会場の仮設の壁に直接描いた。
アーチも建築における高度な技術だと思う。
芭蕉は日本画にもよくある画題で、アクリルで描いているが墨絵の感じを
出したかった。
自分は京都育ちで、外国に居ても日本人としてのアイデンティティを感じる。
自分では気が付かなくても、外国の人から作品に日本人の感性があると
言われることが多い。」
各作家のギャラリートークは面白く、今年も興味深い話を聴くことが出来ました。
このトークがあるので、DOMANI展に行く時はわくわくした気持ちになります。
その他の作家の作品は以下の通りです。
徳丸鏡子さん
陶器の作品で、蓮の花の上に不動明王の火炎が立っていたり、
壁に鳳凰が貼ってあったりします。


小笠原美環さん

窓のつくる四角い枠と光を描いています。

大野由美子さん
床一面に銀色のジグソーパズルが広がっています。
靴を脱いで上がってもよいそうです。
これだけパズルを嵌めていくのは大変だったことでしょう。
大栗恵さん
窓を写した写真などの展示です。
川上りえさん
天井から針金で作った立方体をつないだ物が何本も下がっています。
その下をくぐれる程度の所まで来ています。


会場には建築家のブースが並んでいます。
各出展者のギャラリートークも行なわれます。

今永和利さんのブース

山岡嘉彌さんのブース

前回の展覧会に行った時の記事です。
展覧会のHPです。
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