日本橋
日本橋高島屋では生誕130年記念、「川瀬巴水展-郷愁の風景-」が開かれています。
会期は1月12日(月・祝)まで、入場料は一般800円です。

川瀬巴水(1883~1957)は大正から昭和にかけて活躍した風景版画家です。
新版画という、江戸の浮世絵の技法を受け継ぎながら新しい芸術を目指した
版画を制作しています。
巴水は全国を旅して、日本各地の風景を叙情的に描き、約600点の木版画を
残しています。
新版画とは、江戸の浮世絵の技法を受け継ぎながら新しい芸術を目指して、
大正から昭和にかけて制作された版画のことです。
横浜で浮世絵の輸出を行なっていた渡邊庄太郎が自ら版元となり、
川瀬巴水らを援助して売り出しています。
「木場の夕暮」 大正9年(1920)

材木を浮かべた水面に木橋や電柱が浮かんでいます。
何気ない、ちょっとうら淋しい景色ですが、郷愁を誘います。
「春のあたご山」 大正10年(1921)

芝愛宕山の桜の頃です。
桜は上を薄く下を濃くグラデーションにして立体感を出しています。
桜の散った下では絣の着物や白い前掛けの子どもたちが遊んでいます。
「芝増上寺」 大正14年(1925)

朱塗りの山門と屋根や松に積もる雪の対比が鮮やかで、たわんだ枝や
すぼめた傘は風の強さを表しています。
「馬込の月」 昭和5年(1930)

空には煌々と輝く月が松の大木を浮かび上がらせ、地上には民家の
小さな灯が見えます。
巴水の住んでいた馬込には当時はこんな景色が残っていたようです。
「鶴岡八幡宮」 昭和6年(1931)

黄葉した大石段横の大銀杏と本宮の朱色が目を惹きます。
大銀杏は平成22年に風で倒壊してしまいました。
「西伊豆木負」 昭和12年(1937)

木負(きしょう)湾越しに見た富士山です。
明るい春の日で、手前を桜が覆い、富士山には雪が残っています。
巴水はよく富士山を題材にしています。
「日本橋(夜明け)」 昭和15年(1940)

朝の日本橋を抒情的に描いています。
日本橋一帯は太平洋戦争では昭和19年(1944)から
繰り返し空襲を受け、焼け野が原になっています。
「平泉金色堂」 昭和32(1957)年

亡くなる年の絶筆で、金色堂と呼ばれる中尊寺の阿弥陀堂の雪景色です。
阿弥陀堂に向かう一人の雲水が描かれています。
失われようとする日本の風物を描き留めた川瀬巴水の後姿にも見えます。
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日本橋高島屋では生誕130年記念、「川瀬巴水展-郷愁の風景-」が開かれています。
会期は1月12日(月・祝)まで、入場料は一般800円です。

川瀬巴水(1883~1957)は大正から昭和にかけて活躍した風景版画家です。
新版画という、江戸の浮世絵の技法を受け継ぎながら新しい芸術を目指した
版画を制作しています。
巴水は全国を旅して、日本各地の風景を叙情的に描き、約600点の木版画を
残しています。
新版画とは、江戸の浮世絵の技法を受け継ぎながら新しい芸術を目指して、
大正から昭和にかけて制作された版画のことです。
横浜で浮世絵の輸出を行なっていた渡邊庄太郎が自ら版元となり、
川瀬巴水らを援助して売り出しています。
「木場の夕暮」 大正9年(1920)

材木を浮かべた水面に木橋や電柱が浮かんでいます。
何気ない、ちょっとうら淋しい景色ですが、郷愁を誘います。
「春のあたご山」 大正10年(1921)

芝愛宕山の桜の頃です。
桜は上を薄く下を濃くグラデーションにして立体感を出しています。
桜の散った下では絣の着物や白い前掛けの子どもたちが遊んでいます。
「芝増上寺」 大正14年(1925)

朱塗りの山門と屋根や松に積もる雪の対比が鮮やかで、たわんだ枝や
すぼめた傘は風の強さを表しています。
「馬込の月」 昭和5年(1930)

空には煌々と輝く月が松の大木を浮かび上がらせ、地上には民家の
小さな灯が見えます。
巴水の住んでいた馬込には当時はこんな景色が残っていたようです。
「鶴岡八幡宮」 昭和6年(1931)

黄葉した大石段横の大銀杏と本宮の朱色が目を惹きます。
大銀杏は平成22年に風で倒壊してしまいました。
「西伊豆木負」 昭和12年(1937)

木負(きしょう)湾越しに見た富士山です。
明るい春の日で、手前を桜が覆い、富士山には雪が残っています。
巴水はよく富士山を題材にしています。
「日本橋(夜明け)」 昭和15年(1940)

朝の日本橋を抒情的に描いています。
日本橋一帯は太平洋戦争では昭和19年(1944)から
繰り返し空襲を受け、焼け野が原になっています。
「平泉金色堂」 昭和32(1957)年

亡くなる年の絶筆で、金色堂と呼ばれる中尊寺の阿弥陀堂の雪景色です。
阿弥陀堂に向かう一人の雲水が描かれています。
失われようとする日本の風物を描き留めた川瀬巴水の後姿にも見えます。
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1月6日放送のテレビ東京『開運!なんでも鑑定団』に川瀬巴水の『朝鮮八景』が揃って出品され、250万円という値がついていました。鑑定士の方が現在行われている「川瀬巴水展」でも全部はそろっていないといわれていました。もう少し早く分かっていれば、展覧会にも間に合ったのではないかと、その点が残念に思われます。
朝鮮戦争で多くの文化財が破壊されていますが、巴水の観た景観は無事だったのか気にかかります。