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出光美術館 小杉放菴と大観展 1
日比谷・有楽町
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日比谷の出光美術館では「小杉放菴と大観-響きあう技とこころ」展が開かれています。
会期は3月22日(日)までです。

小杉1


出光美術館は小杉放菴(ほうあん)の作品を多く所蔵しており、今回は終生の友で
あったという横山大観の作品10点とともに展示しています。
各作品には解説が付いていて、鑑賞の援けになります。
ギャラリートークも行なわれ、私は2月26日に行ってきました。

小杉放菴(1881~1964)は元々は小杉未醒(みせい)と名乗った洋画家で、
のちに飄々とした画風の日本画に転向しています。

『第一章 洋画家・未醒時代』
まず洋画家として注目され、ヨーロッパに旅行したところ、西洋画の重厚さに圧倒され、
やがて東洋画に目を向けるきっかけになったとのことです。

「湖畔」1914年頃
薄い色調の緑色の森と湖です。
構図もしっかりした油彩ですが、道を行く老人の小さな姿は東洋風で、すでに
東洋画を意識し始めています。

『第二章 日本画家・放菴時代』

「南枝早春」1936年頃
縦長の画面に、白梅と、放菴が好んで題材にした大きな岩が描かれています。
岩は衣を着た観音様のの後ろ姿ようにも見え、啄木鳥が無礼にもその頭を
つつこうとしています。
放菴の特徴の、俳味、ユーモアがよく表れています。

「西行法師」昭和時代
小品で、桜花を眺める西行の姿に詞書と歌が添えられています。

  西行法師 歌に曰 すてはてて身は無きものとおもへとも雪のふる日は寒くこそあれ

  芭蕉翁 讃に曰 花の咲く日は浮かれこそすれ

放菴は芭蕉の付けた下の句に合わせた絵柄にしています。

「四季(夏 河童)」1961年
これも小品で、河童が三匹遊んでいて、歌が添えられています。

  里川にあそぶ子ともらあのなかに芋銭が河童まじり居らずや

小川芋銭(1868~1938)は生涯、牛久沼の近くに住み、河童の絵をよく描いた
画家で、小杉放菴と親交があったということです。
放菴は、川で遊ぶ子どもたちを見て、河童を思い浮かべ、更に小川芋銭のことを
想ったのでしょう。
昔に亡くなった小川芋銭を懐かしむ気持が表れています。

『第三章 壁画に込めた祈り』

「天のうづめの命(みこと)」1951年
展覧会のポスターに使われています。
横長の大きな画面で、天のうづめの命が踊りながら、太陽を招いています。
出光興産の日章丸二世の建造を記念して描かれた絵で、船長室に飾られて
いたそうです。

モデルは何と、当時ブギの女王と呼ばれた笠置シヅ子だそうです。
そう云えば、天のうづめの命の愛嬌のある顔は笠置シヅ子に似ています。
天のうづめの命の踊っているのは「東京ブギウギ」だった訳です。
戦後日本の復興を願う気持をこの絵に託しています。

続きは次の回に書きます。

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【2009/03/08 10:26】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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