恵比寿
山種美術館では企画展、「花*Flower*華―琳派から現代へ―」が開かれています。
会期は6月18日(日)までです。

山種美術館の所蔵する花の絵を展示する展覧会で、季節の順に展示され、
それぞれの花の解説文も添えられています。
「春」
「醍醐」 奥村土牛 1972年

奈良の薬師寺で行なわれた、小林古径の七回忌の法要の帰りに見た、
醍醐寺三宝院の枝垂桜に感激し、その後10年越しで完成させた作品です。
この作品も、静かに咲いて静かに散る桜の姿と、亡き小林古径の姿を
重ね合わせて描いたとのことです。
幹と支柱の縦線、土塀の横線を基本にして、幹を真中に据え、画面上を
桜で埋め尽くし、土塀の連なりで奥行きを見せています。
花弁の重なりは濃く薄く描かれて、立体感があり、塗りを重ねた幹の色は
桜の経てきた年月を感じさせます。
千住博 「夜桜」 2001年

覆いかぶさる夜桜を、下から見上げた視線で捉えています。
黒々とした夜空の中、ライトに照らされたような紅く細かい点を
びっしり重ねた桜は、現実の夜桜を見ているようで、伝統的な
日本画とは異なる凄みがあります。
「憶昔(おくせき)」 小倉遊亀 1968年

古九谷の徳利に山吹の花を取り合わせています。
小林古径が愛蔵し、作品にも描かれた品で、後に小倉遊亀に譲られています。
花と陶磁器の取り合わせも、小林古径の清雅な気品に対して小倉遊亀は
ふっくらと艶やかです。
「夏」
「梅雨晴」 山口蓬春 1966年

日の光を受けて輝く、みずみずしい紫陽花です。
山口蓬春の作品はモダンで明快です。
山種美術館の開館記念に描かれたとのことです。
「秋」
酒井抱一 「菊小禽図(部分)」 19世紀(江戸時代)

小鳥の重さで菊の枝が大きくしなり、小鳥が今にも飛び立ちそうで、
飛び立った後の赤い菊花の揺れまで予感させ、抱一の感覚の
繊細さを見せています。
「冬」
酒井抱一 「月梅図」 19世紀(江戸時代)
この作品のみ撮影可能です。
下に伸びる紅梅と伸び上がる白梅の組合わせで、月は梅の香の香る夜を表しています。
四季の花をまとめて描いた作品も展示されています。
鈴木其一 「四季花鳥図」 19世紀(江戸後期)
右隻(部分)

春夏の図で、向日葵、朝顔、燕子花、オモダカ、菜の花、立葵などと一緒に
鶏のつがいと雛が描かれています。
左隻

秋冬の図で、薄、菊、女郎花、竜胆、ナナカマド、ワレモコウなどの下に
つがいのオシドリが居ます。
さまざまの草花を活け花のように手際よくまとめ、濃密に描き出した画面は
とても豪華です。
「百花」(部分) 田能村直入 1869年

100種類の花を描き留めるようにとの明治政府の命で、春夏秋冬の花を
長い巻物に描いています。
今で言うボタニカルアートで、溢れるような花の生命をびっしりと描き込んで
います。
上村松篁 「日本の花・日本の鳥」 1970年
右隻

左隻

扇面屏風の形で、右隻に紅白梅、白牡丹、桔梗などの花、左隻に鶉、山鳩、鴛鴦などの
鳥を端正な画風で描いています。
加山又造 「華扇屏風」 1966年

右隻

左隻

季節の花を描いた扇面を貼り並べた扇面散らし屏風です。
継ぎ紙、色の異なる銀箔、野毛、銀泥などを駆使した、琳派風の
とても工芸的な作品で、隣に並んだ上村松篁の端正な作風に比べ、
妖しさがあります。
第二展示室は牡丹を描いた作品8点が展示されています。
鈴木其一 「牡丹図」 1851年

白、薄紅、赤と色を変え、蕾から盛り、しおれ始めまでを
一つの絵の中に収めています。
この作品は中国画風の細密な写実で、琳派とは少し雰囲気が異なっています。
渡辺省亭 「牡丹に蝶図」 1893年

この作品のみ個人蔵です。
咲き始め、満開、散り際の牡丹は時間を表し、満開の花は重みで首を垂れ、
クロアゲハが留まり、地面には花弁が散っています。
手前の方は鮮やかな色合いで、奥の方の葉は薄墨で描かれ、画面に奥行きを
見せています。
他に鈴木其一、菱田春草、小倉遊亀などの作品が展示され、同じ牡丹の描き方の
違いを見比べることが出来ます。
花は日本画の重要な画題だけあって、多くの画家がさまざまに描いてます。
今まで観たことの無い作品も多く、洋画も数点あって、楽しめる展覧会です。
山種美術館のHPです。
次回の展覧会は特別展、没後50年記念「川端龍子-超ド級の日本画-」です。
会期は6月24日(土)から8月20日(日)までです。

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山種美術館では企画展、「花*Flower*華―琳派から現代へ―」が開かれています。
会期は6月18日(日)までです。

山種美術館の所蔵する花の絵を展示する展覧会で、季節の順に展示され、
それぞれの花の解説文も添えられています。
「春」
「醍醐」 奥村土牛 1972年

奈良の薬師寺で行なわれた、小林古径の七回忌の法要の帰りに見た、
醍醐寺三宝院の枝垂桜に感激し、その後10年越しで完成させた作品です。
この作品も、静かに咲いて静かに散る桜の姿と、亡き小林古径の姿を
重ね合わせて描いたとのことです。
幹と支柱の縦線、土塀の横線を基本にして、幹を真中に据え、画面上を
桜で埋め尽くし、土塀の連なりで奥行きを見せています。
花弁の重なりは濃く薄く描かれて、立体感があり、塗りを重ねた幹の色は
桜の経てきた年月を感じさせます。
千住博 「夜桜」 2001年

覆いかぶさる夜桜を、下から見上げた視線で捉えています。
黒々とした夜空の中、ライトに照らされたような紅く細かい点を
びっしり重ねた桜は、現実の夜桜を見ているようで、伝統的な
日本画とは異なる凄みがあります。
「憶昔(おくせき)」 小倉遊亀 1968年

古九谷の徳利に山吹の花を取り合わせています。
小林古径が愛蔵し、作品にも描かれた品で、後に小倉遊亀に譲られています。
花と陶磁器の取り合わせも、小林古径の清雅な気品に対して小倉遊亀は
ふっくらと艶やかです。
「夏」
「梅雨晴」 山口蓬春 1966年

日の光を受けて輝く、みずみずしい紫陽花です。
山口蓬春の作品はモダンで明快です。
山種美術館の開館記念に描かれたとのことです。
「秋」
酒井抱一 「菊小禽図(部分)」 19世紀(江戸時代)

小鳥の重さで菊の枝が大きくしなり、小鳥が今にも飛び立ちそうで、
飛び立った後の赤い菊花の揺れまで予感させ、抱一の感覚の
繊細さを見せています。
「冬」
酒井抱一 「月梅図」 19世紀(江戸時代)
この作品のみ撮影可能です。
下に伸びる紅梅と伸び上がる白梅の組合わせで、月は梅の香の香る夜を表しています。
四季の花をまとめて描いた作品も展示されています。
鈴木其一 「四季花鳥図」 19世紀(江戸後期)
右隻(部分)

春夏の図で、向日葵、朝顔、燕子花、オモダカ、菜の花、立葵などと一緒に
鶏のつがいと雛が描かれています。
左隻

秋冬の図で、薄、菊、女郎花、竜胆、ナナカマド、ワレモコウなどの下に
つがいのオシドリが居ます。
さまざまの草花を活け花のように手際よくまとめ、濃密に描き出した画面は
とても豪華です。
「百花」(部分) 田能村直入 1869年

100種類の花を描き留めるようにとの明治政府の命で、春夏秋冬の花を
長い巻物に描いています。
今で言うボタニカルアートで、溢れるような花の生命をびっしりと描き込んで
います。
上村松篁 「日本の花・日本の鳥」 1970年
右隻

左隻

扇面屏風の形で、右隻に紅白梅、白牡丹、桔梗などの花、左隻に鶉、山鳩、鴛鴦などの
鳥を端正な画風で描いています。
加山又造 「華扇屏風」 1966年

右隻

左隻

季節の花を描いた扇面を貼り並べた扇面散らし屏風です。
継ぎ紙、色の異なる銀箔、野毛、銀泥などを駆使した、琳派風の
とても工芸的な作品で、隣に並んだ上村松篁の端正な作風に比べ、
妖しさがあります。
第二展示室は牡丹を描いた作品8点が展示されています。
鈴木其一 「牡丹図」 1851年

白、薄紅、赤と色を変え、蕾から盛り、しおれ始めまでを
一つの絵の中に収めています。
この作品は中国画風の細密な写実で、琳派とは少し雰囲気が異なっています。
渡辺省亭 「牡丹に蝶図」 1893年

この作品のみ個人蔵です。
咲き始め、満開、散り際の牡丹は時間を表し、満開の花は重みで首を垂れ、
クロアゲハが留まり、地面には花弁が散っています。
手前の方は鮮やかな色合いで、奥の方の葉は薄墨で描かれ、画面に奥行きを
見せています。
他に鈴木其一、菱田春草、小倉遊亀などの作品が展示され、同じ牡丹の描き方の
違いを見比べることが出来ます。
花は日本画の重要な画題だけあって、多くの画家がさまざまに描いてます。
今まで観たことの無い作品も多く、洋画も数点あって、楽しめる展覧会です。
山種美術館のHPです。
次回の展覧会は特別展、没後50年記念「川端龍子-超ド級の日本画-」です。
会期は6月24日(土)から8月20日(日)までです。

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