表参道
南青山の根津美術館では企画展、「はじめての古美術鑑賞-紙の装飾-」が開かれています。
会期は7月2日(日)までです。

昨年の「はじめての古美術鑑賞-絵画の技法と表現-」展に続いて2回目の企画で、
今回は書に使われる紙(料紙)の装飾について解説した展示です。
荼毘紙(だびし)
「大聖武」 伝 聖武天皇筆 1幅 彩箋墨書 奈良時代 8世紀

檀(まゆみ)の木の表皮の皮の粉末を胡粉と混ぜて、紙に塗ったものです。
荼毘紙の名は粉末を釈迦の骨に見立てたことによります。
大聖武(おおじょうむ)とは奈良時代に書写された賢愚経で、大らかな書風から
聖武天皇に仮託されています。
東大寺戒壇院に伝来していましたが、流出し切断されています。
引染め(ひきぞめ)
「無量義経」 1巻 彩箋墨書 平安時代 11世紀 国宝

絵具や染料を刷毛で紙の全面に引いて染めています。
この品では裏から染めて、柔らか味を出しています。
細かく切った金箔を散らし、金泥で仕切りの線を引いています。
漉染め(すきぞめ)
「今城切」 藤原教長筆 1幅 彩箋墨書 平安時代 12世紀

藍色に染めた細かい繊維を染めていない繊維と混ぜて紙を漉いています。
混ぜる具合で濃い色から薄い色まで出すことができます。
藤原教長(1109~80)は能書家で、「伴大納言絵巻」の詞書も書いています。
保元の乱で崇徳上皇側に加担したため、常陸国に流されたこともあります。
「今城切」は古今和歌集の断簡です。
飛び雲(とびくも)
「難波切」 伝 源順筆 1幅 彩箋墨書 平安時代 11世紀

藍色と紫色の小さな模様の繊維を紙に漉き込んで、雲が飛んでいるように
見せています。
「難波切」は元暦校本万葉集巻第十四の断簡です。
(参考)
「元暦校本万葉集 巻十二(高松宮本)」 平安時代・11世紀 国宝

東京国立博物館の所蔵する、同じ「元暦校本万葉集」の断簡です。
金銀泥下絵(きんぎんでいしたえ)
「百人一首帖」 智仁親王筆 1帖 彩箋墨書 江戸時代 17世紀

色を塗った紙に金銀泥で絵を描き、金砂子などを撒いて仕上げた豪華な料紙に、
百人一首を書いています。
小式部内侍、伊勢大輔、清少納言の歌が並んでいます。
八条宮智仁親王(1579~1629)は後陽成天皇の弟で、和歌や連歌を能くし、
瓜畑を眺めるのが好きで、瓜見の宮とも呼ばれていました。
桂離宮の創設者でもあります。
金切箔(きんきりはく)・砂子ちらし(すなごちらし)
「風俗図」 三幅対 江戸時代 17世紀 重要美術品

中央の遊女を挟んで、左右の色男が意味ありげな視線を送っている三幅対です。
遊女は三味線を持った禿(かむろ)を従え、唐輪髷という髪型を結った、
貫禄のある姿です。
金箔を細かく切った金切箔や、細かい粒にした金砂子を撒いた華やかな地を
背景にして描いています。
展示室5は焼き締め陶の展示です。
備前や伊賀、信楽など、釉薬を掛けないで高温で焼く、焼き締めによる作品の展示です。
「蹲(うずくまる)花入」 信楽または伊賀 無釉陶器 室町~桃山時代 16世紀

肩に線彫の模様のある、素朴な風情です。
「火襷鶴首花入」 備前 江戸時代 17世紀

首が傾いているのは、焼成時に他の器が当たっていたためと思われます。
巻いた藁が火襷(ひだすき)をつくる、明るい姿です。
「飴釉手桶水指」 丹波 江戸時代 17世紀

ちょっと歪んだ形の面白い水指です。
展示室6のテーマは「涼一味の茶」です。
涼しさをもたらす茶道具を展示しています。
「青磁浮牡丹文水指」 龍泉窯 元時代 13-14世紀

涼しげな色合いの壺で、水指に使われています。
「祥瑞瑠璃釉瓢形徳利」 景徳鎮窯 施釉磁器 明時代 17世紀

すがすがしい青色で、底の裏に「五良大甫呉祥瑞造」とあります。
祥瑞(しょんずい)とは、日本の茶人の注文により景徳鎮で焼かれたとされる
染付のことです。
展覧会のHPです。
次回の展覧会は企画展、「やきもの勉強会-大皿と小皿-」です。
会期は7月13日(木)から9月3日(日)までです。

chariot
南青山の根津美術館では企画展、「はじめての古美術鑑賞-紙の装飾-」が開かれています。
会期は7月2日(日)までです。

昨年の「はじめての古美術鑑賞-絵画の技法と表現-」展に続いて2回目の企画で、
今回は書に使われる紙(料紙)の装飾について解説した展示です。
荼毘紙(だびし)
「大聖武」 伝 聖武天皇筆 1幅 彩箋墨書 奈良時代 8世紀

檀(まゆみ)の木の表皮の皮の粉末を胡粉と混ぜて、紙に塗ったものです。
荼毘紙の名は粉末を釈迦の骨に見立てたことによります。
大聖武(おおじょうむ)とは奈良時代に書写された賢愚経で、大らかな書風から
聖武天皇に仮託されています。
東大寺戒壇院に伝来していましたが、流出し切断されています。
引染め(ひきぞめ)
「無量義経」 1巻 彩箋墨書 平安時代 11世紀 国宝

絵具や染料を刷毛で紙の全面に引いて染めています。
この品では裏から染めて、柔らか味を出しています。
細かく切った金箔を散らし、金泥で仕切りの線を引いています。
漉染め(すきぞめ)
「今城切」 藤原教長筆 1幅 彩箋墨書 平安時代 12世紀

藍色に染めた細かい繊維を染めていない繊維と混ぜて紙を漉いています。
混ぜる具合で濃い色から薄い色まで出すことができます。
藤原教長(1109~80)は能書家で、「伴大納言絵巻」の詞書も書いています。
保元の乱で崇徳上皇側に加担したため、常陸国に流されたこともあります。
「今城切」は古今和歌集の断簡です。
飛び雲(とびくも)
「難波切」 伝 源順筆 1幅 彩箋墨書 平安時代 11世紀

藍色と紫色の小さな模様の繊維を紙に漉き込んで、雲が飛んでいるように
見せています。
「難波切」は元暦校本万葉集巻第十四の断簡です。
(参考)
「元暦校本万葉集 巻十二(高松宮本)」 平安時代・11世紀 国宝

東京国立博物館の所蔵する、同じ「元暦校本万葉集」の断簡です。
金銀泥下絵(きんぎんでいしたえ)
「百人一首帖」 智仁親王筆 1帖 彩箋墨書 江戸時代 17世紀

色を塗った紙に金銀泥で絵を描き、金砂子などを撒いて仕上げた豪華な料紙に、
百人一首を書いています。
小式部内侍、伊勢大輔、清少納言の歌が並んでいます。
八条宮智仁親王(1579~1629)は後陽成天皇の弟で、和歌や連歌を能くし、
瓜畑を眺めるのが好きで、瓜見の宮とも呼ばれていました。
桂離宮の創設者でもあります。
金切箔(きんきりはく)・砂子ちらし(すなごちらし)
「風俗図」 三幅対 江戸時代 17世紀 重要美術品

中央の遊女を挟んで、左右の色男が意味ありげな視線を送っている三幅対です。
遊女は三味線を持った禿(かむろ)を従え、唐輪髷という髪型を結った、
貫禄のある姿です。
金箔を細かく切った金切箔や、細かい粒にした金砂子を撒いた華やかな地を
背景にして描いています。
展示室5は焼き締め陶の展示です。
備前や伊賀、信楽など、釉薬を掛けないで高温で焼く、焼き締めによる作品の展示です。
「蹲(うずくまる)花入」 信楽または伊賀 無釉陶器 室町~桃山時代 16世紀

肩に線彫の模様のある、素朴な風情です。
「火襷鶴首花入」 備前 江戸時代 17世紀

首が傾いているのは、焼成時に他の器が当たっていたためと思われます。
巻いた藁が火襷(ひだすき)をつくる、明るい姿です。
「飴釉手桶水指」 丹波 江戸時代 17世紀

ちょっと歪んだ形の面白い水指です。
展示室6のテーマは「涼一味の茶」です。
涼しさをもたらす茶道具を展示しています。
「青磁浮牡丹文水指」 龍泉窯 元時代 13-14世紀

涼しげな色合いの壺で、水指に使われています。
「祥瑞瑠璃釉瓢形徳利」 景徳鎮窯 施釉磁器 明時代 17世紀

すがすがしい青色で、底の裏に「五良大甫呉祥瑞造」とあります。
祥瑞(しょんずい)とは、日本の茶人の注文により景徳鎮で焼かれたとされる
染付のことです。
展覧会のHPです。
次回の展覧会は企画展、「やきもの勉強会-大皿と小皿-」です。
会期は7月13日(木)から9月3日(日)までです。

- 関連記事