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古今集 紀貫之 わがせこが
春雨
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わがせこが衣はるさめふるごとにのべのみどりぞいろまさりける

古今集25番の歌で、作者は紀貫之です。
平仮名ばかりの歌ですが、漢字にするとこうなります。

我が背子が衣張る(春)雨降るごとに野辺の緑ぞ色勝りける

私の夫の衣を洗って張る、そのはるの雨が降るごとに野辺の緑の色が濃くなっていく。
「わがせこが衣はる」は春という言葉を出してくるための前奏です。
長い前奏ですが、この歌の場合はよく利いています。

まず、若い女性が愛する男の衣を洗って、しわを伸ばすため両手をぱっと広げて張るという、
生き生きとした場面が浮かびます。
そして、その周りで、暖かい春の雨に洗われて野の緑が日に日に濃くなっていくという、
鮮やかな情景が重なります。

もともと「春」という言葉は、冬が過ぎて木の芽が「張る」ことから来ているといいますから、
しっくり合うのでしょう。


ねこ

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【2008/03/29 21:18】 文学 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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