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「生誕110年記念 漆の画家 太齋春夫展」 練馬区立美術館
中村橋
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練馬区立美術館では、「生誕110年記念 漆の画家 太齋春夫展」が開かれています。
会期は7月14日(金)までです。

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太齋春夫(だざいはるお 1907-1944)は仙台市出身で、1932年に東京美術学校図画師範科を
卒業し、二科展にも出品しています。
漆芸家の六角紫水らの奨めで漆の研究を始め、1933年には台湾総督府殖産局嘱託となって
研究を進め、翌年には漆でフィルムを作る、漆膜の技法を開発しています。
しかし、1943年に近衛輜重兵聯隊に応召し、1944年に中国湖南省平江県で爆撃を受け、
戦死しています。

展覧会では、2015年度にご遺族から寄贈を受けた作品・資料を中心に展示されています。

「少年(蝶)」 1942年 漆絵、板 石巻文化センター
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応召の前年の作品で、油彩のようにも見えますが、漆絵です。

「東尋坊」 1942年 漆絵、キャンバス 練馬区立美術館
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福井県に旅行した時に見た景色です。
漆特有の赤が強調され、重量感のある作品になっています。

「国会議事堂の図」 1939年頃 漆塗アルマイトモザイク 理研軽金属工業株式会社
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六角紫水と、同じく漆芸家の山崎覚太郎の指導による作品で、縦約160cmでます。
アルマイトはアルミニウムに酸化皮膜を施したもので理化学研究所が開発しています。
アルマイトモザイクはアルマイトに漆を塗ってから小片に切り、モザイクのように貼っていく
技法で、開発した太齋の死により、失われた技となっています。

「貴婦人像」 6枚組の一部 1943年頃 漆塗アルマイトモザイク 練馬区立美術館
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縦161cmの作品で、エリザベス朝やロココ時代の衣装の6人の貴婦人が漆のモザイクで
描かれています。
上野松坂屋の食堂を飾る壁画として注文を受けたものですが、太齋が応召されたため、
納品されませんでした。
太平洋戦争中とは思えない、豪奢な雰囲気の作品で、今でも上野松坂屋が買い取って、
「銀サロン」や「カトレヤ」の壁に飾れそうです。

展示品の中には深い親交のあったという内田巌(1900-1953)の書いた弔歌もありました。
内田巌は戦後、藤田嗣治を戦争協力した画家として糾弾した人物でもあります。

漆絵の画家としては柴田是真が有名ですが、太齋春夫や漆によるモザイクという技法の
ことは知りませんでした。
小企画ですが、とても興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。

次回の展覧会は、練馬区独立70周年記念展、「生誕150年記念 藤島武二展」です。
会期は7月23日(日)から9月18日(月・祝)までです。

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【2017/06/29 20:33】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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