二子玉川
世田谷の静嘉堂文庫美術館では、「あこがれの明清絵画~日本が愛した中国絵画の
名品たち~」が開かれています。
会期は12月17日(日)までです。

中国の明清時代の絵画は江戸時代以降の日本で珍重され、多くの作品が
日本に渡っています。
展覧会ではそのうち、静嘉堂の所蔵する名品を展示しています。
李士達 「秋景山水図」 明時代・万暦46年(1618) 重要文化財


李士達(1540年頃~1621年以降)は明代後期、江蘇省呉県の生まれで、
山水、人物を得意としています。
たなびく雲の柔らかな表現が巧みです。
藍瑛 「秋景山水図」 明時代・崇禎11年(1638) 重要文化財


藍瑛(らんえい、1585-1664?)は浙江省銭塘の人で、浙派の画家とされています。
浙派は宮廷画家の細密な写実に始まる画風の一派で、浙江省の人が多いことから、
この名があります。
藍瑛は文人画の系統である呉派の画風も取り入れ、両派の画風の統合を目指したと
されています。
作品は日本にも多くもたらされています。
谷文晁 「藍瑛筆 秋景山水図模本」 江戸時代・18-19世紀 重要文化財


谷文晁(1763-1841)による模写で、やや淡い色彩です。
沈南蘋 「老圃秋容図」(部分) 清時代・雍正9年(1731)


トロロアオイ(黄蜀葵)や朝顔の下で、猫がカミキリムシを狙っています。
猫の視線を追って行くと、上に伸びるトロロアオイに向かうようになっています。
猫の毛まで細かく描き込まれています。
猫(mao)は70歳を意味する耄(mao)に通じる吉祥画ということです。
沈南蘋(しんなんぴん、1682~?)は浙江省徳清県生まれで、清の宮廷画家となり、
徳川幕府の招きで長崎に来航し、1731年から1733年まで滞在しています。
沈南蘋の伝えた写実的で細密な画風は南蘋派となって、当時の日本の画壇に大きな
影響を与えたということです。
余崧 「百花図巻」(部分) 清時代・乾隆60年(1795)

余崧(よすう、生没年未詳)は江蘇省蘇州の人で、清の宮廷画家だった可能性もあり、
細密な描写を得意としています。
100種類近くの花が揃っていて、何かの記念に吉祥性の高い植物を集めて描いたものと
思われるそうです。
幕末の老中で、井伊直弼とともに安政の大獄を主導した間部詮勝(まなべあきかつ、
1804-1884)が所蔵していました。
張瑞図 「草書五言律詩」 明時代(17世紀)

張瑞図(ちょうずいと、1570-1641)は福建省晋江出身の明末の
政治家、画家、書家で、独特の画風、書風で有名です。
江戸時代の人気は高く、日本にも多くの作品が伝わっています。
展覧会では作品の来歴の分かる、箱書、感想を書いた跋文なども展示され、
明清絵画が日本で愛好されてきた様子が分かります。
展覧会のHPです。
12月10日(日)まで、六本木の泉屋博古館分館では特別展、「典雅と奇想―
明末清初の中国名画展」が開かれています。
こちらの展覧会との連携企画で、片方のチケットを持参すると入館料が
200円引きになります。
三菱と住友のコラボという趣向です。
チラシを並べると、沈南蘋の猫が八大山人の魚を狙っているようにも見えます。


「明末清初の中国名画展」の記事です。
次回の展覧会は「歌川国貞展」です。
会期は2018年1月20日(土)から3月25日(日)までです。

(アクセス)
東急田園都市線二子玉川駅バスターミナル4番乗り場から東急コーチバス「玉31・32系統」で、
「静嘉堂文庫」下車です。
通常8~10分、運行本数は1時間に約3本です。
案内標識に沿って進むとすぐに美術館正門で、そこから林の中を3分ほど歩いて
美術館入口に着きます。
タクシーの場合は美術館正門を入って美術館入口まで行くことが出来ます。
約800円かかりますが、受付で領収書と引き換えに1台200円のキャッシュバックサービスが
あります。
領収書は返却されません。
chariot
世田谷の静嘉堂文庫美術館では、「あこがれの明清絵画~日本が愛した中国絵画の
名品たち~」が開かれています。
会期は12月17日(日)までです。

中国の明清時代の絵画は江戸時代以降の日本で珍重され、多くの作品が
日本に渡っています。
展覧会ではそのうち、静嘉堂の所蔵する名品を展示しています。
李士達 「秋景山水図」 明時代・万暦46年(1618) 重要文化財


李士達(1540年頃~1621年以降)は明代後期、江蘇省呉県の生まれで、
山水、人物を得意としています。
たなびく雲の柔らかな表現が巧みです。
藍瑛 「秋景山水図」 明時代・崇禎11年(1638) 重要文化財


藍瑛(らんえい、1585-1664?)は浙江省銭塘の人で、浙派の画家とされています。
浙派は宮廷画家の細密な写実に始まる画風の一派で、浙江省の人が多いことから、
この名があります。
藍瑛は文人画の系統である呉派の画風も取り入れ、両派の画風の統合を目指したと
されています。
作品は日本にも多くもたらされています。
谷文晁 「藍瑛筆 秋景山水図模本」 江戸時代・18-19世紀 重要文化財


谷文晁(1763-1841)による模写で、やや淡い色彩です。
沈南蘋 「老圃秋容図」(部分) 清時代・雍正9年(1731)


トロロアオイ(黄蜀葵)や朝顔の下で、猫がカミキリムシを狙っています。
猫の視線を追って行くと、上に伸びるトロロアオイに向かうようになっています。
猫の毛まで細かく描き込まれています。
猫(mao)は70歳を意味する耄(mao)に通じる吉祥画ということです。
沈南蘋(しんなんぴん、1682~?)は浙江省徳清県生まれで、清の宮廷画家となり、
徳川幕府の招きで長崎に来航し、1731年から1733年まで滞在しています。
沈南蘋の伝えた写実的で細密な画風は南蘋派となって、当時の日本の画壇に大きな
影響を与えたということです。
余崧 「百花図巻」(部分) 清時代・乾隆60年(1795)

余崧(よすう、生没年未詳)は江蘇省蘇州の人で、清の宮廷画家だった可能性もあり、
細密な描写を得意としています。
100種類近くの花が揃っていて、何かの記念に吉祥性の高い植物を集めて描いたものと
思われるそうです。
幕末の老中で、井伊直弼とともに安政の大獄を主導した間部詮勝(まなべあきかつ、
1804-1884)が所蔵していました。
張瑞図 「草書五言律詩」 明時代(17世紀)

張瑞図(ちょうずいと、1570-1641)は福建省晋江出身の明末の
政治家、画家、書家で、独特の画風、書風で有名です。
江戸時代の人気は高く、日本にも多くの作品が伝わっています。
展覧会では作品の来歴の分かる、箱書、感想を書いた跋文なども展示され、
明清絵画が日本で愛好されてきた様子が分かります。
展覧会のHPです。
12月10日(日)まで、六本木の泉屋博古館分館では特別展、「典雅と奇想―
明末清初の中国名画展」が開かれています。
こちらの展覧会との連携企画で、片方のチケットを持参すると入館料が
200円引きになります。
三菱と住友のコラボという趣向です。
チラシを並べると、沈南蘋の猫が八大山人の魚を狙っているようにも見えます。


「明末清初の中国名画展」の記事です。
次回の展覧会は「歌川国貞展」です。
会期は2018年1月20日(土)から3月25日(日)までです。

(アクセス)
東急田園都市線二子玉川駅バスターミナル4番乗り場から東急コーチバス「玉31・32系統」で、
「静嘉堂文庫」下車です。
通常8~10分、運行本数は1時間に約3本です。
案内標識に沿って進むとすぐに美術館正門で、そこから林の中を3分ほど歩いて
美術館入口に着きます。
タクシーの場合は美術館正門を入って美術館入口まで行くことが出来ます。
約800円かかりますが、受付で領収書と引き換えに1台200円のキャッシュバックサービスが
あります。
領収書は返却されません。
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