新宿
新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で開かれている、日本・デンマーク国交樹立
150周年記念、「デンマーク・デザイン」展の内覧会に行ってきました。
会期は12月27日(水)までです。

デンマークのデザイン美術館の協力で、19世紀後半から現在までの家具、
照明器具、食器などのデンマークのデザインを紹介する展覧会です。
入口前の記念写真撮影コーナーです。

マーティン・ミケルセン公使参事官のご挨拶の後、江川均主任学芸員の解説を伺いました。


展示室の写真は特別の許可を得て撮影しています。
人名はデンマーク語の原音に近いカナ表記ですが、( )内は流通している表記です。
第1章 国際的評価を得た最初のデンマーク・デザイン
先ず、19世紀から20世紀初頭のロイヤルコペンハーゲンの磁器が並びます。

第2章 古典主義から機能主義へ
20世紀前半には伝統に立脚しながら、機能性を求める動きが現れてきます。
コーオ・クリント(1888-1954)のレッド・チェアとペンダント・ランプと
テーブル・ランプです。

コーオ・クリントは伝統を重んじながら、物体や人体、空間を測るなど、
近代的な面を持っていました。
第3章 オーガニック・モダニズム ―デンマーク・デザインの国際
第2次大戦後の1950-70年代はデンマーク・デザインの黄金時代とされています。
戦後アメリカのミッドセンチュリー家具の人工素材、大量生産に対し、手仕事を基本とする
デンマークやスカンディナヴィアの家具が注目されるようになったものです。
オーガニック・モダニズムと呼ばれる、機能性を持ちながら、遊び心や人間味のある
デザインが特徴です。
ハンス・ヴィーイナ(ウェグナー)(1914-2007)、フィン・ユール(1912-1989)、
アーネ・ヤコブスン(アルネ・ヤコブセン)(1902-1971)などが代表的なデザイナー
とのことです。
ハンス・ヴィーイナ(ウェグナー)のラウンド・チェアはデンマーク・デザインを代表する
作品で、アメリカでザ・チェア(椅子の中の椅子)と呼ばれ、1960年のアメリカ大統領選挙で
ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンがテレビ討論を行なった時にも使われました。

アーネ・ヤコプスン(アルネ・ヤコブセン)(1902-1971)は建築と室内空間の
トータルデザインを手掛けています。

手前のアントチェアは、座面と背もたれが一体となり、大量生産に成功した
合板製の椅子で、アント(アリ)の形をしているので、この名があります。
アーネ・ヤコプスンのエッグチェア(右)とスワンチェア(左)です。

後ろの写真はスカンディナヴィア航空の依頼により、コペンハーゲンにヤコプスンの
設計で建設され、1956年に竣工したSASロイヤルホテルです。
ヤコプスンは家具、壁紙、照明、レストランのカトラリーまでデザインしています。
フィン・ユール(1912-1989)はデンマーク国外で建築の内装を多く手掛け、
展覧会も開いて、アメリカでのデンマーク・デザインの大躍進に貢献したそうです。

真ん中はチーフテンチェア(酋長の椅子)と呼ばれていて、手作りの優美な曲線で、
古代エジプトの王の椅子をヒントにしており、エジプシャンチェアとも呼ばれています。
壁の写真はフィン・ユール邸で、チーフテンチェアも写っています。
ポウル・ヘニングスン(1894-1967)のアーティチョーク型のペンダント・ランプと、
ポウル・ケアホルム(1929-1980)のテーブル・椅子です。

ペンダント・ランプは淡い間接光になっていて、ヘニングスンの子供時代の
石油ランプの記憶が元になっているそうです。
さまざまのデザインの並ぶ室内です。



ヴェアナ(ヴェルナー)・パントン(1926-1998)は世界初の1枚のプラスチックから
成形した椅子、パントンチェアをデザインしています。

右の三角形の椅子はハートコーンチェアで、ランプもパントンのデザインです。
パントンは他のデンマーク・デザインとは違う、ポップカルチャーの趣きがあります。
レゴ社が現在の形のレゴブロックを発売したのは1958年です。

第4章 ポストモダニズムと現代のデンマーク・デザイン
デンマーク・デザインは1970年になると関心が薄れてきますが、工業デザインが
盛んになります。
ウアスラ・モンク=ピーダスンのデザインした、1991年のウアスラの食器セットです。

デンマークは平地の国なので、自転車がよく利用されています。
キビースィのデザインによるビオミーガの自転車です。

現代のロイヤルコペンハーゲンで、絵柄がシンプルになっています。

現代のロイヤルコペンハーゲンのカップを使っている、「珈琲茶房椿屋丸ビル店」の記事です。
会場の最後にはヴィーイナ(ウェグナー)のデザインした椅子に座れるコーナーがあって、
こちらは撮影可能です。

座ってみると、曲線なので体に馴染みます。
デンマーク・デザインの特徴は、飽きの来ないシンプルな美しさ、機能性重視、
クオリティの高さで、長い冬を家の中で過ごす北欧の生活習慣が元になっており、
デンマーク語で、「ヒュゲ」(温かな居心地の良い雰囲気)を求めているそうです。
また、王室の存在、マイスター制度による伝統の保持も助けになっているとのことです。
ミッドセンチュリー時代のアメリカとデンマーク・デザインが関係していることは
初めて知りました。
今までカフェなどで何気なくいろいろな椅子に座っていましたが、これからはその
デザインにも注意を向けたくなります。
展覧会のHPです。
美術館は42階にあるので、新宿の夜景が奇麗です。

美術館前の歩道橋から新宿西口を見たところです。

次回の展覧会は、「クインテットⅣ 五つ星の作家たち」展です。
会期は2018年1月13日(土)〜2月18日(日)です。

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新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で開かれている、日本・デンマーク国交樹立
150周年記念、「デンマーク・デザイン」展の内覧会に行ってきました。
会期は12月27日(水)までです。

デンマークのデザイン美術館の協力で、19世紀後半から現在までの家具、
照明器具、食器などのデンマークのデザインを紹介する展覧会です。
入口前の記念写真撮影コーナーです。

マーティン・ミケルセン公使参事官のご挨拶の後、江川均主任学芸員の解説を伺いました。


展示室の写真は特別の許可を得て撮影しています。
人名はデンマーク語の原音に近いカナ表記ですが、( )内は流通している表記です。
第1章 国際的評価を得た最初のデンマーク・デザイン
先ず、19世紀から20世紀初頭のロイヤルコペンハーゲンの磁器が並びます。

第2章 古典主義から機能主義へ
20世紀前半には伝統に立脚しながら、機能性を求める動きが現れてきます。
コーオ・クリント(1888-1954)のレッド・チェアとペンダント・ランプと
テーブル・ランプです。

コーオ・クリントは伝統を重んじながら、物体や人体、空間を測るなど、
近代的な面を持っていました。
第3章 オーガニック・モダニズム ―デンマーク・デザインの国際
第2次大戦後の1950-70年代はデンマーク・デザインの黄金時代とされています。
戦後アメリカのミッドセンチュリー家具の人工素材、大量生産に対し、手仕事を基本とする
デンマークやスカンディナヴィアの家具が注目されるようになったものです。
オーガニック・モダニズムと呼ばれる、機能性を持ちながら、遊び心や人間味のある
デザインが特徴です。
ハンス・ヴィーイナ(ウェグナー)(1914-2007)、フィン・ユール(1912-1989)、
アーネ・ヤコブスン(アルネ・ヤコブセン)(1902-1971)などが代表的なデザイナー
とのことです。
ハンス・ヴィーイナ(ウェグナー)のラウンド・チェアはデンマーク・デザインを代表する
作品で、アメリカでザ・チェア(椅子の中の椅子)と呼ばれ、1960年のアメリカ大統領選挙で
ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンがテレビ討論を行なった時にも使われました。

アーネ・ヤコプスン(アルネ・ヤコブセン)(1902-1971)は建築と室内空間の
トータルデザインを手掛けています。

手前のアントチェアは、座面と背もたれが一体となり、大量生産に成功した
合板製の椅子で、アント(アリ)の形をしているので、この名があります。
アーネ・ヤコプスンのエッグチェア(右)とスワンチェア(左)です。

後ろの写真はスカンディナヴィア航空の依頼により、コペンハーゲンにヤコプスンの
設計で建設され、1956年に竣工したSASロイヤルホテルです。
ヤコプスンは家具、壁紙、照明、レストランのカトラリーまでデザインしています。
フィン・ユール(1912-1989)はデンマーク国外で建築の内装を多く手掛け、
展覧会も開いて、アメリカでのデンマーク・デザインの大躍進に貢献したそうです。

真ん中はチーフテンチェア(酋長の椅子)と呼ばれていて、手作りの優美な曲線で、
古代エジプトの王の椅子をヒントにしており、エジプシャンチェアとも呼ばれています。
壁の写真はフィン・ユール邸で、チーフテンチェアも写っています。
ポウル・ヘニングスン(1894-1967)のアーティチョーク型のペンダント・ランプと、
ポウル・ケアホルム(1929-1980)のテーブル・椅子です。

ペンダント・ランプは淡い間接光になっていて、ヘニングスンの子供時代の
石油ランプの記憶が元になっているそうです。
さまざまのデザインの並ぶ室内です。



ヴェアナ(ヴェルナー)・パントン(1926-1998)は世界初の1枚のプラスチックから
成形した椅子、パントンチェアをデザインしています。

右の三角形の椅子はハートコーンチェアで、ランプもパントンのデザインです。
パントンは他のデンマーク・デザインとは違う、ポップカルチャーの趣きがあります。
レゴ社が現在の形のレゴブロックを発売したのは1958年です。

第4章 ポストモダニズムと現代のデンマーク・デザイン
デンマーク・デザインは1970年になると関心が薄れてきますが、工業デザインが
盛んになります。
ウアスラ・モンク=ピーダスンのデザインした、1991年のウアスラの食器セットです。

デンマークは平地の国なので、自転車がよく利用されています。
キビースィのデザインによるビオミーガの自転車です。

現代のロイヤルコペンハーゲンで、絵柄がシンプルになっています。

現代のロイヤルコペンハーゲンのカップを使っている、「珈琲茶房椿屋丸ビル店」の記事です。
会場の最後にはヴィーイナ(ウェグナー)のデザインした椅子に座れるコーナーがあって、
こちらは撮影可能です。

座ってみると、曲線なので体に馴染みます。
デンマーク・デザインの特徴は、飽きの来ないシンプルな美しさ、機能性重視、
クオリティの高さで、長い冬を家の中で過ごす北欧の生活習慣が元になっており、
デンマーク語で、「ヒュゲ」(温かな居心地の良い雰囲気)を求めているそうです。
また、王室の存在、マイスター制度による伝統の保持も助けになっているとのことです。
ミッドセンチュリー時代のアメリカとデンマーク・デザインが関係していることは
初めて知りました。
今までカフェなどで何気なくいろいろな椅子に座っていましたが、これからはその
デザインにも注意を向けたくなります。
展覧会のHPです。
美術館は42階にあるので、新宿の夜景が奇麗です。

美術館前の歩道橋から新宿西口を見たところです。

次回の展覧会は、「クインテットⅣ 五つ星の作家たち」展です。
会期は2018年1月13日(土)〜2月18日(日)です。

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