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「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」展 東京国立近代美術館
竹橋
chariot

竹橋の東京国立近代美術館では企画展、「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」が
開かれています。
会期は2018年3月21日(水)までです。

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熊谷守一(1880-1977)の没後40年を記念して、200点以上の作品を中心にした
展示がされています。

どの絵も小さいサイズで、大きな絵を描いておらず、自分を強く押し出そうという
気持は無かったことが窺えます。
画業前半の絵は重く暗い色調ですが、徐々に画面が平面化し、赤い輪郭線が
現れてきて、後の熊谷守一らしさが出てきます。
変わり目は1940年前後のようです。

「ハルシヤ菊」 1954年 愛知県美術館 木村定三コレクション
熊谷img003 (3)

極度に単純化された形と明るい色彩、平面的な画面という、熊谷守一特有の
画風の作風です。
カタツムリもいて、どこかユーモラスです。

「朝の日輪」 1955年 愛知県美術館 木村定三コレクション
熊谷img003 (4)

朝の太陽の光もいくつかの色に分解されています。
均一で丁寧な塗り方です。

「ヤキバノカエリ」 1956年 岐阜県美術館
熊谷img003 (5)

熊谷守一には5人の子がいましたが、3人を病気で喪っています。
長女の萬の遺骨を持った長男と、熊谷と次女を描いていて、単純化された画面の中に
哀しみがあります。
自分たちを第三者からの視点で見て描いている、珍しい絵でもあります。
ドランの「ル・ペックを流れるセーヌ川」に構図が似ているそうで、熊谷はマティスなどの
画家の作品も研究しています。

「稚魚」 1958年 天童市美術館
熊谷img003 (6)

魚が勝手な方向を向いているところに可笑しさがあります。
マティスの代表作、「ダンス」にも似ています。

「鬼百合に揚羽蝶」 1959年 東京国立近代美術館
熊谷img003 (2)

1956年、76歳の時に軽い脳卒中になり、以後は外出せず、庭の小さな自然を観察して、
作品にしています。
草花や蝶、蟻などの他、雨の水滴まで描いています。
蟻がどの脚から動き出すか分かるまで観察したそうですが、写生してそのまま
絵にするのではなく、夜にアトリエで再構成して描いています。

「猫」 1965年 愛知県美術館 木村定三コレクション
熊谷img003 (1)

猫を描いた絵が何点も並んでいます。
家にはいつも飼い猫だか野良猫だか分からない猫がいたそうです。
これだけ単純化されても、しっかりと猫です。

「木村定三コレクション」で知られる木村定三(1913-2003)は名古屋の実業家で、
美術品を愛好し、収集した数多くの美術品を愛知県美術館に寄贈しています。
1938年に名古屋での熊谷守一の個展を見て感激し、熊谷の作品の購入を続けて
援助しています。
木村定三は熊谷守一の他、池大雅、与謝蕪村、浦上玉堂、小川芋銭、須田剋太などの
作品を収集していて、文人や脱俗の風のある画家を好んだようです。

熊谷守一のスタイルの確立した後の作品が多数展示されているほか、そこに到るまでの
時期の作品や資料も展示され、存分に熊谷守一の世界を味わえる展覧会です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「生誕150年 横山大観展」です。
会期は2018年4月13日(金)から5月27日(日)です。

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【2018/02/01 19:23】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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