神谷町
虎ノ門の菊池寛実記念智美術館では「第7回菊池ビエンナーレ展 現代陶芸の〈今〉」が
開かれています。
会期は3月18日(日)までです。

菊池寛実記念智美術館は、菊池智(1923~2016)が1950年代から収集してきた
現代陶芸の作品を展示するため、2003年に開館した美術館です。
2004年からは隔年で、全国から作品を公募し、「菊池ビエンナーレ展」を開いています。
展覧会では322点の応募作品のうち、入賞5点を含む入選作52点が展示されています。
1月13日にアートブロガーイベントが開かれたので、参加してきました。
写真は許可を得て、撮影しています。
展示の様子です。
落着いた雰囲気の中で、ゆっくり鑑賞できる展示室です。


大賞 和田的(千葉県) 「表裏」

蓋物で、ろくろ成形した磁土から削り出すという、他には無い技法に拠っています。
天草の磁土でないと、このようなシャープな形にならないそうです。
優秀賞 津守愛香(滋賀県) 「人魚仏」

仏様と人魚が合体したような姿で、体をやや傾けていて、額にも目のある三眼に
なっています。
色も面白く、陶磁器と人形の境にあるような作品です。
奨励賞 田島正仁(石川県) 「彩釉鉢」

人間国宝の三代徳田八十吉に師事していて、鮮やかな釉薬の色と
グラデーションが特徴です。
この色を出すために5回も釉薬を掛けては焼いたそうです。
奨励賞 中田雅巳(石川県) 「SEN」

紙を丸めたようなような形で、細い線がびっしりと彫り込まれています。
ユリの花が並んでいるようにも見えます。
2つの器の位置関係も作家の指定があるそうです。
奨励賞 釣光穂(石川県) 「Ivy」

三つ編みにした粘土の紐を積み上げ、籠のような物にしていて、縄文土器も
イメージしているそうです。
実際にはもっと明るい色で、青や紅の紐も入っていて、陶磁器とは思えない、
とても繊細な作品です。
奨励賞は3人とも石川県の方です。
以下は入選者の作品の一部です。
田中陽子(石川県) 「落華―黑―」

巨大な花を表しているということで、黒光りがして、圧倒的な迫力があります。
最近は、細かい作業を積み重ねて制作した作品を高く評価する傾向があるそうです。
高橋朋子(千葉県) 「蒼掌塞器、Regulus」

古代東方の神殿のような趣きがあります。
Regulusとは、獅子座にある星の名です。
手前:張蕙敏(シンガポール) 「帰巣」

植物で型を取り、組み合わせています。
陶磁器を器としてはあまり意識しない、日本人とは違った感性によるものだそうです。
鳥の巣のようにも見え、面白い影も出来ています。
右:伊勢﨑晃一朗(岡山県) 「備前畝壺」
左:渡仁(福岡県) 「上野ヤケ釉鉢」

伊勢﨑さんの作品は備前焼で、胴に焼けムラである牡丹餅が出て、アクセントに
なっています。
渡仁さんの作品は上野焼(あがのやき)で、釉薬が均質に掛かり、平滑な表面に
仕上がっています。
右:神谷紀雄(千葉県) 「鉄絵銅彩葡萄文陶匣」
左:安永頼山(佐賀県) 「唐津茶盌」

神谷さんは益子焼窯元の生まれで、鉄と銅で彩色する鉄絵銅彩が特徴です。
1940年生まれで、入賞者の中で最年長とのことす。
安永さんは島根県出身で、唐津焼に魅せられ、茶陶を制作しています。
この展覧会で茶碗が入賞したのは今回が初めてとのことです。
国兼聡美(神奈川県) 「憤怒の猫」

何に怒っているのでしょうか、着ぐるみを着た猫が不機嫌な顔で立っています。
国兼さんは1996年生まれで、入賞者の中で最年少とのことです。
都県別の出品者数を見ると、伝統的な陶芸の産地の茨城、石川、岐阜、愛知、
滋賀、京都、岡山、佐賀などが目立ちますが、伝統とは関係なく、個人の興味で
陶芸を手掛けている作家も多いそうです。

伝統と新しい感性が交じり合って、伝統工芸展には無い面白さのある展覧会です。
展覧会のHPです。
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虎ノ門の菊池寛実記念智美術館では「第7回菊池ビエンナーレ展 現代陶芸の〈今〉」が
開かれています。
会期は3月18日(日)までです。

菊池寛実記念智美術館は、菊池智(1923~2016)が1950年代から収集してきた
現代陶芸の作品を展示するため、2003年に開館した美術館です。
2004年からは隔年で、全国から作品を公募し、「菊池ビエンナーレ展」を開いています。
展覧会では322点の応募作品のうち、入賞5点を含む入選作52点が展示されています。
1月13日にアートブロガーイベントが開かれたので、参加してきました。
写真は許可を得て、撮影しています。
展示の様子です。
落着いた雰囲気の中で、ゆっくり鑑賞できる展示室です。


大賞 和田的(千葉県) 「表裏」

蓋物で、ろくろ成形した磁土から削り出すという、他には無い技法に拠っています。
天草の磁土でないと、このようなシャープな形にならないそうです。
優秀賞 津守愛香(滋賀県) 「人魚仏」

仏様と人魚が合体したような姿で、体をやや傾けていて、額にも目のある三眼に
なっています。
色も面白く、陶磁器と人形の境にあるような作品です。
奨励賞 田島正仁(石川県) 「彩釉鉢」

人間国宝の三代徳田八十吉に師事していて、鮮やかな釉薬の色と
グラデーションが特徴です。
この色を出すために5回も釉薬を掛けては焼いたそうです。
奨励賞 中田雅巳(石川県) 「SEN」

紙を丸めたようなような形で、細い線がびっしりと彫り込まれています。
ユリの花が並んでいるようにも見えます。
2つの器の位置関係も作家の指定があるそうです。
奨励賞 釣光穂(石川県) 「Ivy」

三つ編みにした粘土の紐を積み上げ、籠のような物にしていて、縄文土器も
イメージしているそうです。
実際にはもっと明るい色で、青や紅の紐も入っていて、陶磁器とは思えない、
とても繊細な作品です。
奨励賞は3人とも石川県の方です。
以下は入選者の作品の一部です。
田中陽子(石川県) 「落華―黑―」

巨大な花を表しているということで、黒光りがして、圧倒的な迫力があります。
最近は、細かい作業を積み重ねて制作した作品を高く評価する傾向があるそうです。
高橋朋子(千葉県) 「蒼掌塞器、Regulus」

古代東方の神殿のような趣きがあります。
Regulusとは、獅子座にある星の名です。
手前:張蕙敏(シンガポール) 「帰巣」

植物で型を取り、組み合わせています。
陶磁器を器としてはあまり意識しない、日本人とは違った感性によるものだそうです。
鳥の巣のようにも見え、面白い影も出来ています。
右:伊勢﨑晃一朗(岡山県) 「備前畝壺」
左:渡仁(福岡県) 「上野ヤケ釉鉢」

伊勢﨑さんの作品は備前焼で、胴に焼けムラである牡丹餅が出て、アクセントに
なっています。
渡仁さんの作品は上野焼(あがのやき)で、釉薬が均質に掛かり、平滑な表面に
仕上がっています。
右:神谷紀雄(千葉県) 「鉄絵銅彩葡萄文陶匣」
左:安永頼山(佐賀県) 「唐津茶盌」

神谷さんは益子焼窯元の生まれで、鉄と銅で彩色する鉄絵銅彩が特徴です。
1940年生まれで、入賞者の中で最年長とのことす。
安永さんは島根県出身で、唐津焼に魅せられ、茶陶を制作しています。
この展覧会で茶碗が入賞したのは今回が初めてとのことです。
国兼聡美(神奈川県) 「憤怒の猫」

何に怒っているのでしょうか、着ぐるみを着た猫が不機嫌な顔で立っています。
国兼さんは1996年生まれで、入賞者の中で最年少とのことです。
都県別の出品者数を見ると、伝統的な陶芸の産地の茨城、石川、岐阜、愛知、
滋賀、京都、岡山、佐賀などが目立ちますが、伝統とは関係なく、個人の興味で
陶芸を手掛けている作家も多いそうです。

伝統と新しい感性が交じり合って、伝統工芸展には無い面白さのある展覧会です。
展覧会のHPです。
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