新橋・汐留
汐留のパナソニック 汐留ミュージアムでは、「ヘレンド展 ― 皇妃エリザベートが愛した
ハンガリーの名窯 ―」が開かれています。
会期は3月21日(水・祝)まで、休館日は水曜日です

ヘレンドは首都ブタペストの南西にあり、1826年に製陶所が開かれています。
1839年に磁器製作所となり、ハプスブルク家の保護を受けて発展を遂げ、
ハンガリーを代表する磁器窯となっています。
展覧会では、初期から現代の作品まで、約150件、230点が展示されています。
2月13日までの前期と15日からの後期で、一部展示替えがあります。
「色絵朝顔文皿」 1841年 ブダペスト国立工芸美術館

初期の製品で、クリームウェアと呼ばれる陶器です。
中央ヨーロッパに自生する朝顔が描かれています。
ヘレンドの磁器は、1851年の第1回ロンドン万博に出品され、イギリスのヴィクトリア女王
からディナーセットを受注するなど、上流階級のための食器として人気を得ていきます。
「色絵金彩ヴィクトリア文ティーセット」 1850年頃 ヘレンド磁器美術館

「色絵金彩皇帝文コーヒーセット」 1860年頃 ブダペスト国立工芸美術館

シノワズリ(中国趣味)の入ったセットです。
ヨーロッパの磁器は中国や日本の磁器を手本として発展を遂げています。
「色絵金彩伊万里様式人物飾蓋容器」 1860年頃 ブダペスト国立工芸美術館

「色絵金彩浮彫人物図ホットチョコレートセット」 1871年 ハンガリー国立博物館

描かれているのはギリシャ神話の勝利の女神、ニケでしょうか。
「色絵金彩ウエールズ文蜥蜴飾りティーセット」よりクリーム入れ
1874年 ブダペスト国立工芸美術館

精巧な透かし彫りが施されています。
「色絵金彩ゲデレー文ティーセット」 1875年頃 ブダペスト国立工芸美術館

ゲデレーはハンガリーにある、ハプスブルク家の宮殿で、オーストリア皇后
兼ハンガリー王妃エリザベート(1837-98)に好まれていました。
柿右衛門様式を取り入れたセットで、エリザベートがゲデレー宮殿に
滞在する時のために作られています。
エリザベートはハプスブルク家の帝国の一部だったハンガリーに好意的で、
現在もハンガリーで大変人気のある王妃です。
2013年に日本橋三越本店で開かれた、「輝ける皇妃 エリザベート展」の記事です。
「藍地金彩唐草文コーヒーセット」 1890年頃 ブダペスト国立工芸美術館

濃いコバルトブルーと金彩の組合わせで、セーヴル窯のブリュ・ド・ロワ
(王の青)に倣っています。
化学者の開発した釉薬により、この色が出ています。
「色絵金彩ハンガリアンナショナル文皿」 1896年 個人蔵

19世紀末にはハンガリーの民族意識が高まり、チューリップ、ザクロ、
カーネーションをあしらった、民族的な様式が盛んになります。
チューリップはハンガリーの国花で、 現在のヘレンドでも人気のある絵柄です。
ハプスブルク家の帝国は第一次世界大戦によって崩壊し、ハンガリーは1918年に
独立しています。
1920年代からはアーティストを採用して、新作に取組み、磁器人形の制作も始めます。
カタ・ガーチェル 「トポルツの聖女」 成形:1944年 ブダペスト国立工芸美術館

第二次世界大戦後、ハンガリーはソビエト連邦の影響の元、共産主義国となり、
ヘレンドも国有化されます。
マーチャーシュ・ラーコシ夫人 「第二次世界大戦終結10周年記念ティーセット」
1955年 ブダペスト国立工芸美術館

赤旗をあしらった、勇ましい絵柄です。
マーチャーシュ・ラーコシ夫人は共産党書記長の妻で、ヘレンドのデザイナーを
務めています。
1991年のソビエト連邦の崩壊に伴い、ヘレンドも1992年に民営化され、
現在へと続きます。
アーコシュ・タマーシュ 「花弁形鉢」 1990年 ブダペスト国立工芸美術館

釉薬を使わず、磁土に彩色して成形した、古典的なヘレンドとは違った、
モダンな作品です。
ヘレンドはGoogle Mapで見ると田舎の小さな村ですが、工場の従業員1700人で、
美術館も備え、30人の絵付師によって手描きされた磁器を生産しています。
会場の最後にあるシノワズリ風のティータイムセットは撮影可能です。


展覧会のHPです。
次回の展覧会は、パナソニック創業100周年特別記念展、「日本の四季
― 近代絵画の巨匠たち ―」です。
会期は2018年4月2日(月)から4月15日(日)までです。
chariot
汐留のパナソニック 汐留ミュージアムでは、「ヘレンド展 ― 皇妃エリザベートが愛した
ハンガリーの名窯 ―」が開かれています。
会期は3月21日(水・祝)まで、休館日は水曜日です

ヘレンドは首都ブタペストの南西にあり、1826年に製陶所が開かれています。
1839年に磁器製作所となり、ハプスブルク家の保護を受けて発展を遂げ、
ハンガリーを代表する磁器窯となっています。
展覧会では、初期から現代の作品まで、約150件、230点が展示されています。
2月13日までの前期と15日からの後期で、一部展示替えがあります。
「色絵朝顔文皿」 1841年 ブダペスト国立工芸美術館

初期の製品で、クリームウェアと呼ばれる陶器です。
中央ヨーロッパに自生する朝顔が描かれています。
ヘレンドの磁器は、1851年の第1回ロンドン万博に出品され、イギリスのヴィクトリア女王
からディナーセットを受注するなど、上流階級のための食器として人気を得ていきます。
「色絵金彩ヴィクトリア文ティーセット」 1850年頃 ヘレンド磁器美術館

「色絵金彩皇帝文コーヒーセット」 1860年頃 ブダペスト国立工芸美術館

シノワズリ(中国趣味)の入ったセットです。
ヨーロッパの磁器は中国や日本の磁器を手本として発展を遂げています。
「色絵金彩伊万里様式人物飾蓋容器」 1860年頃 ブダペスト国立工芸美術館

「色絵金彩浮彫人物図ホットチョコレートセット」 1871年 ハンガリー国立博物館

描かれているのはギリシャ神話の勝利の女神、ニケでしょうか。
「色絵金彩ウエールズ文蜥蜴飾りティーセット」よりクリーム入れ
1874年 ブダペスト国立工芸美術館

精巧な透かし彫りが施されています。
「色絵金彩ゲデレー文ティーセット」 1875年頃 ブダペスト国立工芸美術館

ゲデレーはハンガリーにある、ハプスブルク家の宮殿で、オーストリア皇后
兼ハンガリー王妃エリザベート(1837-98)に好まれていました。
柿右衛門様式を取り入れたセットで、エリザベートがゲデレー宮殿に
滞在する時のために作られています。
エリザベートはハプスブルク家の帝国の一部だったハンガリーに好意的で、
現在もハンガリーで大変人気のある王妃です。
2013年に日本橋三越本店で開かれた、「輝ける皇妃 エリザベート展」の記事です。
「藍地金彩唐草文コーヒーセット」 1890年頃 ブダペスト国立工芸美術館

濃いコバルトブルーと金彩の組合わせで、セーヴル窯のブリュ・ド・ロワ
(王の青)に倣っています。
化学者の開発した釉薬により、この色が出ています。
「色絵金彩ハンガリアンナショナル文皿」 1896年 個人蔵

19世紀末にはハンガリーの民族意識が高まり、チューリップ、ザクロ、
カーネーションをあしらった、民族的な様式が盛んになります。
チューリップはハンガリーの国花で、 現在のヘレンドでも人気のある絵柄です。
ハプスブルク家の帝国は第一次世界大戦によって崩壊し、ハンガリーは1918年に
独立しています。
1920年代からはアーティストを採用して、新作に取組み、磁器人形の制作も始めます。
カタ・ガーチェル 「トポルツの聖女」 成形:1944年 ブダペスト国立工芸美術館

第二次世界大戦後、ハンガリーはソビエト連邦の影響の元、共産主義国となり、
ヘレンドも国有化されます。
マーチャーシュ・ラーコシ夫人 「第二次世界大戦終結10周年記念ティーセット」
1955年 ブダペスト国立工芸美術館

赤旗をあしらった、勇ましい絵柄です。
マーチャーシュ・ラーコシ夫人は共産党書記長の妻で、ヘレンドのデザイナーを
務めています。
1991年のソビエト連邦の崩壊に伴い、ヘレンドも1992年に民営化され、
現在へと続きます。
アーコシュ・タマーシュ 「花弁形鉢」 1990年 ブダペスト国立工芸美術館

釉薬を使わず、磁土に彩色して成形した、古典的なヘレンドとは違った、
モダンな作品です。
ヘレンドはGoogle Mapで見ると田舎の小さな村ですが、工場の従業員1700人で、
美術館も備え、30人の絵付師によって手描きされた磁器を生産しています。
会場の最後にあるシノワズリ風のティータイムセットは撮影可能です。


展覧会のHPです。
次回の展覧会は、パナソニック創業100周年特別記念展、「日本の四季
― 近代絵画の巨匠たち ―」です。
会期は2018年4月2日(月)から4月15日(日)までです。
- 関連記事
-
- 「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」展 東京国立博物館 (2018/01/27)
- 「横山大観-東京画壇の精鋭-」展 山種美術館 (2018/01/25)
- 「ヘレンド展 ― 皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯 ―」 パナソニック 汐留ミュージアム (2018/01/24)
- 「20th DOMANI・明日展 」 国立新美術館 (2018/01/23)
- 『装飾は流転する 「今」と向きあう7つの方法』展 東京都庭園美術館 (2018/01/20)