上野
上野の東京国立博物館平成館では、特別展「仁和寺と御室派のみほとけ
― 天平と真言密教の名宝 ―」が開かれています。
会期は3月11日(日)までで、会期中かなりの展示替えがありますので、
展覧会のHPでご確認下さい。

真言宗御室派総本山、仁和寺と御室派寺院の寺宝を展示する展覧会です。
仁和寺は光孝天皇(830-887)の勅願で建立が始まり、子の宇多天皇(867-931)によって
落成しています。
以来、皇族が寺に入るなど、皇室と関係の深い寺院となっています。
「三十帖冊子」 空海ほか筆 平安時代・9世紀 仁和寺 国宝

遣唐使の一員として唐で学んだ空海が書写した経典類の小さなノートで、
三十帖あることからこの名が付いています。
空海の字の他に唐の写経生の字もあります。
「高倉天皇宸翰消息」 高倉天皇筆 平安時代・治承2年(1178) 仁和寺 国宝

2月12日(月・休)までの展示です。
高倉天皇(1161-81)が兄の仁和寺第六世、守覚法親王(1150-1202)に宛てた手紙で、
中宮の平徳子(後の建礼門院)のお産に際し、守覚法親王が孔雀経法による安産の
祈祷を行なったことへのお礼です。
生まれた子が後の安徳天皇ですが、寿永4年(1185)の壇ノ浦の戦いで、
平家一門とともに海に沈んでいます。
「孔雀明王像」 中国・北宋時代・10~11世紀 仁和寺 国宝

2月12日(月・休)までの展示です。
密教修法の孔雀経法を修する際の本尊で、大きく羽根を広げた孔雀に乗った
蓮華座に坐しています。
通常は一面四臂ですが、この像は三面六臂の珍しい姿です。
他に後醍醐天皇や後陽成天皇などの手紙も展示されています。
「阿弥陀如来坐像」 平安時代・仁和4年(888) 仁和寺 国宝

仁和寺創建時の本尊で、宇多天皇が父の光孝天皇の菩提を弔うために
造られています。
両脇侍立像とともに展示されていて、お顔はやや角張り、首は短く、
体躯は分厚く堂々としています。
仁和寺は応仁の乱により応仁2年(1468)にすべての伽藍が焼失しています。
江戸時代初期に建てられ、通常は非公開の観音堂の内部が再現されています。
観音堂内部の展示は撮影可能です。

本尊の千手観音立像

風神

雷神

内陣の壁画の再現


全国の御室派寺院の仏像も展示されています。
「十一面観音菩薩立像」 平安時代・8~9世紀 大阪・道明寺 国宝

榧の木の一木造で、きわめて精緻に彫り出されています。
道明寺は藤井寺市にある尼寺で、古代豪族の土師氏の氏寺でした。
菅原道真も土師氏の出です。
「如意輪観音菩薩坐像」 平安時代・10世紀 兵庫・神呪寺 重要文化財

神呪寺(かんのうじ)は西宮市の甲山の中腹にあります。
一木造で、河内の観心寺の如意輪観音菩薩坐像と同じような姿ですが、
頭を大きく傾け、右脚を左脚の上にしているところが違います。
毎年5月18日だけ開帳される秘仏です。
「五智如来坐像」 平安時代・12世紀 大阪・金剛寺 重要文化財
金色に輝く木像で、像高は約20㎝、大日如来を中心にして、四方に4体の如来が
配されています。
お顔は丸く、おだやかな面差しの優美な姿です。
「千手観音菩薩坐像」 平安時代・12世紀 経尋作 徳島・雲辺寺 重要文化財

ほとんど開帳されない秘仏で、像内墨書に施主は「女大施主中原氏」とあります。
作者は経尋という仏師で、経尋は眼病だったらしく、墨で両目の絵が描かれ、
「目アへ(キ)ラカニナシタマエ」とも書かれています。
白内障か何かだったのでしょうか。
雲辺寺は四国八十八箇所霊場の第六十六番札所で、標高約900mと
八十八箇所の中で最も高い所にある札所です。
「降三世明王立像」 平安時代・11世紀 福井・明通寺 重要文化財

像高252.4㎝という巨大な像は一木造で、同じ大きさの深沙大将立像とともに
展示されています。
明通寺は若狭の小浜市の山中にある寺院です。
「馬頭観音菩薩坐像」 鎌倉時代・13世紀 福井・中山寺 重要文化財

三面八臂の像で、頭に馬の頭を戴いています。
慶派の作と思われ、光背も台座が当初のものです。
33年に一度しか開帳されない秘仏なので、彩色も良く残っています。
中山寺は若狭湾を臨む山麓にある寺院です。
若狭国は織田信長の越前攻略の経路から外れていたため、多くの寺院建築や
仏像が焼失せずに残っています。
大阪・葛井寺の千手観音菩薩坐像(奈良時代・8世紀)は2月14日(水)からの展示です。
1041本の手を持つ、国宝の天平彫刻です。
真言宗の御室派ということで、各寺院のいろいろの種類の仏像が揃い、
とても見応えのある展覧会です。
仁和寺は桜で有名で、私もむかし、境内の茶店の縁台に座って、五重塔と満開の桜を
眺めながら、うどんをいただいたことを思い出します。
展覧会のHPです。
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上野の東京国立博物館平成館では、特別展「仁和寺と御室派のみほとけ
― 天平と真言密教の名宝 ―」が開かれています。
会期は3月11日(日)までで、会期中かなりの展示替えがありますので、
展覧会のHPでご確認下さい。

真言宗御室派総本山、仁和寺と御室派寺院の寺宝を展示する展覧会です。
仁和寺は光孝天皇(830-887)の勅願で建立が始まり、子の宇多天皇(867-931)によって
落成しています。
以来、皇族が寺に入るなど、皇室と関係の深い寺院となっています。
「三十帖冊子」 空海ほか筆 平安時代・9世紀 仁和寺 国宝

遣唐使の一員として唐で学んだ空海が書写した経典類の小さなノートで、
三十帖あることからこの名が付いています。
空海の字の他に唐の写経生の字もあります。
「高倉天皇宸翰消息」 高倉天皇筆 平安時代・治承2年(1178) 仁和寺 国宝

2月12日(月・休)までの展示です。
高倉天皇(1161-81)が兄の仁和寺第六世、守覚法親王(1150-1202)に宛てた手紙で、
中宮の平徳子(後の建礼門院)のお産に際し、守覚法親王が孔雀経法による安産の
祈祷を行なったことへのお礼です。
生まれた子が後の安徳天皇ですが、寿永4年(1185)の壇ノ浦の戦いで、
平家一門とともに海に沈んでいます。
「孔雀明王像」 中国・北宋時代・10~11世紀 仁和寺 国宝

2月12日(月・休)までの展示です。
密教修法の孔雀経法を修する際の本尊で、大きく羽根を広げた孔雀に乗った
蓮華座に坐しています。
通常は一面四臂ですが、この像は三面六臂の珍しい姿です。
他に後醍醐天皇や後陽成天皇などの手紙も展示されています。
「阿弥陀如来坐像」 平安時代・仁和4年(888) 仁和寺 国宝

仁和寺創建時の本尊で、宇多天皇が父の光孝天皇の菩提を弔うために
造られています。
両脇侍立像とともに展示されていて、お顔はやや角張り、首は短く、
体躯は分厚く堂々としています。
仁和寺は応仁の乱により応仁2年(1468)にすべての伽藍が焼失しています。
江戸時代初期に建てられ、通常は非公開の観音堂の内部が再現されています。
観音堂内部の展示は撮影可能です。

本尊の千手観音立像

風神

雷神

内陣の壁画の再現


全国の御室派寺院の仏像も展示されています。
「十一面観音菩薩立像」 平安時代・8~9世紀 大阪・道明寺 国宝

榧の木の一木造で、きわめて精緻に彫り出されています。
道明寺は藤井寺市にある尼寺で、古代豪族の土師氏の氏寺でした。
菅原道真も土師氏の出です。
「如意輪観音菩薩坐像」 平安時代・10世紀 兵庫・神呪寺 重要文化財

神呪寺(かんのうじ)は西宮市の甲山の中腹にあります。
一木造で、河内の観心寺の如意輪観音菩薩坐像と同じような姿ですが、
頭を大きく傾け、右脚を左脚の上にしているところが違います。
毎年5月18日だけ開帳される秘仏です。
「五智如来坐像」 平安時代・12世紀 大阪・金剛寺 重要文化財
金色に輝く木像で、像高は約20㎝、大日如来を中心にして、四方に4体の如来が
配されています。
お顔は丸く、おだやかな面差しの優美な姿です。
「千手観音菩薩坐像」 平安時代・12世紀 経尋作 徳島・雲辺寺 重要文化財

ほとんど開帳されない秘仏で、像内墨書に施主は「女大施主中原氏」とあります。
作者は経尋という仏師で、経尋は眼病だったらしく、墨で両目の絵が描かれ、
「目アへ(キ)ラカニナシタマエ」とも書かれています。
白内障か何かだったのでしょうか。
雲辺寺は四国八十八箇所霊場の第六十六番札所で、標高約900mと
八十八箇所の中で最も高い所にある札所です。
「降三世明王立像」 平安時代・11世紀 福井・明通寺 重要文化財

像高252.4㎝という巨大な像は一木造で、同じ大きさの深沙大将立像とともに
展示されています。
明通寺は若狭の小浜市の山中にある寺院です。
「馬頭観音菩薩坐像」 鎌倉時代・13世紀 福井・中山寺 重要文化財

三面八臂の像で、頭に馬の頭を戴いています。
慶派の作と思われ、光背も台座が当初のものです。
33年に一度しか開帳されない秘仏なので、彩色も良く残っています。
中山寺は若狭湾を臨む山麓にある寺院です。
若狭国は織田信長の越前攻略の経路から外れていたため、多くの寺院建築や
仏像が焼失せずに残っています。
大阪・葛井寺の千手観音菩薩坐像(奈良時代・8世紀)は2月14日(水)からの展示です。
1041本の手を持つ、国宝の天平彫刻です。
真言宗の御室派ということで、各寺院のいろいろの種類の仏像が揃い、
とても見応えのある展覧会です。
仁和寺は桜で有名で、私もむかし、境内の茶店の縁台に座って、五重塔と満開の桜を
眺めながら、うどんをいただいたことを思い出します。
展覧会のHPです。
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