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山種美術館 上村松園/美人画の粋展 2
半蔵門・九段下
chariot

前回の「上村松園/美人画の粋展 1」の続きです。

千鳥ヶ淵の展望台です。

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航空写真もあります。

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34番 池田輝方 「夕立」1916年
江戸の風俗を描いた一双の屏風絵で、左隻には石の鳥居と神門、築地塀、
青い銀杏が描かれています。
門の下では雨宿りしている町娘が小僧さんとひそひそ話をしています。
右隻には、空を見上げる男、濡れた袖を絞る女、立ち話をする女たちがいます。

池田輝方は美人画を得意としたということですが、39歳で亡くなっています。

37番 村上華岳 「裸婦図」1920年
初期の村上華岳の代表作です。
森の中に、インドの衣装と装身具を着けた若い女性が腰掛けています。
衣装はほとんど透けていて、題の通り、裸婦像と言って良いほどですが、
菩薩を思わせる姿で、後に多くの仏画を描いた村上華岳の出発点の
ような作品です。
山種美術館が茅場町にあった時は、よく展示されていて、入場券の絵柄にも
使われ、私は今でも山種美術館というと、この絵を思い出します。

39番 奥村土牛「舞妓」 1954年
奥村土牛が面を強調した絵を描くようになる前の作品で、座っている舞妓を
描いています。
奥村土牛らしい簡潔な線と構図による、美人画とは違った、端正な姿です。
色数を抑えた上品な色遣いで、黒振袖の裾模様は、金泥で俵屋宗達風の鶴、
帯の模様も金泥の笹です。
口紅、かんざし、帯揚げの赤がアクセントになっています。
おちょぼ口と、やや上目遣いの目が表情を初々しく見せています。

41番 小倉遊亀「舞う(舞妓)」 1971年
42番 小倉遊亀「舞う(芸者)」 1972年

この2点は同じ山種美術館で開かれた「百寿を超えて」展で観て、
感想を書いた作品です。

47番 伊東深水「春」 1952年
着物姿の若い女性が二人、内緒話をしています。
顔や着物の線がくっきり、直線的に力強く描かれ、モダンな雰囲気です。

48番 伊東深水「婦人像」 1957年
洋装の女性がテーブルに頬杖を突いている姿で、モデルは女優の
小暮三千代とのことです。
柔らかな線描で、白い帽子、大きな白い襟と、赤い口紅、赤い長手袋の
対比が印象的です。
黒いテーブルにもその姿が映り、モデルの華やかさを良く表しています。

49番 伊東深水「吉野太夫」 1966年
吉野太夫は江戸初期の京都の廓を代表するといわれた太夫とのことです。
立兵庫という、上に伸ばした独特の髪形で、吉野太夫の名に因んで、
満開の桜花を背景に立っています。
桐や扇面散らしの模様で埋め尽くされた打掛や小袖の輪郭線は、リズムを
持って交差しています。
手前の禿(かむろ)が茶入を載せた盆を差し出しているのは、吉野太夫が
茶道にも秀でていたことを示しているのでしょう。
伊東深水の代表作にふさわしい、華麗で気品のある作品です。

53番 石本正「のれん」 1970年
まだ幼さの残る舞妓が、のれんを分けてこちらに入ってくるところです。
視線も焦点がはっきりせず、顔もきれいに白く描くのではなく、
ややかすれた感じにしています。
石本正は、舞妓の完成された様式美の世界に、それに馴染み切らない
生身の女性を滑り込ませています。

58番 青山亘幹「舞妓四題のうち11月」 1985年
59番 青山亘幹「舞妓四題のうち正月」 1985年

2作品とも、金箔地を背景にした舞妓の立ち姿です。
11月の舞妓は、もみじの葉を流した水色の振袖、花かんざしも、もみじです。
振袖の水色は、特別の絵具を使っているのでしょうか、従来の日本画に無い
強い発色です。
正月の舞妓は、黒振袖で、裾模様は青海波と鶴ですが、青海波は孔雀の
羽のような派手な色をしています。
コンパクトをかざして、正月に着ける稲穂の花かんざしを直しています。
青山亘幹は顔や着物の描き方もリアルで生々しく、従来の日本画の
様式美とは違うものを追っているようです。

美人画は世の好みを反映しますから、時代とともにかなり変化しています。
その中でも、上村松園には時代を越えた魅力のあることが良く分かります。

展覧会のHPです。


コピー ~ や4


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【2009/06/06 00:31】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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