fc2ブログ
昭和館 九段
九段下
chariot

九段下の昭和館に行ってきました。
入館料は常設展示が大人300円、その他のフロアは無料で、休館日は月曜日です。

img044_20180820200114115.jpg

昭和img045 (2)


7階には昭和10年頃から昭和20年(終戦)までの国民生活の資料が展示されています。

家庭生活では、電気製品は電灯やラジオくらいしかなく、女性の多くは和服を
着ていました。

昭和img045 (5)


昭和12年頃の都市部の食卓も再現されていて、ちゃぶ台には当時ハイカラな
料理だったコロッケが載っています。

戦時中の様子で、女性はモンペ姿で防空頭巾を被っています。

昭和img045 (7)


召集令状や千人針、出征兵士の戦地からの便りなどの展示です。

昭和img045 (3)

昭和img045 (4)


土門拳の撮影した、銀座の泰明小学校で開かれた出征兵士の壮行会の写真が
壁いっぱいに拡大されて展示されていました。
関東大震災後に建てられたモダンなデザインの校舎を背に、大きなのぼりや兵士、
見送りの人たちが写っています。
新しい制服のデザインで話題になった小学校ですが、重い時代も経験しています。

ある学童集団疎開先での昭和19年10月13日の夕食も再現されていました。
大豆入りご飯と小麦粉を溶いて入れただけの野菜シチューです。
陸(肉)が無いことから太平洋シチューと呼ばれていたそうです。

各家庭で掘った簡易防空壕も再現されています。

昭和img045 (6)


7階から6階へ下りる階段の踊り場には昔のラジオが置かれ、昭和20年8月15日の
日本の降伏を伝える昭和天皇による玉音放送が流れています。
「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」の言葉で有名ですが、漢文調の文章や当時の
ラジオの音質の悪さなどから、これだけでは終戦と分からず、その後に続放送で
理解した人が多かったそうです。

6階には昭和20年から昭和30年頃までの国民生活の資料が展示されています。

戦後の復興期の資料の展示です。

昭和img045 (8)

校舎が戦災で焼失し、校庭などで授業する青空教室もあります。

戦災孤児についての写真や資料がありましたが、昭和23年(1948)の厚生省児童局の
調査では孤児123,511人(0歳~20歳)のうち、戦災孤児は28,248人、外地からの引揚中に
孤児となった者11,351人となっています。
港に着いた引揚孤児たちの、不安そうな表情をした写真もありました。

戦災孤児でしょうか、靴磨きをして暮らしています。

昭和img045 (1)


「鐘の鳴る丘」の紙芝居が展示されていました。
昭和22年から25年にかけてNHKで放送されたラジオドラマで、街頭で靴磨きなどを
していた戦災孤児たちが共同生活を始め、明るく生きていく姿を描いています。

主題歌:とんがり帽子 作詞:菊田一夫 作曲:古関裕而 歌:川田正子
  緑の丘の赤い屋根 とんがり帽子の時計台 
  鐘が鳴りますキンコンカン メイメイ仔山羊も鳴いてます
  風がそよそよ丘の家 黄色いお窓はおいらの家よ

靴磨きの歌として、昭和26年の「東京シューシャインボーイ」があります。

東京シューシャインボーイ 作詞:井田誠一 作曲:佐野鋤 歌:暁テル子
  サーサ皆さん東京名物 とってもシックな靴みがき
  鳥打ち帽子に胸当てズボンの 東京シューシャインボーイ

同じ靴磨きの歌に昭和30年の「ガード下の靴みがき」があります。

ガード下の靴みがき 作詞:宮川哲夫 作曲:利根一郎 歌:宮城まり子
  紅い夕陽がガードを染めて
  ビルの向こうに沈んだら
  街にゃネオンの花が咲く
  俺ら貧しい靴みがき
  ああ夜になっても帰れない

「東京シューシャインボーイ」より後の年なのに暗い曲調ですが、ビル、ネオンという言葉は
戦後の復興が進んでいることを表しています。

私もよく利用する上野駅の地下道は、終戦直後には多くの被災者や戦災孤児たちが
寝泊まりしていました。

しIMG_0429

しIMG_0432


特別企画展会場では9月9日(日)まで特別企画展、「昭和館で学ぶ「この世界の片隅に」」が
開かれていて、作品に描かれた世界を資料や写真で再現しています。

昭和img045 (9)


闇市で出されていた食事の再現です。

昭和img045 (10)

進駐米軍の残飯で作ったシチューで、ゴミも混じっていました。
米軍で支給されていたタバコ、「ラッキーストライク」の包み紙が見えます。

昭和館の隣にある九段会館は、元は在郷軍人会の運営する軍人会館で、
戦後は国有となり、進駐軍宿舎として使用された後、国から日本遺族会に
貸与されました。
従業員には戦争未亡人を雇用していたそうです。
しかし、東日本大震災で天井板崩落事故を起こしたため、日本遺族会は運営を止め、
施設を国に返還しています。

2010年の九段会館の写真です。

九0108


まもなく平成も終わり、昭和はさらに遠くなります。

  見上げれば遠い昭和と白い雲

昭和館のHPです。

関連記事

【2018/08/25 18:46】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
please comment















管理者にだけ表示を許可する

trackback
trackback url ↓
https://nekoarena.blog.fc2.com/tb.php/3644-348fb710

プロフィール

chariot

Author:chariot
美術館・博物館めぐりとカフェの記事を書いています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


| ホーム |