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「生誕130年記念 奥村土牛」展 広尾 山種美術館
恵比寿
chariot

広尾の山種美術館では特別展、「生誕130年記念 奥村土牛」展が
開かれています。
会期は3月31日(日)までです。

img341.jpg


奥村土牛(1889~1990、101歳没)の作品135点を所蔵する山種美術館がその初期から
晩年にかけての長い画業をたどる展覧会で、院展の出品作品35点を含め、約60点が
展示されています。

この展覧会の作品の多くは2016年に同じ山種美術館で開かれた、「奥村土牛-
画業ひとすじ100年のあゆみ-」展にも展示されていました。

その時の感想は「奥村土牛-画業ひとすじ100年のあゆみ-」展の記事に書きました。


「雨趣」 1928年
前田001

麻布谷町(今の六本木1丁目)の雨の日の眺めです。
しっとりと雨に煙る様子がよく表れていて、色数を抑えてじっくり描くという画風は、
この頃にはすでに見られます。

「枇杷と少女」 1930年
img514_20190204194431c86.jpg

落着いた色調で、枇杷の色が引き立っています。

「兎」 1947年頃
ど003

奥村土牛らしい、耳を立ててきりりとした描きぶりですが、丸い姿に愛らしさがあります。

「舞妓」 1954年
奥村004

奥村土牛らしい簡潔な線と構図による、美人画とは違った、端正な姿です。
黒振袖の裾模様は、金泥で俵屋宗達風の鶴、帯の模様も金泥の笹です。
口紅、かんざし、帯揚げの赤がアクセントになっています。
おちょぼ口と、やや上目遣いの目が表情を初々しく見せています。
京都の一力に通ってスケッチを繰り返し、展覧会出展の1週間前になっても
作品に納得がいかず、また京都に行ってスケッチしたそうです。
まだ、新幹線も無い時代のことですから、その努力には驚きます。

「水蓮」 1955年
土牛4-3-2010_004

蓮と魚を描いた鉢に浮かぶ水蓮という取り合わせはユーモラスです。

「城」 1955年
山種005

輪郭線を使わず、対象を図形として捉え、画面を大胆に分割するという作風は、
姫路城を描いたこの作品に始まるといいます。

「鳴門」 1959年
土牛4-3-2010_005

遠くの島影に黄土色が少し使われている他は、緑青の緑と胡粉の白のみで
構成されています。
塗りを何十回も重ねた、近景の動と遠景の静が一体となった、量感のある、
重厚な作品です。
塗り重ねによる堅牢な画面造りは、奥村土牛の特徴です。
連絡船に乗っていて、たまたま渦潮に出会い、当時の小さな船の上から、
奥さんに帯を掴んでもらって、渦潮を覗き込んでスケッチしたということです。

「茶室」 1963年
土牛4-3-2010_003

大徳寺真珠庵の茶室で、「狭い空間に組立てられた直線の構成の美しさ」に
感嘆して描かれたとのことです。
四角形で区切った巧妙な構成で、窓の向こうの空間も見せて、
奥行きを感じさせます。
柱や壁は重ね塗りによって味わいを出し、障子に差す柔らかな光は
画面を明るくしています。
特に、右側の仕切り壁は琳派のたらし込みの技法を活かしていて、
古寂びた色合いに趣きがあります。
奥村土牛はセザンヌに傾倒していますが、この作品はモンドリアンの
影響も受けているそうです。

「鹿」 1968年
k010.jpg

簡潔な描写で、鹿の体のしなやかさと命の張りを捉えています。

「醍醐」 1972年
百003

奈良の薬師寺で行なわれた、小林古径の七回忌の法要の帰りに見た、
醍醐寺三宝院の枝垂桜に感激し、その後10年越しで完成させた作品です。
静かに咲いて静かに散る桜の姿と、兄弟子であり、師である、亡き小林古径の
姿を重ね合わせて描いたとのことです。
幹と支柱の縦線、土塀の横線を基本にして、幹を真中に据え、画面上を
桜で埋め尽くし、土塀の連なりで奥行きを見せています。
花弁の重なりは濃く薄く描かれて、立体感があり、塗りを重ねた幹の色は
桜の経てきた年月を感じさせます。

「吉野」 1977年
冨士008

霞の中に広がる、花の吉野の風景で、手前から奥へと三角形を重ね、
桜の木も三角形にした理知的な構成の画面です。
対象を一度、抽象化して再構成するという作風がよく表れています。

最後の弟子とされる西田俊英さんによれば、奥村土牛は弟子を叱ることは
一度もなく、作品を見てもらっても一言も批評しなかったそうです。
それは、絵の良し悪しは自分でしっかり考えろ、という意味だったと
思われるということです。
他の人の作品を観る時は、たとえ出来の悪い絵であってもていねいに
時間を掛けて観ていて、悪いとすればどこが悪いのかを考えていたそうです。
その人柄の伝わるお話です。

奥村土牛のゆるぎの無い堅牢な画風を改めて存分に味わえる展覧会です。

山種美術館のHPです。


次回の展覧会はご広尾開館10周年記念特別展、「花・Flower・華―四季を彩るー」展です。
会期は4月6日(土)から2019年6月2日(日)までです。

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【2019/02/28 19:51】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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