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「文化財よ、永遠に」展 ブロガー内覧会
六本木1丁目
chariot

六本木の泉屋博古館分館では住友財団修復助成30年記念 、「文化財よ、永遠に」展が
開かれています。
会期は10月27日(日)までです。

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国内外の1000件を超える文化財修復事業に助成を行なってきた公益財団法人
住友財団の設立30周年を記念して、助成によって修復された文化財の一部を
東京国立博物館、九州国立博物館、泉屋博古館(京都)、泉屋博古館分館
(東京)で同時期に展示する企画です。
泉屋博古館分館では仏画や美術工芸品、約50点が展示されています。
9月29日までの前期と10月1日からの後期で、ほとんどの作品が展示替え
されますので、展覧会のHPでご確認下さい。

9月13日にブロガー内覧会が開かれたので行ってきました。
野地耕一郎分館長と泉屋博古館竹嶋康平学芸員の解説を伺いました。

写真は特別の許可を得て撮影したものです。

文化財は必ず経年劣化するので、2~300年に一度、日本画などの場合は100年に
一度は修復が必要だそうです。
絵画の修復は装潢師(そうこうし)という表装(表具)の技術者が行ないます。

「立花図」 伝 王淵 絹本着色 中国・元~明時代14~15世紀 滋賀・聖衆来迎寺
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前期の展示です。
修復してみると、修復前は黒ずんで見えた花瓶は実は透明で、挿してある花の茎も見え、
ガラス器を描いたものだったことが分かりました。
以前の修復の時、絵の裏に貼る台紙のうち、すぐ裏に貼る肌裏紙を暗い色のものに
したため、絵の表面も暗くなってしまったものです。
昔の修復では、いわゆるボロ隠しのため、暗い色の裏紙を使うことがよくあったそうです。
現在の修復では、どの部分をどう直したかの記録を残し、後世に伝えるようにしている
とのことです。

「比叡山真景図」 池大雅 紙本墨画淡彩 宝暦12年(1762) 練馬区立美術館
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池大雅は実際に比叡山に登った後にこれを描いています。
小説家の五味康祐の旧蔵品でしたが、床の間に掛けていた時の雨漏りによる汚れや
皺などがあり、汚れ落としなどに時間がかかって、修復に2年を要したそうです。

「淀川両岸図巻」 円山応挙 
 絹本着色 明和2年(1765) 東京・アルカンシェール美術財団

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京都の伏見から大阪までの淀川の両岸の景色を描いた絵巻です。
落語の「三十石」の舞台にもなった所で、上り下りの川舟も見えます。
川の色の青も鮮やかで、ゆったりと穏やかな眺めです。
伏見から暫くは普通の俯瞰図なのですが、途中から川の両岸ともに
川の中心に視点を置いた図になっていて、そのため南岸は上下が逆になっています。
全長16mの長い図巻で、絹と裏紙では収縮率が異なるため、調節が難しいそうです。

「西洋人樽造図」 司馬江漢 絹本油彩 江戸時代・18世紀末 東京国立博物館
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9月23日までの展示です。
西洋の銅版画に倣って、透視図法を取り入れ、光と影を表し、油絵具に似た絵具を
工夫するなどしています。
修復によって、多くあった皺が直され、表装も新しくなっています。
最近の修復の場合、表装に使った材料などから、どの装潢師の仕事かも分かるそうです。

「五百羅漢図」 右より鬼趣、畜生、人 狩野一信 
 絹本着色 嘉永7年~文久3年 (1854~63) 東京・増上寺

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前期の展示です。
「五百羅漢図」のうち、前期には5点が展示され、後期には別の5点が展示されます。
幕末の絵師、狩野一信(1816-1863)の作で、全100幅で五百羅漢が揃うという大作です。
前期に5点、後期に5点が展示されます。
西洋絵画の影響による極めて濃い彩色で、絹の裏からも色を塗る裏彩色がされています。
修復時に調べると、画面全体に裏彩色されている珍しい例であることが分かったそうです。

2011年に江戸東京博物館で開かれた「五百羅漢―増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師
狩野一信」展の記事
です。

「葡萄蒔絵螺鈿聖餅箱」 木製漆塗、蒔絵 
 桃山時代・16世紀末~17世紀前半 神奈川・東慶寺

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カトリックのミサで聖餅(聖なるパン)を入れる容器です。
イエズス会の印であるIHSの文字も蒔絵で描かれ、葡萄はキリストの血であるワインを
表しています。
宣教師が京都で注文し、ヨーロッパに送られたもので、日本には僅かしか残っていません。
修復時の調査で、容器は正円形であり、ロクロで成形していたことが分かったそうです。

美術品の修復にはさまざまな技術が必要ですが、現在はその継承が難しくなっています。
掛軸などの絵の裏に貼る紙の種類によっては、吉野で一組の老夫婦が漉いているだけ
という厳しい状況にあるそうです。
伝統は何もしなくても伝わる訳ではなく、絶えず労力をかけ続けていかなければならない
ものであることを痛感します。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「金文―中国古代の文字」展です。
会期は11月9日(土)から12月20日(金)までです。

泉屋博古館分館は2020年1月から改修工事のため閉館し、2021年12月の完成を予定
しているそうです。
改修により、展示室を増築し、講堂も備えるとのことです。

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【2019/09/17 18:13】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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