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「江戸の茶の湯 川上不白生誕三百年」展
表参道
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南青山の根津美術館では特別展、「江戸の茶の湯 川上不白生誕三百年」が
開かれています。
会期は12月23日(月)までです。

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江戸千家の祖、川上不白(1719~1807)の生誕300年を記念して、不白の茶の湯を
紹介する展覧会です。

川上不白は紀州藩附家老水野家の家臣の子で、名は尭達、江戸に生まれています。
16歳の時、京都の表千家7代如心斎に入門し、奥儀を極め、後に江戸に移って
千家の茶を広め、江戸千家の祖となっています。

黒楽茶碗 「銘 紙屋黒」 長次郎作 桃山時代 16世紀 静嘉堂文庫美術館蔵
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不白が江戸に下るのに際し、後援者だった大坂の鴻池家5代目宗益から
贈られた茶碗です。

赤楽茶碗 「銘 只」 川上不白作 江戸時代 18世紀 個人蔵
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白土で「只」の字と「思知茶道奥儀 可参常此一字」の文言が書かれています。
茶の道の奥儀とは、特別のものなどではない、という意味でしょうか。
禅の境地のようにも思えます。

赤楽鶴茶碗 川上不白作 江戸時代 文化2年(1805) 個人蔵
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不白88歳の長寿を祝っての作で、目出度い鶴の絵が描かれています。

鶏頭蒔絵棗 塩見小兵衛作 江戸時代 18世紀 個人蔵
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不白は鶏頭を好んでいて、茶を入れる棗(なつめ)にも描かせています。
塩見小兵衛(政誠、まさなり)は京都の蒔絵師で、研ぎ出し蒔絵を得意としています。

 「遺偈」 清拙正澄書 南北朝時代 暦応2年(1339) 常盤山文庫蔵 国宝
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清拙正澄(1274-1339)は元時代の臨済宗の僧で、1326年に来日し、
鎌倉の建長寺、円覚寺、京都の建仁寺、南禅寺などの住持を勤めています。
不白が関西に滞在した折に、堺で開かれた茶会において、現在は国宝に
なっているこの書で、もてなされています。

不白は「花白河蒔絵硯箱」も拝見しています。

「花白河蒔絵硯箱」 室町時代 15世紀 根津美術館蔵 重要文化財
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満開の桜の下に公達を描き、幹などに花・白・河の文字を葦手書き(隠し文字)で
表しています。
新古今和歌集の飛鳥井雅経の歌に拠っています。

  なれなれてみしはなこりの春そとも なとしら河の花の下かけ


一行書 「無心雲自閑」 川上不白筆 
 江戸時代 18世紀 高知県立高知城歴史博物館蔵

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土佐山内家に伝わった不白の書です。
土佐藩山内家9代藩主豊雍(とよちか)は不白を茶道指南としています。


松平不昧が丹波福知山藩主の朽木昌綱に送った手紙もあります。
不白の茶会に出席するかどうか問い合わせていて、今ならスマホで
「今度のパーティ、行く?」と訊いているような感じです。

他にも盛岡藩南部家、忍藩阿部家、岡山藩池田家、長州毛利家、土佐藩山内家との
交流を示す資料も展示されています。
不白の門人は皇族から大名、旗本、豪商から町の魚屋まで広がっていたそうで、
その名声の高さを知ることが出来ます。

中村芳中の絵に不白が賛を付けた軸や不白自身が描いた絵も展示されています。

川上不白に始まる江戸千家には石塚派、浜町派、岐部派、孤峰庵派があるとのことで、
各派についての資料も展示されています。


展示室5のテーマは「平家物語画帖」です。

「平家物語画帖」は江戸時代、17世紀の作品で、実際の扇面より小さな
金地の画面に平家物語の120の場面がきらびやかな大和絵で描かれています。
詞書と扇面が組み合わされた各場面を折りたたんで3冊の画帖に仕立ててあります。

上帖は「殿上の闇討」から「富士川」までです。
中帖は「小督の事」から「兼平最期」までです。
下帖は「坂落し」から「小原御幸」までが描かれています。

下帖より、「敦盛最期の事」
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一ノ谷の戦いで、沖に逃れようとする平敦盛を扇をかざして呼び戻す
熊谷直実です。
陸と海を対比する、絵画的な場面で、能や幸若舞の「敦盛」はこれを
題材にしています。

2012年に同じ根津美術館で開かれた「平家物語画帖  諸行無常の
ミニアチュール」展の記事
です。


展示室6のテーマは「口切の茶」です。

11月には初夏に摘んだ茶を入れた茶壷の口の風を切る「口切」が行なわれます。

茶壺 「銘 四国猿」 福建省系 元時代 14世紀
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四国猿の銘の由来は不明とのことです。
胴の色に変化が見られるのが面白いところです。

「村雲蒔絵棗」 小島漆壺斎作 江戸時代 18~19世紀
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松平不昧が作らせた棗で、木目を残した黒漆塗りの地に金蒔絵で和歌が
書かれています。
小島漆壺斎(1761-1816)は松江藩の塗師棟梁、小島清兵衛の5代目で、
江戸で原羊遊斎に学び、不昧から漆壺斎の名を賜っています。

  村雲の跡なきかたも時雨るゝは 風を便りの木葉なりけり

展覧会のHPです。

次回の展覧会は企画展、「〈対〉で見る絵画」です。
会期は2020年1月9日(木)から2月11日(火・祝)までです。

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【2019/11/21 19:16】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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