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「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」展 六本木 国立新美術館
乃木坂
chariot

六本木の国立新美術館では「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」展が
開かれています。
会期は2020年3月16日(月)まで、毎週火曜日は休館日です。

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日本とオーストリア・ハンガリー二重帝国との国交締結150年を記念しての展覧会で、
ブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリーの所蔵する、
ルネッサンスから20世紀初頭までの絵画、彫刻作品130点が展示されています。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 「聖母子と聖パウロ」 
 1540年頃 ブダペスト国立西洋美術館

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ティツィアーノらしい、なめらかな筆遣いと色彩です。
パウロは新約聖書の執筆者の一人であり、斬首されて殉教したと伝えられているので、
持ち物(アトリビュート)は書物や剣です。
ローマの軍装をして描かれていますが、実際のパウロはユダヤ人のテント職人と
されています。
パウロの顔には個性があるので、この絵の注文主がモデルではないかとのことです。

ルーカス・クラナーハ(父) 「不釣り合いなカップル 老人と若い女」
 1522年  ブダペスト国立西洋美術館

若い女性にたぶらかされた老人が怪しげな表情で抱き寄せようとしていて、
女性はその隙に老人の財布を盗み取ろうとしています。
教訓的な画題で、女性の衣装の細かい描写が見事です。
老女と若い男性のカップルを描いた絵も展示されていて、この画題は
好まれていたようです。

ルネッサンスのヴェネツィア派のヴェロネーゼやティントレットの作品もあります。

エル・グレコ 「聖小ヤコブ(男性の頭部の習作)」
 1600年頃 ブダペスト国立西洋美術館

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グレコの特徴の細長い顔に描かれていて、何かの習作ではないかとのことです。
色調にも厳かな雰囲気があります。

スペインのゴヤ、オランダのヤン・ステーン、ナポレオン戦争後のビーダーマイヤー時代の
作品もあります。

クロード・モネ 「トゥルーヴィルの防波堤、干潮」 1870年 ブダペスト国立西洋美術館
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トゥルーヴィルはノルマンディーを代表する保養地で、1863年にパリと結ぶ鉄道が開通し、
パリのサン=ラザール駅から6時間で着くようになりました。
モネは1870年にカミーユと正式に結婚し、新婚旅行にトゥルーヴィルを訪れています。

オーギュスト・ルノワール 「少女の胸像」 1895年頃 ブダペスト国立西洋美術館
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印象主義から古典主義への回帰を経た後の時期の作品です。
手早い筆さばきで、赤、白、青をうまく取り合わせています。

クールベ、コロ―、ドービニーの風景画もあります。

フランツ・クサーヴァー・メッサーシュミット 「性格表現の頭像 子どもじみた泣き顔」
 1771-1783年の間 ブダペスト国立西洋美術館

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鉛と錫の合金で、作者自身をモデルにしてさまざまな表情を表現した連作で、
2点が展示されています。
18世紀とは思えない、近代的な自我の表現です。
フランツ・ヴァー・メッサーシュミット(1736〜1783)は南ドイツ出身で、ウィーンで
活躍していましたが、精神を病んだことをきっかけに、このような自己に向き合う
作品を手掛けるようになります。

メッサーシュミットの「性格表現の頭像」の別の作品は2018年に同じ国立新美術館で
開かれた「ルーヴル美術館展」にも展示されていました。

2018年の「ルーヴル美術館展」展の記事です。


ハンガリー出身の作家の作品も数多く展示されています。
ハンガリー人の名前は西洋式の名姓の順でなく、日本と同じ姓名の順です。

シニェイ・メルシェ・パール 「紫のドレスの婦人」
  1874年 ハンガリー・ナショナル・ギャラリー

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シニェイ・メルシェ・パール(1845 - 1920)はハンガリー芸術大学の学長も務めた画家で、
フランスの印象派とは別に外光を取り入れた作品を描いています。
新婚の夫人をモデルにしていて、紫色のドレスと野原の緑色が補色対応して、
強いインパクトがあります。
パリで第1回印象派展が開かれた年の作品ですが、印象派と違って筆触分割は
していません。
伝統的な画風ではないので、専門家の評価は低かったものの、一般の評判は
良かったそうです。

シニェイ・メルシェ・パール 「ヒバリ」 1882年 ハンガリー・ナショナル・ギャラリー
大きな作品で、野原に横たわる裸婦、青空に浮かぶ白い雲、一羽のヒバリを
低い視点から見上げるように描いています。
画面は飛びぬけて明るく、今見ても極めて斬新で、シュルレアリスムを思わせる
雰囲気があります。

ムンカーチ・ミハーイ 「フランツ・リストの肖像」
 1886年 ハンガリー・ナショナル・ギャラリー

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ムンカーチ・ミハーイ(1844-1900)はハンガリーを代表する、写実主義の画家です。
パリを中心に活躍し、初め、貧しい庶民を描いていましたが、貴族の女性と
結婚してからは画題が変わり、上流階級の生活を描くようになります。
パリの夫妻の家で開かれていたサロンを訪れた晩年のリスト(1811-1886)を描いていて、
ピアニストであることを強調して、白い鍵盤と手、白髪を際立たせています。
ハンガリー出身のリストはずっと年下のムンカーチを尊敬していて、快くモデルに
なったそうです。
リストはこの4か月後に亡くなっています。

ムンカーチ・ミハーイ 「パリの室内(本を読む女性)」
 1877年 ハンガリー・ナショナル・ギャラリー

ムンカーチ・ミハーイ 「本を読む女性」
 1880年代初頭 ハンガリー・ナショナル・ギャラリー

2点とも裕福な家庭の豪奢な室内を描いていますが、軽やかな雰囲気ではなく、
ロシア写実主義を思わせる重厚な描き振りで、その力量の高さを示しています。


ヴァサリ・ヤーノシュ 「黄金時代」 1898年 ハンガリー・ナショナル・ギャラリー
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幻想的な画面で、自らデザインしたアール・ヌーヴォー調の額に入っています。
ヴァサリ・ヤーノシュ(1867-1939)の作品は「ガーデンチェアに座る女性」(1930年頃)も
展示されていますが、画風はかなり変わり、デュフィのようなモダンで明るい雰囲気です。

リップル=ローナイ・ヨージェフ 「赤ワインを飲む私の父とピアチェク伯父さん」
 1907年 ハンガリー・ナショナル・ギャラリー

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リップル=ローナイ・ヨージェフ(1861- 1927)はパリでムンカーチ・ミハーイに師事した後、
ナビ派に加わっています。
びっしりと筆を押し付けた厚塗りで、ナビ派風の平面的な画面をつくっています。


この展覧会の見所はやはりハンガリーの作家の作品で、特にムンカーチ・ミハーイや
シニェイ・メルシェ・パールは印象的でした。

展覧会のHPです。

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【2019/12/10 19:12】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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