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「近代日本画の華―ローマ開催日本美術展覧会を中心に―」 大倉集古館
六本木一丁目・神谷町
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大倉集古館では企画展、「近代日本画の華―ローマ開催日本美術展覧会を中心に―」が
開かれています。
会期は9月27日(日)までです。

大倉img205 (2)


1930年に大倉財閥2代目の大倉喜七郎の後援により、ローマで日本美術展覧会が
開かれました。
横山大観を団長に院展系、官展系合わせて80名の日本画家の作品が出展されました。
その開催90年を記念して、ローマ展に出展された作品を中心にした展示です。

児玉素光 「山の湯」 大正15年(1926)
大倉002
 
故郷の長野県山ノ内町の温泉を描いた作品です。
湯田中温泉郷の中の地獄谷温泉でしょうか。
深い緑の中に温泉宿や長い廊下、湯気を上げる浴場が埋れています。
宿の二階には手拭が干されていて、人懐かしさを感じる情景です。

川合玉堂 「高嶺の雲」 6曲1双 明治43年(1910) 
右隻
大4-24-2010_005

晩年の穏やかな作風と違って、硬く鋭い筆遣いで険しい山稜を描き出しています。
様式に嵌らずに、写実を追う姿勢は晩年まで一貫しています。

横山大観 「山四趣」 4幅対 大正14年(1925)
「春靄」
日002

水墨による山の四つの表情を描いています。

鏑木清方 「七夕」 6曲1双 昭和4年(1929年)
左隻
音008

七夕の竹飾り、瓜、徳利、香炉、桔梗、女郎花と共に五色の糸巻き、琴、筆と柏葉の
模様の着物がお供えされています。
着物の柄は梶や柏の葉に字を書いて供える風習を表しています。
裁縫、音楽、書道の上達を願う行事です。
左上に金銀の砂子で描かれた天の川を見上げる女性の着物は秋草の裾模様です。

右隻
音009

8月30日までの展示です。
水葵と朝顔の模様の着物姿の洗い髪の女性が縁台に腰掛け、白い芙蓉を
眺めています。
網に笹の裾模様の着物の女性は、かがんで針に糸を通しながら水鏡に映る
織姫と彦星を視ているところです。

横山大観 「夜桜」 昭和4年(1929)
大倉012

左隻
大倉013

右隻
大倉014

9月2日からの展示です。
篝火に浮かび上がる満開の山桜と山の端にかかる満月です。
豪華極まりない装飾画で、桜の花はおしべまで描き込んであります。
周辺を暗く描いているので、桜は吹き上がるように輝いて見えます。
ローマで特に評判の高かった作品とのことです。

宇田荻邨 「淀の水車」 2曲1隻 大正15年(1926) 
大4-24-2010_002

水辺の水車という、夏らしい爽やかな情景です。
緑の葉のアシや、タデが風に揺れ、水車は水しぶきを上げて回り、画面に
動きを感じます。
群青と緑青がひと際鮮やかで、水鳥のコサギの白と画面右下にいるバンの黒も
対照的です。
水車の複雑な構造をすっきりした線で描き込んで、装飾的な造型を見せています。

菱田春草 「かけす」 明治43年(1910) 個人蔵
大倉img205 (3)

琳派風の没骨でホオノキに留まるカケスを描いています。

竹内栖鳳 「蹴合」 昭和4年(1929)
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竹内栖鳳の得意とする動物画で、軍鶏(シャモ)が羽根を逆立て、闘っています。

橋本関雪 「暖日」 昭和4年(1929)
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橋本関雪は動物や人物をよく題材にしており、猫を描いても鋭さがあります。

橋本関雪 「猿猴図」 昭和4年(1929)
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猿は東洋画によく描かれる題材ですが、この猿は写実的で毛の質感まで
表しています。

小林古径 「木菟図」 昭和4年(1929)
大倉011

紅梅の枝に止まるミミズクです。
薄墨色の中に紅梅が点々と浮かび、ミミズクの目もそれに染まったように紅く
なっています。

展覧会のHPです。

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【2020/08/22 18:40】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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