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国立新美術館 「THE ハプスブルク-華麗なる王家と美の巨匠たち-」展 
乃木坂
chariot

六本木の国立新美術館で開かれている、「THE ハプスブルク
-華麗なる王家と美の巨匠たち-」展に行って来ました。
期間は12月14日までです。

コピー ~ ハ10-17-2009_002


日本とオーストリア・ハンガリー二重帝国との国交締結140年を記念しての
展覧会です。
オーストリア・ハンガリー二重帝国とは、当時のハプスブルク家の帝国の
ことです。
ウィーン美術史美術館とブダペスト国立西洋美術館の所蔵絵画75点に
工芸品約120点が展示されています。

東欧、スペイン、オランダ・フランドル、イタリアを支配したハプスブルク家の
コレクションを中心にしての展示ですから、圧巻でした。


ハプスブルク家の肖像画

7番 ミハーイ・ムンカーチ 
   「ハンガリーの軍服姿の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世」 1896年頃


晩年の皇帝の肖像で、ハンガリー騎兵の特徴である、肋骨型紐飾りの付いた、
豪華な真紅の軍服を着ています。
皇帝は、崩れかけた帝国を支えるため、亡くなる直前まで、寝る間も惜しんで
執務したということす。
ハンガリーとの融和を示すため、ハンガリー型軍服姿を描かせたのでしょうか。
しわの目立つ顔に、国家と家庭の困難に立ち向かい続けた老皇帝の苦悩が
現れています。
ムンカーチはハンガリーを代表する、写実主義の画家とのことです。


8番 フランツ・クサファー・ヴィンターハルター 
   「オーストリア皇妃エリザベート」 1865年


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皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の皇后エリザベートの肖像です。
見上げるような大きな絵ですが、美貌を詠われたエリザベートにふさわしく、
豪華で優雅です。
華やかな白いドレスには銀の星型の模様が付いていて、髪飾りも星の形を
しています。
手に持っているのは、牡丹か何かを描いた日本の扇のようにも見えます。
後ろの花は夾竹桃でしょうか。


イタリア絵画

13番 ラファエッロ・サンティ 「若い男の肖像」 1503年頃

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甘いマスクで、ラファエッロの自画像とも良く似た雰囲気です。
レオナルドのモナリザと同じ構図で描かれていて、背景の風景も魅力的です。
モナリザと違って、顔をはっきり見せるため、背景の景色は首より下の高さに
描かれています。


22番 ティントレット 「キリストの笞打ち」 1585-90年頃

半裸のイエスを囲んで、ローマ兵たちが笞打っている情景です。
暗い画面の中の人物たちは、画面からはみ出すほどダイナミックな動きを
しています。
笞打っているローマ兵の一人も半裸の躍動的な姿で、聖書というより、
ギリシャ神話の中の人物のようです。


31番 ルカ・ジョルダーノ 「物乞い」 1650年頃

ボロボロの服を着た、一人の痩せこけた物乞いを描いています。
横からフラッシュのような強い光が当たり、男の顔は光と影の部分に
分けられて、一層印象を強くしています。
光の使い方は明らかにカラヴァッジョを思わせます。
ナポリ出身のジョルダーノは、ナポリに滞在したことのあるカラヴァッジョの
絵を手本にしたのでしょうか。
物乞いの姿でも真正面から捉えて描こうとする姿勢は、西洋画の
特徴のように思えます。


ドイツ絵画

37番 アルブレヒト・デューラー 「若いヴェネツィア女性の肖像」

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細密な描き方による、女性の肖像です。
背景を黒一色にして、人物をくっきり浮き上がらせ、髪の毛と服の色調を
合わせて、落ち着いた雰囲気にしています。
デューラーの絵には、理知的で、妥協の無い堅牢さを感じます。


41番 ルーカス・クラナッハ(父) 
    「洗礼者ヨハネの首を持つサロメ」 1535年頃


サロメは、ヘロデ王の前で舞を披露して、ご褒美に、自分の母を非難した
洗礼者ヨハネの首を貰ったと、新約聖書に書かれています。
目を見張るほど色彩が輝いていて、当時の流行と思われる豪華な衣装は
細密に描かれています。
ヨハネの首の載ったお盆をしっかり持ったサロメの輝くような顔は、かすかな
笑みを浮かべています。
ここで描かれているヨハネの首の図柄は、クラナッハの他の絵でもあちこち
使い回しされています。
クラナッハは、旧約聖書に登場する、敵の武将の首を自ら刎ねた女傑、
ユディトも描いていますが、武将の首はヨハネの首と同じ形です。
本来、洗礼者ヨハネが殺害されたことが重要な筈なのに、首は小道具の
ように扱われている訳です。
宗教的な題材を利用して、若い女性の美しさを表したのでしょう。
背景もよく描き込まれています。

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スペイン絵画

66番 エル・グレコ 「受胎告知」 1600年頃

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大天使ガブリエルがマリアに、イエスを懐妊したことを知らせる瞬間です。
翼を大きく広げ、下に舞い降りてくる動きと、マリアが驚いて振り仰ぐ
上への動きが交差し、大天使の右手は天を向いています。
色彩も、光を含んで、印象的です。


68番 フランシスコ・デ・スルバラン 「聖家族」 1659年

聖ヨセフと聖母マリア、幼子イエスの絵です。
マリアが赤ちゃんのイエスを抱き、若いヨセフがイエスの顔を優しく
覗き込んでいます。
イエスは神の子で、ヨセフは父ではないのですが、老いた姿で
描かれることの多いヨセフが若い姿なので、父親のように見えます。
マリアが聖母の印である赤い服と青いマントを着ているので、
聖家族と分かりますが、イエスを包んでいる産着も質素で、
普通の庶民の家族に見えます。


69番 ディエゴ・ベラスケス 「食卓につく貧しい貴族」 1618-19年頃

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父と長男、次男でしょうか、長男は何か議論し、父はそれを聞きながら
グラスを受け取ろうとし、次男はワインを注ぎながら、父はどう答える
だろうか気にしています。
それぞれの動きがつながっていて、ちょっとした家庭ドラマを見るようです。
テーブルの上の、パン、レモン、グラスなどは、人物と独立した静物画の
ような感じですが、何か意味があるのでしょう。
絵の焦点は右側の長男に合っていて、くっきりと描かれていますが、
父も次男も、ややぼかしてあります。
70番の「白衣の王女マルガリータ・テレサ」でも、王女の顔を細密に描き、
衣装は簡略化しているのと同じ手法です。


74番 バルトロメ・エステバン・ムリーリョ 
    「聖家族と幼い洗礼者聖ヨハネ」 1668-70年頃


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聖ヨセフと聖母マリア、幼子イエスと幼い洗礼者聖ヨハネを描いています。
幼い二人が小さな十字架を作って遊んでいますが、これはイエスの運命を
暗示しています。
実際には、大工仕事に忙しい父、遊びに夢中の子供たち、縫い物をしながら
見守る母という、庶民の家庭風景に見えます。
68番のスルバランに比べると、おぼろげなタッチで描かれていて、子供たちは
とても可愛く、見守るマリアの顔は優しく、愛らしい光景です。


フランドル・オランダ絵画

60番 サロモン・ファン・ライスダール
    「渡し舟のある川の風景」 1644年


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ライスダールの特徴の、空を広く取った画面です。
煙突から煙の上がる家、白馬に乗った人、牛も載せた小船、水鳥など、
穏やかな田舎の風景です。
絵の真中に大きな木を描いて、作品を引き締めています。
画面の動きは左から右へ向かい、風も右に吹いています。
水と空と雲が溶け合って、とても気持ちの良い作品です。


64番 ピーテル・デ・ホーホ 「女と子供と使用人」 1663-65年頃

室内に母親が座って、赤ちゃんに乳を飲ませながら、立っている女性と
話をしています。
小さな女の子が、外へ行こうと女性の手を引いています。
部屋のドアが開いており、更にその向こうの部屋の戸口も開いていて、
そこから明るい外の景色が少しだけ覗けます。
体を傾けて、女性の手を引っ張っている女の子の仕草は、いかにも
可愛く見えます。
ピーテル・デ・ホーホは、フェルメールと同時代のデルフト出身の画家で、
フェルメールと同じく、穏やかな日常の情景を描いています。


イタリア、スペイン、ドイツ、オランダ・フランドルと、多くの画家と、さまざまな
画風の絵画をまとめて観ることが出来ました。
特に、オランダ・フランドルのコーナーでは、歴史画や宗教画だけでなく、
世俗画も多く展示されており、興味深く思いました。

工芸品も豪華で、優美、見応えのある展示でした。
特に「シャーベット用センターピース」は、これこそ王家の食器といえる、
この上なく優雅な逸品です。

ハ10-17-2009_001

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【2009/10/17 21:16】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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