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山種美術館 速水御舟 -日本画への挑戦-
恵比寿
chariot

新山種美術館では、新美術館開館記念特別展として、
「速水御舟 -日本画への挑戦-」が開かれています。
 
三番町から恵比寿に移転して最初の展覧会です。
前期は10月1日~11月1日、後期は11月3日~29日です。
山種美術館は速水御舟の代表作を所蔵しているので、
開館記念として当然の企画といえるでしょう。

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美術館は恵比寿駅から駒沢通りを広尾に向って進み、恵比寿プライム
スクエアを過ぎ、坂を上りきった右側にあります。
途中、大きな横断歩道橋を渡り、坂道を上がっていくので、ゆっくりだと、
駅から15分くらいかかり、きついと感じる方もいるかも知れません。

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1階には、速水御舟の「名樹散椿」に因んで名付けられたという、
「Cafe 椿」があります。

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受付横には加山又造の「千羽鶴」をあしらった陶板が飾ってあります。

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展示室は地下にあります。

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14番 「炎舞」 1925年 31歳 重要文化財

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夜の焚き火に集まる蛾の群れです。

揺らぎながら燃える炎は仏画の不動の火炎に倣っていますが、暗い背景との
境はぼかされています。
煙が渦を巻いて昇り、集まった蛾は円を描いて飛び、円の中心を飛ぶ蛾は
小さく、周りの蛾は大きく描かれています。
立体感と動きのある画面です。
御舟は、背景の色について、「もう一度描けといわれても二度とは出せない色」と
述べているそうです。
やがて炎に焼かれてしまう蛾の舞う、一瞬の時を捉えています。


25番 「翠苔緑芝」 1928年 34歳

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四曲一双の金箔地の屏風で、右隻に枇杷と青桐、つつじです。
枇杷の木には、まだ青い実から熟れた実まで付いていて、木の下では
黒猫が振り向いています。
隣に展示されている、24番の小下図では、つつじの場所には朝顔の鉢が
3つ置かれ、黒猫と白猫の2匹になっています。

左隻には紫陽花と2匹の白兎です。
紫陽花は咲き始めから満開まで様々に咲いています。
白兎は、向こうに黒猫がいるのも知らずに、呑気に草をかじったり、
寝ころがったりしています。

全体に、右奥から左手前に広がり、右上から左下に下がっていく構図です。
琳派風の装飾性を極め、きっちりとまとまった、近代的な作品です。
御舟の言葉、「もし無名の作家が残ったとして、この絵だけは面白い絵だと
後世言ってくれるだろう」。


43番 「名樹散椿」 1929年 重要文化財 35歳

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京都の地蔵院の五色八重散り椿を描いたものです。
花びらが一枚づつ散るという、珍しい椿です。

「翠苔緑芝」と同じく、琳派の装飾的な画面ですが、印象はやや違います。
右から左に下る構図で、椿の枝はねじれながら伸び広がっています。
紅、白、斑の花を付けた枝は重みで傾き、地面には花びらが散っています。
奥にある葉、手前の葉を一枚一枚描き分け、量感と立体感があります。
背景は「撒きつぶし」という、金砂子を竹筒に入れて撒いていく方法です。
金箔のような縦横の線が無く、同じ調子の金地がびっしりと広がっています。
しんと静まった画面で、有無を言わせぬ迫力と緊迫感があります。

私は、速水御舟の絵から感じるすご味は何だろうと思っていましたが、この
「名樹散椿」を観ると分かる気がします。
西洋画の技法を使って、幹や葉の質感や立体感を出し、今までの日本画
には無い、粘りのある画面を作っています。


71番 「埃乃土人ノ灌漑」 1931年 37歳

小品で、10ヶ月の欧州旅行で見かけた、エジプトの情景です。
2つの跳ね釣瓶を使って、2人の褐色の肌の男が、半裸で向き合って
水を汲んでいます。
人物の姿は古代のエジプト絵画風で、1人は赤い腰巻に白い鉢巻、
1人は白い腰巻に赤白の鉢巻です。
左右対称の面白い構図で、烏が1羽、のんびり止まっています。
肩の力を抜いた、楽しい絵です。


101番 「婦女群像」(未完) 1934年 40歳

速水御舟は欧州旅行から帰ると、人物画に取り組み始めたとのことです。
6人の着物姿の若い女性が、立ったり、腰掛けたり、座ったりして、
左上から右下に流れる構図になっています。
大作ですが、画布を貼り付けた板からヤニが浮いてきたので、輪郭線を
描き掛けたところで終わっています。

御舟の人物画については、福島県立美術館所蔵の「女二題」を、5月に
東京都美術館で開かれた、「日本の美術館名品展」で観たことがあります。
着物姿の夫人をモデルにしていますが、描線もしっかりと的確で、
表情も生き生きしていました。
「婦女群像」も完成していれば、さぞかし面白い作品になっていただろうと
思います。


110番 「あけぼの・春の宵のうち あけぼの」 1934年 40歳

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小品で、薄紅の空を背景に、真横に伸びた柳の枝が上に立ち上がり、
更に滝のように垂れ下がっています。
烏が枝に止まって、その空を見上げています。
春も浅いのでしょう、柳はまだ葉を付けていません。


111番 「あけぼの・春の宵のうち 春の宵」 1934年 40歳

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薄墨色の夜のなかで、斜めに伸びた満開の桜の枝から、はらはらと
花が散っています。
三日月に照らされた桜は、盛りの最後の時の妖しさを湛え、
白く浮かんでいます。

速水御舟は40歳という若さで亡くなっています。
日本画を近代絵画にしようと、さまざまの試みの途中だったことを思うと、
惜しまれてなりません。

展覧会のHPです。

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【2009/10/13 21:08】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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