上野
上野の東京国立博物館の恒例のイベント、「博物館でお花見を」に行ってきました。
会期は4月11日(日)までです。
「虚空蔵菩薩像」 平安時代 12世紀 国宝
国宝室に4月11日(日)まで展示されています。
虚空蔵菩薩は密教系の菩薩で、虚空のように広大な福徳と知恵を備えていると
されています。
銀を多く使っているのが特徴で、繊細に装飾されています。
この像は絵画として日本で最も古い作例ですが、来歴は不明とのことです。
「天狗草紙(東寺・醍醐寺巻)」 鎌倉時代・13世紀 重要文化財
4月25日(日)までの展示です。
「天狗草紙」は仏教諸派の僧侶の慢心を風刺した絵巻です。
右が東寺の中門、左が南大門です。
醍醐寺の清瀧会(せいりゅうえ)では桜花の散る舞台で稚児たちが舞楽を演じています。
薙刀を持った僧兵や見物人を棒で追い立てる僧兵が見えます。
仮設の楽屋もあります。
「阿弥陀聖衆来迎図」 鎌倉時代・14世紀
阿弥陀如来が笛や琵琶で音楽を奏でる菩薩たちを連れて、往生者を迎えています。
観音菩薩は蓮台を往生者に差し出しています。
「紺紙金字一字宝塔法華経断簡(太秦切)」 平安時代・12世紀
4月25日(日)までの展示です。
金泥で描いた宝塔の中に一字ずつ経文を書き入れています。
見返しは後補で、聖徳太子が黒駒に乗って富士山まで飛んだという伝説を描いています。
聖徳太子を描いたのはこの経文が聖徳太子の書写によるものと伝えられたため
とのことです。
「雀の発心」 室町時代~安土桃山時代・16世紀
4月25日(日)までの展示です。
子を蛇に食べられて悲しむ雀の小藤太夫婦の許にさまざまの鳥たちが弔問に訪れ、
和歌を詠み交わします。
やがて出家した小藤太は諸国の社寺を訪れた後、庵を結んで極楽往生を遂げます。
墨染の衣を着た雀の姿がとても可愛らしく描かれています。
クイナとヤマドリ
ニワトリとヒバリ
出家する小藤太
フクロウの許で釈阿弥陀仏という名を授かる小藤太
清水寺を参詣
桜の頃で、音羽の滝が見えます。
北野天満宮には紅梅が咲いています。
絵巻の最後、踊り念仏を唱える小藤太
庭木は紅葉しています。
サントリー美術館も同じ題材の「雀の小藤太絵巻」を所蔵していて、時々展示もしています。
「枝垂桜蒔絵棗」 江戸・17世紀
嵯峨棗といわれる、無名の工人たちの作った棗で、その素朴さが茶人たちに好まれたと
いうことです。
「源氏物語図屏風(絵合・胡蝶)」狩野〈晴川院〉養信筆 江戸時代・19世紀
4月18日(日)までの展示です。
右隻
冷泉帝の御前で、光源氏と権中納言(頭中将)が左右に分かれて、
持ち寄った絵の優劣を競っています。
左隻
花の盛りのころの遊びの模様で、女童が蝶の衣装を着て、山吹の花を活けた
金の花瓶を持っています。
狩野養信(かのうおさのぶ、1796-1846)は江戸狩野の絵師で、
最晩年の僅かな間、橋本雅邦、狩野芳崖を弟子にしています。
「源氏物語図屏風(若菜上)」 伝土佐光則筆 江戸時代・17世紀 個人蔵
4月18日(日)までの展示です。
源氏物語第34帖で、六条院の庭で柏木たちが蹴鞠に興じていると、猫が飛び出した
拍子に御簾が開き、そこに立っていた女三宮を柏木が見てしまう場面です。
「大原御幸図屏風」 長谷川久蔵 安土桃山時代・16世紀
平家物語の最後、平家滅亡後に建礼門院は大原に籠り、
そこに後白河法皇が訪れます。
桜や藤が咲き誇っています。
農家では薪を割り、柴を運んでいます。
長谷川久蔵(1568-93)は長谷川等伯の子で、将来を期待されましたが、
父に先立って亡くなっています。
「伊勢物語絵巻 巻第二」 絵=住吉如慶、詞=愛宕通福他 江戸時代・17世紀
徳川4代将軍家綱の正室高厳院の御遺物として津軽家に伝来した品です。
住吉如慶(1599-1670)は住吉派の祖で、幕府の御用を多く勤めています。
筒井筒の場面
筒井筒井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに
河内越の場面
風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとりこゆらん
高安の女の場面
「草花屏風」 喜多川相説 江戸時代・17世紀
右隻
桜
左隻
撫子
春夏秋の花の絵を屏風に貼っています。
花は輪郭線を描き、茎や葉は輪郭線の無い木骨法にしています。
喜多川相説は金沢で活躍した絵師ですが、生没年は不詳とのことです。
「流水四季草花図屏風」 酒井抱一 江戸時代・19世紀
蒲公英、牡丹、紫陽花、立葵、百合、桔梗、薄など季節の草花を一つの画面に収めた、
江戸琳派らしい華やかな屏風です。
「唐織 金紅段枝垂桜尾長鳥模様」 江戸時代・18世紀
唐織は金銀糸をたっぷり使った豪華な織物です。
上杉家伝来の能衣装で、尾長鳥と枝垂桜が織り出されています。
「名所江戸百景 上野清水堂不忍ノ池」 歌川広重 安政3年(1856)
清水観音堂は寛永寺の塔頭の中で彰義隊の上野戦争にも焼け残った
建物の一つです。
現在の清水観音堂です。
「花売り」 前田青邨 1926年
琳派の技法のたらし込みも使い、大原女を正面から描いた堂々とした作品です。
「博物館でお花見を」のHPです。
春の庭園開放もされていて、さまざまな種類の桜を楽しめます。
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上野の東京国立博物館の恒例のイベント、「博物館でお花見を」に行ってきました。
会期は4月11日(日)までです。
「虚空蔵菩薩像」 平安時代 12世紀 国宝
国宝室に4月11日(日)まで展示されています。
虚空蔵菩薩は密教系の菩薩で、虚空のように広大な福徳と知恵を備えていると
されています。
銀を多く使っているのが特徴で、繊細に装飾されています。
この像は絵画として日本で最も古い作例ですが、来歴は不明とのことです。
「天狗草紙(東寺・醍醐寺巻)」 鎌倉時代・13世紀 重要文化財
4月25日(日)までの展示です。
「天狗草紙」は仏教諸派の僧侶の慢心を風刺した絵巻です。
右が東寺の中門、左が南大門です。
醍醐寺の清瀧会(せいりゅうえ)では桜花の散る舞台で稚児たちが舞楽を演じています。
薙刀を持った僧兵や見物人を棒で追い立てる僧兵が見えます。
仮設の楽屋もあります。
「阿弥陀聖衆来迎図」 鎌倉時代・14世紀
阿弥陀如来が笛や琵琶で音楽を奏でる菩薩たちを連れて、往生者を迎えています。
観音菩薩は蓮台を往生者に差し出しています。
「紺紙金字一字宝塔法華経断簡(太秦切)」 平安時代・12世紀
4月25日(日)までの展示です。
金泥で描いた宝塔の中に一字ずつ経文を書き入れています。
見返しは後補で、聖徳太子が黒駒に乗って富士山まで飛んだという伝説を描いています。
聖徳太子を描いたのはこの経文が聖徳太子の書写によるものと伝えられたため
とのことです。
「雀の発心」 室町時代~安土桃山時代・16世紀
4月25日(日)までの展示です。
子を蛇に食べられて悲しむ雀の小藤太夫婦の許にさまざまの鳥たちが弔問に訪れ、
和歌を詠み交わします。
やがて出家した小藤太は諸国の社寺を訪れた後、庵を結んで極楽往生を遂げます。
墨染の衣を着た雀の姿がとても可愛らしく描かれています。
クイナとヤマドリ
ニワトリとヒバリ
出家する小藤太
フクロウの許で釈阿弥陀仏という名を授かる小藤太
清水寺を参詣
桜の頃で、音羽の滝が見えます。
北野天満宮には紅梅が咲いています。
絵巻の最後、踊り念仏を唱える小藤太
庭木は紅葉しています。
サントリー美術館も同じ題材の「雀の小藤太絵巻」を所蔵していて、時々展示もしています。
「枝垂桜蒔絵棗」 江戸・17世紀
嵯峨棗といわれる、無名の工人たちの作った棗で、その素朴さが茶人たちに好まれたと
いうことです。
「源氏物語図屏風(絵合・胡蝶)」狩野〈晴川院〉養信筆 江戸時代・19世紀
4月18日(日)までの展示です。
右隻
冷泉帝の御前で、光源氏と権中納言(頭中将)が左右に分かれて、
持ち寄った絵の優劣を競っています。
左隻
花の盛りのころの遊びの模様で、女童が蝶の衣装を着て、山吹の花を活けた
金の花瓶を持っています。
狩野養信(かのうおさのぶ、1796-1846)は江戸狩野の絵師で、
最晩年の僅かな間、橋本雅邦、狩野芳崖を弟子にしています。
「源氏物語図屏風(若菜上)」 伝土佐光則筆 江戸時代・17世紀 個人蔵
4月18日(日)までの展示です。
源氏物語第34帖で、六条院の庭で柏木たちが蹴鞠に興じていると、猫が飛び出した
拍子に御簾が開き、そこに立っていた女三宮を柏木が見てしまう場面です。
「大原御幸図屏風」 長谷川久蔵 安土桃山時代・16世紀
平家物語の最後、平家滅亡後に建礼門院は大原に籠り、
そこに後白河法皇が訪れます。
桜や藤が咲き誇っています。
農家では薪を割り、柴を運んでいます。
長谷川久蔵(1568-93)は長谷川等伯の子で、将来を期待されましたが、
父に先立って亡くなっています。
「伊勢物語絵巻 巻第二」 絵=住吉如慶、詞=愛宕通福他 江戸時代・17世紀
徳川4代将軍家綱の正室高厳院の御遺物として津軽家に伝来した品です。
住吉如慶(1599-1670)は住吉派の祖で、幕府の御用を多く勤めています。
筒井筒の場面
筒井筒井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに
河内越の場面
風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとりこゆらん
高安の女の場面
「草花屏風」 喜多川相説 江戸時代・17世紀
右隻
桜
左隻
撫子
春夏秋の花の絵を屏風に貼っています。
花は輪郭線を描き、茎や葉は輪郭線の無い木骨法にしています。
喜多川相説は金沢で活躍した絵師ですが、生没年は不詳とのことです。
「流水四季草花図屏風」 酒井抱一 江戸時代・19世紀
蒲公英、牡丹、紫陽花、立葵、百合、桔梗、薄など季節の草花を一つの画面に収めた、
江戸琳派らしい華やかな屏風です。
「唐織 金紅段枝垂桜尾長鳥模様」 江戸時代・18世紀
唐織は金銀糸をたっぷり使った豪華な織物です。
上杉家伝来の能衣装で、尾長鳥と枝垂桜が織り出されています。
「名所江戸百景 上野清水堂不忍ノ池」 歌川広重 安政3年(1856)
清水観音堂は寛永寺の塔頭の中で彰義隊の上野戦争にも焼け残った
建物の一つです。
現在の清水観音堂です。
「花売り」 前田青邨 1926年
琳派の技法のたらし込みも使い、大原女を正面から描いた堂々とした作品です。
「博物館でお花見を」のHPです。
春の庭園開放もされていて、さまざまな種類の桜を楽しめます。
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