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日本橋三越  古吉弘 洋画展
三越前
chariot

日本橋三越本店で10月13日まで、「古吉弘 洋画展」が開かれていました。
11日に、ご本人によるギャラリートークがあったので行って来ました。

1959年生まれで広島市出身、細密な描写の人物画や静物画で有名です。

約30点の作品はどれも室内画で、主に西洋人の女の子や男の子を
モデルにしています。
それも清朝の宮廷服や、19世紀の洋服を着ていたりするという、
凝った場面設定です。
蝋燭の光に浮かび上がる少女の像などは、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールを
思わせます。

「DANIELLE」では、大きなタペストリーを背景に清朝の宮廷服を着た
少女が座っています。
絹地の質感が実に上手く表されています。

古10-14-2009_001


「KARIN & KENJI」では、テーブルの上にオレンジ、ケーキ、キャンディ、
おもちゃ、トランプなどが並び、二人の子供が水彩絵具で遊んでいます。

古10-14-2009_002


「SAMANTHA I」では、少女が手を添えた大皿の上には、オレンジや
西洋梨が載り、隣の皿には真っ赤な苺が盛られ、中国の染付や色絵の
花瓶には、シャクヤク、ダリア、バラなどが活けられ、ガラス器には
ワインが入っています。
果物はどれもみずみずしく、特に苺はリアルです。

また、古吉さんは最近、ハーグにある国際司法裁判所に飾る、第4代所長、
安達峰一郎(1869~1934)の肖像画も描いています。
国際司法裁判所には歴代の所長の肖像画が飾られていますが、
安達峰一郎は退任直後に急逝したため、描かれないままになっていた
とのことです。

以下は古吉さんのトークです。

「初めから画家を目指していた訳ではなく、趣味で描いていた。
中学時代は日本画が好きで、道具を買い揃えたが、描いてみると
難しいのであきらめた。
自分は集中して一気に描くのが苦手なので、ゆっくり描き直しが出来る
油絵が合っている。
高校時代は油絵を描き、バロックやロココを模写していた。
最近は19世紀後半の写実画が気に入っている。
京都芸術短期大学時代に、青木敏郎先生に半年ほど習った。
卒業後は、実家の骨董店の手伝いをしながら、時々個展を開いていて、
ぼちぼち売れるようになってきたので、東京に出て来た。

風景画を描いたことがあるが、空気感を上手く出せず失敗して、それ以来
描いていない。
人物画は何となく分かる。
西洋人は顔にめりはりがあり、立体的で、色彩も多いので、モデルとして
描きやすい。
立体的に描く洋画は西洋人に合っている。
最近は日本人もめりはりのある顔の人が多く、展示してある作品の中にも
日本人をモデルにした物もある。

清朝の服などの古着はクリスティーズのオークションなどで買った。
昔の衣装の方がロマンチックな雰囲気が出せる。
最近は現代の服も使うが、シンプルすぎて面白くないので、静物も一緒に
置いて、面白みを出している。
花は、難しいが描きたい素材なので、沢山描いている。

アメリカのアート・リニューアル・センター(ARC)の2008/2009年公募展で
最高賞を貰ったが、下位賞の中に自分より作品があるのではないかと
思ってしまう。
ARCはアンチ現代美術の団体で、写実絵画ばかりの集団。
アメリカというと現代美術と思いがちだが、本来アメリカ人は分かりやすい
絵が好きで、写実画の上手い人も多い。

細密画を描くのは、自分には見たままにしか描けないから。
小学校の時から細かく描いていた。
今後は集団人物も手掛けてみたい」

会場に居られた、同じく細密画を描かれる島村信之さんの評。

「古吉さんの世界は独特のもの。
ごちゃごちゃしているようで、実にさらりと上手くまとめている。
自分は、題材の指の先までどう描くか考えてからでないと取り掛かれない」

丁寧な話しぶりの方でした。
特に「見たままを描くと細密画になる」という話は印象的でした。

細密画には、写真のようで写真と違う魅力があります。
やはり、それは「描いた」という行為そのものにあるのでしょうか。

古吉さんは「看聞日記」という名の、blogも持っておられます。
今度の展覧会の主な作品も掲載されています。


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【2009/10/20 20:20】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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