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扇の絵

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先日は香炉や香合を集めたので、今度は香炉に風を送る扇を描いた絵、
扇に描かれた絵を集めてみました。

「彩絵檜扇」 平安時代・12世紀 
 島根・佐太神社蔵(島根県立古代出雲歴史博物館寄託) 重要文化財
 
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紅葉や草花の描かれた優美な扇です。
檜扇という、木の板を重ねた古い形の扇で、正式な場で用いられました。

「扇面法華経冊子」 平安時代・12世紀 東京国立博物館 国宝
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扇面に貴族や庶民の様子、花鳥や風景を描いた上に法華経を写し、冊子の形にしています。
雲母引きし、金銀の切箔、野毛、砂子を散らした、大変豪華な品です。
宮廷周辺の女性の発願で制作されたと考えられるとのことで、大阪の四天王寺に
伝来しています。

「舞踊図」 江戸時代・17世紀 サントリー美術館 重要美術品
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6点のうちの1点です。
風俗画として群舞の形で描かれていた舞踊図も、やがてこの絵のように一人ずつ
描かれるようになり、後の美人画の原型になったということです。
この女性は波にトンボの模様の小袖に、市松模様の細い帯を締めています。

「舞妓図」 江戸時代・17世紀 ミネアポリス美術館
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熨斗模様の小袖に唐草模様の帯、御所風髷の女性が扇を持って踊っています。
寛文美人図と呼ばれる、独立した美人図として最初の形式です。

「扇面歌意画巻(部分)」 江戸時代・17世紀 根津美術館
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和歌100種とその歌を連想させる扇面画を100図描いたもので、
「扇の草子」とも呼ばれています。

  から衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞおもふ

伊勢物語の中の歌で、八橋が描いてあります。

「平家物語画帖」 江戸時代・17~18世紀 根津美術館
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実際の扇面より小さな金地の画面にきらびやかな大和絵で平家物語の120の場面を描き、
詞書と扇面が組み合わされた各場面を折りたたんで3冊の画帖に仕立ててあります。
この場面は中帖の「宇治川先陣の事」で、宇治橋の橋板は外され、梶原景季を
佐々木高綱が呼び止めています。

「布晒舞図」 英一蝶 
 元禄11年~宝永6年(1698~1709)遠山記念館 重要文化財

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三宅島に流された時の絵で、新体操のリボンのような座敷芸なのでしょう、
娘が白布を翻して踊っている場面です。
右袖を脱ぎ、たすきをしていて、下に着ている小袖の赤色がアクセントに
なっています。
一番の見せ場の、体を反らせ、扇子を高く掲げた瞬間を捉えています。
盛り上げ処で、お囃子も声を張り上げ、小鼓は片膝を立て、前のめりに
なっていて、白布の作る流れるような線も見事です。
座敷中の拍手喝采が聞こえてきそうで、遊芸の愉しさ、精妙さが伝わって
きます。

「投扇図」 英一蝶 江戸時代
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神社の参詣者が、扇を投げて、鳥居の横木の間を通そうと競っています。
ずい分暇な人たちだと思いますが、神前での占いの意味もあるのでしょう。
勢い込んで投げようとしている姿が、槍投げ選手のようで、ユーモラスです。

「一の谷合戦図屏風」 六曲一双 海北友雪 
 江戸時代・17世紀 埼玉県立歴史と民俗の博物館

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扇面画に見えますが、実際は大きな屏風です。
平家物語の一場面で、沖の船に逃げようとする平敦盛を熊谷直実が扇をかざして
呼び戻しているところです。

「白地青海波扇文縫箔」 江戸時代・17世紀 根津美術館
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金箔を貼って模様を作る摺箔に、刺繍を加えた縫箔です。
扇の中には菊、藤、柘榴、紅葉などが刺繍で描かれています。
よく使われていたらしく、摺箔はかなりすり減っています。

「草子洗小町」 上村松園 1937年 東京藝術大学大学美術館
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謡曲の「草子洗小町」に想を得ています。
内裏の歌合せで小野小町の相手に決まった大伴黒主が小町の邸に忍び込んで
小町の準備した歌を盗み聞きし、当日に小町の歌が披露されると、その歌を
書き込んでおいた万葉集の草子を出して、異議を唱えます。

  蒔かなくに何を種とて浮草の波のうねうね生い茂るらむ

小町は驚きますが、不審に思って帝の前で草子を洗うと、その歌は消えてしまい、
小町への濡れ衣を晴らすことが出来たというお話です。

「舞う(舞妓)」 小倉遊亀 1971年 山種美術館
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振袖姿の若い舞妓が金の扇をかざして、誇らしげに振り返った
瞬間をとらえています。
赤紫色の振袖の柄は梅、牡丹、紅葉、菊、南天など四季の草花をあしらって
賑やかです。
赤い帯は菊の模様で、襦袢の赤、足袋の白も見えます。
髪飾りも多く、金、銀、赤をあしらっています。
顔は日本画独特の、すっきりと美しい線描で表しています。
色彩を多く使い、若々しく、華やかな姿を生き生きと描いた作品です。

「出雲阿国」 森田曠平 1974年
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歌舞伎の始まりと云われる阿国歌舞伎の場面を二曲一双の屏風に描いています。
阿国歌舞伎図屏風や、狩野長信の花下遊楽図から想を得た作品です。
かぶき者らしく蛭巻拵の刀を担ぎ、腰に瓢箪を提げた阿国は十字架を着けています。
信仰に関係なく十字架をファッションに取り入れるのはこの頃からあったようです。
覆面の立姿で鼓や太鼓を打つ囃子方、振り向く阿国は輝く金箔に包まれ、音曲まで
聞こえてくるようで、躍動感に満ちています。

「華扇屏風」 加山又造 1966年 山種美術館
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季節の花を描いた扇面を貼り並べた扇面散らし屏風です。
継ぎ紙、色の異なる銀箔、野毛、銀泥などを駆使した、琳派風の
とても工芸的な作品です。

「日本の花・日本の鳥」 上村松篁 1970年 山種美術館
右隻
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左隻
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扇面屏風の形で、右隻に紅白梅、白牡丹、桔梗などの花、左隻に鶉、山鳩、鴛鴦などの
鳥を端正な画風で描いています。


藤島武二 「黒扇」 1908-09年 アーティゾン美術館
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亡くなる前年の藤島武二が親交の深かった石橋正二郎に託した作品の中の1点との
ことです。
イタリア留学中の作品で、晩年、病床にあった藤島武二のアトリエでお弟子さんが
偶然発見しています。
絵の存在を忘れていた藤島武二は非常に喜び、いつも腹ばいになってこの絵を
観ていたそうです。
古典的な描き方の作品ですが、筆遣いに勢いがあり、ショールは白く輝き、
青い眼も印象的です。
藤島武二にとってさまざまの思い出のこもった絵なのでしょう。

「扇をもつ女」 竹久夢二 1932-33年 油彩
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欧州滞在中に描かれたようです。
ウイーンで人に譲った作品とのことで、外国人をモデルにしています。
夢二の油彩画は少ないのですが、その最後の作品ということです。

「孤愁の窓辺」 山本大貴 2021年 白日会展出展
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扇には優雅な雅宴画が描かれています。
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「日本式広間にいる画家の子供たち」 マリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサル
 1874年 プラド美術館

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マリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサル(1838-1874)は異国趣味の絵をよく描いています。 
横93㎝の横長の画面で、画家として名声を得た後に、自分の描きたいものを描いた
作品とのことです。
ジャポニズムの入った絵で、屏風らしい調度の前の長椅子に寝ている少女は
扇を広げています。
36歳で亡くなったフォルトゥーニの未完成の作品とのことですが、色彩は明るく、
描写に力強さがあります。

左:「田舎のダンス」 1883年 オルセー美術館
右:「都会のダンス」 1883年 オルセー美術館

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ピエール=オーギュスト・ルノワールの作品です。
「田舎のダンス」のモデルは、アリーヌ・シャリゴです。
テラスでのダンスでしょうか、奥に人の顔も見えます。
嬉しそうな顔のアリーヌは扇子を広げ、赤いボンネットはやや野暮ったく、
床にはカンカン帽が転がり、どんちゃん騒ぎの趣きがあります。
「都会のダンス」のモデルはシュザンヌ・ヴァラドンです。
こちらは都会というだけあって、シックな感じで、白いドレスの描き方も見事です。
始めは二つともシュザンヌをモデルにするつもりだったところ、アリーヌが嫉妬して、
片方はアリーヌをモデルにしたそうです。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「モネ夫人とその息子」 
 1874年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー

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庭でくつろいでいるのはカミーユと長男のジャンで、カミーユは日本の扇を
持っています。
モネには赤い着物を着て扇をかざすカミーユを描いた、「ラ・ジャポネーズ」という
作品があります。
モネはこの作品を気に入っていて、最晩年のジヴェルニーの家の寝室にも
掛けていたそうです。
若くして亡くなったカミーユと早世したジャンの思い出としていたのでしょう。

ジュール=ジョセフ・ルフェーブル 「ジャポネーズ(扇のことば)」 
 1882年 クライスラー美術館

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紅い着物を着て紅い扇を持ち、かんざしも差して、腰に別の着物を巻いて
帯の代わりにしています。
当時、欧州では扇の持ち方の違いでいろいろな言葉を表す、扇言葉というものがあって、
扇を口に当てるのは「キスしてください」という意味だそうです。
着物を着て扇を持った妻のカミーユをモデルにして、モネが「ラ・ジャポネーズ」を
描いたのは1876年です。

「真夏」 アルバート・ムーア 
 1887年 油彩・カンヴァス ラッセル=コート美術館

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縦横2m近い大作です。
左右対称を意識していて、双頭の鷲を彫った豪華な銀の椅子で眠る
女性の両脇に古代ギリシャ風の髪型と衣装のギリシャ鼻の女性が
金の扇を持って立ち、仏画の三尊像のような画面です。
女性の衣装とマリーゴールドの花輪のオレンジ色がとりわけ眼を惹く、
古代趣味とジャポニズムが一緒になった、優美この上ない作品です。

「羽の扇を持つエリザベート」
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ヨーロッパ宮廷一の美貌を謳われたオーストリア皇后エリザベート(1837-98)
はバイエルン公の娘に生まれ、オーストリア=ハンガリー帝国皇帝
フランツ・ヨーゼフ1世に見初められて16歳で結婚し、皇后となります。
しかし、ウイーンの窮屈な宮廷や皇后としての役割を嫌い続けます。
自慢の細いウエストがはっきり分かる肖像画です。
エリザベートは身長172cmの長身だったといいますから、
その姿は際立っていたことでしょう。

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【2021/08/29 19:26】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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