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「藝大コレクション展2021 I期 雅楽特集を中心に」 上野 東京藝術大学大学美術館
上野
chariot

東京藝術大学大学美術館では「藝大コレクション展2021 I期 雅楽特集を中心に」が
開かれています。
会期は8月22日(日)までです。

雅楽img143 (1)


今回は雅楽にちなんだ作品を中心にした展示です。
雅楽は奈良時代にさかのぼる日本の伝統音楽で、宮内庁式部職楽部などに
保存されています。

「伎芸天」 竹内久一 明治26(1893)年
彫005

会場の最初に置かれています。
台座を含め281cmの巨大な彩色木彫で、仏像彫刻の伝統によっていますが、
天井に咲く花(天華:てんげ)を持った姿はすらりとして自然な佇まいです。
竹内久一(1857-1916)は始め、根付などの象牙彫刻(牙彫:げちょう)の
修行をしますが、奈良の仏像彫刻を観て感銘を受け、木彫に転じています。
後に岡倉天心の知遇を得て、東京藝術大学の前身、東京美術学校の彫刻の
初の教授として高村光雲とともに指導に当たっています。

「浄瑠璃寺吉祥天厨子絵 弁財天および四眷属像」(全7面のうち) 
 建暦2年(1212) 重要文化財

芸008

元は京都浄瑠璃寺の重要文化財、「木造吉祥天立像」(鎌倉時代)を納めた厨子の
扉および背面板です。
これは正面板で、八臂(腕が8本)の弁財天を中心に、向かって右上に正了知大将、
左上に宝賢大将と思われる神将が立ち、右下に堅牢地神が鉢を持って、
左下に訶利帝母が柘榴の実を持って坐しています。

「水鏡」 菱田春草 明治30年(1897)
菱田009

22歳の時の作品です。
天女が紫陽花の枝を持ち、水鏡に自分の姿を映しています。
天女も永遠には若くなく、やがては衰えるという、天女衰相を表したとのことで、
色の移ろいやすい紫陽花を添え、水は濁って描いたそうです。
古画の模写などで得たであろう線描の技量は高く、堂々とした作品です。

「花園に遊ぶ天女」 橋本平八 昭和5年(1930)
彫006

高さ121.7cmの木彫で、全身に花模様が浅く線彫りされ、唇は赤く彩色されています。
近代的な雰囲気をたたえた作品で、モダンなアールデコ風のヘアスタイルをしています。
右足を少し上げた姿は軽やかです。
橋本平八(1897-1935)は三重県生まれで、彫塑部があった頃の院展などに
出品していましたが、38歳で早世しています。

「舞楽屏風」 模本 土佐光信 伝原作 制昨年不詳
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納曽利(なそり)            崑崙八仙(ころばせ)
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舞楽とは舞を伴う雅楽のことです。
さまざまな舞楽の場面が画面いっぱいに描かれています。
俵屋宗達の「舞楽図屏風」でも舞人が同じ形で舞っています。
土佐光信(1434-1525)は室町時代の土佐派の絵師で、足利8代将軍義政の
寵愛を受けています。

「萬歳楽襖絵」 小下図 小堀鞆音 制作年不詳
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画面構成を考えるための小さな下絵です。
「萬歳楽」は即位の礼などで演じられる舞楽で、賢王の世に鳳凰が現れるという
伝承に基く、鳳凰の舞う様を表す舞です。

「経政詣竹生島」 小堀鞆音 明治29年(1896)
藝大img202 (2) 

琵琶の名手、平経正が木曽義仲追討のため北陸に向かう途中、琵琶湖の竹生島に詣で、
琵琶を奏でるとその音色に感応した祭神の弁才天が白龍となって現れたという、
平家物語の一節に拠っています。
色彩もまとめられ、追討軍中にあるため、経正は鎧を着けた姿です。
小堀鞆音(こぼりともと)(1864~1931)は安田靫彦の師で、東京美術学校の教授も
努めています。
歴史画を得意とし、有職故実を学び、鎧も研究しています。

「絵因果経」 天平時代 8世紀後半 国宝
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5世紀に漢訳された、釈迦の前世の善行から現世で悟りを開くまでの伝記である、
過去現在因果経を絵入りの経巻にしています。
上段に釈迦の物語が素朴な表現で描かれていて、後の絵巻物につながる形と
考えられます。
東京美術学校が最初に収集した日本画でもあります。
展覧会では天女が琵琶を奏でている場面が展示されています。

「徳川式室内装飾」 山田於菟三郎 明治26年(1893)
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山田於菟三郎は東京美術学校の第1回卒業生で、小林古径の師でもあります。
卒業制作で、一点透視図法の見本のような構図で、武家御殿の内部の屏風絵、
三福対、欄間彫刻、天井画などが細密に描き込まれています。
舞楽の太鼓も置かれ、衝立には舞楽の「蘭陵王」が描かれています。
羅陵王(蘭陵王)は北斉の武人皇族、高長恭(541 - 573)の活躍を演じるもので、
武家の調度にふさわしい画題です。

夏らしい作品もあります。

「教鵡」 矢崎千代二 明治33年(1900)
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和服の女性がオウムに言葉を教えているところで、オウムはオウム返しをしています。
左からの柔らかな光を上手く表しています。
矢崎千代二(1872-1947)は横須賀市出身で、黒田清輝に師事し、東京美術学校に
学んでいます。
日本のパステル画の開祖とされ、世界各地を放浪して描き続け、終戦の翌々年に
北京で亡くなっています。

「径」 小倉遊亀 昭和41年(1966)   
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力強く簡潔な画面の中に女性らしい優しさが感じられます。
2人と1匹の足並みも揃って、リズムがあります。
新鮮でモダンな現代日本画です。

展覧会のHPです。

*****

同じ東京藝術大学大学美術館では「SDGs×ARTs展 十七の的(まと)の素(もと)には
芸術がある」が開かれています。
会期は8月31日(火)まで、入場は無料です。

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国連加盟国の定めた17の目標であるSDGs (Sustainable Development Goals
/持続可能な開発目標)になぜARTsが無いのか、ARTsをSDGsと結び付ける
ことが出来るのか考える展示で、東京藝術大学美術館の学生・卒業生・教職員が
さまざまな取組を紹介しています。


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【2021/07/29 19:16】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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