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能 五番立て
能楽
chariot

以前、能楽にちなんだ作品を集めたので、今度は私の好きな能の演目を5つ
選んでみました。

能の演目には五番立てという分類があり、古くは初めに儀式的な「翁」を演じた後、
一日かけて狂言を間に挟んで、各番から選んだ5つを演じていました。

分類は能楽協会の分類に拠っています。


初番目 神の登場する能です。

「海人(観世流では海士)」
藤原北家の祖、藤原房前(ふじわらのふささき)が海人であった母の亡霊と
会うというお話です。
泉鏡花の小説「歌行燈」でも、「海人」が題材になっています。
鏡花の生まれ育った金沢は能の宝生流の盛んな所です。
和泉流狂言の人間国宝、六世野村万蔵が狂言「寝音曲」でこの「海人」を
気持ちよさそうに詠い、舞っていたフィルムを見たことがあります。

「海女」(部分) 杉山寧 1934年 個人蔵
杉008
 
東京美術学校(現東京藝術大学)を首席で卒業した翌年の作品で、
三重県志摩地方の波切村に旅行したときに着想を得ています。
大作で、画面に動きと立体感があり、海の色は深く、木の質感まで表され、
伝統的な日本画とは異なる新鮮な力強さがあります。


二番目 恨みを呑んで死んだ者の亡霊が登場します。

「鵺」
平家物語に出てくる、御所の屋根に現れて源頼政に退治された怪物の鵺(ぬえ)の
亡霊が現れます。
亡霊が、頼政は名を挙げ、自分はうつぼ舟に押し込められ、桂川に流されて、
と恨みを語ります。

「太刀 大和物(号 獅子王)」 平安時代・12世紀 東京国立博物館 重要文化財
はIMG_0059

鵺を退治した源頼政に褒美として与えられた太刀とされています。
細身で優美な姿をしています。


三番目 女性を主人公とした演目です。

「羽衣」
三保の松原で漁師が天女の羽衣を見付けますが、現れた天女に返してほしいと
頼まれます。
漁師は天女が舞を見せるなら返すと約束し、天女は舞を見せ、天に帰っていきます。
衣を返しても舞ってくれるか疑う漁師に天女が答えた「いや疑いは人間にあり、
天に偽りなきものを」の言葉は有名です。

「羽衣」 高橋天山 2015年春の院展出展
院002

能の「羽衣」は三保の松原で天女が舞を漁師に見せるので、
この絵の天女は魚の泳ぐように舞っています。


四番目 狂乱物などさまざまな演目があります。

「道成寺」
紀州道成寺の釣鐘供養に一人の白拍子が現れ、舞を披露しますが、やがて本性を現し、
鐘の中に飛び込み、蛇体となって鐘から出てきますが、僧たちに調伏されて日高川の
水底に消えていきます。
安珍清姫伝説に拠っており、舞台には大きな鐘が吊り下げられ、恋慕の情の凄まじさを
見せる演目です。

「道成寺」 松岡英丘 1917年 姫路市立美術館
松003

松006

能の「道成寺」や歌舞伎の「京鹿子娘道成寺」などの道成寺物の元になった、
安珍清姫伝説を描いています。
再建された鐘の鐘供養の場に現れた白拍子です。
白拍子の本性は蛇となって鐘を焼いた清姫なので、恨めしげな眼差しで鐘を
見上げています。
着物の模様は蜘蛛の巣で、清姫の怨念を物語っています。


五番目 最後に演じられる能で、切能ともいわれます。

「邯鄲」
どう生きるか迷った青年が旅に出て、邯鄲(かんたん)という町に着き、宿の主人に
粟飯の焚ける間、一眠りすることを勧められます。
仙人が置いていったという枕をして横になると、皇帝の使者が現れ、壮麗な宮殿に
連れられていくと皇帝の位を譲られ、ついには五十年もの栄華を手にします。
天にも昇る気持ちでいたところを宿の主人に起こされ、粟飯が炊けたと告げられます。
五十年の栄華も一炊の夢に過ぎないと悟った青年は故郷に帰ることにします。
壮大な夢を三間四方の舞台で示して、人の眼を覚ます、鮮やかで切能にふさわしい演目です。

「伽羅」 鏑木清方 1936年 東京藝術大学美術館
香002

枕香炉(じんこうろ)という、髪に香りを薫きしめる枕でうたた寝をした
女性が目を覚ました姿です。
伽羅(きゃら)は香木の一種、沈香の質の高いものをいいます。

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【2021/08/31 21:11】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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