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「みろく ―終わりの彼方 弥勒の世界―」展 東京藝術大学大学美術館
上野
chariot

上野の東京藝術大学大学美術館では「みろく ―終わりの彼方 弥勒の世界―」が
開かれています。
会期は10月10日(日)までです。

藝大img218 (3)


この展覧会は2016年の「素心 バーミヤン大仏天井壁画~流出文化財とともに~」展、
2017年の「素心伝心―クローン文化財 失われた刻の再生」に続く企画です。

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弥勒(みろく、マイトレーヤ)は釈迦入滅後、56億7千万年後にこの世に現れ、
人びとを救済するとされている未来仏です。

弥勒像はパキスタンのガンダーラで生まれ、アフガニスタンのバーミヤンを経由し、
シルクロードを通って、遠く日本にまで伝わっています。
展覧会ではガンダーラ、バーミヤン、敦煌などに残る弥勒を紹介する展示です。

入口の床の地図にある赤い点を踏むと、画像が現れます。

ガンダーラ
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龍門
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興福寺
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戦車に乗る太陽神を表した柱頭
 ガンダーラ 2-3世紀 平山郁夫シルクロード美術館蔵

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仏教美術ですが、4頭立ての馬車を駆る太陽神は古代ギリシャに由来する神です。

弥勒菩薩座像 ガンダーラ 2-3世紀 平山郁夫シルクロード美術館蔵
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初期の弥勒像は左手に水瓶を持っています。
ガンダーラ仏の姿は西方ギリシャ・ローマの面影があります。

弥勒菩薩礼拝図 ガンダーラ 3-4世紀 平山郁夫シルクロード美術館蔵
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弥勒菩薩はこの世に現れるまでの間、兜率天(とそつてん)で説法していると
されています。

太陽神ミイロ/カニシュカ1世金貨
 2世紀前半 インド北部~アフガニスタン 平山郁夫シルクロード美術館蔵

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弥勒の名は太陽神ミイロに由来し、ミトラス教とも関連があります。
カニシュカ1世はインドから中央アジアにかけて栄えたクシャーナ朝の王で、
仏教を保護したことで知られています。

バーミヤンE窟仏龕及び天井壁画(青の弥勒) 想定復元 東京藝術大学蔵
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右手は思惟手の形、左手は水瓶を持った弥勒像です。
アフガニスタン特産のラピスラズリを使って青々と描かれ、左右には柱頭飾りの
載った柱も描き込まれています。

バーミヤンE窟模型 東京藝術大学蔵
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人の身長は左右の黒い穴に近い高さです。
E窟のこの座像も天井壁画もタリバンにより爆破されてしまいました。

バーミヤン東⼤仏天井壁画「天翔る太陽神」 想定復元 東京藝術大学蔵
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バーミヤンの東大仏の天井部分に描かれていた壁画、「天翔る太陽神」は2001年に
タリバンによって東大仏とともに爆破されています。
その壁画を、写真資料を基に原寸大で和紙に印刷し、実物と同じ形に再現された
天井に貼り、岩絵具で彩色して想定復元しています。

槍を持ち、光背を負った太陽神を中心に、風神、翼を持つ飛天、4頭の馬の牽く
馬車などが描かれ、アフガニスタン特産のラピスラズリの青が空間を埋めています。
太陽神はギリシャの太陽神ヘリオス、イランのミスラなどの影響を受けているそうです。

壁の側面には僧に導かれた大仏の寄進者も描かれています。
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(参考)
2016年の「素心 バーミヤン大仏天井壁画」展に展示されていた想定復元図
バ5-28-2016_003


展示室の壁には2017年の「素心伝心」展でも映写された、失われた東大仏の
頭の位置から見たバーミヤンの景色の動画が映されています。
東大仏はヒンドゥークシュ山脈も望めるこの雄大な景色を眺めていました。
バーミヤンはモンゴル系のハザラ人の居地域で、タリバンの制圧前は少年兵が
銃を持って大仏の頭の上に乗っていたこともありました。

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敦煌莫高窟第275窟 弥勒菩薩交脚像再現(70%縮小) 5世紀 敦煌研究院
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莫高窟で最も古い交脚像で、右手を施無畏印にし、左手を与願印にしています。
交脚は日本では馴染のない座り方です。

敦煌莫高窟第57窟 想定復元 7世紀 東京藝術大学蔵
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本来は6体ありますが、主に清時代の修復がみられるため、今回は中央の
釈迦如来像と一番手前の菩薩像の2体を当初の形に推定復元しています。
釈迦如来像は敦煌研究院、菩薩像は東京藝術大学が模造し、
それを計測して3D切削機で成形し、彩色しています。

法隆寺金堂壁画9号壁(弥勒説法図) 焼損前再現 東京藝術大学蔵
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法隆寺金堂壁画は1949年に模写作業中の失火で失われてしまいましたが、
写真を基に1967年から安田靫彦、前田青邨、橋本明治、吉岡堅二を中心
14名の日本画家によって復元模写が行なわれ、68年に完成しています。
こちらは東京藝術大学の復元・再現技術により再現された図です。

法隆寺金堂9号壁画(弥勒説法図) 想定復元 東京藝術大学蔵
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こちらは更に元の姿を想定して復元した図です。

東大寺中性院弥勒菩薩立像 復元模刻 1190-99年 個人蔵
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腰をややひねり、右足を少し前に出した、動きのある姿です。
元の像は鎌倉時代の建久年間の作と考えられます。

この展覧会の始まる直前、アフガニスタンでは2001年のアメリカ同時多発テロ事件を
きっかけに米軍などにより駆逐されたタリバンが再び全土を制圧したというのは
いささか苦い偶然ではあります。

2016年の「素心 バーミヤン大仏天井壁画~流出文化財とともに~」展の記事です。

2017年の「素心伝心 ―クローン文化財 失われた刻の再生」展の記事です。

展覧会のHPです。

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【2021/09/14 17:20】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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