上野
上野の東京国立博物館で開かれている新年恒例の「博物館に初もうで」の総合文化展
(平常展)での展示の記事を3回に分けました。
今日は3回目です。
会期は1月30日(日)まで、入館には予約が必要です。
「小袖 白練緯地松皮菱竹模様」
安土桃山~江戸時代・16~17世紀 重要文化財

伝徳川家康より鷺流狂言師鷺仁右衛門宗玄拝領
役者が演じた後、小袖を拝領したらその場で羽織って舞う慣例がありました。
あらかじめ準備された品らしく、大きめに作られています。
枕草子にも、卑しい女に布を与えたところ、それを担いで舞ったという記述があるので、
古来の慣習のようです。
鷺流は狂言の和泉流、大蔵流と並ぶ狂言の一派でしたが、明治時代に廃絶しています。
「夜着 紺綸子地鳳凰唐草模様」 江戸時代・18~19世紀

旧久留米藩藩士家伝来とされる掛け布団です。
鳳凰を大胆にあしらった、目出度い図柄です。
「色絵椿図大皿」 伊万里 江戸時代・17世紀

濃厚な色彩で見込みに太湖石と椿を描いています。
伊万里と九谷の近似性を窺わせる色調です。
「百人一首帖」 烏丸光広 江戸時代・17世紀

藤原定家の書風に倣って百人一首を書いています。
参議等
浅茅生のおののしの原しのぶれど餘りてなどか人の恋しき
平兼盛
しのぶれど色に出にけり我恋は物や思ふと人のとふまで
俊恵法師
夜もすがら物思ふ頃は明けやらでねやのひまさえつれなかりける
西行法師
嘆けとて月やはものをおわするかこち顔なる我涙かな
「新三十六歌仙図帖」 右帖 狩野探幽 江戸時代・寛文4年(1664)
後鳥羽天皇が選んだとされる鎌倉時代の名歌人36人の姿と歌を、左帖(さじょう)と
右帖(うじょう)の2帖に分けた冊子に納めています。
見開き2面ごとに歌人の姿と、その人物が詠んだ歌が配置されていま
5代将軍徳川綱吉の正室として迎えられた鷹司信子の御嫁入道具です。
式子内親王

ながむればころもですずしひさかたのあまのかわらの秋のゆふぐれ
皇太后宮大夫俊成女

下もえにおもひ消えなむ煙だにあとなき雲のはてぞかなしき
小侍従

いかなればそのかみやまのあほひぐさとしはふれどもふたばなるらむ
二条院讃岐

やまたかみみねのあらしにちるはなの月にあまぎるあけがたのそら
前大僧正慈鎮護

みにとまるおもひを荻のうら葉にてこのころかなし夕ぐれの空
「龍虎図屏風」 狩野栄川院〈典信〉 江戸時代・18世紀
右隻

左隻

金地に墨で龍虎を描いています。
狩野典信(1730-1790)は木挽町狩野の6代目です。
「松竹梅図屏風」 立林何帠 江戸時代・18世紀

立林何帠(たてばやしかげい)は江戸中期の絵師で、加賀前田家の侍医を努めた後、
江戸に出て尾形乾山に師事しています。
松も琳派風で、丸々としています。
「富士山草花図扇面散屏風」 酒井鶯蒲 江戸時代・19世紀

酒井鶯蒲は酒井抱一の弟子で養子となった絵師です。
「紅白梅図屏風」筆者不詳 江戸時代・17世紀 東京・高林寺蔵

右隻

左隻

堂々とした描き振りの屏風です。
高林寺は文京区にある寺院で尾形洪庵の墓があります。
「十二ヶ月花鳥図屏風」 狩野永敬 江戸時代・17世紀
右隻

左隻

藤原定家の詠んだ「詠花鳥和歌各十二首」を元に右隻に春夏、左隻に秋冬を
品良く優美に描いています。
狩野永敬は狩野山楽から4代目の京狩野家の絵師です。
「袱紗 紺繻子地長寿三老模様」 江戸時代・19世紀

浦島太郎、西王母から桃を盗んで長寿を得た東方朔、一説には89歳まで長生きした
三浦義明という組合せを刺繍で表しています。
三浦義明は「鎌倉殿の13人」の一人、三浦義澄の父で、頼朝の挙兵に参加し、
討死しています。
「羽根付図」 礒田湖龍斎 江戸時代・18世紀

肉筆浮世絵のお正月の風景で、娘さんは孔雀の羽根模様の振袖を着ています。
「山海愛度図會(さんかいめでたいずえ)・はやくにげたい」
歌川国芳 江戸時代・嘉永5年(1852)

御獅子を怖がっています。
「名所江戸百景・するがてふ」 歌川広重 江戸時代・安政3年(1856)

越後屋の賑わいで、左に現在の日本橋三越、右に三井本館があります。
1階のジャンル別展示室には刀剣も展示されています。
「太刀」 三条宗近(名物 三日月宗近) 平安時代・10~12世紀 国宝

刀身は細く長く、反りが強く、優美な姿の太刀です。
足利13代将軍義輝が襲われ殺害された時、この太刀を振るって戦ったとされています。
本館を出て博物館前広場を過ぎるまでに旅客機が次々と4機、飛んで行くのが見えました。

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上野の東京国立博物館で開かれている新年恒例の「博物館に初もうで」の総合文化展
(平常展)での展示の記事を3回に分けました。
今日は3回目です。
会期は1月30日(日)まで、入館には予約が必要です。
「小袖 白練緯地松皮菱竹模様」
安土桃山~江戸時代・16~17世紀 重要文化財

伝徳川家康より鷺流狂言師鷺仁右衛門宗玄拝領
役者が演じた後、小袖を拝領したらその場で羽織って舞う慣例がありました。
あらかじめ準備された品らしく、大きめに作られています。
枕草子にも、卑しい女に布を与えたところ、それを担いで舞ったという記述があるので、
古来の慣習のようです。
鷺流は狂言の和泉流、大蔵流と並ぶ狂言の一派でしたが、明治時代に廃絶しています。
「夜着 紺綸子地鳳凰唐草模様」 江戸時代・18~19世紀

旧久留米藩藩士家伝来とされる掛け布団です。
鳳凰を大胆にあしらった、目出度い図柄です。
「色絵椿図大皿」 伊万里 江戸時代・17世紀

濃厚な色彩で見込みに太湖石と椿を描いています。
伊万里と九谷の近似性を窺わせる色調です。
「百人一首帖」 烏丸光広 江戸時代・17世紀

藤原定家の書風に倣って百人一首を書いています。
参議等
浅茅生のおののしの原しのぶれど餘りてなどか人の恋しき
平兼盛
しのぶれど色に出にけり我恋は物や思ふと人のとふまで
俊恵法師
夜もすがら物思ふ頃は明けやらでねやのひまさえつれなかりける
西行法師
嘆けとて月やはものをおわするかこち顔なる我涙かな
「新三十六歌仙図帖」 右帖 狩野探幽 江戸時代・寛文4年(1664)
後鳥羽天皇が選んだとされる鎌倉時代の名歌人36人の姿と歌を、左帖(さじょう)と
右帖(うじょう)の2帖に分けた冊子に納めています。
見開き2面ごとに歌人の姿と、その人物が詠んだ歌が配置されていま
5代将軍徳川綱吉の正室として迎えられた鷹司信子の御嫁入道具です。
式子内親王

ながむればころもですずしひさかたのあまのかわらの秋のゆふぐれ
皇太后宮大夫俊成女

下もえにおもひ消えなむ煙だにあとなき雲のはてぞかなしき
小侍従

いかなればそのかみやまのあほひぐさとしはふれどもふたばなるらむ
二条院讃岐

やまたかみみねのあらしにちるはなの月にあまぎるあけがたのそら
前大僧正慈鎮護

みにとまるおもひを荻のうら葉にてこのころかなし夕ぐれの空
「龍虎図屏風」 狩野栄川院〈典信〉 江戸時代・18世紀
右隻

左隻

金地に墨で龍虎を描いています。
狩野典信(1730-1790)は木挽町狩野の6代目です。
「松竹梅図屏風」 立林何帠 江戸時代・18世紀

立林何帠(たてばやしかげい)は江戸中期の絵師で、加賀前田家の侍医を努めた後、
江戸に出て尾形乾山に師事しています。
松も琳派風で、丸々としています。
「富士山草花図扇面散屏風」 酒井鶯蒲 江戸時代・19世紀

酒井鶯蒲は酒井抱一の弟子で養子となった絵師です。
「紅白梅図屏風」筆者不詳 江戸時代・17世紀 東京・高林寺蔵

右隻

左隻

堂々とした描き振りの屏風です。
高林寺は文京区にある寺院で尾形洪庵の墓があります。
「十二ヶ月花鳥図屏風」 狩野永敬 江戸時代・17世紀
右隻

左隻

藤原定家の詠んだ「詠花鳥和歌各十二首」を元に右隻に春夏、左隻に秋冬を
品良く優美に描いています。
狩野永敬は狩野山楽から4代目の京狩野家の絵師です。
「袱紗 紺繻子地長寿三老模様」 江戸時代・19世紀

浦島太郎、西王母から桃を盗んで長寿を得た東方朔、一説には89歳まで長生きした
三浦義明という組合せを刺繍で表しています。
三浦義明は「鎌倉殿の13人」の一人、三浦義澄の父で、頼朝の挙兵に参加し、
討死しています。
「羽根付図」 礒田湖龍斎 江戸時代・18世紀

肉筆浮世絵のお正月の風景で、娘さんは孔雀の羽根模様の振袖を着ています。
「山海愛度図會(さんかいめでたいずえ)・はやくにげたい」
歌川国芳 江戸時代・嘉永5年(1852)

御獅子を怖がっています。
「名所江戸百景・するがてふ」 歌川広重 江戸時代・安政3年(1856)

越後屋の賑わいで、左に現在の日本橋三越、右に三井本館があります。
1階のジャンル別展示室には刀剣も展示されています。
「太刀」 三条宗近(名物 三日月宗近) 平安時代・10~12世紀 国宝

刀身は細く長く、反りが強く、優美な姿の太刀です。
足利13代将軍義輝が襲われ殺害された時、この太刀を振るって戦ったとされています。
本館を出て博物館前広場を過ぎるまでに旅客機が次々と4機、飛んで行くのが見えました。

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